2007年12月08日
第3章 艦長就任 2
戦略艦アンヴァイセン艦長を命ずる!
ハラピーはその辞令に驚きを隠せなかった。
「いいんですか?」
ハラピーは念を押すように再度尋ねた。
「いいも何も辞令だ。黙って受け取れ!」
「は、はっ。謹んでお受けいたします。」
「うむ。」
戦略艦とは、艦隊司令官専用に作られた戦艦で次期戦艦構想の一環として3年前から製造されていたのだが、この戦艦は「エルディア兵器科学研究所」で作られていたものでハラピーがちょうど研究所に配属になったと同時期に建造されていた上ハラピー自身も後半は製造に立案に協力していただけに愛情が湧いていたのであった。
まさか、その戦艦の艦長に任命されるとは思ってもいなかっただけに驚きを隠せなかったのだった。
「メンバーはこの帳簿に載っておるから目を通しておくように。」
そう言われて渡されたメンバーを見ると、1人の人物で目が止まる。
「ブルーム・バルディー大将閣下、マジですか?」
「何がマジですか?だ。」
「いえ、ハーデルガイム少佐がメンバーにいるのですが…」
「彼女がどうかしたのか?」
「あ、いや。何でもありません。」
ハラピーが言った「ハーデルガイム少佐」とは正式名称を「シャロン・ハーデルガイム」といい、帝国貴族でも侯爵に属す上級貴族の娘にしてハラピーとは腐れ縁の持ち主でもあった。
銀河西暦4979年(帝国歴679年) 士官学校
本日は士官学校文化祭恒例・士官学校生徒対卒業生対抗戦を行います。今年度シュミレーショントーナメント勝者「シャロン・ハーデルガイム」候補生と卒業生有志「ライオネル・ハラピー」大尉との公開戦略シュミレーション大会をこれより始めます。
士官学校では戦略術の学習の一環として艦隊司令としてシュミレーションを行う授業がありその成果を試す為に文化祭前に学校内で成績上位の生徒同士が戦い優勝者が文化祭で卒業生との晴れの舞台での戦いができる形式になっている。
「では、戦闘開始!」
この年の優勝者シャロンは歴代優勝者でも好成績だったので白熱した戦闘が披露されると思われていたが、卒業生代表でこの年参加した相手が悪かった。シャロンはハラピーに完膚無きまでに叩きのめされてしまい、来賓も参列していた中でどっちらけ状態の結果になり場が冷めてしまうていたらくであった。
まあ、これでハラピーは二度とこの大会に呼ばれる事はなくなったのだが、それからというもの、シャロンはハラピーにいつかその借りを返すべくこれまで精進してきたと言っても過言ではないくらいの戦果をあげ、今回ハラピーの艦の副官として赴任してきたという訳だ。
「まあ、2人の経緯は私も仕事柄知らない訳ではないのだが、彼女はいい人材に育だったと私も思うから今回副官の任を決めた訳だ。」
「はぁ…そうですか。何か楽しんでません?」
「何を言っとるか! ま、まあ何だ、頑張りたまえ。」
結局うやむやにされてしまった。
「では、艦が駐留している小惑星の方に早速向かってくれ。」
「え、駐留ステーションにないのですか?」
ハラピーが尋ねると、
「アホ、おまえさんもあの艦の大きさを知っておろう。あのデカイのが駐留ステーションの入るもんか!」
最もだった、最新装備を詰め込みまくり新エネルギーの巨大な機関室までも装備したため通常の戦艦の約1.5倍も大きい艦になってしまったので、別棟の小惑星に艦を駐留させていたのだった。
いよいよ最新艦&シャロンとの再会であるが、足取りの重いハラピーであった。
- つづく -
Posted at 2007/12/08 20:22:12 | |
トラックバック(0) |
【自作小説】エルディア蒼龍伝 | 趣味
2007年12月02日
第3章 艦長就任 1
ペトグランチェスト航路会戦を終え第11艦隊が首都星アクアスターに戻ってきた。
「第11艦隊は、第3駐留ステーシュンに入港してください。」
首都星中央管制塔からの指示が入る。
「指示に従い、全艦帰島せよ!」
第3駐留ステーションは主に遠方地域の艦隊が首都星に来た際に使われるのだが、現在駐留している艦隊は特にないようでスムースに第11艦隊は入港を果たした。
入港後、ハラピーはドックで総員を集め最後の演説を行った。
実は、ハラピーはこれで第11艦隊を後にする事が決まっていたのであった。
「今度の戦いは非常に苦しい戦いであったが、諸君らのがんばりで無事に勝利を収める事が出来た。本当に感謝する。」
乗組員がどよめく。
帝国軍の司令官は「自分の指揮がよかったから勝てたのだ」と自慢するものだが、この戦いから隊長としてこの艦隊に就任したが、元々戦闘機乗りで兵士と近い所で部下に気を配りながら接してきていた為、急遽司令官代理となったが総員がハラピーを信じしっかり付いてきてくれたから今回の勝利をつかみとれた点を強調した。
「ありがとう!」
ワ~、ワー!!!
