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2011年01月09日 イイね!

【小説】刀をたずねて三千里  29

  
  <簡単なあらすじ>
 
主人公・三千里恭介(みせり きょうすけ)は4月の半ばという中途半端な時期に、
東京都八九寺市にある修学院大学付属高校に転校してくる。彼がこの八九寺市に転校してきた
本当の理由は世界の刀剣の管理・保護を目的とするI・S・A・Mという国際的組織の任務で
やってきたのだった。ちなみに、彼は本当は19歳で2年間I・S・A・Mの任務でドイツ支部に
いたのだが、その事は極秘事項としている。
 
転校の為恭介はすでに自動車免許を取得していたので愛車である「スバル・インプレッサSTI」
R205で東京にやってきたのだが、転校前にあやうく人を撥ねそうになる。その撥ねそうに
なった人物が、恭介がのちにクラスメイトとなる花畑都歌沙(はなばたけ つかさ)であった。
 
恭介と花畑都歌沙を始めクラスメイトの山本澄香(やまもと すみか)など個性的な
級友やや巨乳担任の菅波朋子先生との学校生活を営む一方、恭介の住む教会のシスター兼
I・S・A・M日本支部の一員でもある次田女史や恭介のパートナー・魔耶らとI・S・A・Mからの
依頼で任務も忙しく、身体も心も休まる時の無い恭介が活きていく中で、任務と友情と恋に
一生懸命奮闘しながら成長していく作品である。 
 
 
 
    第3章   蒼天の剣  1 
 
 
 
時はゴールデンウィーク明け。
修学院大学付属高校、略して【修大附】でも学校が再開された訳だが、多くの生徒が
休みボケの中での登校となっていた。
 
当然、ここ2年B組でも、休みボケと思われる生徒たちが授業を受けている。
今は午後の授業であるが、どの生徒も眠気との戦いで授業の内容なんかそっちのけである。w
そして、生徒たちはその戦いからようやく開放される時がやってきた。
 
 き~ん こ~ん か~ん こ~ん
 
「では、授業はここまで。」
 
最後の6時限目の授業が終わったのだが、2年B組の面々は半分以上が眠気との戦いで
涙目になっていた。w
そんな訳で、授業が終わると生徒の目が変わる!
その理由は、この後の出来ごとに繋がるのだが…あっ、先生来た。
 
 ガラガラガラッ
 
「は~い、みなさんHR(ホームルーム)始めますよ~。席に着いてくださ~い。」
 
2年B組の担任である菅波朋子先生が教室にやってきた。
いつもは殺伐とするHRも今日はいつもと違っていた。B組の生徒の目も違い生き生きとしている。
そして、何より素直に席に着く。
 
「みなさん、席に着きましたね。では、今日のHRの議題に入ります。」
 
   ざわざわ ざわざわ ざわざわ …
 
生徒たちから歓喜の声が!? 一体何が始まるのか?
 
「はいはい。みなさんが活気づくのはわかります。では、時間もあまりないので、早速始めます。」
 
菅波先生が本題に入る。
 
「今日の議題は『修学旅行』の行き先が決まったので、その報告を中心にやっていきます。」
 
 ワー ワー ワー ワー   ドンドンドン パフパフパフ ♪ 
 
教室中がわいわいがやがやとしていく。
 
「みなさん、お静かに。おっぱい先生が困っていらっしゃるじゃないですか。」
 
教室の騒ぎを制しようとしたのは、意外にも丹下鉄平であった。
 
「さっすが、級長。言う事が違う。」
「級長、いつから菅波と書いておっぱいと読むようになったんだ。」
 
外野の男性生徒から視点的コメントが出るが、逆に女性陣には不評である。
 
「こら、たんげ~。先生困ってるじゃないのよ。」
「たんげ~、いっぺん死んでみる?」
「たんげ~、サイテー!」
「たんげ~、自分のフェチを押しつけるな~!」
 
女性陣の壮絶なバッシング。
そりゃそうだ、女性は肉体的問題を公衆の面前で言われる事を嫌う。
ネタであっても軽々しく言うべきではない。
 
  ツンツン
 
(ん、何だ?)
 
