【自作小説】神魔双龍伝１

正式に作り始めます。よければ読んでね。


　　第１章　　覚醒　１

「じゃ、いってきます、父上。」
「今日は学校が終わったら真っすぐ帰ってくる事。わかっておるな？」
「はいはい、わかってますよ。」
「まったく、龍聖のヤツは。もうあまり時間がないというのに…。」

俺の名前は「鷺ノ宮　龍聖」。桜ヶ丘高校に通う高校２年生だ。
今、父上が「真っすぐ帰れ」って言ったのは、破魔術の修行があるからって事だ。
正式名称を『「飛炎御尽流（ひえんみおつくしりゅう』）というのだが、世間一般に説明するのは「陰陽師」みたいなものと思っていただければわかりやすいと思う。

俺の家は桜ヶ丘町のはずれにある「鷺ノ宮神社」。
何でも昔この町にいた「邪魔王」をうちの先祖である「鷺ノ宮徹聖」が倒し、その後邪魔の復活を抑える為にこの神社が建てられたという言い伝えである。
そして我が父君「鷺ノ宮暁聖」は数えて７代目だ。
小さな時から気付いてたら俺も破魔術の修行として様々な修行を父上から教えられてきた。まもなく俺も８代目として父の後を継ぐ事になっている。おかげで、俺の学生生活というものは世間一般と全くかけ離れていたといっても過言ではなかった。

何と不幸な高校生活だろうか。ｗ


うちの神社から学校の通学路に合流するまでの５キロはまったく同じ高校の生徒と会う事はない。当然といえば当然か…。こんな町はずれから通う生徒なんて俺だけだ。
そしてやっとみんながちらほら見え出す通学路に合流してそこから更に２キロ歩いてやっと学校に着くのだが、

「おはよう、龍聖。相変わらず無愛想な顔で登校してるわね。」

通学路が合流するあたりで俺に声をかけてきたのは「涼崎　ほのか」だ。
彼女は家はうちの近くに数件ある家の親戚で、小さい頃うちの神社に遊びに来ていた子だった。その時にほのかと知り合ってそれからここまで縁があるというか腐れ縁というか、学校が一緒な上クラスまで一緒である。まあいわゆる「幼馴染」というヤツだ。

誰だ、「うらやましい！」って思ったのは？

確かに見た目は文句のつけようのない清々可憐な美少女と言っても過言ではない。
だが、彼女は見た目と性格のギャップが…。

「全く、もう。もうちょっと『やあ、かわいいほのかさん、おはよう。』とか言えないの？」

そう、大人しそうに見えて活発系な娘だ、悪い意味で。（爆）

「お前、よく朝ッぱらからそんな歯の浮いたセリフが言ってるもんだな。
　言ってて恥ずかしくないか？」と、突っ込んでみる。

「真顔でそう言うと、こっちがバカみたいじゃない。」　ちょっと、不機嫌になる。

「バカじゃなかったのか？　あ、筋肉バカだったな。」

　カチン　なんかヤな音が聞こえたそ。

「り・ゅ・う・せ・い　…」

「さ、遅刻するから先行くぞ。」と言って逃げることにした。

「待てぇ、こらぁ～！」

学校までの２キロは猛ダッシュだった。
当然、遅刻する事もなかった。めでたしめでたし。（爆）


『桜ヶ丘高校』は全校生徒２５０人程度のそう大きくない学校だが、施設は最新の物が多い。
格好は私立なんだが、何でも株式会社「グランヴェール」という大きな会社が経営権を持っていて高大一貫教育で将来いい人材がいればそのままその会社に就職出来るというシステムだそうだ。
この会社はアミューズメント総合商社らしいが、小さい頃から破魔術の修行で青春時代をかなり棒に振っているオレには無縁の会社だ。


「ねえ、聞いた？　昨日も生徒の１人が何者かに襲われたらしいわよ。」
「…は？」
「何、反応薄いわね。乳酸菌ちゃんと飲んでる？」
「朝から猛ダッシュして元気なんかある訳ないだろう。
　…ってか、おまえ元気あり過ぎ！」
「普段鍛えてるからね。」
「さすが筋肉バ…」


　ボカッ！

そこからしばらく俺の記憶はこの世になかった。ｗ


ほのかが聞いた話というのは、どうやら昨日隣のクラスの女子の１人が何者かに襲われ大けがをしたとの事だった。

「…で、１か月の入院だって。誰がそんな事するんだろうね、龍聖？」
「俺に聞かれても知らん！」
「もう、同級生がケガをしたっていうのになんて冷たいヤツ！」
「誰もそんな事は言ってない。ただ、犯人が誰かはわからん、と言ってるだけだ。」
「陰陽師のタマゴのくせにわかんないの？」

世の陰陽師は事件があった話を聞いただけで犯人がわかるのか？

「まあタマゴに聞いてもダメそうだからもうちょっと情報収集してみるわ。」
「どういう根拠でダメと言われてるかわからんが、あんまし興味本位であれこれ首を突っ込んでるとロクな事にならんぞ。」
「大丈夫よ。龍聖も知ってるでしょ？　私のクンフーの腕前を。」
「ああ、知ってる。ナントカ通信教育で覚えたヤツだろ？」
「むか～！　まだ殴られ足りないようね。」

登校時・休憩時間とボコボコにしといてまだ殴る気か、このオナゴは。（溜息）

「まあいいわ。放課後色々と調べとくから、明日の放課後、開けときなさいよ。」

そう言うとその場を後にしてどっかへ行ってしまった。

（一緒に調べるわよ、と頼まれても困るからよかったわ）

だが、その事件がこれから俺の…いや正確には俺自身に起こるある出来事の
きっかけとなるとは、この時はまだ知る由もなかった。


　　－　つづく　－