主よ、御許に

　第２６４代教皇ヨハネ・パウロ２世、主の下へと召される。日本時間の午前４時ごろのことだった由。在位２６年余。うちの近所には碑文谷カトリック教会（サレジオ教会）があるけれども、服喪のためか、いつものような日曜礼拝を知らせる鐘の音が聞こえてこない。

　僕はキリスト者ではないし、日本の文化的バックボーンはクリスチャニティーに裏打ちされたものではないから、法王（もしくは信仰）の重みと言うものは本質的には理解出来ない。ただ、彼が真に偉大だったことは十分理解できる。

　中世の昔も、そして今も、ローマ・カトリックは単に精神的支柱などという茫漠としたものではなく、極めて現世的で具体的な国際政治力学の一つの極である。その極にあるものとしての、人の世に対する責任を、ヨハネ・パウロ２世は生涯を通じて果たした。そんな気がする。