恭介が所属する日本支部のある教会の主
『
次田女史』のイメージ画像。
まあ、こんな感じの娘と思って下さい。w
第3章 蒼天の剣 6
「本日は【中華高速鉄道】をご利用いただきありがとうございます。」
車内アナウンスが流れるのを聴いている恭介。その横の席には魔耶がいる。
そして、その向かいには…
「うん、これは美味いアル。駅弁というのは意外と美味いんだな、キョースケベー。」
大口を開けて駅弁をほおばる劉小麗。めっちゃ良い顔をしている。w
恭介はどうしたらいいのか、考えに窮していた。
まさか、I・S・A・M中国支部のドン・劉太源氏の娘が同行するとは思っていなかった。
これから行く先で、戦いになる可能性が高い場所に行くのに、何が悲しくて劉大志のご子息を
連れていかなければ、ならないのか?
正直、彼女が同行する事は邪魔でしかない!
とはさすがに言えず、駅弁をむしゃぶりつく小麗の様子を見るしかなかった。
「ん、どうしたアルかキョースケベー?」
「ひとつ言っていいか?」
「何アルか?」
とびきりの笑顔で恭介の方を向く小麗。だが、その笑顔を曇らせる発言しか出来ない恭介。
「次の駅で降りて、その後北京に帰って下さい。」
毅然とした態度で言う恭介。
「なぜアルか?」
「私達は上海に遊びに行く訳ではないのですよ。」
「うん、知ってるアル。」
「もしかしたら、敵と死闘になるかもしれません。」
「相手次第だが、その可能性は否定しない。」
「…。」
「ん、どうしたネ?」
この際、はっきり言った方がいいな。
「もし戦いになったら、あなたをかばっての戦いをする羽目になります。それだと任務に支障を
きたす事になります。しかも、相手によっては小麗さんをかばえない恐れもいあります。
もしもの事が起こったら、劉大志に顔向けできません。なので、帰って下さい。」
きっと小麗さんは怒るだろうな。
そう思った恭介だったが、小麗はごく普通の様子だった。
そして、こう言ってくる。
「それは心配する必要はないネ。なぜなら父も一緒に出掛ける事を承諾してるから。」
ミ(ノ_ _)ノ=3 ドテッ!
「何じゃそりゃ!?」
恭介は呆れ果てていた。大事な任務を頼んでおきながら娘まで任せるんかい。
どうにも中華の人の考えがわからない。(爆
「なあ、どうする魔耶?」
試しに魔耶に聞いてみる。
「私はあなたのパートナー。任務についての決定権は持っていない。」
と言われた。まあ、そうでしょうね。そういう返事が返ってくると思ってましたよ。
無駄な質問だと思いましたよ。でもね、聴いてみたかったのよ。そこは理解してね。
「自分で考えなさい。」
そんな目で魔耶は私を見る。すみません、それ以上見つめないで、照れるから。w
「私はそういう上司をもった覚えはない。」
更にそんな目で私を見る。すみません、それ以上見ないで、恥かしいから。
「
テメェはドMかっ!」
あ~ん、そんな目で見ないで。虚しくなるから。(爆
「あのぉ、何してるんですか、恭介様。」
「…いや、何でもない。」
すみません、1人で妄想モードに入ってました。我に帰ります。
「あ小麗、もう1つ言っておく事が。」
「何アルか?」
「キョースケベーと呼ばないでくれ。」
「何で?」
「何でもだ。」
「全く日本人は細かくていけないアル。」
すまん、キョースケベーなんて呼ばれた日には、恭介という名前を付けてくれた両親に顔向け
できないからな。(爆
「中華高速鉄道をご利用いただいありがとうございます。城際快速はまもなく上海に到着します。
降りる際はお忘れ物の無いように願います。」
どうやら、上海に着くようだ。途中、南京や蘇州を通ったようだが、さっきの魔耶とのやりとりの
間に通り過ぎていた。
上海駅を降りた恭介らは、まずI・S・A・M上海支部に赴く。
上海支部へはタクシーで向かう。上海はタクシーが多く存在し、タクシー自体を捕まえる事は
