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2010年04月01日

【小説】刀をたずねて三千里  1

 
     第1章   刀を狩るモノ   1
 
 
 
 「間もなく、八王子西インターです。ここを降りてください。
 
 愛車スバル・インプレッサR205のナビが高速を降りろと言ってくる。
 
 この特異なクルマを運転するのは三千里 恭介(みせり きょうすけ)19歳。
 職業・国家公務員。彼には与えられた指令があり、京都からここ東京にクルマで
 移動していた。
 
 「土曜日は高速料金1000円だから、混むなぁ。」
 
 京都東ICから八王子西ICまで通常6時間かかる所を彼は5時間でここまで来た。
 道中何kmで走ったかについてはここでは伏せておく事にしよう。w
 
 そして、八王子西ICを降りて国道61号線に入り、そこから北上すると新しく出来た町が見える。
 そこが今回三千里が目的地とする『八九子(はちくじ)市』になる。
 
 八王子と八九子、似たようなな名前ではあるが、今から5年前に平成の大合併の合間を縫って
 新設された都市で、近代化と高齢化対策を踏まえた都市設計をし新たな都市を形成すべく
 実験的に作られた町である。
 
 「まもなく目的地周辺となります。ここで案内を終了いたします。
 
 インプレッサの車載ナビは三千里がこれから住む場所の近くまで案内をしてくれなかった。
 
 「おいおい、まだ八九子市に入ったばっかだろう。ここからがわからないのに…。」
 
 車載ナビに向かって文句を言う三千里。だが、ナビは何も言わない。
 
 「行き方がわからないからナビ支給して、とは言ったが、代金ケチりやがったな、日本政府は。」
 
 インプレッサR205といえばインプレッサSTIを更にチューンナップして完成した特装車なだけに
 当然安いクルマではない。ここから更にナビで2~30万円をねん出するのをケチられたと
 言うのだ。元々三千里自身がクルマは購入したのだがナビは装備されてなかった。
 
 今回の異動でナビの支給を依頼したら今付けているナビを支給された。
 だが、そのナビはどこかのいお古で5年前に出来た新しい町がナビ自体にないのだ。
 そんな訳だから、ナビ上では案内されたのは町ではなく全くの空き地なのだ。w
 
 「はぁ…、地道に探すしかないみたいだな。」
 
 八九子市に入った三千里はここから町中を走り回る事となる。w
 
 
 
 
 「じゃ、ランニング行ってくるね、お父さん。」
 「ああ、気を付けてな。」
 
 八九子市に一角にある道場から1人の少女がランニングに出掛けようとする。
 彼女の名前は花畑 都歌沙(はなばたけ つかさ)。16歳。空手道場である
 花畑道場の1人娘で、八九子市にある修学院大学付属高校・通称修大付属に通い
 来週から高校2年生となる娘だ。
 身長176cm、体重53kg、スリーサイズは上からB87・W61・H90。
 女性の中では長身で髪はポニーテール、道場主で師範の父・義武の元、小さな頃から修業の
 毎日で空手の腕前は師範代レベル、高校でも空手部に所属しこの春から部長の座に座る程だ。
 
 都歌沙はいつものランニングコースを順調に走っていく。
 
 「いよいよ週明けから2年生かぁ。」
 
 4月に入ったばかりだが、町を走っていると道沿いにある桜が6分咲きくらいまで咲いている。
 3月後半急に冷え込んだのがつぼみから花を咲かせるのを躊躇させたようだ。
 週明けの始業式の頃がちょうど満開になるだろう。✿
 
 「さ~て、そろそろ現れる頃かな。」
 
 ランニングも終盤に入る頃、都歌沙がそんな事を呟く。
 彼女が待っているのもとは?
 
