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龍聖のブログ一覧

2008年09月04日 イイね!

エルディア蒼龍伝 34

     第1章  艦隊司令官 3


「では、全艦出陣!」


 銀河西暦4987年(帝国歴687年)9月20日。

『蒼龍師団』はペトグランチェスト航路に到着した。
ペトグランチェスト航路は以前明記したように磁界小惑星帯と暗黒星雲帯が航路を2手に遮断するような航路になっている。
ギルドラドもここで戦闘になると判断する為、今回も2通路どちらから来るか予想すなければならない。

そこでエルディア軍が取る選択肢は

1:師団を2手に分け双方に陣を張る。
2:航路手前に陣を張りどちらから敵が来ても対応できるようにする。

この2つのうちのどちらの選択肢を選ぶかで、戦い方が変わる。
総司令の手腕が試される。

「総司令、いかがなさいますか?」
「敵艦隊も相当数に布陣を率いていると思われる。こちらと同数の艦艇で攻めてくるにしてもこの航路はどちらの航路を通ってくるかは不明だ。なまじ我が艦隊を2手にわけ敵との戦う艦艇数の差が付く事は避けるべきと私は思っておる。よって、両惑星帯の後ろで布陣する!」
「ヤー・イッヒ・プラジナーデ・ギルフォード!」

総司令・ギルフォード上級大将の指示で師団を2分する策は取らず、
数の不利を極力抑える作戦に出た。

そして各艦隊に布陣の位置取りに指示が出されたのだが、その布陣にハラピーは
困惑を感じた。

「我々は後方か…。」

ギルフォード上級大将貴下の第4艦隊を中心に前衛第6艦隊・左翼第14艦隊・右翼に第15艦隊・後方が我ら第8艦隊という布陣と決められた。

「これはどういうお考えなのでしょうか?」
「さあ、総司令の考えは今の所わからんよ。」
「大方、我々を煙たがっているのではないかと?」
「…その意見はここ以外では話さぬように、参謀長。」
「はっ、承知しております。」
「…、やれやれ。」

(こいつ、わかってて言ってるな)

まだ参謀長グランドーレ少将についての人と成りがわからない為、会話の中でその性格を把握していってるのだが、まだその考え方に秘密めいた所があると思っていた。

(戦いが始まれば、わかるだろうが…)



「敵艦隊捕捉!2手から航路を通ってきました。」

索敵部隊からギルドラド艦隊の到来が報告された。

「敵艦隊総数、各5000隻ずつの計10000隻が確認されました!」
「そうか。ギルドラドもやる気満々だな。」

本当は2手に分ける手を考えていたのだが、「師団の分散は避けるべき」と第6艦隊司令官エルメデス・リュフトラーデン大将の提言もあったので、今回はそうする事にした。

「よし、全艦敵との遭遇に備えよ。」

そして、ギルフォード上級大将の指示が出、全艦両翼を伸ばし始めた。

(横陣形か)

ひとまずは迎え撃つ形を取るようだ。

 銀河西暦4987年(帝国歴687年)9月21日早朝。

「全艦、攻撃開始!」

双方、相手の出方を見るような形で戦闘が始まった。
エルディア軍12000隻、ギルドラド軍10000隻。
近年なかった大艦隊での戦いである為、初手から大胆な攻撃はお互い出来なかった。
その為ウダグダとした撃ち合いで1時間が経過した。

「何やってるんでしょうねぇ、我々は。」
「ああ…。」

両軍が戦っているのだが、後方待機を命じられているハラピー貴下の第8艦隊は
両軍の戦いをまったり見物状態なのだった。

「閣下?」
「ん、どうした?参謀長。」

何もする事がない艦橋では各員の雑談がひそひそと始っていたが、現状では出番のない状況なのでハラピーも黙認していた。だが、そこに参謀長自らも話しかけてきたのには少々びっくりしていた。

「この戦い、このままって事はないでしょうね。」
「そりゃそうだろう。」
「ギルドラドは何か奥の手を隠してるような気がしてならないんですが…。」
「何か思い当たる節があるのか?」
「はっきりとしたものはわかりませんが、突撃型のギルドラド軍がチマチマした攻撃をこのまま続けるはずはないと思いましてね。」

(ほほぅ、私の想像と同じ考えか)

過去何度かギルドラドと戦っているハラピーも、こんなおとなしい戦い方をする相手ではないのは百も承知なので何かあるとは思っていたが、まさかあんな隠しアイテムがあるとは思ってもいなかった。


「敵艦隊内で高エネルギー波の予兆を確認!」
「高エネルギー波?」

総司令部でもまだ現状がよく分かってなかったのだが、この後その事が最悪の形で判明するんだった。

「高エネルギー波、こちらに放ってきました!」
「何だと!?」

ギルドラド艦隊から放たれた高エネルギー波がエルディア艦隊右翼の第15艦隊に炸裂する!

