「マルチリンク」と「ストラット」「トーションビーム」の違いを説明できる? サーキット走行に向いているサスペンションをお教えします
分かりやすい。
ただ素人理解に特化してるので勘違いを誘発しやすい。
これではまるで車軸式(同形状のド・ディオンを含む)が劣っているかのように見える。
そしてサラリと書かれているダブルウィッシュボーンの弱点「スペースの制約」も説明がないのでわからない。
ダブルウィッシュボーン自体の構造は単純で、平行四辺形を利用したホイールハブの上下動を使います。
手元にアマゾンあたりの通販の箱をご用意ください。
で、蓋と底を抜いて、蓋側から覗いて、両手でダンボールの左右の壁部分を掴みましょう。
両手を上下させると、箱が変形しますね。具体的には平行四辺形になってるかと思います。
左手側が車体だとすると、ホイールハブ側の右手が上下しても垂直を保てる、そう言う構造です。
一時期独立懸架方式に凝っていたホンダがこぞって導入したものです。
見てわかるかと思いますが、ストラットに比較するとアッパーアームをホイールハウス内に納める都合、どうしてもアーム類が短くなるでしょうが、収まります。
ですが問題がここから。殆どのアマゾンの箱は長方形をしているかと思いますので、向きを90度変えて、擬似的にアーム長を変えましょう。
アームが短い場合と長い場合ではどうでしょうか。
アームが短いと、上下に対しホイールハブの左右の動きが小刻みに早くなります。
アライメント変化という意味では、他の結合部品によりますがタイロッドやサスペンションが違う場所から伸びていますんで、トーイン・トーアウト、分かり易いのがネガポジ・キャンバーの変化でしょう。
それがないのが特徴のはずなのに。
F1のようなオープンホイールの場合は狙ったストロークでアライメント変化を起こさせないようなアーム長さを設定できるのでいいのですが、逆に「スペースの制約」によりアーム長さが決まってしまうので設計上意味がない、となります。
あんまり短いとストロークを短くせざるをえないのでね。
じゃあマルチリンクは?ってなりますが、こちらは先程の固定部品の動きも規制できるようなリンク部品を複数導入することで3点、5点等リンク点数を名前に付けてたりします。
ハブに複数アームがついてたりその他諸々の構造になってます。
マルチもウイッシュボーンもサスペンションを外してもハブに影響がない=素人交換でも(車高変化がない限り)アライメントに影響がない、ってことです。
ストラットはダイレクトにハブについてるので殆どの場合影響します。ビートはアーム構造がダブルウィッシュボーンに近く、ハブにダイレクトではないのであんまりアライメント影響がなさそうだけれどな。
あ、そういう意味ではビートの足ってリアもフロントも贅沢だな。
GE8の時は足の先にボルト2本で止まってた気がする。なので、大抵偏心ボルトでキャンバー規制するんだ。
でも、ビートは前後ともロアケースをアームの受けに差し込んで抜け止めボルトでアーム固定する。
あれ?マクファーソンストラット形式だけど、キャンバー調整ができない。あ、アッパーマウントで動かすんだった。
だのでやっぱり構造的にキャンバーはストラットの構造体で決定する訳で、交換そのものが直接アライメントに大きな影響を与えることはないか。
ちなみにリアにはコントロールアームが追加されたストラットなので、ダブルウィッシュボーンより1点少ないマルチリンクって言って良いのかな。
アッパーは勿論ないけれど、ラジアスアームとコントロールアームでロアアームを固めてある。
さてさて話を戻そう。
で、本題の車軸式。FF車のリアに採用されるこの方式、実はむちゃくちゃ性能がいい。先程説明したように様々な問題を抱えるマルチリンク形式より、何より部品点数が少なくて済む上に路面追従性能が極めて高い。
引用文中で「サーキットに向く」ような書き方があるが、その通り。車軸式は「ストリートに向く」。むしろ、他の懸架方式よりも優秀だ。
悪路走行時に特に目立つだろうが、独立懸架は文字通り左右がつながっていないので不安定な揺れ方を必ずする。
しかし、車軸式であれば左右が結合されるので左が下がれば右が上がるし左が上がれば右が下る。
結果、反対側が乗り上げたとしても路面から反対の足は離れる事なく接地できる。
コーナリング厨はイン側が接地してしまうので極めて安定したリア足であり、FFが曲がらない印象を与えた理由ともなっている。
で、どうしたかって言えば、短足にしてイン側を浮くようにしてしまう。これが時々話す3本足旋回。
構造上よく曲がったと言われるワゴンRがこの傾向が強かったみたい。見たことないので想像の域をでないけれど。
ここにアーム構造を加えたミラージュの低速最強説なんかもあったりしたけれど、まあ今の人達には関係ない話ですから無視してください。
アレ、低速旋回の時、サスペンションが沈むとリアが出やすく為る構造で、ショート化して3本足にするとグラベルだけでなくターマックでも速かったんですね。
ミラージュの安心感は、ホント良かった。
で、車軸ってのは問題は前述の通りで、曲げるに向かない。
コルトRの超速旋回をよーく見れば3本足でインが浮いてる筈ですよ。アレもリア車軸なので。
スイフトスポーツ、GRヴィッツ、どちらもトーションビームですね。
おやあ?
というか独立懸架にやばかったのホンダくらいなもんで、スポーツFFって名乗ってもリア車軸は当たり前ですよ。
じゃあサーキットだめ?じゃないでしょう。むしろ最高!位に思ってる方々が多いハズ。
この辺は足回りの形式じゃなくて構造そのものやら云々が関わってくるので、実は一概には言ってはいけないのです。
という事で結論。
別になにでサーキット走ってもいいんだよ。というか向き不向きはないなぁ。整備性の問題は実はそれぞれにあるけれど。