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第2章 バカと刀は使いよう 4
『武徳殿』。
修大附には部活動を奨励しており、その為の施設はなかなか揃っている。
そんな中、武道を志す部である4つの部の為に『
武徳殿』と言う建物が存在する。
4F ・・・ 弓道部・女子入浴室
3F ・・・ 剣道部
2F ・・・ 空手部・男子入浴室
1F ・・・ 柔道部
男女それぞれ存在する柔道部・剣道部は階のフロアすべてを占拠、空手部(男子のみ)・
弓道部(女子のみ)は半分エリアが空くので、その場所に男女それぞれにお風呂やシャワーを
使えるような施設が備わっている。もちろん、のぞき厳禁である。(男女ともw)
そして、この武徳殿に丹下と丹下によって連れてこられた恭介の2人が放課後やってきた。
「なあ、たんげ~。」
「何だい、三千里~。」
「ここはどこだ?」
「どこだ、って武徳殿だけど。」
「そんな事を聞いてるんじゃない。なぜ、俺を巻き込む?」
「巻きこまれたとは心外だな~。三千里~はこういうの好きだと思ったんだけど…。」
(俺、コイツにそんな事言ったの一度もないんだがなぁ…)
腑に落ちない表情の恭介を尻目に、丹下は目を輝かせている。ミ☆キラッ
「とにかく、一度
朝乃魔央さんを拝んでおく事は重要だよ~。」
(何が重要なのかわからんが…まあ、見るだけならタダだし…)
段々と恭介も丹下の術中にハマりつつある。w
「じゃ、中に入るよ。」
そう言うと、丹下が先に武徳殿に入りその後に恭介が続く。
「向かうは3F・剣道場だ~。」
丹下はめっちゃ元気である。w
そして、階段を上がり3Fに到着。階段を上がると中央に廊下がありその左右に男女それぞれの
剣道場がある。当然、向かうは女性のいる剣道場である。w
「ここだよ、三千里~。」
丹下が女子側の道場を指差しながら言う。
「じゃ、入ろうか。」
そう言って場内に入ろうとするが、入り口で女子部員に止められる。
「ここは許可なく男子が入る事は禁止されてます。許可は取ってありますか?」
「んなモノはない!」
丹下はきっぱりと言う。だが、それは女子部員から見れば逆に不信と言う目で帰される。(爆)
「近寄らないでくれる、バカ男子共。」
「バカとは失礼な。4月の校内模試では100位以内に入ってたぞ。」
(丹下、それは正直微妙だぞ…)
「許可なく入った者には、容赦なくお仕置きをしても良いと部長から言われている。
これ以上の接近はそれに値するので、近づかないように。」
毅然とした態度で丹下にタンカを切る女子剣道部員。そこまで堂々とタンカを切ると言う事は
それないrの腕があるからなのだろう。案の定、その女子部員の手には竹刀がある。
「俺たちは変な目で見ようとするんじゃなく、真剣なまなざしで朝乃先輩の雄姿を見ようと
したたけだ。」
「それが変なんだというんだ。横のお前も一緒の類だろう。バカ共が!?」
(ちょっと待て、そこの女子部員。この丹下はバカだが、俺もそいつと共と思われるのは心外だ)
恭介は、別の意味で怒っていた。w
「お前じゃ話にならない。部長に直談判させていただくので、中に入るぞ。」
「ちょ、ちょっと…。いいかげんにしてよ。でないと、この竹刀でブッ叩くわよ!」
「ほほぅ、話で解決できないと思った途端、武器で脅すのか?それが武道の精神か!?」
「うっ…」
丹下の言い分で女子部員の動きが止まる。そうなると、丹下の口調の勢いが俄然増す。
「武道を志す者は、邪な考えで物事に対峙しては武道においての精神修行にならない。」
(お~、何だかもっともらしい事を言ってるぞ)
恭介も丹下の言い分に一瞬驚くが、第3者の目で見ると、それは茶番でしかない。w
もうちょっと様子を伺うか、と思いながら恭介は2人のやり取りを引き続き見る。
「かのキリストも言った、右の道場を見せたら左の道場も見せよ、と。」
「はぁ?」
「さっき、我々は男子の剣道部の頑張りを見せてもらった。順番で言うと今度は女子剣道部の
