FFハイブリッドスポーツ!
「ホンダCR-Z」(しーあーるずぃー)
出た時はMT車の新車が貨物車以外に存在しないような時期だったと思います。
ましてやスポーツモデルのMTとか、その他の日本メーカーがそっぽ向いていた感じだったと記憶してます。(NCロードスターくらいしか無かった気が。)
「MTは死んだ!!」
と囁かれた時代に彗星のごとく現れ、「ホンダはスポーツを捨てていなかった!」という姿勢を印象づけた車でした。
CR-X・EFの再来、シビック系スポーツモデルがハイブリッドで降臨~~的な。
今回の車の出何処は妻の実家の車でCVTモデル。
購入してから一切のチューンや変更がされていない個体。
納車してすぐに100キロくらいツーリングした個体でしたが、7年半たった今、所用でノートe-POWREの利用がたまたま重なってしまい妻の実家からお借りして運転しました。
当時はFFスポーツが現代の技術でよみがえったと言われた通り1.5リッターのエンジンにモーターアシストで必要充分なトルクを確保。
走りに主眼を置いたモデルなのに・・・・車重の重さ感を払拭できず、スポーツ形状のハイブリット車という立ち位置に追いやられてしまいました。
さて、今回の再評価は7.5年落ちのCVT、当然ワンオーナー。
納車時に乗った100キロのツーリングと比較して、経年劣化と私自身の運転技量向上とを考えつつ、今の基準で見ようと思います。
まず走り。
やはり全高が低いのが良い動きをします。
さすがにダンパーの経年劣化と、致命的に「タイヤの経年劣化」が著しく、厳しい面も見られますが、フットワークは流石の一言。
第3京浜玉川から入ってすぐの料金所をよけるシケインで減速一切無しの流れる速度で抜けていけるのは気持ちよいです!
追従していた車が開いた差に怒り狂ってアクセルを速度違反レベルまで踏み込んできたのが何よりの証拠。
ノートe-POWREは今時の完成された足回りで動きもしなやか、素晴らしい完成度ですが、車体形状によるフットワークの良さと3ナンバー横幅による安定感はCR-Z、さすがと思うばかり。
良く言う「車両形状の限界」というのはこういう所で発露しますね。
全高低いってのは本当に良いですね!
もちろん車内は狭いし、荷物も積めない。
引き替えのフットワーク!
これはスポーツ形状の車両でないと味わえない特権と思います。
もちろんサスペンションもスポーツに合わせたジオメトリーになっているので、乗り心地だのノイズだのって野暮言っちゃいけないなと。
「ハンドルから伝わる感触を楽しむ車」
と感じました。
乗ったCR-Zは初期モデルでサイドブレーキがハンド操作。
公道ではやりませんが、引けば回せるのでご機嫌です!
スポーツモデルなのでリアのスタビリティーが高め。
なのでサーキットで踏んでいって速い設定が、街中だとハンドルいっぱい切らないと曲がらないので鈍重な印象を受けるはず。
いやいや、街中を小回りする車ではなく、アクセルを踏み抜く車なので、そう言った野暮はノンノンですね!
久々運転して、やっぱスポーツカーっていいなって思いました!
ただダメもつきまといます。
メンテ状況が判らないので一概には言えないのですが、CVTのガクガクが熱が回るまで気になりました。
走り出して5分以内の急な傾斜の坂道発進は同乗者に不快を与える動き。
パワステも以前よりやや重さを感じて、この辺りのメンテが必要かなと。
ダンパーは、当時の納車時ツーリングに感じた「堅い、ゴツゴツしている」という印象でした。
今回は、乗りだして20キロまではそんな印象。
でも街中移動20キロを越えたあたりでダンパーが熱で馴染むと凄く良い印象に!
気持ちよく路面を捉えて、思うがまま、やったままに動くCR-Z!
今のダンパーだと乗りだしからこの味が出てきますが、発売当時はコレだったなと、7.5年の開発速度を純正ダンパーの初動で感じます。
熱の回った足はサーキットでも楽しく踏めそうな感触でした!
そこまでがゴツゴツゴツゴツww
ビートの無限サスキット、リニューアルした初期ロットがそんな感じでしたね・・・・熱が入ると凄く良いけど、冷えていると腰痛レベルw
CR-Zはさすがスポーツモデル、旋回重心も良い所に良い大きさでまとまっていて、当時なりにホンダの開発陣が頑張っていたのが伝わってきます。
いいよ!この車!!
残念ながら乗った固体はタイヤがヤバイ、CVTがメンテ必要な感じでした。
それと、純正の空気圧と純正タイヤのマッチングがイマイチな印象でした。
記憶違いでなければ、当時CR-ZはヨコハマとBSのタイヤを納車時に選べて、この個体はBSのが装着されていたのですが、純正指定空気圧だとゴツゴツが止まらない感じ。
今回もそれだったのですが、納車時に空気圧をオーナーに断り無く変更とかは無理でしたが、今なら良いかなとフロント2.5キロ、リアを2.4キロ(純正指定はF2.1キロ・R2.0キロ)までボリュームアップさせたら、かなり良い感じにまとまりました。
タイヤの縦バネを有効にするために、純正指定の空気圧を無視する。
タイヤ劣化による対策と思ってくれると良いかな(汗)
これ以上だと劣化したタイヤがどんな悪さをするか不明なので、一応大人しめに調整をしましたが、返却後オーナーには満足いただける改善が出来たと思います。
欲を言えばアライメントも現車合わせが欲しい所ですが、病院エクスプレスにそこまでは贅沢なので。
久々乗りましたが、純正のままでもサーキットが楽しめる車と思います!
ただ、メンテの具合が乗っていない固体でも有る程度必要な年式になっているので劣化程度の把握は必要を感じました。
車両形状的に優秀な走りの車と思いますが、中古の場合はかなりの覚悟が必要なのでお薦めはしにくい車と思います。
それはハイブリッド車全般に言える話ですが、走行系バッテリー載せ替えは本体の価格以外の部分ですので、オーナー変更=バッテリー交換で年式によるブッシュ交換とか交換する場所が多くなると厳しい現実に直面するので注意が必要です。
良い車だけど、バッテリー問題だけは如何ともしがたい印象でした。。
この先EVカーでバッテリーありきだと、中古車という市場が縮小するかもしれませんね。
リビルドバッテリーとかバッテリー再生のセル交換とか、そう言う商売が成り立つかも~
そんな事を考えさせられる試乗となりました。
現状では、まだまだ楽しめる感じが残ってますが、この先5年後は正直厳しそうな雰囲気でした。