2009年09月16日
神殺の聖槍 44
第6章 魔銃光殺砲 4
時間は今から3時間前にさかのぼる。
「久しぶりたにあ~。♥」
「え、え~!? みっ美緒りんじゃない、どうしたの?」
日下部美緒は、ジェバン時代に・アイドル事務所「サプライザー」に在籍していた頃があったが、
今は別事務所の所属の『麻生 可奈』ちゃんと偶然の再会を果たす。
偶然の出会いをした彼女らは昔話を折り混ぜながら、これまでの経緯を簡単に説明する。
「へえ、そうなんだ。事務所だけでなく白石さんまで…。残念ですわにぇ。」
「そうなの、まあ今はレオーネさん達と旅をしてますが、また歌を歌いたいですわんだほ~。」
「美緒りん、たまに語尾のフレーズがおかしいのは変わってないのにぇ。」
「な、直ったとおもったんだけど。久しぶりに可奈ちゃんに会ったら戻っちゃったいそん。」
「…美緒りん、その癖はステージの上だけにしときなさいにょ。」
「可奈ちゃんのにゃにぃにゅにぇにょもステージだけにしといてんとう虫。」
「…あはははは」×2(オードリ-の2人が最後のボケでお互い笑う感じにw)
その後も昔話などで盛り上がってた2人だったが、
「た、大変です!」
「ど、どうしたにょ?」
2人の元に血相を変えたマネージャーが駆け足でやってきた。
「何ですか、慌ただしいのは?」
「じ、実は今日のステージで演奏をしてくれる演グループが何者かに襲われ、
演奏が出来なくなったとの報告があったんです。」
「え~!?」
「明日の代わりは確保できたんですが、どうしても今日はダメだと…。」
「う~ん…」
困り果てる可奈ちゃんとマネージャーを見て、美緒は決心する。
「私に考えがあるの、ちょっと相談してくる!」
「え、美緒りん、どこにいくの~?」
そう言うと、美緒はダッシュしてその場を後にして行った。
「美緒りん、相変わらず慌てん坊さんだにぇ。♪」
そんな訳で、戻ってきて早々、美緒りんの一緒にステージに立って発言が出た訳であった。
そしてそれまでの経緯を今度は美緒がレオーネ達の元に戻って説明する。
「そんな事言っても、俺ら楽器なんか出来ないぞ。」
いくら美緒りんの頼みとはいえ、楽器の演奏経験なんぞこのメンバーであるとは到底思えない。
「そ、そうですよね…」
「あのぅ、私パイプオルガンなら出来ますが。」
誰も楽器なんか出来ないだろうと思っていた矢先、意外にもシルビアが出来ると言ってきた。
「え、出来るんですか~!」
「ええ、教会で讃美歌を演奏するのにパイプオルガンを覚えさせられたので、同種のものなら。」
「それはありがたいです。早速着いてきてください。」
そう言って美緒がシルビアの腕を掴むとそのまま連れていこうとする。
「お、おもしろそうアルな。私も行くネ。」
「え~、じゃ、俺も。」
興味本位だけでレオーネと麗華も同行することにした。w
「だ、大丈夫なの?」
そう思っても仕方ないだろう。
麗華はシンバルで遊んでるし、レオーネもギターを見て驚く始末。
幸い、エレキオルガンはパイプオリガンと楽器の大きさが違うだけで鍵盤は一緒だったようで
譜面があれば何とかなるとの事。
あと、ギターという楽器は美緒が演奏出来るそうだ。
「私の持ち歌でギターを弾きながら歌う曲があって、それで覚えた。」との事。
「問題はドラムとベースね。」
「どうしましょう?」
マネージャーも困り果てている。
「代わりになるモノがあるかここの倉庫を探してみるのはどうでしょう?」
「そんな都合のいいモノが見つかるかしら?」
「とりあえず、何か代わりになるモノがないか、探してみましょう。」
そう言って全員でステージの倉庫をしらみつぶしに探す事にした。
「麗華、たしかは銅鑼(どら)が出来るんじゃなかったっけ?」
「ええ、武闘会でやるあの銅鑼なら叩けるアル。」
「ドラムってヤツも似たようなもんじゃないかな?」
「やってみるアル。」
マテ、銅鑼とドラムは似て非なるモノだ。(爆)
「レオが出来そうなモノはないかなぁ…って、アレ?」
「ん、何か良さそうなモノがあったか?」
「何か見覚えのあるモノが…」
「何の楽器?」
「いや、楽器というか武器というか…」
「武器?」
「そう、長いヤツ。どっかで見覚えがあるんだけど何だったっけ?」
「どれどれ?」
麗華が見つけた楽器ならぬ武器の所へみんなが集まる。
「ちょ、ちょっと麗華さん、これって!?」
シルビアが驚きの表情で言うと、レオーネ達も続けて見る。
「こ、これは!?」
「間違いないわね。」
「そうだよな、これってロンギヌスの槍だよな!?」
「どうしてここにこれがあるんだろう?」
一同の疑問は増すばかりだ。
そこで、マネージャーに聞いてみた。
「それはここの建物のオーナーのモノだと思うので、直接聞いてみてはどうでしょう?」
と言われた。
「ねえ、レオ。これ本物かなぁ?」
そう言って、レオーネがロンギヌスの槍を持ってみる。
「どう?」
「どんな感じ?」
「どうアルか?」
シルビア・美緒・麗華と順々に聞いてくる。
「う~ん…」
レオーネがその感触を確かめるべくグッと握ってみる。
「ン……………おっ!?」
レオーネの体の中で何かアツイものがこみ上げてくる。
「何か来る…」
レオーネがそう言った瞬間、すばやく麗華がその槍を奪い取る。
「危なかったアル、あのままだとまたレオが変身する気がしたアル。」
「そ、そうですわね。」
麗華もレオの様子が変わってきたのを感じたのだろう、考えるよりも先に行動に移っていた。
「これでこの槍が本物と思って間違いないようね。」
「では、この槍はここのオーナーが持ち主って事アルな。」
「確か、今泉はこの槍を売ったと言ってたが…」
ジェバンで今泉にロンギヌスの槍をすられた後転売されたと言っていたが、わたり渡ってここに
たどり着いたのか今泉から直に買ったのかで大きく状況は変わる。
「何を悩んでるアルか?」
ミ(ノ_ _)ノ=ミ(ノ_ _)ノ=ミ(ノ_ _)ノ=3 ドテッ!