「何だ、今のは?」
「ど、ドラゴンキャノン!?」

高エネルギー波の波長がハラピーの旗艦アンヴァイセンのとっておきともいえるドラゴンキャノンと瓜二つなモノであったのだ。

その鮮光と共に第15艦隊は手持ちの艦艇数のうち500隻を一瞬のうちに失った。



   -つづく-


次回は9月10日の予定です。
2008年08月23日 イイね!

エルディア蒼龍伝 33

   第1章  艦隊司令官 2



 『蒼龍師団』

[帝国4神龍]のうちの1師団。帝国元帥を司令官に置く主力艦隊である。

艦隊陣容は下記の通りである。

第4艦隊  ・・・ 3500隻
第6艦隊  ・・・ 3500隻
第8艦隊  ・・・ 3200隻
第14艦隊 ・・・ 2000隻
第15艦隊 ・・・ 2000隻

合計14200隻の大艦隊である。


 銀河西暦4987年(帝国歴687年)9月。
『蒼龍師団』はギルドラドとの戦いの先陣を切る形となった。

「元帥閣下、各艦隊無事に集結しました。」
「うむ、よきにはからえ。」

帝国艦隊がこれだけ集まっての戦いは実に6年ぶりとなるだけに皆気合いが入っていた。

「今度の戦いは帝国存亡にもかかわる重要な戦い。各人、心してかかれよ!」

バーミリアン・ギルフォード上級大将は生粋の貴族の方で自分で仕切らないと
気が済まない性分の御仁であった。
良くも悪くもその性分でこれまでの地位を築き上げてはいるが、
それに合わない御仁も当然いた。
それが第6艦隊司令官エルメデス・リュフトラーデン大将であった。

「今回もあのお方の尻拭いをせねばならぬかと思うと胸くそが悪いわ。」
「司令官閣下、めったな事を言わないでください。」
「ふぅ、やってられねぇぜ。」

(こっちが「やってられない」ですよ…)

胃が痛い第6艦隊参謀長シュヴェーア・ミューティヒ少将であった。


「これより我が『蒼龍師団』は悪の根源ギルドラドを打倒すべく出陣を開始する!
 各員の活躍に期待する。」


バーミリアン・ギルフォード上級大将の出陣の儀での演説でいよいよ出発の時を迎える。
向かう先は皮肉にもかつてハラピーもギルドラドと戦闘を体験した
「ペトグランチェスト」航路であった。


「あれから2年か…」

ペトグランチェスト航路に向かう途中、その時の記憶が思い出されるハラピーは
第15艦隊に連絡を入れる。

「カルストン・ギース少将、第8艦隊司令官閣下より少将あてに通信が入っておりますが?」
「うむ、回線をこちらに。」
「はっ、繋げます。」

ギース少将は艦隊内ホットラインを繋げる。

「少将、お久しぶりです。」
「お~、その声はハラピー大佐…いや今は中将でしたな。失礼しました。」
「そんな、かしこまらないでください。」

今から2年前、ここペトグランチェスト航路にて第11艦隊空戦隊々長として就任したハラピーはギルドラド軍と相対した。
ブーゲルフェン中将指揮の下善戦をしていたが、小惑星の擬態を利用され旗艦を破壊されあわや艦隊崩壊をしかけたという苦い体験をした戦いでもあった。

「あの時貴官に指揮を一任した時は自分でもとんでもない事を言ったと反省したものだが、生きていたからこそ反省出来たのだから貴官には感謝せねばならないな。」

2年前の戦いを思い出しながら、懐かしく話をする2人。

「貴官には将来この帝国を背負って立つお方になれうと思っているので、
せいぜい頑張って欲しいものです。」
「なんですって?」

急に思ってもみない事を言われ驚くハラピー。

「私はそんな身分ではありませんよ。」
「いや、貴官がその気になれば十分可能性はあるよ。」

(なぜ、今そんな事を話す?)

