車は消耗品の塊、と何度も私は言ってきていますが、その殆どは交換可能でありそういうもんだと思えば維持できると考えています。
チューニングは車の寿命を縮める、という有名な言葉があります。
湾岸ミッドナイト作中のように、純正の倍以上のパワーを出し切るような状況は当然ながら、純正部品のバランスを崩すという意味で何をやろうと寿命は必ず縮むもんです。
特にメカチューンはエンジンそのものを機械的に削るため寿命は必ず縮みますね。パワー、ソレを受け止める腰下、設計限界を超える回転数諸々は結果的にエンジンそのものの強度に準じて寿命を著しく損ないます。
要するにメタルの偏摩耗とか。
摩耗が増えるてことは当然オイル管理も厳しくなる。
とある故障事例を引き合いにすると、動力伝達系のオイル漏れがあって確認したら切子によるオイルシールの傷損だったというものがあります。
こいつ、そもそもシールが駄目だったんじゃないか、としか思えない状態で、よく調べると小さな金属片によるシールと密着面の摺動による小さな傷が入っていて、油膜に含まれたソレが与えたダメージであるとわかりました。
ようするに。
オイル管理不足って奴です。
コレはチューンドではなくとある器材の想定外な走行距離による故障なんですが。
設計限界というか想定限界というか、日本の企業の設計って非常によくできていて、その想定内で使用する限り故障はまずないと言える事例ですが、チューンドって当然これらの範疇を超えるもんですわな。
ソレを十分想定した上で、チューニングしたいもんです。
というかアレだなぁ。自分仕事は車関係じゃないんですが、機械系の開発をここしばらくは続けているもんで、趣味と実益が十分バランスしてるって思ってます。
で、素材って話。
鉄、鉄母材の合金、ステンレスにハイテン等々金属系材料は大学では基礎しか学んでいませんが、基本構造や性質は体感で学んでいます。
実際に車に積んで扱ってる部分なんかはエイジング踏まえ理解しているつもりです。
金属屋さんとも付き合いあるし、半分趣味で色々聞いたりしてた。
なんでJIS素材だったらある程度会話できる。
まあ、機械工ちゃうんで、設計や企画、PM的にはなっちゃうけれどね。
その昔セラミックを多用したエンジンってあったけれどアレどうなったんだろうね。
FRMによる強化シリンダなんかはホンダがずっと使ってましたけれど、コレもS2000の後期とかにだいぶ質が落ちたという噂がありました。
90年代のまさにど真ん中ではこの辺、オーバークオリティなものが揃っています。
三菱のボディ、ホンダのエンジン。
この辺は昭和を引きずる世代が頑張ったお陰で、我々はそれらを享受できたわけで。
これが平成にかかってから、コストダウンによる影響・品証による確率論的な当たり外れがソレまで以上に目立つようになり、2000年代に入るともうソレ以外もひどくなったのが記憶に残っています。実際はそうでもなかったのかもしれませんが。
なので、新車はほとんど乗っていないんです。
信頼がね。
そう言う観点では古いほうが良いんですが、プラ、特にビートに使われているようなプラは結構酷いんです。
CR-Xもそうでしたが、インジェクションの技術は非常にレベルが上がっているし、使われている素材や劣化を防ぐ技術なんかは現在は格段に高いものがあります。
これも昨今のSDGs関連により舵切りがなされているのでまた一度劣化するでしょうけれど。
なので2000年から10年程のプラは非常にレベルが高く、劣化が遅くなっています。
タイヤのゴムなんか良い例ですよねぇ。先日タイヤのお話をしましたが、熱が入ってからとか、温まり方とか、寿命とか全然違いますからね。
ソレを引き合いにしても、90年代の車を今保有しているのであれば、大事に維持したいもんですよ。
まあ、これからできるようにイジるぜって考えている人間のセリフじゃあないですが。
まずはね……下ごしらえした上で、少しパワーとトルクを上げる手法に手を出したいと思っています。
先程話したとおり、イジると壊れる方向に進みます。なので「全て後付」する計画なんですよ。
で、出してもせいぜい100ps・12kgfmであれば軽企画の部品でも耐久できると思います。ヘタった分を割増する感じ?うん。まずはソレを狙う。