たやすい。ただ、それだけ多くのタクシー会社がある為に良いタクシー会社と悪いタクシー
会社が存在する。見分け方はタクシーの色。水色か白か金色の会社を選んでおけば概ね
問題なく目的地に行ける。ただ、中国語が話せないと話は変わってくる。なぜなら英語や
日本語を話せるタクシードライバーは極端に数が少ないからだ。
他に判別する方法は、助手席前にある証明書の星を確認するといい。
日本でも助手席に運転手を表記するプレートがあるが、中国でも同じような感じだ。
だが、その中に違いがあって、運転手ランクを表す☆が明記されている。最高は5つ☆です。
星が多いほど運転手レベルが高く、英語等が喋れるのも星が多くない運転手は期待できない
と思っていればいい。
ちなみに、今回はI.S.A.M上海支部に連絡を入れるとそこからタクシーを手配して上海駅に
呼んでくれる事になった。
もし、みなさんは、上海に旅行する時は上の注意を忘れないように。w
「あははは、快適快適。」
小麗は車内ではしゃいでいる。
「シャオリー(小麗)は子供だなぁ。」
はしゃぐ姿を見て恭介が小麗に言う。
「誰が子供アルか。このあふれんばかりの美貌を前にしてよくそんな戯言が言えたアルね。」
「大人は自分の美貌を偉そうに言わないものだ。」
「そんな事は無いネ。この前もTVで有名女優が自分の美貌を自慢してたアル。」
「その女優が大人ではない証拠だ。見た目が大人なのと中身が大人なのは大きく違うんだ。」
「そうなのか?」
「そうさ。シャオは大人としてみてもらいたいんだろ?」
「もちろんネ。」
「じゃ、あからさまに美貌をひけらかすのはやめた方がいいだろう。」
「うむ、わかったアル。」
なぜかあれで納得する小麗。
まあ、実際美貌をアピールする女性のほとんどはそう美貌dもない上にプライドだけは高く
付き合いや扱いが面倒なだけだし…。(爆
そうこうしてる間に、I・S・A・M上海支部に到着する。
「ここは!?」
そう表向き上海支部は劉大志の関連会社である【美麗蘭(ミャオレイリー)】というアパレル
ビルの中にある。もちろんI・S・A・Mの名を表向きに表示していない。
劉氏のビルの上階に「
勇」という会社があるが、それが表向きのI・S・A・M上海支部だ。
「勇」は日本読みで「いさむ」だ。ISAMと同じ読み方なので知ってる人には分かりやすいだろう。w
「ようこそ、I・S・A・M上海支部へ。私が支部長の李功團(リコウダン)です。」
「日本支部から参りました三千里恭介です。」
「話は劉大志から伺っております。この度は宜しくお願いいたします。」
上海支部を治める李氏と挨拶をする恭介。
「それにしても小麗様もご一緒とは思いませんでしたので、お会いできて光栄です。」
「…どうも。」
李氏は恭介の挨拶の後すぐさま小麗にも丁寧な挨拶をする。李氏からみれば劉大志の娘の
小麗は上客である。この際しっかりと恩を売っておこうとする雰囲気が素人でもわかるので
小麗は表向き挨拶を交わすが、心の中はいらだちでいっぱいだったろう。
だが、そこで仏名挨拶をした事は、少しは大人になったとも言えるだろう。
こうしていけば、小麗は真の美貌を手に入れるかもしれないな、と考える恭介であった。
「では、今日はもう時間的に行動するのは難しいでしょう。捜作は明日からで良いかと。」
「…わかりました。ちなみに、W・S・Cの上海支部がどこにあるかだけは聴いておきたいの
ですが、どの辺りになるのでしょう?」
念の為、敵地の場所を聴いておこうという軽き気持ちで尋ねた恭介だったが、その返答に
驚く事になる。
「そこです。」
窓から見える道向こうのビルを指差す。
「そこって今見える道向こうの隣にビルですか?」
「ええ、そうですよ。」
「え、えええ!?」
上海でのW・S・Cの所在地がこんな近くにあるとは思ってもいなかったので、ビックリだ!
-つづく-