「貴官ならこの堕落した帝国を変えるだけの手腕と能力を備えていると自負しておるのだよ。」

(どういう考えだ? ま、まさか調子に乗せておいて国家反逆罪に持ち込む算段か?)

想像を超える話にいらぬ考えが浮かんでしまうハラピー。

「実は、私は貴官の父にお会いした事があったのだよ。」
「ディスティバ・ハラピーと?」



 銀河西暦4956年(帝国歴656年)

「艦長、我が艦の被害甚大であります。」
「そうか。では総員退艦準備に移れ。」
「ディスティバ・ハラピー少佐! まさか…」
「心配するな。私にはやらなければいけない事があるから自決などという事はしない。
 だが、諸君らを差し置いて逃げる事はしない。」
「少佐…」

今から約30年ほど前に辺境銀河連合の艦隊と対戦していた時、
私(カルストン・ギース軍曹)は巡航艦「アリマリア」に着任していた。
そして敵の攻撃を喰らい搭乗していたアリマリアが撃沈寸前まで被弾した時、
私は死を確信していた。
当時の帝国軍の中ではこういう時潔く帝国の為に命を捧げる=自害というのが暗黙の了解とされていたからだ。
だが、その時の艦長ディスティバ・ハラピー少佐の言動で我々は他の艦に逃げる事が出来た。当然艦長も最後に脱出し犠牲者の増大を防いでくれたのだった。
その時後から言われたのが、

「この帝国は段々と悪い方向に向かっている。この流れを断ち切らなければ
 近いうちにこの帝国は内部から瓦解するだろう。」

あれから約30年。帝国貴族は我がまま放題、無謀ともいえる税金の使い道、民衆をないがしろにした政治・政策なと見るも無残な状況に陥りつつある。

誰かがその流れを断ち切る事が出来るのか?

権力も実力もない自分では無理だ。ならどうする?
そうだ、その意思を持つ者を全力でサポートする、これしかない!
こうした決意でこれまで生きてきた。

私の目に狂いがなければこの子はその素質がある!

私は2年前のあのペトグランチェスト会戦の時にハラピーというあのお方のDNAを
引き継いだ息子にすべてを託してみよう、と。

その考えは確かで、その戦いはあの劣勢から負けなかった。
そして、これまで数々の功績を立て今日こうしてまた会う事が出来た。

もう、迷いはない! このお方の為にその身を捧げよう、と!



「貴官の父君の意思を引き継いでくれ。」

最後にそう締めくくるギース少将。

(そうか、そうだったのか。 あらぬ疑惑を持って申し訳なかった…)

己の疑心暗鬼を反省するハラピーであった。

「私にどこまで力があるかはわかりませんが、この銀河の民衆の為に自身が出来る事を最大限なすべく精進しましょう。」
「ありがとう、ハラピー中将。」


「どうでした、カルストン・ギース少将は?」
「ああ、会えてよかった。」
「そうですか。」

通信を終えたハラピーに話しかけるマヤ。

(いい顔をされてますよ、お兄様)

その姿にうれしく思うマヤであった。



いよいよ、第2次ペトグランチェスト航路会戦に向けて着々と準備が
進むのであった。


   -つづく-



次回は9月4日の予定です。

2008年08月17日 イイね!

エルディア蒼龍伝 32

  第2部 「エルディア帝国VSギルドラド惑星共同帯の死闘!」


   第1章  艦隊司令官 1


銀河西暦4987年(帝国歴687年)8月 エルディア最高評議会

「では、満場一致でギルドラド惑星共同帯との全面戦争を承諾します!」


カピストルーラ会戦→辺境銀河連合と停戦協定締結から約1年。
エルディア帝国はこの1年を徹底した軍備増強と将兵の増員・教育に専念し、
辺境銀河連合との休戦協定期間終了までにギルドラド惑星共同帯を占拠あるいは降伏させる為の期間を考えたら、時間的にここが限界との見解によりギルドラドとの開戦を決めたのだった。


