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2010年12月01日

【小説】刀をたずねて三千里  26

 
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     第2章   バカと刀は使いよう  12
 
 
 
「さてと、W・S・Cのアジトへと御案内願いましょうかね。」
 
そう言って、恭介は前を走る新型フーガハイブリッドとハイエースの2台を少し車間を開けつつ
追走する。
 
首都高を通り、再び中央道に入る。恭介が来た道を戻っている形であった。
 
「まさか、うちの町に戻る事はないよな?」
 
そんな心配も起こったが、その心配は稀有であった。
だが、恭介とは違う心配を前方を走る彼らも気付いていた。
 
 
 
「あまおう様、我々を追っていると予想されるクルマが1台おります。」
「何じゃと、それは確かか?」
「いえ、偶然かもしれませんが、明らかにスペックの上では我々よりも早く走れるクルマですが
 ゆっくり走る我々と同じペースで走ってる様子なんです。」
「うむ。では、こちらもそやつらの動きが我々をマークしているか確認しておこう。」
「了解しました、あまおう様。では、この先のPAに入り奴らの動きを確認してみます。」 
 
そう言って、彼らが停まった先には【石川PA】があった。
 
石川PAは高速道路で唯一「八王子ラーメン」が食べれるとか「天たまそば」や「東京ばな奈」が
ある以外は特別有名なモノがある訳ではない。
つまり、単純に休憩で寄っただけなのだろうと思われる。
 
大型車が停めるエリアの端っこに2台は停まる。さすがに横付けは出来ないので、その向こうの
普通車エリアに車を停め、同乗者の動きをチェックする。
 
その一方で、彼らは恭介のクルマをハイエースのメンバーが望遠鏡で確認していた。
 
「どうじゃ?」
「はい、間違いなく我々に視線を向けております。奴らはわからないように尾行しているつもり
なのでしょうが、こうして見ると粗がある上今望遠鏡で奴らの動向を確認した結果、我々を
尾行していると思って間違いないでしょう。」
「どうづるつもりじゃ?」
「はい、あまおう様。あまおう様の乗るフーガを動かしてみて後ろのハイエースが停まったままだと
奴らがどうするか、を見て最終判断をします。」
「うむ、では早速作戦を開始してくれ。」
 
 
「恭介様、彼らの動きが変です。」
「そうだな、フーガだけが動き出してハイエースの方は停まったままだ。」
「どうします?後を追いますか、それとも停まってる方をマークしますか?」
「う~ん、どうやら尾行がばれた公算が高そうだな、ほら。」
 
恭介はハイエースの方を指差す。
そこには、ハイエースから数人の黒服の男たちが恭介のクルマ目指してやってくるのが見える。
 
「で、どうしますか?」
「このままやり過ごす事が出来るかな?」
「そうですね、その答えは恭介様の腕を問うよりも、一般人がいる中で闘いが起こる事に
不安を抱いているンズあありませんか?」
「正解だ。だが、穏便に済みそうにないだろうから、あえてやってしまおうと思ってる。」
「騒ぎになりますが、大丈夫ですか?」
「売られた喧嘩を買えないようじゃ、この仕事は出来ないって。」
「…わかりました。私もサポートしましょう。」
「ほほぅ。久々にやりますかね。」
「ええ。
 
ハイエースのスライドドアから4人の男たちが出てきて恭介の乗るインプレッサR205に向けて
やってくる。恭介と魔耶もクルマから出て彼らに対峙する体制を取る。
 
「あのぅ、どちらさんですかね?」
 
わかっているが、形式を踏むように恭介が彼らに尋ねてみる。
 
「我々はとある組織に所属する者である。お前たちはどこの所属だ?」
 
黒服の男たちの1人が恭介に問い返しで言ってくる。
 
「我々はお前たちとは所属が違うとある組織の者だ。」
 
ちょっと嫌味っぽく答える。
 
「何だと!?」
「何を言ってる。そっちが存在を曖昧に言っておいてちゃんとした答えが返ってくると思ってのか?」
「貴様、おとなしく言ってやったのに、その態度は何だ?」
「おとなしく言うのと脅しながら言うのとは雲泥の差があるが、な。」
「こいつ!(怒」
 
