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2013年11月23日 イイね!

「ハイマチック」フルタイム4WD 後編



「HYMATIC」(ハイマチック)フルタイム4WDの本質的な特徴をまとめてみると

・AT専用で

・機械式センターデフを持ち

・差動制限を油圧で制御

・その制御を電子的に行う


そして、これらの条件を満たした4WDシステムを捜してみると、あるタイプの車種では今でも主流であることが分かります。

例えば

・トヨタ「i-Four」

・スバル「VTD-AWD」(不等&可変トルク配分電子制御AWD)

・三菱 「ACD」(アクティブ・センター・ディファレンシャル)

・メルセデス 「4MATIC」


その他、多数のメーカーで採用。

「トヨタ」では、この「ハイマチック」の特徴を満たした4WDシステムが「i-Four 」になります。
「i-Four 」はFR専用の4WDシステムとして、「クラウン」「マークX」などに使われていますが、これは4WDシステムをより進化させた、制御システム全体の名称(車両総合制御システム)なので少し注意が必要です。



「i-Four 」(車両総合制御システム)

1992年「クラウン マジェスタ」に搭載された「i-Four」は、「走る・曲がる・止まる」の車両運動性能面において、車両の走行限界性能を高めることで一般的な走行状態での安全余裕の確保を図り、特に滑りやすい路面での加速時安定性と旋回性の向上、緊急回避性の向上、制動時の停止距離短縮と安全性の向上を狙った車両総合制御システムをいう。

このシステムは、電子制御フルタイム4WD(以下、4WD)、ABS*1、アクティブ4WS*2、エアサスペンション、エンジン制御(EFI)、オートマチックトランスミッション制御(ECT)の各制御システムからなり、各システム間が多重通信で連結構成され、各システムの制御量分担、最適化およびセンサー、情報を共有することにより、効率的な制御システムの構成を実現した。


「i-Four 」は「電子制御フルタイム4WD」を中心にABS、4WS、サスペンション、EFI、ECTが総合的に連結し電子的に制御されたシステムで、この「電子制御フルタイム4WD」の部分に「EC-ハイマチックⅡ」が使われていて、しっかり名前も引き継がれています。

「i-Four 」の4WDの基本的な部分は、従来からある「ハイマチック」が担っていて、これは、センターデフの作動制限を油圧で制御し、メカニカルなフルタイム4WDという部分では全く同じということです。

「ハイマチック4WD」は「AT」に適した乗用車専用の4WDとして、独自に「ハイマチック」「EC-ハイマチック」「EC-ハイマチックⅡ」と進化し、成熟していたのですが、近年では「i-Four」の一部分(4WDシステム)という位置付けになり、「EC-ハイマチックⅡ」という名称が表に出ることはほとんどなかったようです。

・1987年 ハイマチック FF用 A241H  カローラ、コロナ 

・1988年 EC-ハイマチック FF用 A540H カムリ 

・1992年 EC-ハイマチックⅡ FR用 A341H A340H A760H クラウン マークⅡ 

このように進化に伴い、上位車種へ搭載されていったことで、高級車に相応しいネーミングが必要になったのでしょうか、FR用の「EC-ハイマチックⅡ」が登場した頃には、実質的な機能は引き継がれつつも名称が「i-Four 」に代わったのです。

既存のシステムを上手く流用し、新たな価値を持つ「i-Four 」というシステムを上手く作り上げたという見方が正確でしょうか、これ以降「EC-ハイマチックⅡ」という名前は表に出なくなり「i-Four 」に埋もれてしまうのです。

「i-Four 」が初めて使われたのは、1992年「クラウンマジェスタ」からで、その後「クラウン」にも4WDが設定され(10代目 S15#型 1995年から)、同じく「i-Four 」が使われています。

20年以上前に、既に「EC-ハイマチックⅡ 」は「i-Four 」の中心的機能として「クラウンマジェスタ」のような高級車に搭載される4WDシステムになっていました。

3代目「カリブ」はこの3年後に登場するのですが、4WD機構は先代(AE95G)のシステムを流用という形で「ハイマチック」が引き継がれ、古いA型エンジンなのでそのまま古いハイマチック(A241H)を使うことができたわけです。

当初は全て4WD車という性格の3代目「カリブ」も、その後FFが追加され、ついに消滅してしまうのですが・・
120系「カローラ」からは「ハイマチック」に代わる4WDシステム「Vフレックス」が使われ、以降センターデフを持たない電子制御式4WDが採用され続け、現在に至っています。
このクラスの車には経済性(燃費、コスト)を重視した4WDが相応しいという判断からでしょう。