「どうですか、艦隊司令官の椅子は?」
「う~ん、別に艦が変わった訳じゃないから特にどうこうはないね。」

ライオネル・ハラピーはこの1年の軍備再編等で中将に任命され、
晴れて帝国ヒト桁艦隊の称号「第8艦隊」として新たに艦隊を任される事になっていた。

「では、これが第8艦隊の主要スタッフのリスト表です。」
「うむ。」

これまで同様、副官マヤ・アルジェリーニ大尉がハラピーのサポートをしていた。

そして、第8艦隊のスタッフはこうであった。

  <第8艦隊> 艦艇数3200隻

艦隊司令官     ・・・   ライオネル・ハラピー     中将
艦隊参謀長     ・・・   パスツール・グランドーレ   少将
副 官         ・・・   マヤ・アルジェリーニ     大尉
空戦隊指揮官    ・・・   ザフィーラ・ベルギノーゼ   中佐
陸戦隊指揮官    ・・・   ブラッティー・ハンセン    中佐
第1分艦隊指揮官  ・・・   フリードリッヒ・サージェント 少将
第2分艦隊指揮官  ・・・   シャロン・ハーデルガイム   准将


「思ったより希望の人選が叶ったな。」
「そうですね、お兄様。」

リスト表を見ての率直な感想であった。

「こら、また呼び方が元に戻ってるぞ。」
「あ、ごめんなさい、お兄さ…いえ、閣下。」
「まあ、2人の時はいいけど、な。☆」
「うふふふ。」

ライオネル・ハラピーとマヤ・アルジェリーニは、ハラピーがマヤの父ファルコム・アルジェリーニ神公爵の元にやってきて以来の関係だったが、もうあれから12年が過ぎていた。

マヤはその頃からハラピーを兄と慕いずっとこれまで経っていて、まだ2人の時は
その癖が抜けていなかった。

「しかし、リュッケ大佐とサガス中佐が抜けたのは少々痛いな。」
「仕方ありません、彼らは優秀な人材。他でも希望者が多かったのでしょう。」

実際、彼らはハラピーのこれまでの功績の中でもその功労者として認知されていて、
ブルーム・バルディ大将も貴重な人材としてやむなく分割させる事にしたのだった。

「ところで、今回から配属となった参謀長についてだが…」
「パスツール・グランドーレ少将の事ですか?」
「ああ、実は私は彼の知識がない!」
「本当ですか?!」
「ああ、さっぱり!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


 パスツール・グランドーレ少将

ハラピーより5歳年輩の将校で、その実績は申し分ないのだが、一風変わった性格が災いし各上層部からは総スカンされ、今回その厄介払いにハラピーが使われたともっぱらの噂であった。

「まあ、近いうちにお手並み拝見とするか。で、フリードリッヒ・サージェント少将は?」
「その方もわからないんですか?」
「ああ、わからん。」
「…全く、もう。」

(本当に興味のない事にはとことん無頓着なんだから…)

マヤはその性格に嘆きながらも、どこかうれしさがこみあげてくるのを隠せなかった。

 フリードリッヒ・サージェント少将

御歳62になる将校で現場からの叩き上げで軍歴46年とハラピーの年齢よりも長く
軍に在籍する老練な軍人である。

「さて、これでギルドラドと戦う訳か。どうなる事かねぇ?」
「ひとごとみたいに言わないでよね。」
「お、その声はザフィーラさんですね。」

ハラピーは昔所属していたシェーンハイト隊の時での呼び方で答える。

「まだ、その言い方で呼んでくれるのですね、閣下。」

軍の規律上階級の上下が変われば呼び方は変えねばならぬ事は重々承知の上でありながら、ザフィーラとしてはハラピーのその気持ちがうれしいかった。

「ま、私の師匠である事には変わりないですからね。」
「うふっ。」

2人の間には昔と変わらぬ信頼関係が今でも深く結ばれていた。


「さて、親分の所へ合流するとしますか。」

第18艦隊の時は、マクシミリアン・エルメストラーデ上級大将貴下の『白龍師団』所属だったが、今度はバーミリアン・ギルフォード上級大将貴下の『蒼龍師団』に転属になっていた。
ハラピーが「親分」という理由は、蒼龍師団の総司令官バーミリアン・ギルフォード上級大将の器質にあった。簡単に言うと「親分肌」だ。
まあ、その器質についてはいずれ判る事だろう。w


新たに再編を完了した新生第8艦隊が今飛び立とうとする。


   -つづく-

【ニコニコ動画】~ 思わず出撃したくなるクラシック・メドレー ~

↑コレに触発され、約1か月の充電期間を経て、ここに復帰しました。
まあ、ほとんど見る方は少ないとは思いますが、引き続き宜しくお願いします。

次回は8月23日の予定です。
2008年07月12日 イイね!

