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2010年12月01日 イイね!

【小説】刀をたずねて三千里  26

 
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            第2章、

 
     第2章   バカと刀は使いよう  12
 
 
 
「さてと、W・S・Cのアジトへと御案内願いましょうかね。」
 
そう言って、恭介は前を走る新型フーガハイブリッドとハイエースの2台を少し車間を開けつつ
追走する。
 
首都高を通り、再び中央道に入る。恭介が来た道を戻っている形であった。
 
「まさか、うちの町に戻る事はないよな?」
 
そんな心配も起こったが、その心配は稀有であった。
だが、恭介とは違う心配を前方を走る彼らも気付いていた。
 
 
 
「あまおう様、我々を追っていると予想されるクルマが1台おります。」
「何じゃと、それは確かか?」
「いえ、偶然かもしれませんが、明らかにスペックの上では我々よりも早く走れるクルマですが
 ゆっくり走る我々と同じペースで走ってる様子なんです。」
「うむ。では、こちらもそやつらの動きが我々をマークしているか確認しておこう。」
「了解しました、あまおう様。では、この先のPAに入り奴らの動きを確認してみます。」 
 
そう言って、彼らが停まった先には【石川PA】があった。
 
石川PAは高速道路で唯一「八王子ラーメン」が食べれるとか「天たまそば」や「東京ばな奈」が
ある以外は特別有名なモノがある訳ではない。
つまり、単純に休憩で寄っただけなのだろうと思われる。
 
大型車が停めるエリアの端っこに2台は停まる。さすがに横付けは出来ないので、その向こうの
普通車エリアに車を停め、同乗者の動きをチェックする。
 
その一方で、彼らは恭介のクルマをハイエースのメンバーが望遠鏡で確認していた。
 
「どうじゃ?」
「はい、間違いなく我々に視線を向けております。奴らはわからないように尾行しているつもり
なのでしょうが、こうして見ると粗がある上今望遠鏡で奴らの動向を確認した結果、我々を
尾行していると思って間違いないでしょう。」
「どうづるつもりじゃ?」
「はい、あまおう様。あまおう様の乗るフーガを動かしてみて後ろのハイエースが停まったままだと
奴らがどうするか、を見て最終判断をします。」
「うむ、では早速作戦を開始してくれ。」
 
 
「恭介様、彼らの動きが変です。」
「そうだな、フーガだけが動き出してハイエースの方は停まったままだ。」
「どうします?後を追いますか、それとも停まってる方をマークしますか?」
「う~ん、どうやら尾行がばれた公算が高そうだな、ほら。」
 
恭介はハイエースの方を指差す。
そこには、ハイエースから数人の黒服の男たちが恭介のクルマ目指してやってくるのが見える。
 
「で、どうしますか?」
「このままやり過ごす事が出来るかな?」
「そうですね、その答えは恭介様の腕を問うよりも、一般人がいる中で闘いが起こる事に
不安を抱いているンズあありませんか?」
「正解だ。だが、穏便に済みそうにないだろうから、あえてやってしまおうと思ってる。」
「騒ぎになりますが、大丈夫ですか?」
「売られた喧嘩を買えないようじゃ、この仕事は出来ないって。」
「…わかりました。私もサポートしましょう。」
「ほほぅ。久々にやりますかね。」
「ええ。
 
ハイエースのスライドドアから4人の男たちが出てきて恭介の乗るインプレッサR205に向けて
やってくる。恭介と魔耶もクルマから出て彼らに対峙する体制を取る。
 
「あのぅ、どちらさんですかね?」
 
わかっているが、形式を踏むように恭介が彼らに尋ねてみる。
 
「我々はとある組織に所属する者である。お前たちはどこの所属だ?」
 
黒服の男たちの1人が恭介に問い返しで言ってくる。
 
「我々はお前たちとは所属が違うとある組織の者だ。」
 
ちょっと嫌味っぽく答える。
 
「何だと!?」
「何を言ってる。そっちが存在を曖昧に言っておいてちゃんとした答えが返ってくると思ってのか?」
「貴様、おとなしく言ってやったのに、その態度は何だ?」
「おとなしく言うのと脅しながら言うのとは雲泥の差があるが、な。」
「こいつ!(怒」
 
「待て!」
 
黒服の男たちがやる気になった時に、遅れてハイエースから出てきた男が黒服の動きを制止する。
どうやら、黒服の男たちの上司に当たる人物のようだ。
 
「部下が口の悪い言い方をしたようだ。すまんな。」
 
態度はえらそうだが、口調は丁寧である。黒服の男たちを仕切る人物なだけにそれなりの
男である事はわかるのだが、目には見えない威圧感のようなモノがかなりキている。
 
 何と言うプレッシャーだ!?
 
こいつはニュー○イプか、という冗談か本気かわからないセリフを恭介は吐く。w
だが、相手が強そうだからといって、尻凄みする恭介ではない。
恭介も伊達に修羅場をくぐって来た訳ではないだけに、ある程度の強さはやってみればわかる。
 
「あんたが親玉か?」
「いや、俺たちのボスはさっき出ていったクルマに乗っていた。」
「そうか。じゃ、今日はあんたのボスには会えずじまいか。」
「いや、違うな。」
「違う?」
「あんたは一生俺たちのボスには会えない。」
「なぜだ?」
「それは…」
「それは?」
 
「ここでお前らは俺に倒されるからだ!」
 
そう言うと、すぐさま恭介に向けて攻撃を仕掛けてくる。
 
 カキーン!
 
不意を突かれ攻撃を受けた恭介だが、身体に食らった際の音が普通じゃない!
そして、攻撃を受けたはずの恭介が相手に対してニヤリとする。
 
「そ、そんなバカな!? 貴様、我が攻撃を受けたではないか、なぜそのような顔が出来る!?」
「ふっ、知りたいか?」
「ああ、知りたい。」
「ならまずはお前さんの所属と名前を明らかにしろ。話はそれからだ。」
「…わかった。」
 
男は一旦は持っていた木刀らしき武器を放り捨てる。
 
「我らはW・S・Cに所属する者で、我が名は『忌将院 豪傑』と申す。」
 
(意外とすんなり素姓を明かしたな)
 