今年発売された新型「クラウン」も4WDシステムは「i-Four 」を使っています。
4WDは6速ATを採用していることから、新開発ではなく先代と同じ「AT」を使った「i-Four 」だと思われます。

そして、この最新の「i-Four 」の「電子制御フルタイム4WD」の部分には未だに「EC-ハイマチックⅡ」が採用されているのです。

つまり新型「クラウン」も基本的には「ハイマチックフルタイム4WD」なのです。
「EC-ハイマチックⅡ」は「i-Four 」の中核として今でも活躍していました。

この部分に関しての基本構造(ハイマチック)は20年前に既に完成し、進化してきたのは他の機能との連携や電子制御的な部分、そして駆動系が大半のようです。

「i-Four 」は現在では「クラウン」「マークX」「レクサス」などのFR用の高級車やスポーティーな車といった、走行性能を重視される車種に使われる4WDシステムになっています。

その「i-Four 」が求めている4WD性能は

・走行限界性能を高め

・一般的な走行状態での安全余裕の確保を図り

・特に滑りやすい路面での加速時安定性と旋回性の向上

・緊急回避性の向上

・制動時の停止距離短縮と安全性の向上を狙った


といった、通常の走行条件での走行限界性能を高め、安全余裕の確保を図ることが目的の4WDシステムなので、4WDに求める性能を混同しないように注意が必要です。(例えば,40キロ以下で使う「スバル Xモード」とは求める方向性が違います)

初代「ハイマチック」から潜在的条件は揃っていたので、「i-Four」のような総合制御システムになっていったのもごく自然に感じられます。
「久保さん」の「ハイマチック」は最初からよく出来た4WDシステムだったのです。

このように「ハイマチック」は基本的にはあまり変わってきてはいないのですが、むしろ変わってしまったのは時代の方で、一言でいえば、「そういう時代になってしまった」ということでしょう。

カリブの4WDを一言でいえば、「i-Four 」から電子制御的な部分をほとんど取りはらったような4WDという表現がぴったりで、見方によっては電子制御されすぎていない所が魅力的でさえあるのかもしれません。

4WDに関しては電子制御が正義とは限りませんので。

こういった背景があって、「カリブ」の4WDは古くても魅力的なのです。


参考資料 トヨタ自動車HP トヨタ自動車75年史
Posted at 2013/11/23 19:04:48 | コメント(2) | トラックバック(0) | 日記
2013年11月13日 イイね!

「ハイマチック」フルタイム4WD 前編


急に寒くなり、自転車には厳しい季節になりましたが、「カリブ」にとっては4WDの恩恵を一番受けられる季節でもあります。
積雪は年2、3日程度しかありませんが路面の凍結は珍しくないので、ノーマルタイヤで普通に走行できるのはありがたいです。

前期型の頃に、7年間(15万キロ)4WDの「AUTO」ボタンはOFFのままで、雪道だけONにしていたことがあります。
「取説」では「牽引や特殊な状況以外では「AUTO」ボタンはON」ということでしたが、「取説」そのものを前期型の頃は持っていなかったので、感覚に頼った結果「AUTO」ON-OFFの違いがとても分かりにくかったので、自己流の間違った解釈をしていました。

「AUTO」ボタンの誤りに気がついたのは後期型の「取説」を見た後で、長い間「カリブ」の「ハイマチック」フルタイム4WDのことはよく分からないまま乗っていたのです。
誤った使い方でも壊れないのは、流石「トヨタ」。

以前、4WDの前後のトルク配分が知りたくて、「ハイマチック4WD」について「トヨタお客様相談センター」に問い合わせたことがありますが、古い情報なので簡単に見つからないのか、「不明」という残念で意外な回答でした。
このときの問い合わせ内容は、「前後のトルク配分、センターデフAUTOボタンON・OFF時どのようにトルク配分が変化するか」、大体このような内容でした。

現在も、前後のトルク配分と変化については分かっていませんが、感覚的には50:50を基本にしたトルク配分なのでしょうか、「FF」でも「FR」でもないという、掴みどころがない感じがします。

「ハイマチック4WD」についてはとても情報が少ないのですが、下記の動画がとても興味深い情報を提供しています。
古い映像で画質が悪いのが本当に惜しいですが大変貴重かと。

「新車情報'88 トヨタ カローラ 4WD」http://www.youtube.com/watch?v=GAlemlVn2A0

(18分頃から「ハイマチック」のメカニズム・原理など説明しています)