エルディア蒼龍伝 31

  第8章  カピストルーラ会戦 3


銀河西暦4986年(帝国歴686年)9月6日、エルディア最高評議会。

「これからどうするというのかね?帝国艦隊総司令長官ハワード・ブリマシュアン元帥。」


辺境銀河連合との戦闘で第7駐留ステーションの破壊までに至った今回のカスピトルータ会戦に結果に伴い、エルディア最高評議会が急遽開催される事となった。

そこで、まず統合作戦本部長スチュアート・ヘルグランダーナ元帥が
ハワード・ブリマシュアン元帥に問うてみた。

「どうもこうもない、辺境銀河連合との全面戦争は避けるべきであろう。」
「うむ…貴殿はそれでよいのかな?」
「ギルドラド惑星共同帯が本格的に我々に戦火を開くのが確実な現在、更に辺境銀河連合と戦火を開くとなると、帝国中の艦艇を集める事になる。その場合万が一国境を抜けられた時は帝国内はもぬけのからでやられ放題となるのだぞ。」

これまでエルディア帝国は「銀河統一」を最終目標にこれまで戦ってきたのだが、
ここにきて領土の拡大に伴い戦力が分散され、圧倒的戦力での戦いが出来ない今2国間との戦闘はどう考えても避けねばならなかった。

「で、エルディア帝国としては辺境銀河連合とギルドラド惑星共同帯、
 どちらと停戦協定を結ぶのじゃ?」

ここまで沈黙を守っていた国対委員長ガルバニアン・コンフォート元帥が核心を突いてきた。

「そうじゃ、艦隊総司令長官のご意見を伺いたい。」

4元帥のうちの3元帥がブリマシュアン元帥に注目する。

「私の意見としましては…」

あとは、細かい協議を交して今回の最高評議会は終了した。




「そうか、辺境銀河連合と停戦協定を結んだか。」

ハラピーはカスピトルーラ星域からの長い帰宅の途でその報を聞いた。

(これからいよいよギルドラド惑星共同帯との本格的戦闘が始まる…か)



結局、エルディア帝国は、

1:双方との停戦協定の期間は銀河西暦4986年(帝国歴686年)9月9日から
  2年間とする

2:カスピトルーラ星域での駐留ステーションの再建をしない

3:ギルドラド惑星共同帯と戦闘になった際、辺境銀河連合が攻撃をするのに対して
  干渉しない  そしてその際に占領した領土は辺境銀河連合の領土とする


以上の3点を盛り込んだ停戦協定となった。


こうして苦渋の決断の上当面の脅威を抑える事が出来たエルディア帝国はいよいよギルドラド惑星共同帯と雌雄を決する戦いに入るのであった。


銀河はまだ多くの血を欲していた。



  第1部 完





第2部 「エルディア帝国VSギルドラド惑星共同帯の死闘!」編は
1~2か月充電期間を経て再開する予定です。

それまでしばしお別れです。
2008年06月30日 イイね!

エルディア蒼龍伝 30

  第8章  カピストルーラ会戦 2


「一体、何が起こったのだ?」
「帰る所がなくなってしまった…」
「挟み撃ちにされるのか?」

駐留ステーション爆発の報は、優位に働いていたエルディア軍の進行に間隙を作る事に
なってしまった。

「辺境銀河連合艦隊が押してきます!」

その間隙を見逃す敵艦隊ではなかった。

「…。(。-`ω-)ンー」
「我が軍は現状の翁形陣から敵を中央に誘い込みそこからU字に敵を囲むように艦隊を展開!」

マクシミリアン・エルメストラーデ大将の無言の指示を察知した総参謀長セリーデ・トライクリッヒ中将が指示を出す!