 「あ、いたいた。♥」
 
  にゃ~ん
 
 彼女が見つけたのは1匹の猫だ。
 
  o(=・ω・=o)=3=3=3=3=3=3
 
 「ん~、かわいいなぁ。」
 
 彼女のお気に入りにの猫は、黒猫なのだが脚4本が白く足袋を履いているような感じなので、
 都歌沙はその猫を【たび】と呼んでいる。そのまんまやんけ。w
 
  (春休み中は全然抱けなかったから、今日は抱きたいなぁ)
 
 そんな衝動にかられる。そして、トテトテ歩くたびを追いかける。このたびもきまぐれ屋さんで
 都歌沙がこの猫を抱ける時は、たびが機嫌のいい時だけだ。
 
 「今日のたびちゃんのご機嫌はいかがかなぁ?」
 
 たびの後を追いながらニヤニヤ顔で追いかける。傍から観たら怪しい娘にしか見えない。(爆)
 
 しばらくたびの後を追いかけてると、ふとたびの脚が止まる。
 
  (あ、止まった。チャンスだわ)
 
 立ち止まるたびに追いつき抱き上げようとした瞬間、都歌沙は大きな気配が迫るのに気付く。
 
 
 
 「えっと、この辺りだと思うんだがなぁ…」
 
 八九子市に入って2時間、三千里はまだ目的地に着けずにいた。(爆)
 彼がこの町で住む事になるのはこの町に1つしかない聖バーナード教会であった。
 町に1つしかないのだから教会のシンボルである十字架を探せばいいと高をくくっていたが、
 町中央部は高層ビル群でそんなモノが見える訳がない。やっとの事で郊外に出て、推測される
 場所を走る。ちなみに、ナビ上では何もない所を走っている形である。w
 
 そうこうしてると、ようやく十字架の姿が見える。
 
 「やっと、見えた。長かった~。」
 
 目印になる十字架のてっぺんが見えて安堵の表情を見せる三千里。後はその十字架めがけて
 クルマを走らすだけだ。
 
 「よ~し、あとはそこの角を曲がれば着くはず。」
 
 そう思った瞬間、三千里の気が緩む。
 
 
 
 
  はっ!
 
 都歌沙が感じた気配はクルマであった。
 
 「たびが轢かれる!?」
 
 彼女の中には猫が轢かれるシーンが浮かぶ。
 
 (そんな事はさせないわ!)
 
 そこからの都歌沙の動きは尋常ではなかった。
 
 
 
  はっ!
 
 角を曲がった先に見えたのは1人の少女と黒猫だった。三千里は一瞬焦るも前にいる少女が
 走りながら猫を抱き上げようとするのを見て、
 
 (少女の進行方向の逆にかわそう)
 
 右から左に走る少女を見て三千里はハンドルを右に切る。
 
 
  キキィー!
 
 お互いの動きがうまくかみ合い、事故になる事はなかった。
 
 
 「ちょっと、どこ見てるのよぉ!」
 「ちょっと、どこ見てるんだっ!」

 
 2人の声が見事にハモる。♪
 
 「危ないじゃないのよ!」
 
 再び怒鳴るのは都歌沙の方だった。
 
 「そりゃないだろう、猫を追っかけて道路に飛び出したのは、君のほうだろう?」
 「そ、そりゃそうだけど…。」
 
 だが、よく考えたら状況的に都歌沙の方が分が悪い。
 
 「で、君は怪我はなかったかい?」
 「え、ええ大丈夫よ。」
 「そっか、よかった。」
 
 三千里は少女に怪我がなかったのを確認すると、ひと安心する。
 
 (国家公務員が事故したとあっては、後で局長にナニ言われるかわかったもんじゃないからな)
 
 どうやら、本音は事故った時のめんどくささだったようだ。w
 
 「あと、君が抱いている猫も無事かい?」
 「にゃあ。♥」
 
 その返事は猫自身がしっかりとしたので猫も怪我の方は大丈夫な様だ。
 
 「じゃ、先を急ぐから。」
 
 三千里は十字架の方めがけて再びクルマを走らせる。

 「あ…」
 
 都歌沙は運転手の名前を聴こうと思ったが、その前に行ってしまったクルマの後をじっと見る。
 
 (この私がクルマの気配に気付かなかったなんて…)
 