乗組員全員から声援が沸き起こる!
(ふぅ、ようやく役目が終わったわ)
安堵の表情を浮かべるハラピーであった。
その後ハラピー自身は今回の戦闘の報告の為、統合作戦本部に足を運んでいた。
「こたびの戦い、御苦労であった。」
統合作戦本部長「スチュアート・ヘルグランダーナ」元帥がねぎらいの言葉をかける。
「まあ今回はたまたま運がよかったようだが、まだ合格点には程遠い事を認識して増長する事となきように。艦隊指揮というものは…」
(うわ~、長話が始まったか…)
ヘルグランダーナ元帥は、帝国貴族の中でも4人しかいない最上級の称号である「公爵」の位を持つ上級貴族である。
齢70を超える御大でありその経歴は他の帝国軍人の足元にも及ばない戦績を持っている事から、時に過去の戦績話がからむとなかなか止まらない事で有名なのだった。
案の定、その話は1時間に及んだが、
「元帥、会議のお時間ですが…」
他の用事のおかげでなんとか終える事ができた。
「何にせよ、今後も精進するよう!」
「はっ、誠心誠意努める所存です。」
「ま、よかろう。ではさがってよい。」
「は、失礼いたします。」
(はぁ~、やっと終わった…)
その後、今度は次の勤務先の辞令を受け取るべくハラピーは軍令部に大急ぎで向うのであった。
「遅い!!!」
「すみません。」
「私もヒマ人じゃないんだぞ。」
「申し訳ありません。」
「…ったく。」
元帥の長話で待たされた軍令部人事管理局々長ブルーム・バルディー大将は、ハラピーに当たる事でとりあえずうっぷんを晴らすのだった。
「ま、これくらいで許してやろう。」
(こっちがグチりたいわ)
そう思ったが、そこは我慢せざるを得ない。
「今回は災難だったが、よくがんばったな。」
「恐縮です。」
「その褒美に次の辞令はいいモノをやろう!」
何だろう?
首をかしげるハラピーに出た辞令に、ハラピーは驚きを隠せなかった。
- つづく -
Posted at 2007/12/02 23:14:46 | |
トラックバック(0) |
【自作小説】エルディア蒼龍伝 | 趣味
2007年11月26日
第2章 ペトグランチェスト会戦5
一点突破を謀る帝国軍に、用意していた小惑星群をぶつけるギルドラド軍。
だが、先手を打った帝国軍の方が動きが早い上その後の指示も済ませている為艦隊の動きが俊敏だった。
一方のギルドラド軍の方は、後手に回った上小惑星をぶつけるのにとっさに動いてしまった為、帝国軍にぶつけそこねた上その先にはなんと開けられた穴を突破され残った自軍が待ち構える形になってしまった。
「小惑星群がこっちにきます!よけきれません…」
「緊急回避ぃ~」
必死にかわそうとするギルドラド軍だったが、モロにその小惑星群を食らってしまった。
更に突破した帝国軍が回り込んできてギルドラド軍に砲火を浴びせる。
もうこうなったら展開は一方的になってしまい、最初は優勢に戦っていたギルドラド軍が逆に劣勢になってしまった。
「よ~し、このまま一気にたたみ込む。 全艦、ぶっぱなせ~!」
ハラピーの号令が唸る。
そして、2時間後ギルドラド艦隊は損傷率70%強の甚大的被害を浴び戦線を離脱せざるを得なかった。
勝敗が見えたのでこれ以上双方犠牲者を出すまでもないと思ったハラピーは、
「深追いする必要はない、逃がしとけ。」
と命令した。
銀河西暦4985年(帝国歴685年)7月、ここにペトグランチェスト会戦は終わりを告げる事となった。
帝国軍第11艦隊…損傷率18%
ギルドラド艦隊…損傷率73%
逆転勝利である。そして、ペトグランチェスト航路には無数の屍が漂う事となった。
「見事な指揮だった。」