そう思いながら、恭介もすんなりと素姓を明かす。
 
「我が名は『三千里恭介』。所属はいわなくても分かろう。」
「ああ。その名は…知らん。」
 
  がくっ
 
脱力感が恭介を襲う。
 
「俺を知らないのか?」
「ああ、すまんが貴様の名前は初めて聞いた。」
「…悪い、やる気が失せた。今日の所はこれで失礼する。」
 
そう言って、恭介はその場から帰ろうとする。
 
「チョ、ちょっと待て。ここまで来てそれはないだろう。」
「いや、お前さん自身も名前も知らぬ男に負けるのは癪だろう。戦うのはまたの機会にしよう。」
 
そう言って、改めてクルマに乗って帰ろうとする。
 
「いやいやいや。名前を知らなかった事は謝る。だが、ここまで盛り上げておいて帰られて
しまっては、後であまおう様に何て言えばいいんだ?」
「あまおう様?」
「はっ!」
 
忌将院 豪傑はしまった、という顔をしている。
ついうっかり自分の親玉の名前を言ってしまったからだ。w
 
「プッ、お前さんの親玉は苺か何かか?」
「クスクス。w」

ついつい笑ってしまう恭介だったが、魔耶もその言葉に思わずクスッと笑ってしまう。
 
「ゆ、許さん。そこの2人、このまま帰すわけにはいかん、今ここでぶっ殺す!」
 
そう言うと、ダッシュでハイエースに戻り、何かしら武器を持って戻ってきた。
 
「ど、どうしますか、恭介様?」
「ああ、こりゃ決着がつかないと帰れそうにないな。」
 
恭介としては、対抗組織の人間に名前を知られていないのはちょっとショックだったが、
ここは戦わないと踏ん切りが付かない事は理解できる。
 
「わかった、ではここで戦うとしよう。」
 
高速道路の駐車場で2人は闘いを始める事となった。
 
 
 -つづく-
 
2010年11月17日 イイね!

【小説】刀をたずねて三千里  25

 
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     第2章   バカと刀は使いよう  11
 

 
 ジリリリリリリリン♪
 
「…ん、目覚ましか。」
 
目覚ましの音で目を開ける恭介。
 
「お・は・よ・う、恭介クン。
「おわっ!?」
 
目を開けた先に見覚えのある顔が!?
 
「ななななな、なんで次田女史がここにいるんっすか!」
 
恭介が起きた目の前に次田女史が恭介を覆いかぶさる形になっていた。
 
「だって、ここ数日恭介クン全然私の相手をしてくれないんだもん。」
「何の相手ですか。それよりもこんなことしてるとそろそろ来ますよ。」
「来ますよ、って誰が?」
「誰が?って、次田女史も御存じでしょう。」
「イ・ヤ、さとみんって呼んでくれなきゃ。
「さ、さ、さとみ…」
何やっとんじゃ、さとみん!
 
 バシッ!!!
 
次田女史の頭に大きなハリセンを一撃っ!
 
「誰よ、2人の楽しみを邪魔するのは?」
「お楽しみの所申し訳ありませんが、こちらも用事がありますので。(怒」
 
次田女史にハリセンをかました人物は上司でもある次田女史にも強気だった。
 
「あ、あははは、魔耶さんだったのね。今日はもうご出勤かしら?」
「ご出勤です。あと、そこをどいてもらえますか?」
「いえ、これからちょっとイイ所で…」
「ど・い・て・く・だ・さ・い・っ・!」
「…は~い。」
 
小声で答えると、そ~っと恭介のベットから降りる次田女史。
 
「そして、まだベッドで寝てる、お前!」
「わ、私ですか?」
「そう、お前だよ。今日は大事な日だってのに何でまだ寝てるんだよ。」
「は、はぁ、ちょっとニコ動が面白くてつい夜更かしをば…」
「年増の高校生が何やってるんだよ。」
「と、年増の高校生???」
「社会人なら明日に備えてさっさと寝るもんだろう。ちまんない夜更かししてんじゃ年増で十分だよ。」
「今日の魔耶はキツイっすね、さとみん。」
「そ、そうね恭介クン。」
「黙れ、2人とも!」
は、はいっ。」×2
 
朝から賑やかな聖(セント)・バーナード寺院であった。w
 
 
 
「じゃ、行ってきます、次田女史。」
「お土産、宜しくね~。」
「次田女史、そんなのはありませんからっ。(怒」
 
魔耶の超不機嫌モードの中、恭介は魔耶を乗せて愛車・インプレッサを走らせる。
 
「で、【大和守源秀国】は成田空港にあるんだな?」
「ええ、成田空港内にある第7貨物倉庫にあります。」
「わかった、とりあえず成田空港に行けばいいんだな。」
「はい、そうです。」
「よし、じゃあいっちょ飛しますかね。」
 
 ドゥロロロロロロロロロロ
 
自慢の水平対向エンジンが今日も唸る。♪
 
圏央道八九寺ICから八王子JCTより中央自動車道に入り、高井戸ICから首都高4号新宿線、
三宅坂JCTから首都高速都心環状線で江戸橋JCTより首都高速6号向島線⇒首都高速9号
深川線と経て首都高速湾岸線(東京線)、市川JCTで東関東自動車道に入るとあとは成田まで
ぶっ飛ばして最後に新空港自動車道より新空港ICで降りる、というルート。
航続距離約130km・渋滞なしで2時間弱だが、新空港ICに着くのに1時間半で到着した。
 
「よしっ、もうすぐ成田空港だな。」
「はい、一歩間違えれば事故るか捕まってましたが…」
「それは言うな。」
 
ちょっと無理な速度を出した訳だ。w
 
「とにかく、遅れ気味なので急ごう。」
「恭介様が起きるのが遅くなければ、もうちょっと普通に来れたのですが…」
「それは言うな。」
 
本当、漫才コンビにようだ。w
 
 
 
 
「あまおう様、ここでございます。」
「うむ。この倉庫に【大和守源秀国】があるのじゃな。」
 
W・S・C日本支部に所属するあまおう貴下の部隊10名を引き連れたあまおう様こと朝乃魔央は
成田空港第7貨物倉ビルに到着していた。
 
「吉岡、ここで良いのじゃな?」
 
にもつがかりの吉岡こと吉岡清江の情報に基づきこの場所を見付けだしたのだった。
 
「はい、あまおう様。こちらで間違いはございませぬ。」
「うむ、よい働きじゃ。褒めてつかわす。」
「ああ、あまおう様ぁ。
 
部下の吉岡は、このあまおう様こと朝乃魔央が好きであった。彼女の為なら死んでもいいという
心持ちの人物で、これまでも彼女の功績は表立ってないモノも多いが貴重な人材である。
最も、吉岡自身はあまおう様に気に応えれている事が至福の時だそうだ。さすがレ○である。(爆
 
