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2009年02月05日

エルディア蒼龍伝 42

 
      第3章   講和条約  2




時は少しさかのぼって銀河西暦4986年(帝国歴686年)10月13日。

議会が正式にギルドラド惑星共同帯への侵攻が決まった後、各師団の人員達は
それに向けての準備をしていた。
だが、その時第8艦隊はその長がまだ決まっていなかった。

おかしな話である。本来ハラピーがいたのだからそのまま引き継げばいいだけの話なのに…。
では、なぜそのような事になったのか? 事の次第はこうだ。

 「指揮官の任を解く?」
 「そうだ。」

第2次ペトグランチェスト会戦が終了し首都星に帰ったハラピーに待っていたのは
ナント賞罰委員会への出頭だった。

 「どうしてなのですか?」

開口1番委員会副会長ブリザート・ガブラー大将にそう言われては納得がいく訳がない。

 「先の戦いで貴官の艦隊だけ損傷が1番少ない。『蒼龍師団』の司令官のいる
  第4艦隊以上に艦艇が無事でいる。おかしくはないか?」
 「どこがおかしいのか将官には理解できません。」
 「そもそも貴官の艦隊が今回の戦いで仕事をしていないのでは?と言う事だ。」
 「はぁ? 一体どこをどういう風に見たらそうなるのですか?」
 「うむ。私もその件についてゴルドハウゼン大将を任意で諮問した。」
 「総参謀長自らを、ですか?」
 「ああ。そしたら貴官が戦場に出てくるのが遅すぎたのが原因、との事じゃった。」
 「異議を申し立てます。」
 「異議とな?」

ハラピーはびっくりした。
あの時ハラピーら第8艦隊は後方待機の命令を受けていた。
そして、後半のいいタイミングで司令部に進言し、そこから戦闘に加わったのは確かだ。
まさか、あれを逆手に取るというのか、あの司令部の連中は!?

 (余程、私に武勲を立てる結果になるのが嫌なようだな…)

 「戦闘記録を確認してください。そうすれば本当の事がわかりますから。」

このままではあらぬ疑いをかけられたままになってしまうので、なんとかそれを阻止せねば。

 「うむ、その辺もゴルトハウゼン大将に聞いて見たら、ブラックボックスは戦闘で
  破壊されたので、提出できない、と言ってきたのじゃ。」
 「…そんなバカな!?」
 「まあ貴官にも言い分はあるじゃろう。そこでここは貴官に第8艦隊を降りてもらって
  しかる後に別のポジションの任に就いてもあう、という算段じゃ。」

要は左遷みたいなもんか? ああ、そういう事だ。 と言ってるらしい。w

 「はぁ…。で、私の次の任務は?」
 「とりあえず自宅待機。」

そんな訳でハラピーは首都星でしばらくのんびり出来る時間が出来たのだった。
その経緯は最悪だが。(爆)



 「提督ぅ~、いますかぁ。」
 「空いているから、勝手に入りな。」
 「じゃ、お邪魔しま~す。」

首都星アクスターの郊外にある新設された将校クラスの邸宅密集地に引っ越した
ハラピーの家に、度々お客がやってくる。
今日のお客はこの前まで第8艦隊で共に戦った前空戦隊指揮官ザフィーラ・ベルギノーゼ中佐と陸戦隊指揮官ブラッティー・ハンセン中佐の両名であった。

第8艦隊再編の際、実戦部隊の長2人もその所属を離れる事になった。
帝国軍内でもその実力はずば抜けた存在であったシェーンハイト隊とローゼンバトラー隊だが、部下も色々な意味でずば抜けた性格の持ち主が多く上司が扱いにくい部隊との認識があり、ハラピーにやっかい者を押しつけていた形だから、どの艦隊も配属辞退の旨を申し出ていた。
それを踏まえて軍令部も一旦両部隊に待機命令を下していた。
待機命令を下された者同志で楽しんでいるという感じだ。w

 「ベルギノーゼ中佐・ハンセン中佐、いらっしゃいませ。さ、コーヒ-をどうぞ。♥」

お客である2人にコーヒーを持ってきたのはマヤ・アルジェリーニ大尉だ。

 「やぁ、マヤ。元気だったかい?」
 「はい、おかげ様で。」
 「マヤも大変ね。こんなお荷物の世話をする羽目になっちゃって。w」
 「いえ、普段はぐうたらな兄ちゃんでも家族ですから。」
 「だ~れ~が~ぐ~たらだって!?」
 「きゃっ、お兄ちゃん。」
 「あははは。」