怖いのはミッション位でしょうな。こちらはオイルで保護・メンテで維持の経験もありますんで、いつものオイル屋で相談できるし。
最悪また開ければいいや。
NOS。アレ色んな話がありますがウェットショットであれば特段問題なく搭載できると思いますよ。
そもそもアレを吸気系に吹き込むわけだけれど、吹き込んだ瞬間一気にインテークが冷えることによる物理的に暴力的な吸気効率を向上させるのが第一義。
多分元はメタノールエンジンの技術なんだろうねぇ。ドラッグの世界ではメタノールエンジンという技術が大きく動いていたので。もうエタノールに移ったようだけれど。
ナイトラス・オキサイド・システムってのは、亜酸化窒素を液体にして詰めたボンベを使います。
日本語をそのまま、化学用語として分解すると窒素に酸素がついてるって意味なのでNOxですな(笑)
実際CO2以上の温室効果があるらしくて……
実際の化学記号はN2Oらしいです。構造上は直列したN2にOがくっついていますがこいつ600度位で分解するそうです。エンジンに吹き込むとその熱を拾って窒素と酸素に分解するんですね。
純粋な冷却性能としては82.5kJ/molらしいので気化熱+熱分解で恐ろしく冷えることになります。
更に、そこに酸素が含まれるので物理的な吸気効率以上に酸素が入ってる訳だから、ウェットショットのようにその分ガソリンを混ぜておけば燃調合わせも楽でしょ?ドライが危ないってのはその辺も有るんだろうと思います。
いつも引き合いに出す友人は、馬鹿なストリートドラッガーに酸素タンク積んで同じようなことしたらしいですよ。
そしたら1000馬力以上だして棚落ちしたんだそうだ。ピストンが熱でなくなっちゃったらしい。
NOSは瞬間的にはターボ級の馬力まで引き出せるようですが、笑気ガスの補充がね。
今では料理にも使用されるとはいえ、工業用のNOSは危険性(毒性及び支燃性)もあるのでお手軽に購入できるもんではないです。
だからって前述の酸素ボンベ積むのも考えもんです。
なんで、もう少しお手軽ってことで水エタノール噴射装置、ウォータインジェクションであれば入手性、メンテ性に安全性からも良いなって思っています。
こちらは元々液性なので、ガソリンのように霧化させて吹き込むことで気体に変態してがすっと圧力を発生させます。
その際に気化熱を奪うのは同じだけれど、当然量は少ないです。
NOS>>>水エタノール>水
みたいな印象で良いのかな?
BMWに搭載されているものはディーラーメンテによる補充ですが、チューンド用は例えばガソリンタンクと同時に補充、みたいに考えます。
水だけだと熱を奪いつつややリッチに振れること位ですが、エタノールだと発火し易いのでぐっと進角させても燃焼させられるらしく、パワーアップも狙えるそうだ。
ただね、笑気ガスは熱分解で酸素と窒素を出すんだけれどエタノールは燃焼して水と二酸化炭素になりますね。
だのでガソリンなんかと同じ?扱いだと思う。問題になるとすればエタノールの金属に対する腐食でしょうか。実際、水エタノール噴射装置はインジェクタの定期整備が不可欠なようですしね……
ああ、もちろんNOSの説明通り、劇的なパワーアップは望めませんが、比較的安全に外付けできる、なおかつ大きな改造なしで、そこそこエンジンに熱的に優しいという訳で気になるのです。
言うまでもなくセッティング出す為にフルコンが必須でしょうけれど、ターボ化するよりは安上がり=その分パワーもそこそこだと。
ああ、熱的に厳しいエンジンなので冷やす用途がメインですので。
冷えてくれれば比較的性能を引き出せるし、純水であれば無茶苦茶高くはないし、燃費に振ればガソリン代とトントンになると思うし。
……まあ、最終的にはそっからがっつり積んで、水噴射のみに変更した上でターボ化ですがね。
ターボ化の場合はそもそも圧が高いので冷却のみにしぼり水にすることでかなり熱ダレが防止できますし、水なんでアタックは下がるしとかなり良いと思います。
ちなみに水は2257kJ/kg、メタノールは838kJ/kgなのでNAでは燃焼効率の高いメタノールを入れ、ターボのような高熱・高負荷な場合は水でも十分って訳で考えて良いと思います。というかターボなら水だけがコスト的にも性能的にもメンテナンス的にも良いと思う。
わかりやすい例としてニチレイがアルコールと水の気化熱実験してますのでリンク貼っておきます。