自転車屋のおじいさんの話

大雪の前日、私の自転車がパンクしました。

仕方が無いのであの雪の中修理キット片手に作業をしようと思っていたのですが、寒すぎなのとタイヤのゴムが比較的新品なので固くなっていて無理でした。仕方が無いので駅までの通勤には嫁のママチャリ（子供荷台付き）を漕いで通っておりました。

そして本日、長女ちゃんの同級生のうちが自転車屋さんだったので、修理を頼みに行って参りました。
対応してくれたのはおじいちゃん。年齢を聞いてビックリ！の８３歳だそうです。娘がいつもお世話になっています〜なんて話をしながら修理を依頼し、その合間で話をしておりました。

よくよく話を聞いていますとそのおじいちゃん、もちろん戦争経験者なのですが、よくよく話を聞くと「特攻隊の生き残り」だったそうです。特攻隊っていうと”桜花（オウカ）”ですか？と訪ねると、正にその通りだったそうで。

桜花をご存じない方にちょっとだけ解説。（詳しくはリンク先のwikiで）
航空機といっていますが、大きなミサイルに人間が誘導装置となって敵に特攻するという・・・何とも狂った設計思想の兵器です。離陸するための脚も無ければ帰りの燃料も無い、推進剤のみ。

おじいちゃんが生き残ったのは、桜花は自身で離陸できないので輸送用の航空機に懸架されて敵地まで行くのだそうですが、いざ発射の際にパイロンのジョイントが壊れていて、そのまま引き返して来たそうです。そして終戦・・・ちなみに地元に帰って来た時は、恥ずかしくてしばらく家に引きこもっていたとか。そういう時代だったんですね。

私、靖国神社で桜花と特攻隊の手紙を読んだときに、非常に考える事があったのですが、その生き証人のおじいちゃんが自転車のパンクを直しているという。なんか若造がこんな事思うのは生意気ですけれど、生きていて良かったですね〜と心の中で思いました。

余談ですが、ガンダムで有名な富野監督の作品「リーンの翼」には、特攻隊の生き残りが異世界に行って桜花をベースにしたオーラバトラー”オウカオー”に乗ります。でも、おじいちゃんを目の前にしてロボの話を思い出す私・・・なんか不謹慎かも・・・と思いました。ちょっと自己嫌悪。