 どこから敵が襲ってくるかわからないので、普段から気を張っておく心掛けを忘れない都歌沙が
 まさかクルマに轢かれそうになるなんて自分でも思ってもいなかった。
 
 「どうやらたびに気を取られ過ぎたようね、反省反省。」
 
 この時、運転手が三千里でなければ事故になっていた可能性が高かった事に都歌沙は
 気づいていなかった。
 
 
 
 
 
 「はぁ、ようやく着いた。」
 
 三千里はやっとの事で目的地である聖・バーナード教会に到着した。
 
 「遅いですよ、恭介クン。」
 
 三千里を出迎えたのは1人の修道女であった。
 
 「あ、あのぅ、あなたがここの教会の責任者である『次田 里美(つぎた さとみ)』女史ですね。」
 「そうよ、教会の責任者でもあり、あなたのここでの上司でもある次田里美ですわ。」
 
 そう、この教会は見た目は普通の教会だがもう1つの顔があった。それは
 
  I・S・A・M 日本支部
 
 I・S・A・Mとは、「international sword administration mechanism」の略。
 日本語で言うと国際刀剣監督機構と言い、文化庁の極秘組織でもある。
 
 三千里が国家公務員なのは彼が形式上文化庁の職員となっているからだ。
 だが、彼にはもう1つの肩書きがあった。それは後にわかる事だが…。
 
 「まあ、今日の所はゆっくりしていってね。」
 「何か聴いた事あるフレーズっぽいんですけど、次田女史。」
 
 まあ、細かい事は気にしないでちょ。w
 
 「ところで、恭介クン?」
 「はい?」
 「私の事は次田女史ではなく、『さとみん』って呼びなさい。」
 「はぁ?」
 
  グリグリ…(怒)
 
 (痛い痛い…)
 
 どうみても『さとみん』って言う年には見えないが、昔は綺麗だった片鱗は見受けられたので、
 ここは相手を立てる意味も含めて次田女史の希望に沿う事にしよう。w
 
 「さあ、私の名を呼びなさい。♥」
 「さ、さとみん…さん。」
 「さん、はいりません事よ!」
 「わ、わかりました。さっ、さとみんっ。」
 「はい、よく言えました。♥」
 
 (ドッと疲れたわ…)
 
 
 
 
 そして季節は4月第2週の月曜日。
 
 世の中はまさに桜前線まっさかりでどこも桜が満開である。
 ここ修学院大学付属高校に植えてある桜の木もピンク一色ってほど桜が満開だった。
 
 新学期の始まりとともに始業式のこの日、多くの生徒たちが登校してくる。
 そんな中に花畑 都歌沙もいた。
 
 「お花ちゃん~、おっはよ~。♪」
 「あ、おはよう、澄香ちゃん。」
 
 都歌沙に声を掛けるのは、小学校の頃から仲のいい『山本 澄香(やまもと すみか)』であった。
 香澄は都歌沙の事を「お花ちゃん」と呼ぶ。都歌沙は小さい頃名字が花畑と言うのが嫌いだった。
 だが、この香澄が屈託のない笑顔で「お花ちゃん」と呼ぶのが心地よく今では花畑と言う名字に
 嫌悪感を持たなくなっていた。
 
 「どう、春休みは楽しめた?」
 「相変わらず、修業ばかりだったわ。」
 「ふ~ん。色恋的な話は全くなし?」
 「そんなのある訳ないわよ。」
 「本当に男との会話もなし?」
 「うんないわよ、って…あ。」
 
 その時、都歌沙は先週事故りそうになった時のクルマに乗っていた男性を思い出す。
 
 「なに、お花ちゃん、今の間は?」ニヤニヤ
 「な、ななな何でもないわ、澄香。」
 「まあ、詳しい話は始業式の後にた~っぷり聴くわ。」
 「も、もう茶化さないで。」
 「あはははは。」
 