「では、捜索を始めよ。」
 
部下たちは【大和守源秀国】を探すべくビル内を物色していく。
そして、探す事1時間。
 
「あ、ありました、あまおう様!」
「何、見つけたか!」
 
ついに【大和守源秀国】を見つける事に成功する。
 
「あまおう様、この刀はどういったシロモノなのですか?」
「ああ。これはな…」
 
あまおう様は長い説明に入った。
だが、ここでは簡潔な説明にする。w 

   『大和守源秀国』
 
時は江戸時代幕末。主に京都において、反幕府勢力弾圧のための警察活動に従事すべく結成
された新撰組。そのメンバーの中にいた新撰組副長・土方歳三
この鬼の副長が愛用していたと言われるのがこの『大和守源秀国』と呼ばれる刀である。
しかも、新政府樹立後の新政府軍と幕府軍との戦いで土方歳三最後の戦地となった函館戦争で
土方歳三が自決する際に使われたいいう言い伝えがある刀がこの刀である。
 
 
この刀には持ち主であった土方歳三の怨念が宿っているという事で、W・S・Cはその刀に宿る
怨念をエネルギーを抽出したい目的があり、我々I・S・A・Mが持っていたのを知り、どうにかして
その刀を獲得したいと思っていたようだ。そんな中、その刀が日本に来る事を知り今回の行動に
出たという訳だ。怨念をエネルギーに変えて何をするのか?まだ謎は多いようである。
 
 
  
「さあ、着いたぞ。」
 
ようやく成田空港に到着した恭介と魔耶は第7貨物ビルに到着するが、ビル入口には黒色の
新型フーガハイブリッドと真黒なハイエース・コミューターが停まっている。
 
「何だ、このクルマは?」
「何でしょう、このクルマは?」
 
恭介と魔耶は周囲に人がいるか確認し不在を確認して、魔耶が車内を物色し、恭介が見張り役を
務める。そして、魔耶が何かを見つける。
 
「恭介様、これを。」
「こ、これは!?」
 
魔耶が持ってきた物は、W・S・Cの人物が使うバックであった。
 
「まさか、ここのWSCの奴らがいるのか。」
「おそらくそうでしょう。となると、彼らが捜しているモノって…」
大和守源秀国か!?」
「間違いないでしょうね。」
「そりゃ急がないとな。」
「いえ、お待ちください。」
 
急いでビルに入ろうとする恭介を止める魔耶。
 
「急がないと奴らに先を越されるぞ。」
「いえ、もう遅いと思った方がいいでしょう。」
「じゃ、どうする?」
「簡単です。ここで待てばいいのです。」
「ここで待つ? どういう事?」
「彼らが刀を見つけたとして、その後どうすると思いますか?」
「そりゃ、刀を見つけたらもうここには用がないからさっさと帰るわな。」
「ですよね。ではどこへ帰ります?」
「そりゃ、奴らのアジトだろう。」
「そうです。だらか私達は待てばいいのです。」
「…あ、そう言う事か。」
「ここで待つ、という意味がわかりましたか。」
「ああ、では奴らにバレない所で見張るとしよう。」
「はい。」
 
 
 
「なるほど。そういういわくつきの刀なんですね。」
「ああ、あとはアジトに戻り、総大司教にこの刀を渡すだけね。」
「では、I・S・A・Mの奴らが来る前に帰りましょう。」
「うむ。では、皆の者帰るぞ。」
「お~!」
 
あまおう様の号令で全員撤収に入る。そして、クルマに戻り各員乗車する。
 
「では、出発じゃ!」
 
こうしてW・S・Cの面々を乗せた2台は成田空港を後にするのであった。
 
 
 
「恭介様、奴らが出てきました。」
「ああ。」
「全部で11人いますね。」
「さすがに、2人で奴らの相手は無理だな。」
「そうですね。予定通り奴らのアジトまであとをつけましょう。」
「あ、あれ新型フーガハイブリッドじゃなイカ。初めて現物見た。」
「何、喜んでるんですか。早くクルマに戻って後を追いかけましょう。」
「おっと、そうだな。」
 
こうして、W・S・Cは【大和守源秀国】を獲得し帰宅の途につき、恭介らはそのブツを追う事で
奴らのアジトもわかると一石二鳥だと思っていた。
 
 
  -つづく-
 
2010年11月07日 イイね!

【小説】刀をたずねて三千里  24

 
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     第2章   バカと刀は使いよう  10
 
 
ひとまず、恭介のクルマにアルピナと魔耶、そして、偶然一緒になった女性を乗せ
都内のとある病院に向かう。
 
「どうなんだ魔耶、アルピナの様子は?」
「はい、若干傷口が深いので血が止まりません。」
「…そうか。」
「恭介様?」
「少し急ぐぞ。」
「え?」
 
 ぶぉ~ん
 
308馬力が唸りを上げ、スピードを上げていく。
 
「は、は、早すぎます~」
 
行きがかりで恭介のクルマの助手席に乗せられなおかつ都内の一般道を100km近くの速度で
走られて、怖くない訳がない。
 
「すまない、ちょっと急ぐから。」
「ち、ちょっと急ぐという…って、きゃ~」
 
交差点を曲がるのに、慣性ドリフトを使う恭介。
 
「あ、ごめん…って、あれ?」
 
隣の女性が静かになる。
後ろにいる魔耶が確認をする。
 
「恭介様、彼女気絶をしてますね。」
「そ、そうか。」
「私は慣れましたが、彼女には酷だったようですわね。」
「あははは。」
 
薄く笑って誤魔化す恭介。w
 
「あ、あと彼女には悪いが今のうちに彼女の素姓を調べてくれ。」
「わかりました。」
 
彼女を一緒に連れてきた真意は、アルピナや恭介らと関わりが出来てしまった為、もし彼女から
恭介らの素姓が判明されても困るので、一緒にきてもらったのであった。
手持ちのバックをちょっと拝借し、中を探る。

「彼女の名は『川崎 詩織』。看護師です。」
「か、看護師?」
 
これにはびっくりである。血を見て驚き、確かに激しい動きだったとはいえクルマで気絶をする。
恭介の知る範囲で看護師という職業の人物が血を見て叫んだりするなんて想像できない。
手術の時なんか、ほぼ血を見るはずである。どうすんだ、それで?
 