レオーネ・シルビア・美緒がずっこける。
「麗華さん、おもしろすぎます。」
「私、何かおかしい事言ったアルか?」
麗華は状況が呑み込めてないようだ。
「あ~俺が説明する。いいか、麗華。今泉がロンギヌスの槍を売ったという話は覚えてるな?」
「うん。」
「その売られ方が問題なんだよ。」
「だから、それが何で問題なのアルか?」
「ロンギヌスの槍を売られた後、今泉が言ったのはそれは転売されてるから今の持ち主は
わからない、と言ったんだ。覚えてるか?」
「ううん、覚えてないアル。」
「はぁ…まあいいわ。」
「ちょっと待つアル。」
「な、何だ?」
ボカッ ゴルァッ(((((;`Д´)≡⊃)`Д)、;'.・
「な、何すんだ麗華!?」
「覚えてないからって、そんな風に言わなくてもいいと思うネ。レオ、ひどい。」
「す、すまない。ちゃんと説明するから。」
「わかってくれたらいいアル。♥」
さすがの麗華もバカ扱いされ段々とご立腹になったのだろう。
だが、レオに1発食らわすとちょっと機嫌が直ったようだ。
(はぁ、苦労する…)
「じゃ、もう1回説明するわ。え~、どこまで話したかわかんなくなったから簡単に言うわ。」
「さっさと言うネ、レオ。」
「はいはい。」
「はいは1回アル。」
「はい。(もうどっと疲れた…)」
気負う気持ちを呼び戻し、再度説明をする。
「要は今泉が直接オーナーに売っておいてああ言ったのか、今泉は別の所に売り飛ばして
何かの縁でここのオーナーが買ったのか、そのどっちかで展開が大きく変わるからなんだ。」
「そう、それがどちらなのかがポイントなんですのーと。」
「美緒りん、いたんですね。」
「ええ。当然の助動詞ですわ。」
「あんたはストーカーですか!? まあそれはいいとして、ここのオーナーが直接今泉から買ったと
なると、ここで可奈さんに協力するのは危険極まりないと言う事ですわね。」
「そう、そう言う事になる。だが、まだどちらが答えかはわかっていない。」
「どっちなのでしょうかれーらいす。」
「美緒りんの語尾のイントネーション、どうにかなんないの可奈さん?」
「アイドルモードにスイッチが入ったら、もう誰も美緒りんを止めれませんにゃ。」
「あなたも似たり寄ったりね、そこは我慢するわ。それよりも果たしてどっちなのかしら?」
「そうだ、我々の選ぶ道はどっちなのかはっきりせねばならない。」
「う~ん…」
「あ~ん、もうじれったいアル。」
考え込む3人にイライラが頂点に達した麗華が豪語する。
「うだうだ考えてもキリがないネ。直接ここのオーナーに聞くのが手っ取り早いアル。」
「もし、今泉と結託してるヤツだったらそうすんだ、麗華?」
レオーネもそれは考えたが、もしオーナーが今泉と結託するアイテだったとしたらみすみす
敵の前に姿をさらす事になる。それはかなり危険だ。だから結論を決めかねていたのだ。
「私がいるから大丈夫ね!」
この娘、言いきったよ。w 一体どこからその強気が出るんだ?
「でも、麗華さんの言うのも一理あるある探検隊。」
「強気な理由?」
「ちゃうちゃう、そこじゃないんこ。直接聞くのもアリって話。」
「あ、そういう事ねw。 じゃ、美緒りんはなぜそう思うの?」
「槍の購入ルートをオーナーに直接聞けば、そのまま答えが出るって事だま。」
「どういう事ですか、美緒りん?」
「レオーネ、慎重すぎます。麗華さんが言うように直接聞いてオーナーの態度をみれば一目瞭然
だと思うけどんぶり。」
「あ、なるほど。オーナーの動向を見れば答えが見える、という訳だね。」
「じゃ、早速オーナーの所に殴り込みアル!」
「オイオイ麗華、ケンカしに行く訳じゃないんだが…。」
一同は、オーナーのいる部屋に向かう事にした。
-つづく-
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2009/09/16 21:04:44
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