2016年11月16日
お金がすべてだという言葉があります。
私は、金額が示す意味を物で理解してきましたので、お金というものは『単位』でしかありません。
そして単位だけを切り離した数字として置き換えるものだと。
そう思えばまあ、それも正しいのでしょうけど。でもお金に意味がないことも理解しています。
ご飯が欲しいヒトにお金じゃおなかがふくれないように。
湾岸ミッドナイト相沢 圭一郎編が一番わかりやすいか。
私は作業というものにきっちりした理由が必要だと思っていますので、自分の車を自分の作業で片づけるのは特に気にしません。
元々整備屋として1級整備士に色々教えてもらっていましたんで。
自分の責任の範疇を理解して、自分でやる分に責任が持てるという線引きを自分でやってるからです。
だからエンジンを開けることはしないし、やっちゃいけない・できない事を自分で理解しているつもりです。
それが線引きかなと。
そのレベルなら、友人や弟子に問題ないレベルで作業したりさせる分には教えてますが、他人や車検に関わる部分では絶対に触らないようにしてます。
多分自分でエンジンばらばらにできても、ショップじゃないので他人のはやんないでしょうね。
やるなら、契約書交わして工賃積んで。それが正当な報酬になるならそれで特に文句は言いません。
ショップ通いが長いのもあって、おおよそ積んでくる金の理由がわかってるのもあるんで、「払えるかどうか」だけが今の判断基準になってます。
メカが一時間働いてできる作業なら1万。これに報酬分と利益分の掛け率でどのくらい取られるか、それでどのくらい作業時間がかかるかは判る。
なんで、「この作業ならパーツ代上乗せで一緒に新品に換えられる」とか、「ここバラすなら一緒にこっちやればこの分工賃が浮く」なんてのは良く言われましたね。
今も今回もそれに乗っかってますけど。
なんで、格安車検なんて逆にぼったくりの事がありますよ?いやいや、自分で全部整備して間違いないから、後車検の書類と手間賃だっていうなら止めはしません。
それを理解してれば正当だと思います。
とある足の価格。同じ全長調整式なのに倍くらい違う。
でも実際に物を見てみれば理由は歴然。部材と加工精度が全く天と地の差だったから。
そりゃ、中身も全然違うでしょ。方やチューブは新品とごっそり交換で『O/H』と呼んでる(ショック以外はすべて再利用?)のに対し、方やバラバラにして中身をリフレッシュ。
たしかに帰ってきたら傷もあるし痛みもあるけど、それは外装を再利用しているから。清掃しているのか、綺麗にはなってましたが。
ははあ、と思いました。
保たないんだろうなぁと。保たせるために良い材料を加工して使ってるから、多少の傷では交換する必要もない、と。
もう片方は傷んで使い捨てなんですよ。たしかにもろそうだったなぁ。
とあるアジアンタイヤ。むらが酷く、タイヤの場所場所でグリップしたりしなかったりというとんでもない品質のが混じってることがあるとか。
二年保たないとか。
BS高いけど、流石国産だけあって火入れ後の持ちが全然違う。
とか。
ここ数年で食物は教わりました。
本物は高い。なぜなら、手間がかかっているから。
何故手間をかけるのか?それにも理由がありました。
たしかに元々自然のものだから、条件が揃った場所で育つものを手に入れるなんて大変ですよ。
それを育てるんだから、手間もかかるでしょ。
手間を省くとそれは最早違う物なのかもしれない。
最近出来が良いという冷凍食品、本当に本物なんでしょうか。よく似た別物なんじゃないの?
日本酒がわかりやすい。等外と呼ばれる不揃いの米を使った「米だけの酒」と純米酒では味が異なる。
最近はやりの獺祭の純米50と等外を飲み比べてください。
同じ品質の同じ米の筈ですが、明確に異なることが判るはずです。
つまりそう言うことです。
安い作業は何かを犠牲にしています。
安い材料は何かが違います。
だから、それを組み合わせた安いものが爆発したり、歪んでいたりするのは仕方がありません。
目指す物が違うからです。
尤も過剰品質である場合はこの限りではありません。
それを見極める事ももしかしたら必要なんでしょう。
それを、非難するつもりも否定するつもりもないですが、そう言う価値観がすべての人間で共有できるものではないと、そう思います。
なんで、クルマというものを保有する事というのは難しいんだと思うんです。
どんなに声高に叫んだって、クルマは金持ちのもの。金を持ってなくても手に入れられる奴だっているけれど、それはすぐになくなるか、まるで呼吸するように消耗するからであって。
きっちり消耗するところを知って、過剰な品質に頼らず適正に整備できて維持しているから、彼は無理に金を使わずにレーサーばりにクルマを消耗していく。
物のとらえ方にも金は絡んでくる。でも、物差しになるだけであってそれ以上のものではない。
難しいですね。
そうそう、ついでですが『居酒屋の価格』は極めて明確ですよ?
安い居酒屋のトップエンドの5000円と、高い居酒屋のローコスト5000円だとどっちがお得だと思いますか?
高い居酒屋です。私が知る限り、日本酒の飲み放題で5000円以上の居酒屋での食事は極めて豪華で、今までの食事が嘘のように感じたほどでした。
しかも出る日本酒は見たことも飲んだこともないものばかり。
まあ慣れるとそれも当たり前になってしまって、結局自分で買い付けてくるのが最も安くなってしまうわけですが。
上司と行った神楽坂のあのお店、忘れられません。適当に注文して飲み食いして5000円でしたが、それを高いと感じさせなかった。
まあ最近選ぶ居酒屋は2000円で飲み放題だったりしますが(笑)
ミドルエンドの居酒屋で、最もミドルな宴会コース4000円ってのが一番安定感あるし、安い居酒屋では出来る限りケチったほうがお得だし。
結局価格にある意味に気づかない限り、いつまでもただのケチでしかないんでしょうね。
ビートの140万とS660の200万。60万は時代の差?いえ、装備の差をふまえるとこの価格は妥当なんじゃないですか?
とすると……あのボーイズレーサー全盛期の価格は、いったい何だったんでしょうか?あの価格の意味は?
それが今という時代なんだと思います。
私は馬鹿みたいに安いものを否定はしませんが、もてはやしません。無料はむしろ否定したいですが、残念な事にあちこちに無料が蔓延るせいで……本当の価格が判らなくなった人間が多くなったと感じます。
それは何故無料なんでしょうか。それに気づくことができるでしょうか。
Posted at 2016/11/16 22:49:51 | |
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