恭介の背中を突いてくる人物がいる。
 
「ねぇ、恭介っち。あんたも巨乳好き?」
「はぁ???」
「ああ、ごめん。恭介っちの好みは背が高くてスタイルが良くてポニーテールの娘だったわね。」
「!?」
 
後ろから恭介を突いて声を掛けてきたのは、山本澄香であった。
 
「おい、澄香。どこからそんなセリフが出てきたんだ?」
「え、違った? 違うなら訂正するけど。」
 
恭介は確かに、都歌沙に興味を持っている。いや、それはおそらく「好き」というヤツであろう。
そして、都歌沙自身も恭介が想ってるモノと同じである事は理解している。
 
そのつぼみはまだ小さいモノであるが、お互いの気持ちは通っている。
それはいい。だが、それをなぜ澄香が知っているか?と言う事だ。
都歌沙には恭介の秘密をすべてではないが話している。そして、その事は2人だけの話である。
もちろん、お互いの気持ちの確認も2人の時だけであったはずだ。
 
 まさか都歌沙が話した?
 
いや、それはない。いや、それはないと信じたから話したのだ。自分が信じて話した以上は
すべてを信じる。それは恋愛においても必要事項である。
 
では、なぜそのような話をした?
だが、その答えは意外と簡単であった。
 
「あんたたち2人を見てるとわかるわ。恭介っちとはまだ知り合って間が無いから良くわからないけど
 お花ちゃんとは付き合いが長いから、あの娘がどんな心境なのかは、ちょっとした違いや雰囲気で
 わかるものよ。」
「…なるほど。案外わかるものなのか?」
「そりゃそうよ。恭介っちは知らないと思うけど、お花ちゃんって結構ファンや好きだと思ってる人が
 多いのよ。2月に卒業間近の3年のサッカー部のFWの男子にコクられてたけど、全く興味を
 示さなかった。お花ちゃんは興味がないと思った事は表向きは体裁を保つけど、実際は全く
 関心なし、って娘なの。それが恭介っちとの接し方がこれまでと全く違うの。一見普通に話を
 してるように見えるけど、他の男子生徒達はそれさえも出来ないの。それを見るだけでも
 『あ、お花ちゃんは恭介っちに想いがあるな。』ってわかる訳。」
 
(女の観察力、恐るべし!)
 
確かに男性よりは女性の方が異性の観察力は高い。こうして話を聴くとなおさらそう思う。
だが、実際は澄香の観察力が半端ではないのだ。w
 

「否定しないのね。」
「…ああ。この気持ちに嘘はないからな。」
「えらいっ!」
 
  バシッ!
 
めいっぱい恭介の背中を叩く澄香。
 
「痛ったいなぁ!(怒)」
 
思わず叫ぶ恭介。クラスの視線が恭介に集約する。
 
「コラ、三千里クン。どうしたのですか?」
「え、あ…すみません。」
 
急に恭介が叫んだので驚いて菅波先生が尋ねてきた。
 
「えっと、突然頭の中にアントニオ猪木さんがやってきた闘魂注入されました。」
 
 わははははは
 
教室中が大爆笑になる。
 
「何冗談言ってるんですか。どうせ寝てたんでしょう。」
「えっと、すみません。」
「今回の修学旅行に参加しないからと言って、うとうとしていたのではないのですか?」
「せ、先生その事は内緒という約束でしたが…」
「あ!? ご、ごめんなさい。」
 
教室内が一瞬し~んとする。
 
「もうその件はいいです。私の事にはかまわず本題に入って下さい。」
 
そう言うと、恭介は教室を出ていく。
 
「えっと、ちょっと待っててね、みんな。」
 
そう言うと、菅波先生は恭介の後を追っていく。
 
先生がいなくなった教室では、ざわざわしている。それは恭介が修学旅行に参加出来ない件で
ざわついている訳ではなく、ほとんどは修学旅行の準備の話や着ていく衣装の話をしている。
 
恭介が転校してきたのは始業式の1週間後。そして、土日やゴールデンウィークを挟むと
今のクラスに恭介がいたのはせいぜい2週間弱。ましてや、1年時の仲間がいる生徒も多く
途中転入の恭介に関心があるクラスメイトはほとんどいない。
 
「恭介はどうして修学旅行に参加しないんだろう?」
 
そう思う人物はこの2年B組では4~5人だけであった。
 
1人は当然、恭介とは友達以上恋人未満という言葉がしっくり来る都歌沙である。
 
(三千里クンは何で修学旅行に行かない事を言ってくれなかったの?)
 
