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2010年05月02日

【小説】刀をたずねて三千里  4

 
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     第1章   刀を狩るモノ   4
 
 
 「今回の任務は、名刀【ロンバルディア】が日本にあるとの情報を得たので
 それを捜索して発見し、奪還するのが命として伝言に参った次第です。」

 
 今から2か月前、スイスで修業をしていた恭介はインターポール経由でI・S・A・M欧州支部の
 ボリシュビッツ捜査官よりその任務を聞いた。
 
 「ロンバルディアが日本にあるって!?」
 
 恭介は修業の手を止め、ボリシュビッツ捜査官に問う。
 
 「はい、一時はドイツにあったとの情報を得たのですが、そこから取り引きで日本人が
  闇ルートで【ロンバルディア】を引き取ったとの新情報を得る事が出来ました。」
 「そうですか…わかりました。その任務、引き受けましょう。」
 「お~、ありがたい。ドイツ騎士修道会の伝統と格式をどうか取り戻して欲しい。」
 
 【ロンバルディア】とは、1520年にドイツ騎士修道会が滅亡した後も少数が生産され、
 ドイツ騎士修道会に所属していた騎士達、そしてその子供達へと伝えられていった剣。
 この剣を手にした者達の多くは辛い人生を送るという言い伝えがあるが、500年前の
 剣が現存するモノは非常に少なく、歴史あるカッツバルゲルとして貴重な品であった。
 
 イタリア・ロンバルディアで現存する事でその名を持つ剣は、欧州では家宝や血筋の大事な
 伝統品でもあるので、単なる財産という枠を超えている。
 
 今回、I・S・A・Mにその剣の捜索が依頼され、その所在がわかるまで2年もの月日が経った。
 
 日本と言う事でちょうどスイスにいた恭介に白羽の矢が立ったとはいえ、事は慎重に
 運ばねばならない。
 
 「ところで、恭介とやらにこの任務を与えてよいのか?」
 
 I・S・A・M欧州支部でボリシュビッツ捜査官は若干19歳の輩にこういう任務は無理では
 ないか?との認識があった。普通ならそれは至極当たり前の発想であった。
 ただ、1つだけ違うのが、恭介は世界で3人しかいない、
 
  『体内に刀を収める事の出来る術者』であった。
 
 体内に刀を収めるとはどういう事か?
 
 ちなみに、どの刀でも体内に収める事は出来ない。それが出来る刀は世間でよく言われる
 妖刀とも呼ばれる部類の刀である。つまり、昔から伝統があり刀に何かしらの霊的なモノが
 宿っている刀に限られる。
 
 ちなみに、恭介が体内に持つ刀はまた後に話す事にしよう。
 
 

 
 マクドムドムバーガー・八九寺支店で突如起こった傷害事件に偶然出くわしてしまった
 恭介であったが、その切られ方からもしかしたら、という想いがあった。
 
  (もしかしたら、ロンバルディアかもしれない)
 
 I・S・A・M日本支部では、八九寺市のとある豪商がロンバルディアを闇ルートで得た情報を
 極秘に知っていた。ただ、証拠がない為、恭介と並行してその情報収集もやっていた。
 
 「第1発見者は君たちだね?」
 
 やがて、警官もやってきて事情徴収が始まっていた。
 聞き込みは個々で行われ、最初に恭介、次に都歌沙、最後が澄香という順番であった。
 聞き込みを担当する警部の所で話をする事になった。
 
 実際は偶然出くわした事件なので、特に長い時間を取られる事はなかったので、恭介も
 数分で事が終わる。そして、都歌沙も当然短い時間で終わる。
 
 そして、澄香の番が来て澄香がいなくなった時、都歌沙が恭介に声を掛ける。
 
 「三千里クン、意外と冷静なのね。」
 「え?」
 
 都歌沙がさりげなく恭介を分析しているのに驚く。
 
 「私の家は空手道場をしていて、戦う相手を短い時間で把握する訓練も必然的にしてるの。
  普通あんな事件の時は動揺するとか取り乱すのがごく一般的な人の反応なの。
  でも、三千里クン全く動揺するとかの気配がないの。もしかして…」
 
  ドキッ!!
 
 もしかして任務の事がバレタたのか!?

 そんな衝動にかられ、どう説明しようかと考えてようとしてが、
 
 「もしかして、三千里クンも空手か何かやってる?」と聞かれた。
 
 「いやいや、空手とかはやってない。」
 
 ちょっとしどろもどろながら弁解する。
 
 「ふ~ん、そうなんだ…。」
 
 都歌沙の目は明らかに不信的な目で恭介を見ていたが、それ以上は尋ねなかった。
 なぜなら、ちょっと時間はかかったが澄香の事情徴収が終わったからだ。
 
 「おまたせ~。」
 
 澄香が警部と共に戻ってくる。
 
 「お3人様、ご協力どうもありがとうございました。」
 「いえいえ。」
 「あまりお役に立てずにごめんなさい。」
 
 恭介・都歌沙も一応遠慮気味に言う。
 
 「あとはもう帰っていただいてもかまいません。」
 
 警部がそう言ったので、帰る事にする。
 
 「じゃ、帰ろっか。」
 「ああ。」
 「私はちょっと…。」
 
 都歌沙が帰ろうと促し、恭介も用事はないので帰ろうとしたが、澄香が軽く拒絶のサインを出す。
 
 「え、どうして?」
 
 都歌沙が尋ねると、
 
 「さっきの人が送ってくれるって言うから。」
 
 澄香がそう言ってきた。
 
 一体、さっきの事情徴収で何が起こった!?(驚)
 
 
 
 仕方なく、恭介と都歌沙の2人が帰路につく。 
 
 「…。」
 「…。」
 
 重苦しい雰囲気が2人を取り巻く。恭介は重圧で潰れる感じを覚える。
 まあ、それも当然だろう。都歌沙の視線が重いからだ。それも疑惑の念が詰まったヤツだ。(爆)
 
 (彼女の洞察力は相当なモノなだけにやりにくい…)
 
 さすがに年齢詐称まではわからないだろうが、都歌沙が恭介に対してどう思っているかは
 間違いなく「疑惑の総合デパート」並だろう。w
 
 「…ねぇ、三千里クン?」
 「…。」
 「三・千・里・ク・ン!」
 「おわっ!?」
 
 色々思案をめぐらせている時に、急に都歌沙が声をかけてきたので思わずのけぞる恭介。
 
 「何でのけぞるの?」
 「い、いや、特に…」
 「まあいいわ。ところで、今日時間ある?」
 「え、ああ、特に用事はないけど。」
 「じゃあ、うちに来る?」
 「あ、ああ別にいい…って、え~!!!
 
 予想外の言葉に思わず大声になる恭介。
 
 (ま、マジですか?)
 
  -つづく-
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Posted at 2010/05/02 21:21:20

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