戦艦ルガール内医務室にて、第11艦隊艦隊操舵主査カルストン・ギース准将が見舞いに来たハラピー大佐にそう言った。
「まあ、あそこはあれしか思いつきませんでした。結果オーライです。」
「謙遜かね、まあよかろう。おかげで私も降格せずに済み部下の被害も最小限に抑える事が出来た、感謝する。」
「もったいないお言葉。ま、いい経験にはなりました。」
一応ケガ人なので、手短に報告を済ませ部屋を出たハラピーだった。
「やりましたね、隊長…いや司令官代理。」
「おいおいおだてても何もないぞ。それよりサガス大尉も空戦隊の方よく指揮してくれた、礼を言う。」
「いえいえ、もったいないお言葉。」
ハラピーが艦隊指揮に専念する為、空戦隊をサガス大尉にまかせたがこちらも期待に応え十分な戦果を挙げてくれたのだった。
彼は将来指揮官としていい人材に育ってくれそうだ、と心の中で喜ぶハラピーであった。
そして艦隊再編が終了したので、ハラピーは司令官代理として最後の命令を下す。
「よし、全艦これより首都星ゴットオブアクアスターに帰還する!」
- つづく -
Posted at 2007/11/26 19:07:04 | |
トラックバック(0) |
【自作小説】エルディア蒼龍伝 | 趣味
2007年11月14日
第2章 ペトグランチェスト会戦4
「ちっ! やられたなぁ。」
舌打ちするハラピーだが、このままでは艦隊崩壊に危機にさらされるので、
「戦艦ルガーナ、応答せよ!」
艦隊操舵主査のいるカルストン・ギース准将のいる戦艦ルガールに連絡を取る。
「こちら戦艦ルガーナ。」通信が繋がったので、状況を確認する。
「当艦もも被害が大きく、准将が負傷しました。それからどうしましょう?」
「とりあえず、そちらに向かうので着艦に手配をしといてくれ。」
ルガーナに到着し戦況を確認したハラピーは、負傷したギース准将と今後の話をした。
「貴官が指揮を行ってくれ。」
「しかし、官位が…」
「貴官は戦略術にも長けていると聞いている。正直私は恥ずかしながらこの状況だし指揮と艦隊運用までは到底両立出来ん。ならば、指揮は貴官に任せて私はサポートに専念すべきと思ったのでな。」
「長けていると言われますが、実践経験はないですよ。」
「知っておる、だが私もない。」
「それを言っては身も蓋もないですが…」
「命令だ。失敗した時は私が指揮した事にしてやるから、頼む。」
どうも、腹をくくるしかなさそうだ。
「はぁ、どうなっても知りませんよ。」
「大丈夫だ、艦隊運用は死んでもやり遂げてやるさ。」
「いや、死んでもらっては困るのですが…」
「ははははは」
そういう訳で急遽指揮官代理になったハラピーだったが、腹はくくったので思いっきりやる事にした。
まず、旗艦に所属及び撃沈した艦艇に所属していた艦載機については、空母数隻をカラにしてそっちで対応するようにした。
そして、幸いピンポイントで被害は被ったものの全体的な損傷率は10%弱だったので、まだ全然逆転可能な戦力があるのが救いだった。
様々な状況をポイントだけ整理して、反撃準備に入った。
「一旦戦線離脱する手もあるのですが、このままやられっぱなしでは敵に勢いを与えてしまうので、これから敵が勢いに乗るのを逆手に取る作戦で行こうと思うので、艦隊運用は忙しくなりますが准将お願いしますよ。」
「お手並み拝見といこうか。」
負傷はしていたが、その後の治療の処置がよかったようでまだ体力については心配すなくてもそさそうだった。
「全乗組員に告ぐ!艦隊司令官代理、ライオネル・ハラピー大佐だ。これよりやられた分を倍返しすべく反撃を開始する。諸君らの働きに期待する!」