「えっと、ネームプレートから判明しましたが、勤め先は【春原病院】で…って、え~!?」
「な、何だって、春原病院だと!?」
 
恭介と魔耶は驚きを隠せなかった。なぜなら、恭介らがこれから向かおうとする病院が
他でもない【春原病院】だったからである。
 
【春原病院】は都内にある病院である。一般的な総合病院であるが、この病院は恭介らが
所属するI・S・A・Mの関連施設であった。その為、今回のように何かあった際はこの病院を
使うように言われていた。だが、恭介自身がその病院を訪れるのは初めてである。
まあ、これまで東京の病院にお世話になることがなかったからでもあるのだが。w
 
とにもかくにも愛車のナビによってどうにか【春原病院】に到着する。
 
「ど、どうなさいました!?」
 
受付で、アルピナを見て驚く受付のスタッフ。
 
「すみませんが、特派の治療でお願いします。」
「と、特派ですか。わかりました!」
 
受付のスタッフの動きが変わる。
特派】というのは、この病院でI・S・A・M関連の人物が治療を受ける際に告げる言葉で
これにより、特別室にて治療・入院が出来、外部からの接触は限定されるので、有事の際にも
その存在を隠す事が可能となる。よく政治家が別に体調不良でもないのに極秘に入院する時に
使われる病院の様なモンだと理解していただければいいでしょう。w
 
「ひとまず、アルピナの方はここに任せるとして、次はあの彼女の番だな。」
「そうですね、どうしますか恭介様?いつものように記憶を消しますか?」
「そうだな、我々とは会ってない事にする方が良いな。」
「わかりました。では、クルマに戻りましょう。」
「ああ。そろそろ彼女も気絶から目を覚ます頃だろうからな。」
 
そういうと2人はクルマに戻る。
 
 
 
「…血が怖い?」
「あなたそれでも看護婦?」
「あんた、また失敗したんですって?」
「注射もまともに出来ないの?」
 
・・・
 
「す、すみませ~ん。(爆」
「すみませ~ん…」
「すみませ~ん」
「すみませ~ん…」
「すみませ~ん…」
 
・・・
 
「・・しもし?」
「もしもし?」
「もしもし?」
 
 がばっ!?
 
「え、えっ?」
「起きましたか?」
「え、えっ? 私、どうしましたか?」
「いえ、このベンチで寝ていたようですが、もう夜も深まっていく時間に女性1人でベンチに
 寝ているのは好ましくないと思い、申し訳ないとは思いましたが、起こさせていただきました。」
「あ、そうですか。どうもすみません。で、ここはどこですか?」
「春原公園です。」
「す、春原公園ですか。って事は日勤が終わって帰る時いつの間にかここで寝てたんだ、私?」
「事情は良くわかりませんが、起きられたようなので安心しました。では、私どもはこれで。」
 
そう言って詩織と別れようとしたが、彼女がそれを制止する。
 
「待って下さい。」
「はい?」
「あのぅ、この後お時間ありますか?」
「もう22時が来る頃なので。」
「あ…」
 
思わず時計を見る詩織。
 
「もうこんな時間でしたか。お礼と言う訳ではありませんが、何かお返ししようと思ったのですが…」
「あ、そうですか。では、食じ…ってあいたたたた。」
 
 ぎゅ~っ!
 
せっかくなので食事でもと思ったが、後ろにいる魔耶がそれを止めるべく恭介のお尻をつねる。
 
「いえいえ、もうこんな時間です。危険な人物もいる時間ですので、私達はこれで。」
 
ギロッと恭介を睨みつつ、詩織に柔らかく断りを入れる。
 
「そ、そうですか。
では、せめて名刺でも…」
「では、これにて失礼。」
「あ…」
  
詩織が名刺を渡そうとする手前で一言別れの言葉を言い、恭介を引っ張りつつその場を後にする。
 
「行ってしまわれましたわ。」
 
去りゆく恭介と魔耶を目で見送りながら、なぜ公園で寝ていたかを思い出そうとする。
だが、恭介と会っていた時の記憶を消されている詩織が思い出せる訳がない。
詩織に病院の仕事帰りについ傍の公園で寝てしまったシチュエーションを作りだしたのだから。w
 
「でも、またあの人には会えそうな気がしますわ。」
 
その予感は実現するのだが、その話はまた先の話という事で。
 
 
 
 
「あまおう様、先ほど部下から今日成田に着いたドイツ便の荷物に【大和守源秀国】
 思われるブツがあったとの報告がありました。」
 
ここは、八九寺市内のとあるアジトの禁断場所、略して禁所目録。w
WSC日本支部幹部であるあまおう様事『朝乃魔央』は、部下から【大和守源秀国】に関する
報告を受けていた。
 
「そのブツがI・S・A・Mのアルピナなる者の品である可能背が高いのだな?」
「はい、成田空港にいる同胞でそこのにもつがかりの吉岡からの報告なので、間違いは
 ないと思います。」
「何だか、どこかで聞いたような歌手にような名だが、まあよかろう。では、明日そのブツを奪いに
 言ってくれ。」
「はっ。では、その任務はぜひ私に。」
「岡本、そちは今日アルピナに手を掛けたのにその時何も得なかったではないか。」
「そ、それは…」
「無駄に騒ぎを起こせとは私は言っておらん。余計な手間は我らの流儀に反する。」
「す、すみません。次こそは華麗に事を勧めます故、どうか今一度私めにチャンスを。」
「…わかりました。もう1度だけチャンスを与えましょう。」
「あまおう様、ありがたき幸せ。」
「だから、そう簡単にあまおう様と言うなと言っておろう!」
 
実はアルピナが来日するにあたり、ドイツから別便で【大和守源秀国】を搬送するようにしていた。
当人が刀を持って飛行機に乗るのは今の時代相当に困難がある上、テロリストと間違われる
という疑惑で問題を起こす訳にもいかないので人とブツを分けたのだが、W・S・Cがその事に
気付いたようで、いよいよ【大和守源秀国】奪取に向けて動き始める。
 
 
 
詩織と別れて恭介のインプレッサで八九寺市に帰る途中の車内での会話。
 
「恭介様。さっきは何ですか。今日初めて会った人に色目を使うなんて。」
「おいおい、そういうつもりで言った訳ではないってば。」
「恭介様の目を見ればわかります。あの時、ヤラシイ目をしてました。」
「ま、マジか…」
「今度、色香を使っている所を見かけた時は、どうなるかわかってますわね?」
 
再びギロッと恭介を睨む。その様子はメデューサに睨まれるのに似てうな、と恭介は感じた。(爆

(はぁ、怒らせると怖いな、魔耶は…)
 
様々な事があったこの日も、ようやく終わりを迎えるのであった。
 
 
 -つづく-
 
2010年10月31日 イイね!