そう思う都歌沙であるが、今は恭介を追った菅波先生が恭介を連れてくるのを待つ事にする。
 
もう1人は、恭介にちょっかいを出してこの騒ぎの元を作ったと言っても過言じゃない澄香。
 
(あっちゃ~、ちょっとタイミング悪かったかな。 戻ってきたら謝っとこ)
 
残りは恭介と多少なりと交流がある竹嶋由布子と北山有希、そして丹下鉄平の3人。
後はほとんど気にしていない状況だ。
 
 
 
「あ、いた。」
 
教室を出ていった恭介に追いついた菅波先生は恭介を捕まえる。
 
「三千里君、ごめんなさい。」
「…いえ、私の事は気にせずに話を進めて下さい。」
「でも、そう言う訳には…」
「先生、今私が教室に戻っても逆に他の生徒たちが戸惑います。今日の所は先生がここに来ずに
 普通に修学旅行の話を進めた方が良かったと思います。」
「私が失言したのに、そんな事出来ますか!」
「!」
 
そう言うと、ギュッと恭介を抱きしめる。
 
「経緯はともかく内緒という約束を破ったのは私なのです。三千里君の言うように君を放っておいて
 ホームルームを進めたら、私は先生失格ですっ。」
 
恭介はこの言葉に感銘を受ける。だが、今はそれ以上の問題があった。
 
 菅波先生の胸が当たってる!?
 
恭介に申し訳ない気持ちで話す菅波先生は思わず恭介を抱きとめた訳だが、その態勢を
想像して欲しい。小っちゃいけど巨乳の菅波先生が恭介を抱きしめるシチュエーションを。
 
 恭介、そのポジション、俺に替われ!
 
そう思う男性は少なくないはず。w
 
「せ、先生。とりあえずこのままでは色々と問題が…」
 
その柔らかい感触に一瞬心を奪われそうになるが、すぐに我に帰り、抱きついている菅波先生を
そっと離す。
 
「三千里君…。」
 
菅波先生の顔には大粒の涙が見てとれる。
教師としてやってはいけない失敗をした反省と報いを肌で感じているのだろう。
 
「先生、僕は大丈夫。今日の所は教室に戻って下さい。また明日から普通に教室に戻ります。」
「で、でも…」
「クラスメイトには実家の両親の体調がおもわしくないので修学旅行中は実家に帰ると言えば
 もう騒ぎにはならないでしょうから。」
「で、でもでも…」
「先生!」
 
小っちゃい菅波先生のおでこに軽くキスをする。
 
「え、ええええ!?」
 
キスの経験がない訳ではない菅波先生だったが、こういったシチィエーションでキスをされた事が
ないので、一瞬凍りつくような感じになる。そして、我に帰った途端顔が真っ赤になる!
 
「ななな、何で…」
「先生は頑張り屋さんです。僕からの感謝とお詫びの印です。」
「ででで、でもキキキっ、キスなんてまだあくせく&$#d?&$\…」
 
かなりテンパっている。w
 
「僕は大丈夫です。先生は2年B組の担任です。その責務を果たして下さい。」
「…」
「先生、ここは行って下さい。」
「…うん、わかった。」
 
その雰囲気は先生と生徒ではなく、1人の女性と男性の間柄と同じにも感じた。
少なくとも、菅波先生の方は。
 
そうして、菅波先生は教室に戻り恭介が修学旅行に行けない理由は両親の病気で実家に
帰らないといけないという事で、その場を収めた。
 
 
 
「では、ホームルームはこれまで。」
 
ホームルームを終えた菅波先生が教室を出る。生徒たちは一斉に帰る準備に入る。
ある生徒達は修学旅行に行く時の衣装を見に行き、ある生徒達は部活動に行く。
そして、都歌沙と澄香はファミレス【イグナリア】にいた。
 
 
  -つづく-
 
 

プロフィール

「ホンダの頭にホンダ」
何シテル?   05/13 16:39
再び色々ありまして、乗り換えです。 2回目のホンダ車でまた白に戻りました。 引き続き宜しくお願いいたします。。♪   一般人からみたらオタク系だと思...
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