雄姿を見るのが妥当であろう。それだけなのですよ。」
「え、えっと…」
「更に言うと、この彼は剣道の達人である。君たちの部活動を見る意味でも視察は必要だ。」
「…はい?」
マシンガンのごとくなし崩しに言いまくる丹下に返す言葉の無い女子部員。
ところで、俺いつから剣道の達人になった? 俺自身初耳だが…。(爆)
「(三千里~、今だけでいいから達人らしく振舞ってくれよ。)」
完全に無茶振りである。(爆)
まあ仕方ない、ここまで来て朝乃魔央先輩を見逃すのももったいないしな。今だけ話にノるか。
「そうじゃ、我こそ達人じゃ。」
「同じ年か1個上の先輩にしか見えませんが…」
女子部員が不思議な顔で恭介を見る。だが、乗りかかった(ドロ)船、ここで引く訳にはいかない。
実際剣の扱いは自信がある。その辺の知識で対応すればいっか。
そんな考えで、突然達人にされた恭介はその場しのぎのウソに対処する羽目になる。
「で、では、そう言う事なので朝乃先輩、実際に戦ってみてください。」
女史部員は恭介と丹下を飛び越える感じでそう話す。
なぜ、頭越しに話をする、と思い、2人は後ろを見てみる。
すると、そこにはスラっとした感じの綺麗な女子生徒が立っていた。
そして、その女子生徒は恭介と丹下をマジマジと見る。
「話の筋はわかりませんが、この男どもはのぞきに来た輩なのでしょうか?」
恭介らは思いっきりのぞきの犯人扱いだ。(爆)
「何をおっしゃるうさぎさん。私達は達人と共に視察をですね…」
ギロッ!?
朝乃魔央の威圧感たっぷりの視線が突き刺さる。
どこかで感じた視線に近い、…そうだ、澄香の怒った視線に近い感じだ。
「よろしい。では、2人が道場内に入るのを許可いたしましょう。」
「あ、朝乃先輩。部長に許可なくそんな事言っていいんですか?」
さっきの女子部員も朝乃魔央がそんな事を言うとは思ってもなかったので、驚いている。
「杉村さん、心配は無用ですわよ。」
「そうそう、俺たちには何も心配いりませんよ。」
丹下は味方を得たかのように、偉そうに言う。
「そこの君、名前は何て言いました?」
恭介らを指差して尋ねる朝乃魔央。
「憧れの朝乃先輩にお会いできて光栄です。私は丹下鉄平と言いまして…」
「あなたに尋ねているのではありません。あなたが達人と言ったそちらの方に尋ねているのです。」
「あ、そうですか…。ささ、先輩がお前の名前をお聴きされておる。さっさと申せ。」
丹下、お前はどっちの立場の人間なんだ!?
「で、貴殿の名は何と申しますの?」
「あ、三千里恭介です。」
「三千里恭介様ですね。」
「え!? ええ…そうですね。」
さ、様で呼ばれるとは思わなかった。(驚)
「では、達人と言われるその腕前、私にも見せていただきたいですわ。」
「え…と言いますと?」
「何をおっしゃるの。当然、私と恭介様とでひと勝負しますのよ。」
え、ええっ!?
丹下の出まかせを真に受けて、勝負する事になってしまった恭介。
いや、逆に嘘と知っててそれの反省を促す考えなのか!?
いずれにしても、今ここで謝れば話は早いが、そrはそれでちょっとプライドが許さない気もあった。
秘密ではあるが、恭介自身も剣を司る身。竹刀であろうが基本は同じ。久々にこういう手合わせも
いいかな、と思ったので、何も反論せずに承諾する。
「(ねぇ三千里~、あんな事言ってるけど、大丈夫?)」
「(お前があんな事言うからおかしくなったんだろうが。尻拭いはしてやるから感謝しろよ!)」
「(あ、ああ。今度何か奢るわ。)」
「(わかった、それでいい。)」
「(でも三千里~、剣道やった事あるの?)」
「(部には入ってないが多少のたしなみはあるから、何とかなるだろう。)」
「(そ、そう…。)」
自分から嘘を言っておいて心配する丹下も丹下だが、彼なりに心配してるので今回は勘弁して
やろう。さて、何を奢らせるかな?w
「もう、遺言の伝達は終わりましたか?」
優しい口調で辛辣な事を言う朝乃魔央。逆に怖いわ。
こうして、三千里恭介と朝乃魔央の2人は剣道対決する事になる。
-つづく-