マヤもハラピーの副官のままで一緒に待機命令を受けていた。
この辺は軍令部人事管理局々長ブルーム・バルディー大将の配慮によるものだ。
今日もこうして懐かしい話や現在の国内情勢などの話に盛り上がるのだった。
そして、マヤとザフィーラが別室に消えた時バルディーがハラピーに近寄ってきて込み入った話をしてきた。

 「どうしました、ハンセン中佐。」
 「提督、彼女をどうするおつもりですか?」
 「か、彼女って?」
 「今更何を言ってるのですか、マヤの事ですよ。」
 「マヤの?」
 「そうです。もうこうして一緒に生活してるんですから、そろそろ身を固めても
  いいんじゃないですかねぇ、と私は思うんですが。」
 「中佐、寄ってますね?」
 「私が少々の酒で酔うような人間じゃない事くらいご存じでしょう。」
 「…。」

話もある程度盛り上がりのピークは過ぎ、ザフィーラはマヤの部屋に行って今このリビングにはハラピーとハンセンの2人だけだった。

 「だいたい、昔から世話になってる家の人物と言っても、お互い血は繋がってない。
  要は当人同志の問題ですよ。わかってますか、提督。」
 「…。」
 「あなたは艦隊を指揮する時は大胆になれるのに、どうして色恋になるとネガティブに
  なるんですかねぇ?」
 「…ほっといてくれ。」
 「そうはいきません!私も提督とはそれなりに長い付き合いになりました。
  これは父親の助言と思って聞いてくれませんかねぇ。」

ハラピーはこの時33歳、ハンセンは49歳。兄弟というと離れ過ぎているが親子というと
これはまた年が近すぎる微妙な年齢差だったが、人生経験では間違いなく親子のレベルだ。

 「軍人だから結婚しちゃあいけないって規則はないですし、結婚して離れ離れになっても
  幸せな家庭を持ってる軍人はいっぱいいますぜ。」
 「だが、私はそんな幸せな家庭を持つ父親を死なせる事をしてるんです。
  そんな私が将来幸せになれる訳がない!…って思うのです。」

ハラピーは戦いの指揮に際して出来るだけ部下の損傷を少なくする指揮を心がけてはいたが、全く死人ゼロという訳には到底いかない。そんなジレンマの中で己が妻を持ちなおかつ家庭を築くというのが許されるのであろうか?

 「いいですか、提督。人は己の犯した罪に対してどれだけ違う形で償えるかという事ですよ。軍人でなくても人は殺せます。軍人でなくても不幸はおきます。自分が幸せになれないのにどうやって他人や部下を幸せにできますか!?」
 「!」

ハラピーは鈍器で頭をガン!と殴られた気持ちになった。

 「ハンセン中佐。私なりに彼女の気持ちは分かっているのです。ですが、
  また自分の気持ちも整理できていない今、若い頃のように突っ走る訳にも
  いかないのですよ。」
 「まあ、言いたい事はわかります。」
 「それと、もしその気持ちが勘違いだった時が1番怖いのですよ。私だけの問題なら
  別にいいのですが、彼女に与える不快な気持ちを考えると…。」
 「とにこかくにも、提督の人生です。これ以上私がどうこう言いません。」
 「…ありがとう、中佐。」
 「いえいえ。年を取るとおせっかいになっていけない。」
 「私にはありがたい助言です。今後も色々と頼る事もあるでしょうが、宜しくお願いします。」


   プルプルプル♪


 「お、電話だ。」

ハラピーが電話に出ると、TV電話の画面にはブルーム・バルディー大将の顔が!

 「お、元気にしてるかハラピー中将。」
 「ええ。ぼちぼちです。」
 「おや、その向こうにいるのはハンセン中佐かね。」
 「はい、そうです。」
 「ちょうどよかった。中将と中佐、それとザフィーラクンの3人は明日から
  人事管理局所属になるから、朝10時に私の所に来てくれたまえ、以上。」

 「はぁ!?」

 ハラピーとハンセンはお互いキョトンとした顔を見合わせた。


  -つづく-


次回もまったり更新です。
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Posted at 2009/02/05 22:23:38

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