艦内放送にてそう告げると、まずは意外な指示を下すハラピーであった。
「全艦隊、密集隊形をとれ!」
前方に敵艦隊、側面に小惑星自体を動かして突進するようにした小惑星と後方以外は囲まれた状況で密集体系をとると集中砲火を浴びる危険があると思われたが、パラピーは意に介さない。
敵艦隊は帝国軍が密集隊形をとるのを見ると、更に包囲を完璧にすべく艦隊と小惑星群の隙間を埋める為に艦隊を広げていった。
そして、その隙間が埋まった瞬間ハラピーが号令を下す。
「よし、敵の中心部にピンポイントで主砲斉射。しかる後その部分に強硬突入をかけろ!」
敵艦隊が包囲を完璧にするために両翼を広げたので、敵艦隊の厚みが薄くなったのだった。そこを突きにきたのだ。
第10艦隊の主砲が1点に集まる。そして、その部分の被害がかなる大きく穴が出来る。
「よし、全艦前速前進! あの穴から1点突破を図って包囲網を抜けろ!!」
それを見たギルドラド軍は慌てて小惑星を第10艦隊にぶつけるべく指示をかける。
だが、虚を突かれたギルドラド軍はその攻撃がアダとなる事に後で気づく事になる。
「司令官代理、小惑星群がこちらに向かってきます!」
レーダー班より報告が来る。だが、ハラピーは冷静だった。
「大丈夫だ。さっき開けたくさびに砲火を集中しつつ一気に突っ切れ!」
ギルドラド軍の小惑星群が帝国軍を襲うか、はたまた帝国軍が小惑星群をしのぎきって突破を成功させるか?
その結果は、指揮の判断が早かったか遅れたかで決まったのであった。
- つづく -
Posted at 2007/11/14 20:57:34 | |
トラックバック(0) |
【自作小説】エルディア蒼龍伝 | 趣味
2007年11月08日
第2章 ペトグランチェスト会戦3
互いが様子見するような形で始まった今回の戦いだったが、1時間後の総攻撃を決めた帝国軍がいよいよ動きを見せる。
「よし、空戦部隊は随時発進を開始。」
銀河西暦4985年(帝国歴685年)7月18日、司令官の命が発せられいよいよ本格的な戦闘に突入した。
「まずはボマーから発進し、次はオールマイティ、そしてファイターと続け!」
ハラピーが各空戦部隊に命令を下すと、各機順調に発進していった。
そして全機発進後、今度はブーゲルフェン中将の命で艦隊自身の進撃速度を速めた。
ギルドラド艦隊も最初は帝国軍の攻撃に応戦する素振りを見せたが、すぐさま帝国軍の進撃を受け流すように反撃しつつ後退していった。
「張り合いがないのぉ。」
ブーゲルフェン中将が呟きながら戦況を見つめている。
最初のボマーの攻撃と帝国艦隊の攻撃で最前列のギルドラド艦隊は少なからず打撃を受けたが、その後はうまく受け流しながら後退している。
「参謀長、敵の動きに対してどう思う?」
ブーゲルフェン中将が参謀長ポーリス・ゼントデーラ准将に質問を投げかける。
「まだはっきりとはしてませんが、無理にこちらの攻撃に対応するつもりがないように感じます。おそらく、こちらを国境あたりまで引きずり込みその近辺に援軍が待ち構えてて我々を攻撃するのでは、と推測されます。」
「うむ、私も参謀長の意見と同意見だ。どうせこちらは陽動作戦であろうと思う。そこで、その直前までは少しでも敵戦力をそぎ落とし、頃合いを見て戦線を離脱しようかと思っておる。」
「効率よく、ですな。」
「ま、そんな所だ。敵の主力の相手は第10・12艦隊の方であろうから、そっちに任せとけばよかろうて。」
どうやら、本気で戦うまでもなかろう、との判断のようだ。
実際、空戦隊も1次攻撃で全機帰到して今は待機中であった。