「うちの総参謀長はエスパーじゃないか?と思うんだが…」
「は? 突然何を言い出すんですか?」

艦橋にいる乗組員の2人がその光景を見てひそひそ話をしている。

「見てみろ、うちの総司令官閣下は無言で指さしてるだけなのに、あれだけの具体的な指示が出てるなんて到底思えない。あれは実は参謀長がエスパーで口が不自由な総司令官閣下の意図をテレパシーか何かで読みとって指示を出してるんずあないか、と踏んでるんだか、どう思う?」
「それは飛躍し過ぎでないかい?」
「それか、実は総司令官閣下は飾りで実際の指揮は総参謀長がやってたりしてな。」
「ありえねぇ。www」

「コラ、そこ。何を無駄話をしているか!」

「す、すみません!!!」
「す、すみません!!!」

総参謀長の叱咤と強烈な睨みを効かせた総司令官閣下のガン付けに身の凍る思いをする2人であった。



「ところで、詳しい事はわかったか?」
「はい、ハラピー提督。どうやら…」

副官マヤ・アルジェリーニ中尉の報告で辺境銀河連合の別動隊を道連れに自沈した一連の出来事がわかった。

「なるほど、今目の前にいる敵はある意味陽動部隊って訳だ。」

(…という事は辺境銀河連合軍がその事を知ったら撤退するだろうな)

そうとなれば、この戦いもうこれ以上の戦闘は無駄な事この上ないという判断となる。

「総司令官閣下に通信を繋いでくれ。」

ハラピーはマクシミリアン・エルメストラーデ大将に自身の考えを報告すべく通信を発した。



そうこうしている間に進軍すてくる辺境銀河連合軍はエルメストラーデ大将の思惑にハマり、U字形の中に誘い込まれていた。

「「…。o(`・ェ・´)p 殺!」
「はっ。総司令官閣下のご指示である、全艦一斉砲撃!」

その号令とともにエルディア艦隊から辺境銀河連合軍に向けて一気に砲火が浴びせられる!

「うわぁぁぁぁぁ…」


元々陽動作戦でここに展開していた辺境銀河連合艦隊だったが、たまたま出来たエルディアの攻撃の隙間に食いついてしまい、その動揺を短時間で収拾させたエルメストラーデ大将の作戦にまんまと引っ掛かる結果となってしまった。」


「よ~し、みんな。一気に撃墜記録を上乗せするチャンスよ!」
「OK!」
「OK!」
「OK!」

ザフィーラ・ベルギノーゼ中佐の号令に連鎖するようにシェーンハイト隊の面々が
動揺を隠せない辺境銀河連合艦隊に向けて攻撃を掛ける!

「今までのお返しをさせていただくわよ!」
「いやっほ~、どんどん撃ち落としちゃうわよ。」
「私もいきますわよ!」

シャロ-ラ・コルサ・ターセルのシェーンハイト3人娘も次々と敵機及び敵艦を撃墜していく!



(シェーンハイト隊を合流出来たのは、ラッキーだったな。)

シェーンハイト隊の戦果を旗艦アンヴァイセンで見ていたハラピーは、シェーンハイト隊を併合する無理を聞いてくれたブルーム・バルディ大将に感謝するのであった。


銀河西暦4986年(帝国歴686年)9月5日。

辺境銀河連合艦隊が駐留ステーションを奪取し挟撃戦に持ち込む作戦の失敗により、強行的に退却した結果、カピストルーラ会戦は一応エルディア軍の勝利となった。

辺境銀河連合艦隊は損傷率65%、エルディア艦隊の損傷率は20%と艦隊戦は大勝利と言えるのだが、エルディア軍は第7駐留ステーションを失うという痛出を被り大手を振っての勝利とは到底言えなかった。


「帰り道が長いな…」

駐留ステーションがなくなってしまった為、エルディア艦隊は第7駐留ステーションへ帰る距離の3倍は遠いテンツェリン星域まで帰らなければいけなかった。

今後の辺境銀河連合との戦いに暗雲が立ち込める神聖エルディア帝国であった。


   -つづく-


次回は7月11日の予定です。

プロフィール

「ホンダの頭にホンダ」
何シテル?   05/13 16:39
再び色々ありまして、乗り換えです。 2回目のホンダ車でまた白に戻りました。 引き続き宜しくお願いいたします。。♪   一般人からみたらオタク系だと思...
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