まず「ハイマチック4WD」誕生の背景。

開発の「久保さん」の話では

・4WDの時代が「いつか来るだろう」ということで・・ 5,6年前(82、83年頃)から考えていた

・「カリブ」の4WD機構が既にあって将来どういった形で発展していくかと・・

・しかも「ATトランスミッション」に適した機構は何かと・・



「ランクル」などの伝統的なクロカン系の4WDとは別に、新しい発想から乗用車ベースの4WDとして初代「カリブ」が誕生、そして乗用車専用の「AT」に適した4WD機構として進化し誕生したのが「ハイマチック4WD」(A241H)のようです。


この頃(88年2月)初代「カリブ」の持つ独特のアイデンティティが「カローラ」という世界有数の大衆車に乗っかる形で、4WD機構、エンジン、プラットフォームなど「カローラ」と共通の、2代目「カリブ」AE95G誕生。(※プラットフォームは正確には「スプリンターシエロ」)

そして、なにかと謎の多い「ハイマチック」については

・Hydraulic(油圧)

・Multiple plate(多板)

・active(活動)

・Traction(トラクション)

・Intelligent(知能)

・control(制御)


ようやく「HYMATIC」(ハイマチック)の、名前の由来が分かった。


さらに「メカニズム」については

・「ATトランスミッション」は元々「湿式多板クラッチ」を使っていて制御が非常にやりやすい

・路面、走行条件に応じて差動制限の特性を与えている

・「ATトランスミッション」に走行条件を検出した信号が既にある

・色々条件に合わせて、外側から制御できるメリットを買って「HYMATIC」を採用



「ATトランスミッション」に既にある「油圧」「信号」を使い制御する方式なので「AT」と一体の、AT専用の4WDシステムで、3代目「カリブ」では「ECT-S」と「ハイマチック」の連携が見られるところは興味深いですね。
(※「湿式多板クラッチ」はAT用と差動制限用は、同じ構造を用いているが別々で、共用しているのではありません)
(※「7AFE」には電子制御の4速「ECT-S」を採用、電子制御を利用し高速時と後退時の差動油圧をより最適化している。「4AFE」は普通の4速ATなので「7AFE」のような最適化はされていない)

勘違いしやすいのは、動力の分配は「機械式センターデフ」がおこなっていて、「湿式多板クラッチ」を使った油圧制御は「差動の制限」をコントロールしているだけであるという点です。

これは油圧制御の有無に関わらず、前後のトルク配分は「センターデフ」が常時行っていて、極端な状況(例えば一輪空転するような)以外では「AUTO」「OFF」の違いを体感することは難しいということでしょう。

そして「AUTO」の状態では、スロットル開度、車速、シフト位置を検出し、油力の有無、強弱によってセンタデフの差動油圧を最適にコントロールし、トルク配分を行っているそうです。
謎の「マニュアル」ボタンの存在理由もここにあり、シフト位置を任意に選択・固定させ、さらにスロットル開度(アクセル)を調節することで、理想の油圧の状態にコントロールして、「スタック」時よりスムーズに発進できるというものです。

ここは、こういった「ハイマチック」の原理が分かっていないと理解しにくい部分なのですが、当時は4WD車以外でも「ECT-S」搭載には同じ「マニュアル」ボタンが付いていた車種もあり、大部分の人は自分と同じように使いこなせなかったのではないかと容易に想像できます。

また、MT車の「デフロック」などには及ばない部分をこうして補っている「短所」でもあるのですが、ATとMTでは理想的な4WDは違うという、現代の4WD機構の多様化が既に見られ、メリット・デメリットを踏まえたうえでATには「ハイマチック」を採用したということでしょう。

・MT(ABS有) センターデフ+ビスカスカップリング

・MT(ABSなし) センターデフ+メカニカルデフロック

・AT センターデフ+油圧制御


3代目の「カリブ」には3つの組み合わせがあり、なぜMTとATで差動制限の方式が違うのか疑問でしたが、「ハイマチック」はAT用なので、MTには使えないからという単純な理由であることが判明。

26年も前の「ハイマチック4WD」ですが、雪上をノーマルタイヤでスイスイ走れ、4WDを意識することなく普通に運転でき、トラブルや煩わしさなども皆無で、「良く出来た4WDだなぁ」というのが正直な気持ちです。

「ハイマチック」は構造的に見ても合理的で、よく出来たAT用の「センターデフ方式のフルタイム4WD」だと改めて思いましたが、最近は名前を聞くことはありません。

「センターデフ方式のフルタイム4WD」そのものが少なくなり、26年前の「ハイマチック」は時代遅れの古いシステムなのでしょうか。

後編へ、つづく
Posted at 2013/11/13 21:06:34 | コメント(0) | トラックバック(0) | スプリンターカリブ | 日記

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