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2011年02月12日

【小説】刀をたずねて三千里  33

【小説】刀をたずねて三千里  33  
 
  恭介のパートナー『魔耶』のイメージ画像。
    まあ、こんな感じの娘と思って下さい。w 
 
 
 
 
 
     第3章   蒼天の剣  5 
 
 
劉大志の豪邸で夕食と宿泊を済ませた恭介らは、緊張であまり寝れなかった目をこすりながら
起きる。そして、客間の寝室から部屋を出ると、ちょうど劉大志が出掛けようとしていた所だった。
 
「早上好(おはようございます)、劉大志。」
「哎呀,早上好(ああ、おはよう)。」
 
前もって教えてもらってた中国語で恭介が挨拶をすると、劉氏は笑顔で挨拶を返してくれる。
 
「昨日は色々とありがとうございました。」
 
さすがに、ここからは日本語で話す。w
 
「夕食もおいしかったですし、寝室も豪華でよく寝れました。」
 
豪華過ぎて緊張して寝れなかったわ、とは言えず、普通にお礼を兼ねて言う。
 
「そうですか、それはよかった。」
「もう、正装をされてますが、お出掛けですか?」
「ええ、今日は早朝から視察がありまして。」
「そうですか、ご多忙ですね。」
「私はもう出掛けますので、朝食を食べてからお出掛けするといいでしょう。」
 
優しく言ってくれる劉大志。この辺が紳士だなぁ、と思う恭介であった。
 
「ありがとうございます、劉大志。」
「では、私はこれで出掛けますが、『青龍偃月刀』の件、宜しくお願いしますね。」
「はい、最善を尽くします。」
「うむ、では。」
 
そう言って劉氏は仕事に出掛ける為に家を出る。
それを見送った恭介に後ろから声を掛ける人物が。
 
「三千里様、朝食の用意が出来ました。」
 
恭介が振り向くと、魔耶とは違うメイド姿の給仕が。今回魔耶はメイド姿をしていないので
一瞬魔耶かと思ったが、その給仕は魔耶よりの背が低いので魔耶とは違う、とわかる。
 
「えっと…」
「劉大志の家でお世話係をしている『林 帆(リン・ファン)』と申します。」
「あ、どうも。三千里恭介です。」
「存じております。では、ご案内します。」
 
そう言うと、その後は無言で食事の出来る部屋に案内される。
着いた部屋には、小麗さんと魔耶がすでに席に着いていた。
 
「いつまで待たせるアルか!(怒)」
 
部屋に入ってきた恭介に対して、開口一番怒号が発せられる。
 
「あ…どうもすみません。」
「ったく、分かればいいアルよ、分かれば。」
 
思わず謝ってしまう恭介だが、なぜ怒られないといけないのか?
 
「まあ、お席に着いてください。」
 
メイドの帆さんに言われ、しぶしぶ席に座る恭介。
 
 ガツン!
 
イスに座った途端、恭介の足に激痛が走る!
 
「痛った~!?」
「静かにするアル!」
 
痛みで叫ぶ恭介の声にいらつく小麗。
 
「何すんだ、魔耶。」
 
隣にいる魔耶を睨む恭介。昨日同様、恭介の足を踏んだようだ。
 
「別に。」
「別に、って、お前は○尻エリカかっ!?」
 
魔耶は澄ました顔で平然としている。
 
「まあいいアルね。帆さん、朝食を持ってくるネ。」
「かしこまりました、お嬢様。」
 
小麗の方はさっさと朝食にしたいらしく、恭介にかまう様子はない。
一方、恭介は魔耶に足を踏まれた理由をしつこく聞くが、魔耶は運ばれた朝食を食べにかかると
恭介が何を言おうが無視して、食事をする。
いくら怒っても魔耶が意に介さないので、だんだんと怒るのがアホらしくなってきたので、
怒るのをやめ、朝食を食べる事にする。
この後、3人とも食事優先で一言も話をする事なく朝食を食べる。
 
「承您款待了(ごちそうさま)。」
 
朝食を食べ終えた小麗は、そう言うとそそくさと部屋を出て行く。
 
(そっけない娘だな)
 
そう思った恭介だが、特に興味もなかったので、自分も食事が済むと部屋を出ようとする。
 
 ぐさっ!
 
