パワステ仕様のメーターユニットに交換したら、異常表示をするようになったミニカのタコメーターの第3回。
散々、脱着・分解・確認を繰り返し、しらみつぶしにしていく中で残ってしまったのはまさかの指針。
正直、針がメーター表示に影響するのかという疑問は残るのですが、これまでの部品入れ替えでの検証中に一度も交換していなかった物が「これ」しか無い状況。
そして同時に、これは個人的に一番あって欲しくなかった部品でした。
その理由は本来は白色であるダンガンメーターの指針。
個人的な好みでこれを以前から赤色に塗って使っていたのですが、改めて化粧直ししようとすると…
これがまあ経年劣化でポキポキポキポキと、次から次と折れる訳ですよ。
脱脂しようと軽く拭っただけでもあっさり折れるほど脆くなっていて、塗装のやり直しで溶剤なんて付けようものなら木っ端微塵です。
つまりは相も変わらず本来触る必要の無い藪をつついて蛇を出しているだけなのですが、今回の化粧直しの為に探した、発色の良さげなガイアノーツ製の蛍光レッド塗料を試したかった事もあり…
紫外線硬化樹脂を盛って針の裏側を補強してまで塗り替える手間を掛けていたので、今更その針が不具合の原因だなんて疑いたくない訳です。
だがしかし、現実は非情だった。
樹脂を盛っていない針と入れ替えてみると…
オシロスコープ表示の約75Hzに対して、メーター表示は3000回転。
1コイル3気筒の点火周期としては整合性が取れているので…確定ですな。
…不具合の原因は、折損対策に樹脂を塗った事で重くなってしまった針でした。
わずか数グラム針が重くなった程度で何故…
…思い起こせばかれこれ15年ほど前、ライフ弄りの一環で加工したHM1バモスのメーターでは、ミニカと同じく照射式の針だった物を、別車種の透過式の針に交換していました。
これはあからさまにサイズが違い、樹脂塗り固めとは比較にならないレベルでの重量差もある物でしたが、今回のミニカのような表示異常は起きませんでした。
(さすがに、かなりもっさりした動きにはなりましたが。)
そしてこの経験が、今回のトラブルシュートにおいて針を疑うのが遅れた更なる理由でもある訳です。
詰まるところはこの2車種のメーター、決定的に違っていたのが針の駆動部。
ミニカは可動コイル型計器、バモスは交差コイル型計器と針の駆動方式が異なっており、見るからにコイルの小さなミニカ用の駆動部では針の重量変化を無視できるほどのトルクが発生できないのでしょう。
…これはやってしまったぞ…
ここまで地味に手間掛かってたのに…
まっさらな無加工針はもう残ってないし、樹脂を塗ったくった針を削り落とすなんて、それこそ絶対折れるやつやん…
よよよー…
…取りあえず、実車での脱着を伴う確認作業は手間ばかり掛かって非効率的だった為、新たにファンクションジェネレーターを購入し室内で動作確認をしながら、見つかるかも分からない修復方法を考えるほか無いのですが…
ちなみに、このタコメーターに入力される実車上での信号というのはイグニッションコイル一次側の点火信号そのものになります。
H20系ミニカは全車種4サイクル3気筒エンジンに、一つのイグニッションコイルからデストリビューターで分配する点火方式なので、クランクシャフト2回転で3回の点火信号となり
3×(エンジン回転数(rpm)÷2)÷60
という式で所定のエンジン回転数をメーター表示させるための周波数(Hz)が計算できるので、これに当てはめると
1,000rpm=25Hz
2,000rpm=50Hz
3,000rpm=75Hz
4,000rpm=100Hz
5,000rpm=125Hz
6,000rpm=150Hz
7,000rpm=175Hz
8,000rpm=200Hz
9,000rpm=225Hz
という風に、設計上は点火信号の周波数が25Hz変化すると表示が1,000回転変化するメーターであろうことが推定できます。
それを踏まえてメーターの動きを眺めていると…
ん?何だこの動きは??
低回転域で針が下振れしているのは実車上でも確認していた通りですが、ほぼ真上を向く5,000~6,000回転ではさほど誤差が無く、それを超えて下を向き始めるとむしろオーバーシュートしているじゃないですか。
これはもしや…
樹脂補強による「絶対重量の増加」というよりも、正確には、折れやすい先端側のみに樹脂を盛ったために回転中心からの「重量バランスが狂っている」だけなんじゃ…
先端部が重くなったため、駆動部のトルク不足により低回転域では針を持ち上げられず、高回転域では垂れ下がってしまうと考えればつじつまも合います。
つまり、針の後端側にカウンターウエイトを付けたら…?
ビンゴ!
やっとまともな値を表示するようになりました。
1グラム未満の重量の変化でも表示位置が1~2㎜変わってしまうほどシビアな調整になりましたが、逆に言うと実の所、ノーマル重量の針でもやや下振れ・上振れを起こしている有様だったので、純粋な純正状態よりも正確に表示できるようになっているくらいです。
ただ、どうしても8,000回転付近以上の回転域でのオーバー傾向はわずかながら残ってしまい、これを抑制しようとカウンターウエイトを増すと、今度は低回転域がオーバーしてしまうため、恐らくこの辺りが構造上の精度の限界なのでしょう。
さて、これでタコメーターはほぼ正確になりました。
しかしながら、これだけ明確な基準によってタコメーターの調整がされると、目見当で針を差し直し、測定器具など持っているはずもない機械式スピードメーターの方が合っているのかという疑問が湧いてきます。
どっちかというと速度の方が車検で測定される項目ですからね…どう検証してやろうか。
Posted at 2022/01/16 14:51:34 | |
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