【小説】刀をたずねて三千里  23

 
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     第2章   バカと刀は使いよう  9
 
 
 ドロドロドロドロドロドロドロ・・・
 
スバル独特の重低音をなびかせて、恭介の愛車スバル・インプレッサR205は八九寺ICから
羽田ICまでの約70kmの距離をめいっぱい飛ばしながら走る。
 
「恭介様。アルピナ様が到着する時間まで1時間ちょっとしかありませんよ。」
「あ、ああ。」
「…。」
 
恭介の愛車の助手席に座るのは、恭介のサポーターである魔耶。
直前まで都歌沙といた事はもちろん黙っている。魔耶には歓迎会で遅くなったと伝え魔耶も
それ以上は詮索してこなかったというのもあったが、車内は少々気まずい雰囲気だ。
 
圏央道にある八九寺ICから八王子JCTを経由して中央自動車道に入り首都高を目指すが、
国立府中ICあたりから徐々にクルマが増え、車線が混んできた。
そして、稲城あたりからは完全にノロノロ運転になっていた。
渋滞がなければ1時間かからない今回のルートも通勤ラッシュと重なる夕方だとやはり混んで
きてこの辺りでいつものように渋滞が起こる。
その渋滞のせいで車内の空気が更に重くなる。
 
 (何だ、このプレッシャーは!?)
 
そう感じずにはいられない雰囲気だったと、後に恭介は語った。w
 
高井戸ICを抜け首都高4号新宿線に入った辺りから段々とクルマの流れが戻っていく。
 
「恭介様。あと30分しかありません。」
 
渋滞から抜けその気になれば飛ばせそうになったので、恭介は重苦しい雰囲気を打破する
意味も含め、警察には言えないスピードで羽田に向けてぶっ飛ばす事にした。
 
「魔耶、ちょっと飛ばすから、しっかりと乗っててくれ!」
「…わかりました。」
 
恭介は魔耶にそう言うと、アクセルをぐぐっと踏む。もちろんSI-DRIVEは『S#』である。
 
 ドッドッドッドッドッドッドッドッ・・・
 
水平対向4気筒DOHC16バルブAVCSツインスクロールターボが激しく唸る。
メーターは通常とは違う300kmメーターだが、普通ならリミッターで190kmくらいまでしか出ない。
今、恭介の乗るR205が示すメーターの針は200kmをちょっと越えた辺りだ。
 
「きょ、恭介様。ちょっととばしっ…すっぎっ…」
 
さすがに魔耶もこれまで体験した事のない速度に身体が硬直しつつある。
 
「すまん。時間に間に合わせるからもうちょっと我慢してくれ。」
 
そう言いながらアクセルを緩める事なく、クルマを走らせる。
それまでの重苦しい車内の雰囲気のうっぷんを晴らす意味もあって、恭介はまだクルマの多い
首都高を半ば強引に走らせていく。さながら『首都高バトル』というゲームのような感じだ。ミ☆
ただ、目的地・羽田周辺にレモンフレーバーの乗るスープラはいない。www
 
首都高4号新宿線から三宅坂JCTを経由し首都高都心環状線に入り浜崎橋JCTから首都高
1号羽田線⇒首都高速11号台場線をひた走り、有明JCTから首都高速湾岸線(東京線)に入り
目的地・空港中央ICで高速を降りると、すぐ羽田空港である。第1立体駐車場が満車だったので
第2立体駐車場に愛車を止めると、速攻で空港ターミナルを目指す。
 
先ごろ羽田空港の国際便が復活した為、成田より近い羽田を選ぶ事となった訳だが、
もし、成田だったら間に合わなかったであろう。そう言う意味では羽田で良かった。w
 
「ふぅ、何とか間にあったぜ。なぁ、魔耶…って、あれ?」
 
駐車場に到着し安堵の表情で助手席に座る魔耶を見ると半眼でぐったりとしていた。
 
「きょ、きょうすけさま~、そんなに飛ばさないで~・・・」
「す、すまなかった。さすがに200kmオーバーの世界は負担がかかったようだ。」
 
恭介自身は、I・S・A・Mドイツ支部にいた時、ニュルブルクリンクでもクルマを走らせた経験が
あるのでそうでもなかったが、普通の人は200kmオーバーの世界を経験いる人は皆無であろう。
仕方なく魔耶をクルマに残し、恭介はターミナルへと急ぐ。
 
 
 
「思ったより早く着いたでござるな。」
 
到着が20:20の予定だったパリ発羽田行きのJAL4989便は、当初の到着予定時間よりも
20分近く早く到着していた。日本は3度目の来日であるアルピナだったが、前の2回はいずれも
成田空港着だったので、羽田は初めてであった。なので、どこをどう行くのかわからなかった。
 
「全く、英語や中国語・ハングルの表示ばかりで、なぜドイツ語の表示がないんだ。」
 
彼自身、英語を知らない訳ではなかったが、母国語を重んじる気質がある為か、その事で
怒っていた。w
 
「だいたい、日本への直行便でもドイツからの便がないから仕方なくパリから来たが、不満だ。」
 
一人でぶつくさぼやいていた。そんなアルピナの元に1人の女性が近づいてくる。
 
「あのぅ、ドイツ支部から来られた方ですか?」
「ええ、そうでござるが、何か?」
 
アルピナに話しかけてきた女性は清楚な雰囲気で着物を来ていた。
 
「お待ちしておりました。では、こちらへ。」
「それはかたじけない。」
 
その女性に案内されるがままに、一緒に歩むアルピナ。
 
(なかなかに美人な日本人だな。味見してみるかな。)
 
アルピナはI・S・A・Mに所属するメンバーの中でも1・2を争う女好きであった。w
それは任務の途中でも、いい女と思えば言葉巧みに誘いをかける。
この前もアメリカでの任務の際、好みのアメリカ娘に声を掛け食事やらピーをしてみたら、
ナント地元のマフィアのボスの娘だった事もあったが、そんな事でめげるアルピナではなかった。
 
(せっかく日本に来たんのだから日本人女もいただいていくでゲス)
 
そんな邪な想いがあった為に、このあと散々な目に遭う。(爆
 
「こちらで一緒にお待ちください。まもなく同志が到着します。」
「ああ、そうでござるか。」
 
いささか語尾がおかしいが、日本語を覚える際『木枯し紋次郎』や任侠映画を活用
したのでその辺はやむなし、というヤツだ。w
 
「ところで、飛行機に乗る際はさすがに武器を持ちこめなかった故、早く手配した武器をござれ。」
 
アルピナがそう言った途端、着物女の表情が少しだけ変わる。
 
「【大和守源秀国】を持って来られたのではないのですか?」
「飛行機にそんな物騒な刀を持ちこめる訳がないでござろう。おかしな事を聞くなぁお主。」
「そ、そうですか。それは失礼いたしました。」
「そう言う訳でござるので、早く持ってきてごじゃれ。」
「そうですか、持ってませんか。」
「ああ、持ってない。だから早く手配をしてくれ。」
「わ、わかりました。ではその場所へ案内をいたします。」
 
