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龍聖のブログ一覧

2009年01月18日 イイね!

神殺の聖槍  20

    第3章  とある呪術の禁則事項 8



 「な、なぜ伊織が!?」

戸惑いが顔ににじみ出る長老。
そして、長老が仕留めた…はずだった人物が伊織だった事に気付けなかった自分を
責めるのであった。

 「ふっふっふっ、悔やんでますねぇ。実に愉快な光景だ。」

その様子を見ていたチェロキーが長老の苦悩をあざ笑う。
そして、自己満足の極みか自分自身で種明かしをし始める。

 「呪術・幻葬響によりその女に私自身になり替わるように呪術をかけた。」
 「げ、幻葬響だと!?」

そう、チェロキーはバレスティン帝国時代に暗躍していた呪術の1つで、幻葬響という術は
わかりやすく言えば催眠術の類であるのだが、主に影武者を立てる時やスパイ活動の際の
代理人等で活躍していたが、共和制に移行する時に極秘裏にされていた。
しかし、その術自体が消えた訳ではなかった。
その術を再び世に送り出したのが今チェロキーの所属する『ダイムラー・クライシス』が活用した、という訳だ。

 「ゆ、許さない!」

伊吹がこみ上げてくる怒りを抑えきれずチェロキーに向けて攻撃を仕掛けるが、
その攻撃は寸前の所でかわされる。

 「おっと、危ないなぁ。危うく当たるトコでしたよお嬢さん。」
 「くっ…」

伊吹は焦りを感じていた。あのような形で伊織を失いなおかつ長老も意気消沈。
形勢は明らかに不利だった。こちらの残りはほぼ伊吹のみ。
こうなれば最後は刺し違えてでもチェロキーを止めねば…。

 「チェロキー、1対1で勝負を申し込む!」

だが、チェロキーの返事は至極当然のように拒否の姿勢だった。

 「お嬢さん、今あなたの立場がどうなのかわかって言ってらっしゃるのですかな?」
 「お前も組織の長なら部下に威厳を見せる意味でもこの一騎打ち、受けるべきだ。」

何とかチェロキーと1対1の対決に持ち込み起死回生を窺おうと試みる伊吹。

 「何を訳の分からない事を。おいスマート、お前相手をしろ。」

チェロキーは伊吹の相手をスマートにさせようとしたが、

 「チェロキー様、さっきあいつらを騙す為に化けてた私にナイフ当てたでしょう、
  その状況で私に相手をさせる気ですか?」
 「ん、ちょうどいいハンデになるかな、と思ったがダメか?」
 「ダメに決まってるじゃないですか、チェロキー様あっての我々なんですから。
  ここでチェロキー様がその女に勝てば幹部会での発言力が増すじゃないですか。
  そうしたら、ラングラ―様の下で不満たらたら仕事をする事もなくなりますよ。」
 「お!? そ、そうじゃのぅ。ワシがバチッと強さを示せば幹部会での私の株も
  上がるという訳か。」
 「そうですよ、ちゃちゃっとやっちゃってください。」
 「じ、じゃお嬢さん、私が直々にお相手してさしあげましょう。」

 (何だかよくわかんないけど、これはチャンスだわ)

思わぬ所から助け舟が出たのには驚いたがこの機を逃す手はない。
こうしてチェロキーと伊吹の一騎打ちが始まる。




 「もうすぐ屋敷に戻るぞ。」
 「長老たちは大丈夫かしら?」

『ダイムラー・クライシス』の兵隊たちを撒いてようやく長老たちのいた屋敷の手前まで
戻っていたアルシオーネと麗華。
そして屋敷が目の前に見えるようになった時、何やら不気味なオーラを感じた。

 「ねぇ、アル。何だか変な空気を感じない?」
 「ああ、俺もそう感じた。いったい何だろうか?」
 「と、とにかく屋敷に入ってみれば分かると思ぅ…って、あ~!?」
 「な、何だよぉ。びっくりするじゃないか。」
 「ねえアル、あれは何かしら?」

  ん?

麗華の指さす方を見ると屋敷を囲う塀の上に人影を見つける。

 (誰だろう?)

そう思いつつ塀に近づく2人。するとその塀の上には長老ともう1人誰かがいるではないか。

 「麗華、様子を伺えるか?」
 「うん、任せて!」


2人は小声で会話を交わすと麗華がささっと塀の上に飛び乗る。

 「長老、長老。」

屋敷内にいる人に悟られないように、塀の上の長老に声をかける麗華。

 「…。」

相手を倒すどころか逆に伊織に攻撃をしてしまう結果になった長老は朦朧としていたので
麗華の呼びかけも全く聞こえてはいなかった。

 「もう、長老一体どうしたの…って、え…い、伊織!?」

長老の横にいる人物とその状況を見て驚愕する麗華。

 「どうした?」

思わず麗華が叫んだので、アルシオーネも塀を上がり長老の所へ行く。
そして、麗華に続きその惨劇を見たアルシオーネも思わず声を上げる。

 「ん、誰だそこにいるのは?」

2人が思わず叫んだ為、伊吹と戦おうとしていたチェロキーが塀にいる人物が2人
増えた事に気づく。そして、その中にアルシオーネがいるのを確認する。

 「おや、アルファード様ではありませんか。スマート、アルファード様を確保しろ!」
 「へいへい、けが人なのに人使いが荒いなぁ。」

ブツブツ言いながら長老らがいる所へスマートがやってきた。

 「伊織ぃ~、伊織ぃ~!」

麗華が止血しながら必死に伊織に声をかける。

 「長老、一体何がおこったのですか?」
 「…。」

長老は無言のままだ。もう一度長老に声をい掛けたが反応はないままだった。

 「アルファード様、お迎えに参りました。」
 「アルファードだと? あんた何言ってるんだ、私はアルシオーネだ。」

アルシオーネは不可解な事を言うスマートに戸惑いを感じていた。
そして、そのスマートからこれまでの経緯を聴かせられた。

 「…という事は、長老は騙されて伊織さんに手をかける結果になったという事なんだな?」
 「そういう事になりますね。では、先ほども言ったように貴方様にはラングラー様の
  所に一緒に来てもらいます。」

淡々と説明するスマートの言葉に怒りが最高潮になるアルシオーネ。

 「ふ…ふざけるなぁ!」

 アルシオーネがそう叫ぶとアルシオーネの様子が変わっていく。

 「あ、アル? ま、まさかまたあの症状が?」

麗華が変わりゆくアルシオーネを見ると以前あったアルシオーネが別の人格になった
あの時を思い出す。

 「だ、ダメ。アル、変わっちゃダメぇ~!?」

麗華がアルシオーネに向かって叫ぶがもう遅かった。

 「貴様ラハココデブッ殺ス!」

ムルシエラゴと戦った時と同じように邪悪な気配がアルシオーネを取り巻く!


  -つづく-


次回は1週間後くらいかな。w
Posted at 2009/01/18 20:53:36 | コメント(0) | トラックバック(0) | 【自作小説】神殺の聖槍 | 趣味

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