「痛った~!?」

今度はお尻に激痛が走り、思わず叫ぶ恭介。
後ろを振り向くと、フォークを持った魔耶の姿があった。
 
「まさか、お前が刺したのか?」
「そう。」
 
ぐぐっと怒りがこみ上げてくる。
 
「ふさけんな、魔耶。何で人の尻を刺すんだよ!?」
 
今日は魔耶の不平不満を乞う事はしていないのに、何で…と思いながら尋ねる。
 
「まだ、私食べ終えてない。」
「へ?」
 
魔耶の返答にキョトンとする恭介。
 
「まだ、私が食べ終えてないのに、席を立って出ようとしたから。」
「は?」
「食べ終えるまで待って。」
「もしもし…魔耶さん?」
 
魔耶は、す~っと息を吸い込むと、
 
「私が食べ終えるまで待って、って言ってるの!」
 
恭介の耳元でそう叫ぶ魔耶。
 
「やかましいわ。」
 
耳元で大声を放つ魔耶に怒る恭介だが、魔耶はそんな事は気にせず残った朝食を食べにかかる。
 
「…はぁ。」
 
魔耶が最初に恭介のパートナーになった時の事を思い出す。
 
 
「三千里君、今度君のパートナーとなる魔耶君だ。」
 
I・S・A・Mドイツ支部にて、紹介された恭介のパートナーは意外にも日本人だった。
 
「ドイツ支部でパートナーが就任するので、てっきりドイツの方かと思いましたが?」
「三千里君は来年日本支部に戻る。ならば、日本人の方がやりやすかろう、とおもってな。」
「言われてみればそうですね。」
「まあ、ドイツ支部では君に合うパートナーがいなかっただけなんだかな。」
「は、何かおっしゃいました?」
「いや、何でもない。」
 
その後、魔耶を紹介されたが、言葉数が少ない娘だった。
 
今でこそ、結構喋ってくれるようになったが、それはとある任務がきっかけだった。
その話をしようかと思ったが、魔耶が朝食を食べ終えたようなので、またの機会にしよう。
 
「恭介様、お待たせしました。」
「ん、では出掛ける準備をしようか。」
「はい。」
 
そう言って、それぞれが部屋に戻り出掛ける準備をする。
そして、1時間後、邸宅の玄関に支度を終えた恭介達がやってくる。
 
すでに魔耶は玄関で待っていた。
 
「待ったかい?」
「いえ、今来た所です。」
 
そう言う魔耶だが、10分前には来ていたそうだ。
 
「では、帆さん、短い間でしたがお世話になりました。ありがとうございました。」
「いえ、大したお構いも出来ませんでしたが、そう言っていただけると嬉しいです。」
 
玄関先で一緒に待っていたメイドの帆さんが短く会釈をし、日本流でお別れの言葉を言ってくれる。
いいメイドさんだ、と思う恭介であった。
そうこう言ってると玄関にBMWの7シリーズがやってくる。
そして、そのBMWを指差し、メイドの帆さんが、
 
「このクルマで北京駅までお送りします。」
 
と言う。
 
言われるがままに、そのBMWに乗る恭介と魔耶。
 
「では、我が主人に代わって『青龍偃月刀』の奪取をお願いいたします。」
「わかりました、最善を尽くします。」
 
そう言って帆さんを別れた恭介らは、BMWで北京駅に向かうのだが、やたら飛ばすのだ。
確かに、BMW7シリーズは一昨年新型にスイッチされ、キーコンセプトながら最近の機能を
満載したハイテクサルーンである。その頂点に立つ750iが搭載するV8・ツインターボは
407馬力を誇るハイパワーで、運転する楽しみはもちろん同乗者にも快適な空間を提供する
クルマである。
だが、そのクルマをサーキットばりで運転するのはちょっと賛同出来ないな、と思いつつ乗って
いたが、一応節度を持って運転しているし、歩行者が多い時は無理な運転はしないので、
一言言おうかとも思ったが、昨日乗ったレンタカーに付いた運転手なんか酷いもんだった。
それに比べたら、全然ましである。いや、飛ばす事以外は日本のタクシードライバーの中でも
上質な方だと思う。まあ北京駅までそんなに距離はないので、ドイツ支部時代でも乗った事の
なかったBMWを満喫しようと考える恭介であった。
 
そんなこんなでBMWは無事に北京駅に到着する。
 
「運転手さん、ありがとうございました。」
「…。」
 
返事はない。そっか、運転手さんは中国人だから日本語じゃわかんないか、と思った恭介は
 
「司机先生,谢谢。」
 
あらかじめメモっておいた中国語を探してお礼を言う。
 
「不客气(どういたしまして)。」
 
そう言って運転手はかぶっていた帽子を取って、恭介の方へ振り返る。
 
「ああああ!?」
 
その運転手を見て、恭介は驚きの声を出す。
 
「私も一緒に上海へ行くアルっ。」
 
BMWの運転手の声は可愛い女性の声だった。
 
「な、何で小麗さんが!?」
 
そう、BMWを運転し、恭介と一緒に上海へ行こうと言ったのは、劉大志の娘・小麗であった。
 
 
 -つづく-
 
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Posted at 2011/02/12 21:12:36

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