そう言うと、着物女はアルピナを連れて別の場所へ行こうとする。
 
(うむ、なんだかおかしい…)
 
ひとまずは着物女に付いて行くアルピナであったが、段々とおかしいと感じてきていた。 
 
「ところで、愁作は元気にやってるでござるか?」
「え、ええ。彼は元気でやってますよ。」
「…あんた誰だ?」
「え?」
 
不穏に感じたアルピナはここに来るはずの恭介の名前ではなく、全く関係ない人物の名前を
使ってみる事で、相手の反応を観ようと思ったが、あっさりとボロを出してきた。
 
「愁作という人物は存在しないぜよ。あんた、一体誰なんじゃ?」
「…うふふふ。随分簡単に騙せる人だなと思いましたが、フェイクでしたか。」
「ふっ、いい女には騙すより騙されたいと思うタチでしてね。」
「ふ~ん、だったら最後まで騙されてくれればよかったのに。」
「俺もそうしたかった所でござるが、本能がそれを許さなかったってもんよ。」
「あんた結構いい男だね。あんたになら抱かれてもよかったかも、ね。」
「何なら今抱いてやろうか。」
「…、いいわよ。」
 
敵ではないかと思う女をなぜか抱く展開になる!?
 
(俺も好き者だなぁ)
 
そう思いながらも、いい女を見逃すのはもっと嫌な性分であった。w
だが、ここではそれが災いとなる。
 
「ギュッと抱いて。」
 
そう言って思いっきりアルピナの元へ飛び込んでくる着物女。
 
「おっと。♥」
 
軽い気持ちで飛び込んでくる着物女を受け止める。 

 グサッ!
 
「うっ…」 

「遅ればせながら、確かに武器はお渡ししました。残念ながら【大和守源秀国】ではありません
 けどね。うふふふ。」
 
そう言うと、着物女はアルピナを置いて静々とその場を離れる。
 
「…Sie Arschloch !?」(くそったれ !?)
 
着物女は抱きつく時、懐に忍ばせていた短刀をアルピナに飛びつく際器用に刃をアルピナに向けて
いたのであった。その為、飛び込んでくる着物女を受け止めた時見事にその短刀がアルピナに
刺さってしまったのだった。
 
「抱き合ってから何か仕掛けると思っていたが、まさか抱き合う瞬間に仕掛けてくるとは…」
 
自身も焼きが回ったな、と思いながらも、その傷は決して浅くない。
 
(ちょっと痛いな…)
 
そう思いながら、空港内を歩くアルピナ。
 
「そろそろ三千里恭介が来る頃でござるな。待ち合わせ場所を確認せねば。」
 
そう思ったアルピナはたまたま傍を歩く女性に声をかける。
 
「ちょっとよろしいでござるか?」
「は、はぁ…」
 
白人に声をかけられた女性は一瞬おっと思うが、その口調に違和感を覚える。
そりゃ、白人が~でござるなんて言うのはおかしいの一言に尽きる。w
どんな人なんだろう?と思い、顔からず~っと下に向けて容姿・服装をチェックしようとする。
 
「…えっ!?」
 
ちょうどお腹の辺りを見た時、その周辺の衣装が赤く染まっている事に気づく。

「ど、どうされたんですか、それは?」 
Werden Sie einen Krankenwagen rufen?(救急車を呼んでくれませんか?)」
 
 バタッ・・・
 
アルピナの傷は結構深く、思わずドイツ語で救急車を読んで欲しいと言ってしまう程であった。
 
 キャー!? 誰か来て~!
 
 
 
 
「キャー!? 誰か来て~!」
 
発着ターミナルへと急ぐ恭介の元へ何やら叫び声が聞こえてくる。
 
「ん、何だ? 誰か叫んでいる。」
 
遠目の前方で聞こえた叫び声の所へ駆け寄る恭介。
 
「誰か、救急車を読んでくださいっ。」
 
とある女性が倒れている人物の横で助けを求めている。
その倒れている人物の髪の毛の色がどことなく見覚えのある人物にような気がして、すぐさま
そのもとに駆け寄り、その女性に話しかける。
 
「どうしました?」
「この男性がお腹から血を大量に流しているんです。」
「何ですって?」
 
そう言ってその男性を見ると、間違いなく恭介の知る人物であった。
 
「あ、アルピナ!?」
 
思わず叫ぶ恭介。
 
「救急車を読んだ方がいいですよね?」
「そ、そうですね。えっと、どうすっか…」
 
確かに救急車を呼ぶのが先決であるが、アルピナを普通の病院へ連れていくのは色々と
問題があるので、どうするかためらう恭介であった。そこに、やっと体調が戻った魔耶が合流する。
 
「お待たせしました…って、どうしたんですか、恭介様?」
「あ、魔耶、いい所に来た。俺はコイツを担いで自分のクルマに連れていくので、その間に
 次田女史に連絡して、アルピナをどの病院へ連れていったらいいのか、確認を取って欲しい。」
「わ、わかりました。」
 
そして、アルピナを背負うとアルピナの傍にいた女性に声を掛ける。
 
「しまないが、あなたも一緒に来てくれませんか?」
「あのぅ、それよりもどうして救急車を呼ばないんですか?」
「話は後で説明しますので、とにかく一緒に来てください。」
「は、はぁ、わかりました。」
 
こうして、恭介はアルピナと合流を果たすが、その形は非常に宜しくない形で会う事となった。
 
 
 -つづく-
 
 
 
 
    < 主な登場人物プロフィール 2 >
 
 
 ☆魔耶(まや)   CV:新井里美
 
I・S・A・M日本支部所属。三千里恭介直属のサポーターとして恭介の仕事を補佐している。
見た目は20歳くらいに見えるが、実年齢は不詳。169cm 52kg B88・W59・H86。
なぜかメイド服で活動する事が多く、特殊作戦であろうがその基本姿勢は変わらず、
メイド服の戦闘モード版等5種類のメイド服がある、と本人も言っている。
だが、恭介自身が知ってる別バージョンのメイド服でも2つまだ見た事がないモノがあるらしい。w
 
恭介の事は『恭介様』と呼ぶ。
 
 
 ☆朝乃魔央(あさの まお)   CV:伊藤静
 
剣道部に所属する3年の女性先輩。その実力は非常に高く全国大会に出るほどの腕前を持つ。
武道をする身でもある為、スタイルは良い。163cm 47kg B85W57H87。 
だが、それは表の顔。裏の顔は恭介の所属するI・S・A・Mとは反対の組織・W・S・Cの
日本支部長・朝乃真之介の娘にしてその幹部でもある。
支部内では「あまおう様」と呼ばれ、組織員の中でもファンは多い。
あまおうという謂われは、朝乃の「あ」と魔央を「まおう」というのを掛けて「あまおう」となった。w
 