 本当に仲がいいのが傍から見てもわかりほどである。
 
 
 そして、新しいクラス分けの張り紙の所に行く。
 
 「あ、2年生もお花ちゃんと同じクラスだ、やった~。」
 
 澄香が大はしゃぎで喜ぶ。
 その様子を見る都歌沙も思わす笑みがこぼれる。
 澄香は表裏のない娘で都歌沙に隠し事をした事がなかった。
 そんな澄香を都歌沙も気に入っている。
 
 「やっぱ半分弱は知らない人がいるわね。」
 「そ、そうね。」
 「あ、この前お花ちゃんにラブレター書いた宇野君もいるわよ。」
 「え~、本当?なんか性に合わないんだよねぇ、あの人。」
 「でも、男子空手部でも有望株なんでしょ?」
 「うん、そうなんだけど…」
 「お花ちゃんより弱い男は興味なし、か。w」
 「もう、澄香ちゃんったら。」
 「あはははは。」
 
 そんな感じで新しい教室に入る。
 
 「2-Bかぁ。」
 
 都歌沙の新しいクラスは2ねんB組であった。
 
 「おはよう。」
 「うぃ~っす。」
 「おっは~。」
 
 新たにクラスメイトになる生徒たちが続々と教室に入ってくる。
 だが、そんな中、無言で教室に入ってくる生徒が1人いた。
 
 「ねぇ、お花ちゃん。今教室に入ってきた男子、何か雰囲気違う感じがしない?」
 「…え、誰の事?」
 「む、お花ちゃんったら~。あの男子だよっ。」
 
 澄香が指差す方を見る。
 黙って席に座る男子を見て都歌沙はハッと感じる。
 
 「あ~!!!」
 
 そう、その男子とは先週都歌沙がクルマに轢かれそうになった時のクルマを運転してた人だった!
 
 
    -つづく-
 
 
 
  (あとがき)
 
 さて、懲りずにまた始めてしまった趣味の自作小説。
 今回は学園モノにチャレンジです。手さぐり感アリアリで、どうなる事やら…。
 出来れば週1更新と行きたい所ですが、まあ10日に1回がいいトコだと思います。(爆)
 
 時間がある時にでも目を通していただければ幸いです。(^^)/
ブログ一覧 | 【自作小説】刀をたずねて三千里 | 趣味
Posted at 2010/04/01 21:21:06

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この記事へのコメント

2010年4月1日 21:38
スタイル良いっすな♪

えっ?注目するところが違う?
コメントへの返答
2010年4月1日 22:29
×☆☆☆の画像ってあんましないのよ。

それがこの小説の評価ですね。(反省…
2010年4月1日 22:47
スタイルって「身長176cm、体重53kg、スリーサイズは上からB87・W61・H90。」の方でした(笑)

まぎらわしくてスマヌ。

コメントへの返答
2010年4月1日 22:52
あ、そういう事っすか。
身長は違いますが確かそんくらい。(オイ…

いえいえ、こちらこそ勘違いでした。
2010年4月1日 23:46
あれ、八王子ってどこの都道府県だったっけ?と、素でボケますww

また血の気の多い女子高生のようですねww
コメントへの返答
2010年4月2日 0:11
一応、日本の首都のある都道府県にある都市
…と真面目に答えてみる。w

別な意味で血の気が多い娘の設定です。
その理由はやがてわかります。(ネタバレ…
2010年4月2日 23:53
期待大ですww
楽しみにしてます。
コメントへの返答
2010年4月3日 20:37
ありがとうございます。
次回も頑張ります。ミ☆

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「ホンダの頭にホンダ」
何シテル?   05/13 16:39
再び色々ありまして、乗り換えです。 2回目のホンダ車でまた白に戻りました。 引き続き宜しくお願いいたします。。♪   一般人からみたらオタク系だと思...
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