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2008年10月10日

エルディア蒼龍伝 40

   第2章   第2次ペトグランチェスト会戦 5


エルディア帝国のギルドラド掃討作戦の第1弾とも言える「第2次ペトグランチェスト航路会戦はここに幕を閉じた。
結局両軍の損失はこのようになった。

<エルディア帝国>

第4艦隊  ・・・ 2300隻
第6艦隊  ・・・ 1800隻
第8艦隊  ・・・ 2900隻
第14艦隊 ・・・ 1400隻
第15艦隊 ・・・  600隻

 計        9000隻

 <ギルドラド惑星共同帯>

 計        3700隻

ギルドラド軍も壊滅前に撤退をしたので、最後撃ちあいによる消耗戦を回避出来た事は
後々の為にも有益であった。



「ひとまずは勝利を得る事が出来ましたね、ハラピー閣下。」
「ああ、そうだな。」

ライオネル・ハラピー中将とパスツール・グランドーレ少将が去ってゆくギルドラド軍を眺めながらそう言った。

(しかし、今後は敵の領内に侵攻していくことになるだろうから、今以上の苦労は必至だな)

そう、この戦いでおそらくエルディア帝国としても一気にギルドラド惑星共同帯を
占領する算段を開始するはずであろう事は自明の理であった。
今回のようにギルドラドもエルディア帝国の侵攻に対して先のような兵器で応戦してくるとなると、辺境銀河連合との不可侵条約の期限切れの前にギルドラド惑星共同帯の完全占領は出来ないであろう。
よって条約終了までにどこまでギルドラド領に侵攻出来るかがカギとなるのだった。

(さて、お次はどの艦隊の出番となるかな?)




 <エルディア帝国首都星 ゴッド・オブ・アクアスター>

「どうやら『蒼龍師団』は無事勝利を収める事が出来たようじゃのぅ。」
「ああ、まず第1弾は成功という訳じゃな。」
「これからが問題じゃがな。」
「どういう事じゃ?」
「それは今更言わんでもいわかるじゃろう?」
「…」

今、エルディア帝国最高評議会では今回の会戦の結果と今後の行動についての話し合いが
始まっていた。

集まっている面々はエルディア帝国を牛耳る元帥陣が勢ぞろいであった。


統合作戦本部長       スチュアート・ヘルグランダーナ元帥
帝国軍最高司令長官    エクサボング・シュルトハーゲン元帥
帝国宰相           アイリッシュボルグ・ビーグルヘターベスト元帥
軍令部人事管理局々長  ブルーム・バルディー上級大将
黄龍師団総帥        グラール・エステンブルグ上級大将
紅龍師団総帥        ドトール・バレンティーノ上級大将
蒼龍師団総帥        バーミリアン・ギルフォード上級大将(会戦中につき欠席)
白龍師団総帥        マクシミリアン・エルメストラーデ上級大将


「えー、今回の評議会の議題はギルドラド惑星共同帯への領内侵攻作戦についてじゃ。」

評議会議長ポールギーガ・ドトルギーファ侯爵によって会議が始まった。

「では、今後の作戦の概要について帝国軍最高司令長官エクサボング・シュルトハーゲン元帥より説明をしてください。」
「はっ。先の会戦で蒼龍師団が勝利を勝ち我が軍はギルドラド領内への足がかりが出来ました。これからは時間との勝負にもなりますが、辺境銀河連合との不可侵条約の期限が切れるこの10か月しかありません。今回の議題の最重要課題は10か月でギルドラドを完全占拠するのか、はたまたギルドラドを掌握出来る条約を締結出来る頃合いまでの戦いをするのか、どちらを目標に戦うかを決めていただきたいと存じます。」

完全占拠が出切れば条約期限が切れても相当数の戦力を辺境銀河連合側に集約できるが、
部分占拠で講和による暫定支配では当然1個師団は駐留を余儀なくされる。
さて、どこまで侵攻するか興味は尽きない。

「当然、完全占拠を目標にすべきである!今現在辺境銀河連合とは不可侵条約が効いているのでそちら方面の戦力をギルドラド戦に持ち込めば戦力は十分整うはずじゃ。何をためらう事があろうか!」

そう意見したのは統合作戦本部長スチュアート・ヘルグランダーナ元帥であった。

「作戦本部長の意見に賛成であります。」

そうサポートするのは黄龍師団総帥グラール・エステンブルグ上級大将だった。
言うまでもなくヘルグランダーナ元帥派の人物であるから支援は当然である。

「お待ちください、この意見には賛同しかねる。」
「何じゃと!?」

反論を持ちかけたのは、帝国宰相アイリッシュボルグ・ビーグルヘターベスト元帥であった。
ヘルグランダーナ元帥とビーグルヘターベスト元帥は次期帝国公帝の座を巡って水面下で暗躍し合っているだけに意見が合う訳がなかった。

「帝国宰相の意見は我らが神エルディア神への信仰が足りないから不安があった仕方がない故の発言ではありませんかね?」
「何を訳のわからん事を。朕が言いたいのは完全制圧となると人員物資の面で相当負担がかかる故財政面にもかかわる問題となると無下に賛成も出来ないのが心情だからじゃ!どこかの戦うだけしか取り柄のない輩と一緒にせんでくれ。」
「むむむ、今何と言った? 朕が戦いしか取り柄がないじゃと!?侮辱じゃ。」