恭介の事は『恭介氏』と呼ぶ。
 
 
 ☆ブラハム・B・アルピナ    CV:福山潤
 
恭介の所属するI・S・A・Mのドイツ支部の所属で、恭介が2年間ドイツにいた時にコンビを
組んでいた事もある人物である。ちなみに、仲は良くない。w
いい女には目が無く、時には痛い目にもあったりするが、その性癖はいまだ治らず。(爆
美形でスタイルもいいので女性からの受けも良い為、やりこんだ女性の数も相当なものだとか。w
 
 
 ☆丹下鉄平(たんげ てっぺい)    CV:下野紘
 
恭介と同じ2年B組のクラスメイト。なぜか恭介につきまとう。今は朝乃先輩に惚れこんでいるが、
基本的に女性好きである。w ただ、1度も女性と付き合った事は無い。
実家はお金持ちだが、それを鼻にかけないのが唯一の救いか。¥
恭介らの財務省と化する危険もはらむ。
 
 
 ☆北山有希(きたやま ゆき)   CV:茅原実里
 
恭介のクラスメイト。物静かでおとなしい娘。密かに転校してきた恭介に好意を持つ。
ちょっとぽっちゃり体型なのを気にしている。お菓子類には目がなく、お菓子作りはかなり上手い。
158cm 57kg B93W65H97。
 
恭介の事は竹嶋 由布子同様『恭介さん』と呼ぶ。
 
 
簡単ではありますが、第1章⑪以来のキャラ紹介をさせていただきました。
 
最後に、CVは脳内妄想ですので…念のため。w
 
2010年10月26日 イイね!

【小説】刀をたずねて三千里  22

 
 バックナンバー⇒第1章、 
            第2章、
 
 
     第2章   バカと刀は使いよう  8
 
 
「いっぱい食べたね。」
「ええ、もう大満足。♥」
「御馳走様です。」
「ゴチになります、丹下~。」
「ううっ・・・(泣)」
 
人の奢りで飯を食うのがこんない美味しいだなんて。w
 
「では、あとはデザートを頼んで、っと。」
「まだ食うんかいっ!」×4
 
あれだけ食べて更にデザートまで食べようとする澄香。
さすがに都歌沙・恭介・有希・スポンサー丹下もツッコミを入れざるを得ない。w
 
「え~、1つだけいいから、ね。」
 
そう言うと丹下にウィンクをする澄香。
 
「は、はい。1品と言わず2つでも3つでもいいですよ。♥」
「はぁ…」
 
丹下は尻に敷かれるタイプだな、と改めて思った恭介であった。w
 
「じゃ、ごはんをもう1杯。」
「え、ごはんだけ?デザートじゃなかったの?」
「何言ってるの、ごはんこそデザートじゃない。」
「言ってる意味がよくわからないんだが…」
 
ごはんがデザート? 何のこっちゃ?
 
「ほら、歌でもあったじゃない、『ごはんはデザート』って歌が、さ。♪」
「あ~、うちの学校にある軽音楽部が作った曲にそういうのがあったね。」
「あ、知ってます。確か『放課後DAYタイム♪』ってバンドですよね。」
 
へぇ、そんな部が修大附にあったんだ。w
 
「で、最近はごはんをデザートにしてるんだ、てへっ。」
「てへっ、じゃねぇよ。(爆」
「と、とにかく、普通のデザートを食べましょう。」
「結局お前も食うんかいっ!」
 
って事で、4名は普通にデザートアイスを、澄香は食べるラー油付きごはんを注文する。
 
 
「でね、もぐもぐ、来月の修学旅行の、もぐもぐ、場所なんだけどね、もぐもぐ、どこになるか…」
「なあ澄香、食べるか喋るかどっちかにしてくれ。」
「澄香は天然だからねぇ。」
「お前がそれをいうか。(爆」
 
これまでの行動を見ると、都歌沙も結構天然ぷりを感じた故の恭介の意見であった。w
 
「せっかくの高校の修学旅行なんだから、思い切って海外とかもいいと思うんだけどなぁ。」
「ねえ丹下~、そのお金はどこから出るのよ?海外なんて高くて行けないわよ。」
「ありきたりの所でも、修学旅行となれば雰囲気が変わってくるからおもしろいと思うよ。」
「そうだね。一体どこになるんだろうね?」
「せっかくだから【尖閣諸島】ってのは?」
「丹下~、そのせっかく尖閣を掛けたつもりだろうが、そのダジャレは笑えない。(爆」
 
デザートを食べながらそれぞれが来月に迫った修学旅行の話で盛り上がる。
 
「では、最後に来賓の三千里恭介っちから一言お願いします。」
 
そろそろいい時間になってきたので、澄香が音頭を取りお開きにしようとする。
 
「え~、本日は私・三千里恭介の歓迎会を開いてくれて感謝の限りであります。」
「堅っ苦しいぞ~、恭介っち。」
「そうだよ、三千里クン。」
「三千里~、ここでハレンチな1発ギャグを…」
「ハレンチハレンチユカイ・・・って、そんな事するかっ!」
 
 ぼかっ!
 
みんなが大笑いする。
 
「では、改めて。今日は本当にありがとう。まさか転校したばかりの俺にこうまでしてくれるなんて
 本当に嬉しかった。今日の思い出は一生忘れない。」
 
 パチパチパチパチ♪
 
簡単ではあったが、恭介の感謝の気持ちが集まった全員伝わったようだ。
 
「これからも宜しくね、恭介っち。」
「これからも宜しくね、三千里クン。」
「これからも宜しくお願いします、恭介さん。」
「これからも宜しくな、心の友よ。」
「丹下~。お前はジャイアンか。w」
 
こうして、一通りの挨拶が終わっった、かと思った時後ろから声がする。
 
「私も忘れないでよ。」
「あ、ゆみっちだ。」
 
恭介の後ろから竹嶋由布子が声をかける。
 
「最後に私からのサービス、ね。♥」
 
そういうと、小さな紙袋をみんなに手渡す。 何だろうと袋を開けると、そこにはカップケーキが。
 
「あ~、今大人気の【虹色パティシエール】で売ってるバニラショコラケーキだ!」
「え~、うそうそ。あ~、本当だ!」
「私、1度食べてみたかったんです。」
 
女性陣には大ウケである。
 
「えっと、丹下~?」
「何だい、三千里~。」
「お前、このケーキ良かったら食べないか。」
「え、いいの!?」
「ああ、お前今日お金いっぱい使っただろう。せめてこれでも食べてくれ。」
「ありがち、三千里~。」
 