「待て!」
 
黒服の男たちがやる気になった時に、遅れてハイエースから出てきた男が黒服の動きを制止する。
どうやら、黒服の男たちの上司に当たる人物のようだ。
 
「部下が口の悪い言い方をしたようだ。すまんな。」
 
態度はえらそうだが、口調は丁寧である。黒服の男たちを仕切る人物なだけにそれなりの
男である事はわかるのだが、目には見えない威圧感のようなモノがかなりキている。
 
 何と言うプレッシャーだ!?
 
こいつはニュー○イプか、という冗談か本気かわからないセリフを恭介は吐く。w
だが、相手が強そうだからといって、尻凄みする恭介ではない。
恭介も伊達に修羅場をくぐって来た訳ではないだけに、ある程度の強さはやってみればわかる。
 
「あんたが親玉か?」
「いや、俺たちのボスはさっき出ていったクルマに乗っていた。」
「そうか。じゃ、今日はあんたのボスには会えずじまいか。」
「いや、違うな。」
「違う?」
「あんたは一生俺たちのボスには会えない。」
「なぜだ?」
「それは…」
「それは?」
 
「ここでお前らは俺に倒されるからだ!」
 
そう言うと、すぐさま恭介に向けて攻撃を仕掛けてくる。
 
 カキーン!
 
不意を突かれ攻撃を受けた恭介だが、身体に食らった際の音が普通じゃない!
そして、攻撃を受けたはずの恭介が相手に対してニヤリとする。
 
「そ、そんなバカな!? 貴様、我が攻撃を受けたではないか、なぜそのような顔が出来る!?」
「ふっ、知りたいか?」
「ああ、知りたい。」
「ならまずはお前さんの所属と名前を明らかにしろ。話はそれからだ。」
「…わかった。」
 
男は一旦は持っていた木刀らしき武器を放り捨てる。
 
「我らはW・S・Cに所属する者で、我が名は『忌将院 豪傑』と申す。」
 
(意外とすんなり素姓を明かしたな)
 
そう思いながら、恭介もすんなりと素姓を明かす。
 
「我が名は『三千里恭介』。所属はいわなくても分かろう。」
「ああ。その名は…知らん。」
 
  がくっ
 
脱力感が恭介を襲う。
 
「俺を知らないのか?」
「ああ、すまんが貴様の名前は初めて聞いた。」
「…悪い、やる気が失せた。今日の所はこれで失礼する。」
 
そう言って、恭介はその場から帰ろうとする。
 
「チョ、ちょっと待て。ここまで来てそれはないだろう。」
「いや、お前さん自身も名前も知らぬ男に負けるのは癪だろう。戦うのはまたの機会にしよう。」
 
そう言って、改めてクルマに乗って帰ろうとする。
 
「いやいやいや。名前を知らなかった事は謝る。だが、ここまで盛り上げておいて帰られて
しまっては、後であまおう様に何て言えばいいんだ?」
「あまおう様?」
「はっ!」
 
忌将院 豪傑はしまった、という顔をしている。
ついうっかり自分の親玉の名前を言ってしまったからだ。w
 
「プッ、お前さんの親玉は苺か何かか?」
「クスクス。w」

ついつい笑ってしまう恭介だったが、魔耶もその言葉に思わずクスッと笑ってしまう。
 
「ゆ、許さん。そこの2人、このまま帰すわけにはいかん、今ここでぶっ殺す!」
 
そう言うと、ダッシュでハイエースに戻り、何かしら武器を持って戻ってきた。
 
「ど、どうしますか、恭介様?」
「ああ、こりゃ決着がつかないと帰れそうにないな。」
 
恭介としては、対抗組織の人間に名前を知られていないのはちょっとショックだったが、
ここは戦わないと踏ん切りが付かない事は理解できる。
 
「わかった、ではここで戦うとしよう。」
 
高速道路の駐車場で2人は闘いを始める事となった。
 
 
 -つづく-
 
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Posted at 2010/12/01 23:07:41

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