ビーグルヘターベスト元帥の牽制にあっさりハマり怒りを露わにするヘルグランダーナ元帥。

「宰相閣下、その発言は悪戯に怒りをあおるもの。謹んでいただきたい。」

そう言ってヘルグランダーナ元帥をフォローするのは帝国軍最高司令長官エクサボング・シュルトハーゲン元帥であった。
だが、政治活動で発言力にかけては群を抜いている宰相ビーグルヘターベスト元帥が
引き下がる訳がない。

「軍人は戦う事だけ考えればいいんじゃから楽でいいですなぁ。朕なんぞは政治・経済・外交等様々な面でやる事が多い中軍の愚行にまで付き合えるか、少しは国内の人民の事も考えんか!」

宰相としては至極当然の発言であった。だが、正論=納得とはすんなりいく訳がない。

「帝国宰相は肝っ玉が小さいのぅ。我が軍が勝利を収めるので何も心配する事はない。」
「その通り。」
「案ずる事はありませんぞ。黙って金だけ出せばいいのですじゃ。」

ヘルグランダーナ派の支持が多い。

「ふん、あまり私を怒らせないでいただきたい。何も戦いなとは言っておらん。
ただ、我が帝国が無尽蔵に財力があると思わないでいただきたい。ただでさえ先の駐留ステーション破壊と新たなステーション建築・艦艇の増産・更には兵員不足の問題と政治経済側からは無下に戦争賛成とは言えませぬ。財務省からも軍部への資金面の抑制を言ってきておるのですから。」
「それを抑えるのが宰相の仕事であろうが。」
「元帥は内からこの帝国を没落させるおつもりですか!」
「何!?」

双方、主張が食い違う為会議は停滞してしまった。

「議長、よろしいでしょうか?」

停滞した会議の流れにくさびを打つべくこの男が発言をしてきた。
白龍師団総帥マクシミリアン・エルメストラーデ上級大将である。

(おい、エルメストラーデが発言だと!?)
(あの無口が珍しいぞ…)
(どういう事だ!?)

場内がざわつくが議長が発言を許可したので、再び場内に緊張が走る。

「統合作戦本部長の意見も宰相閣下の意見も正しいと思います。よって私は今回のギルドラド侵攻作戦には全力であたるべきと思います。」
「ほらみろ、白龍師団もそう言っておろうが。」
「どういう事か?理由を聞かせてもらいたい。」

ヘルグランダーナ元帥はこの男が支持を訴えるとは思っていなかったのでテンションが上がってきているが、ビーグルヘターベスト元帥としては面白くない。

「ギルドラドは現在帝国にとって最大の敵である事は確かです。ですが、辺境銀河連合は必ずしも敵ではないとも言えるでしょう。なぜなら辺境銀河連合にとっても我がエルディア帝国と本格的戦闘を望んではいないからです。」
「何じゃと!?」

突然の内容に場内騒然となるが、かまわず話を続ける。

「最近辺境銀河連合では大統領の辞任が確実との情報を入手してます。」
「!?」

更に場内がざわめく。

「これから次期大統領選出の投票に向け1年は連合内でゴタゴタが起こるのは必至。」
そこで軍部は全力でギルドラドをせん滅、そして政治では外交で辺境銀河連合と交渉し不可侵条約の延長を締結、最終的には辺境銀河連合とは共同戦線を張る。こうすればギルドラドを叩けば当面は軍の大規模な活動は減り財政面の負担も減る。これでいいのではありませんか?」

場内がシーンとしている。

確かに今我が帝国に唯一反抗的なのはギルドラドのみだ。辺境銀河連合も積極的に我が国に侵攻してきた事はない。逆にギルドラドと組まれる方がやっかいである。
そういう様々な面を検討すればおのずとその意見の賛同が増えていくのは自明の理であった。

そして、この発言に決定力をもたらしたのは意外にも
軍令部人事管理局々長ブルーム・バルディー上級大将の発言であった。

「要は宰相閣下には全力で辺境銀河連合との不可侵条約の延長にあたってもらい、軍部は全力でギルドラドを打倒してもらう。この2つがかなえば当面この銀河に平和が訪れる訳です。」

「平和」

銀河の統一をなす事によりこの銀河に平和がもたらされるという考えエルディア帝国にとって講和と協調で平和をもたらすのは果たしていい事なのか悪い事なのか?
結果は見えていた。最終的には平和がもたらされるのが大前提なのだから。

(ふっ、まあよかろう。そのかわりギルドラドを叩いた功績で我が派がこの帝国を牛耳れればそれでもよし、か。)

そう思ったヘルグランダーナ元帥は、

「バルディアー上級大将の意見は正しい。我が国がこの銀河に平和をもたらす。
その礎をこの戦いでしめそうではないか。」

 ざわざわ…

(よし、これで案を取らせろ)

そう思ったヘルグランダーナ元帥は目合わせで議長にサインを送る。

「で、では最終決議に入ります。ギルドラドへの全面攻撃を認可するか否か?」

こうして可か非かを問うたが、結局は賛成多数で全面攻撃」という事になった。
但し、不可侵条約の延長が大前提であったが…。





会議後、1人その場に残ったブルーム・バルディーは

(まあ、これで軍部もギルドラドを占拠出来ればその功績は大だし、宰相も条約の延長がなされれば軍部の功績は政治部の外交のおかげだとその功績は評価されるので、お互い面目がたつ結論となったと考えればこの結果もアリか)

そう、1人残った会議場でつぶやくのであった。


銀河西暦4986年(帝国歴686年)10月10日。
いよいよエルディア帝国軍がギルドラド制圧作戦に乗り出すのであった。


   -つづく-


次回からはしばらくお休みをいただきます。
また再開した時は宜しくお付き合いいただければ幸いです。

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Posted at 2008/10/10 17:07:34

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