「大佐、どうやらこのまま大した事もなく今回の戦いは終わりそうですね。」
ウェイティングルームにいたハラピーの元にサガス大尉が言い寄ってきた。
「そうだな、取り越し苦労になればそれはそれで無駄な犠牲が出なくてよしとせねば、な。」
そうはいったものの、まだ不安がぬぐいきれないハラピーであった。
「よし、ここらで一気に敵を追い払うとするか。」
「空戦隊は第2次攻撃を開始せよ!」
国境が徐々に近づいてきたのでここらでケリをつけるべく、再度大規模な攻撃をかけるべく命令をするブーゲルフェン中将。そして、空戦隊も第2次攻撃に飛び立った。
「さすがに敵もそう簡単には負けてはくれんようだな。まあ、航路も狭くなってるので敵が回り込んでこちらを攻めてくる心配はいらんので、無理をせずにじわじわ追い込んでやればよいぞ、ハラピー大佐。」
戦線が帝国軍寄りになっている為、のんびり構えている中将がハラピーにそう言ってきた。
「はっ、このまま戦線を優位に維持すべく対処します。」
そう告げたハラピーだったが、そこで疑問が浮かびあがった。
(ん、航路が狭くなってる?)
この指示を聞いたハラピーが妙に思い、航海部にこの周辺の航路の確認を依頼した。
そして、帰ってきた答えが帝国軍の持っている航路の広さの情報と現状の航路の広さが違う事が判明した。
「まさか?!」
そう思った時、航路の外周にあった小惑星のいくつかがこちらに向かって動き始めた。
「何だ、あれは?」
こちらに向かってくる小惑星と突然小惑星が割れたかと思うとそこから小型戦闘艇が急速にこちらに向けて発砲してきた。
そう! ギルドラド軍は国境付近に伏兵を用意していたのではなくその手前に巧妙に偽装した小惑星の形をした待機カプセルと我々が死角になるような角度に推進装置を設置し小惑星それ自体をこちらにぶつけるという大胆極まりない攻撃を用意していたのであった。
「くそっ、してやられたわ。」
ブーゲルフェン中将の舌打ちが司令部に響き渡る。
そして、敵小型戦闘艇が一気に旗艦シューフェンポール目掛けて突進してくる。
「くっ、全ファイターは旗艦の防衛に急行せよ!」
ハラピーはそう各機に指示しつつ自身も全速力で旗艦の戻って敵機の迎撃を始めたが、いかんせん敵の数が多く敵の突進を防ぎきれない。
「第2主砲大破、第3第4副砲昨日停止!」
「右舷甲板損傷甚大、火災が発生し死傷者多数!」
「レーダー大破、敵の動きがわかりません!」
旗艦及びその周辺の艦艇に不意をつかれた形で集中攻撃を浴びた為、想定外の被害が出ていた。
そして、最大のピンチが今起きようとしていた。
「機関部の火災が止まりません!このままでは爆発するまでもう時間がありません。」
「司令、どうしますか?」
参謀長ポーリス・ゼントデーラ准将がブーゲルフェン中将に次の指示を聞こうとしたが、もう完全に心ここにあらずの状態であった。
「機関部で爆発が起こ、うわぁ~…」
「どうした機関部、返事をせんか!」
旗艦シューフェンポール艦長ドトーレ准将が状況を聞こうとしたがもう機関部は火の海だった。
「あ~、旗艦シューフェンポールが…」
やっとの事で戻ってきたファイター各機が敵小型戦闘艇を迎撃後、真っ赤に燃える旗艦を目にしながら絶望のため息を漏らす。
そしてその5分後、旗艦シューフェンポールは永遠にこの世界から消えてなくなった。
第11艦隊司令ブーゲルフェン中将及び参謀長ポーリス・ゼントデーラ准将以下乗組員350名の命がここに終わりを告げたのであった。
- つづく -
Posted at 2007/11/08 20:35:55 | |
トラックバック(0) |
【自作小説】エルディア蒼龍伝 | 趣味