そう言って恭介に抱きつこうとする。(゜Д゜三⊂(゜Д゜)スカ。
 
感動で抱き合うつもりで恭介に突進する丹下であったが、思いっきり恭介はその突進を避ける。
 
「痛~っ、逃げないでよ、三千里~。」
「男が男に抱きつこうとするからだ。俺はそんな趣味はないっ!」
 
最後にオチが付いて、この集まりはお開きとなる。
 
 
「じゃ、また学校で。」
 
そう言うと、速攻でその場を後にする澄香。
 
「相変わらず忙しい娘だな、澄香は。」
「何でも、この後デートだって。」
「デート? 誰と?」
「刑事さん。」
「け、刑事さん!?」
 
そう、澄香は恭介と出会って間がない頃、都歌沙とマクドムドムで会った時に出くわした事件の際
事情徴収をした刑事と縁があって付き合ってる事を都歌沙から聞く。
 
「恋には猪突猛進あるのみ、が澄香のモットーだからね。」
 
軽く笑いながらそう言う都歌沙であるが、事情徴収を受けた刑事と恋仲になるってのも珍しいと
思うんだが、というのが正直な感想だが世の中色々な恋路があるもんだ。w
 
「とっとっ、ところで、三千里クンはこの後何か用事があるの?」
「あ、えっと…」
 
時計を見ると時間は18:30。アルピナが羽田空港に到着する時間は20:20。今からクルマで
飛ばしてもギリギリって時間だ。
 
「あ、用があるならいいの。」
「で、でも…」
「ううん、忙しいのにごめんね。」
 
そう言うと、そのまま帰ろうとする都歌沙。その姿を見て恭介は何か別の感情を覚える。
 
 がしっ!
 
そう思った瞬間、恭介は帰ろうとする都歌沙の手を取っていた。
 
「え?」
 
思いもよらぬ行動に驚く都歌沙だが、思わず手を取った恭介自身も驚いている。
 
(どうしたんだ、俺? なぜ彼女の手を取った?)
 
「え~っと、ちょっとだけ電話していい?」
「え? ええ。」
 
キョトンとしながらも、恭介が電話するのを待つ都歌沙。
 
 プルルルル プルルルル プルルルル・・・
 
「はい、もしもし?」
 
電話の先は魔耶であった。
 
「ああ、魔耶か。」
「どうしたのですか、恭介様。そろそろアルピナ様をお迎えに行く時間ですよ。」
「えっと、その事なんだが…」
「どうしました?」
「すまないが、魔耶1人で迎えに行ってくれないか?」
 
思ってもいなかった言葉に驚く魔耶。 
 
「何を言ってるんですか!? 恭介様が出向いてこそ意義があるのに私だけで出迎えるなんて
 出来る訳ないでしょう。」
「それはそうなんだが…」
「電話してくる時間があるのでしたが、速攻で戻って来て下さいっ。」
 
1人で行けという理由は聞いてこなかった、仮にその事を聞いてきても魔耶に言える訳がない。
 
「…すまなかった。これから羽田に向かう。15分したら戻るから準備をしていてくれ。」
「…わかりました。」
 
何か言いたそうだったが、魔耶はそれ以上聞いてくる事はなかった。
今度は、都歌沙の方の番だ。
 
「ごめん、待たせた。」
「ううん、いいの。電話は終わった?」
「ああ。引きとめてすまなかった。」
「…そう。」
「…。」
 
ちょっとの間2人の間に沈黙が漂う。
 
「…じゃ、帰るね。」
 
そう言って、その場を去ろうとする都歌沙。
 
 がしっ!
 
去ろうとする都歌沙の手を再び取ってしまう恭介。
 
「1つだけ尋ねていい?」
「え、ええ。」
「さっき、俺がこの後用があるか聞いてきたのはなぜだい?」
「え…」
 
今度は都歌沙が戸惑いを見せる番である。 
 
なぜ、恭介の都合を尋ねたのか?
それは初めて恭介と出会った時から今の今までずっと抱いていた想いであった。
この場合の初めて会った時とは2年B組の教室で出会った時ではない。そう彼女の言う初めて
出会った時とは、恭介が運転するインプレッサに轢かれそうになった時の事である。
運動神経の良い都歌沙は動体視力も抜群である。クルマに轢かれそうになった時、運転手の
顔を見ておく事はそう難しい事ではなかった。あもちろん、その顔は間違いなく恭介の顔である。
1度、恭介に確認を取ったがその時は「違う」という答えであった。だが、その答えに今でも
納得をしていない都歌沙の考えがあった。
 
「私があの時クルマに轢かれそうになったのは三千里恭介に間違いない!」
 
この想いがずっとあった。別にその事を攻めようという訳ではない。どちらかと言えば思わず道に
飛び出してしまった都歌沙の方に非があるといえよう。ずっと気になっていたのは、もしあの時の
運転手が恭介である場合、なぜその事を恭介が隠すのか?同級生である恭介がなぜクルマに
乗っていたのか?彼の家で歓迎会をしようとした時、それとなく拒否する方向に持っていかれた
のはなぜか?色々な事が重なっていくにつれ、都歌沙の心の中には『三千里恭介』がすっぽり
収まっていた。
 
どうしても真実が知りたい。でも、それを知ってどうなる?
 
様々な葛藤があった中迎えた今日のイグナリアでの歓迎会。みんなと色々な話をしながらも
都歌沙の視線はいつの間にか恭介を追っていた。もう試行錯誤する事に限界が来ていた。
 
「どうしても聞きたい事があったから…。」
 
やっと絞り出した返答がそれであった。だが、恭介にはそれだけで彼女の真意が見て取れた。
 
「明日は時間が取れるかい?」
「えっと、朝は修業があるけど、昼から父上が出掛けるので、その間なら大丈夫。」
「わかった。その時間を開けておいてくれ。」
「…うん、わかった。」
「じゃ、俺行かないといけないから。」
「ええ。じゃ明日。」
「ああ。」
 
そう言うと、お互い帰路に着く。
それぞれ想う所はあっただろうが、その事は明日になってから、と考えていた。 
 
 
  -つづく- 
 

プロフィール

「ホンダの頭にホンダ」
何シテル?   05/13 16:39
再び色々ありまして、乗り換えです。 2回目のホンダ車でまた白に戻りました。 引き続き宜しくお願いいたします。。♪   一般人からみたらオタク系だと思...
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