三菱が満を持して今夏発売するワールドグローバルスモールの名称が「ミラージュ」になったというのは、昨年末に出たたことなんですが、「じゃあ実際ミラージュってどんなもんなのか?」って言うのが、実は発売前までほとんど情報が伝わっておらず、結構やきもきしていた感じはしますね。
しかしながら、既にタイでは4月に発売され、既に25000台の受注があると言われていますから、値段次第では日本でも結構売れるのかもしれません。排気量が1Lで、しかも5人乗りと言う非常に厳しく感じるパワートレーンではありますが、実際にどうなのか?試乗車のレビューがインプレスにて前後編出てたのでちょっと(かいつまんで)紹介しておきます。
前編
後編
「新型ミラージュは、昨年の東京モーターショーでワールドプレミアされた、同社の世界戦略車。生産はタイの現地法人であるミツビシ・モーターズ・タイランドのラムチャバン工場が担い、4月にラインオフ式を実施した。タイでは4月19日時点で1万5000台超、5月31日時点で2万5000台を受注したとしており、「大変好調」な滑り出しと大きな自信を覗かせる。
その新型ミラージュは、「新興国におけるエントリーカー」と「先進国における環境対応車」という2つの側面を持ち、「ガソリンエンジンでトップの低燃費」「扱いやすいコンパクトサイズ」「お買い得感のある価格」「豊富なボディーカラー」の4点を特徴とする。
もっとも注目される燃費については、JC08モード燃費で27.2km/Lを目指すことを明らかにしており、この数値が実現されればトヨタ「ヴィッツ SMART STOPパッケージ」の21.8km/L、日産「マーチ 12X/12G アイドリングストップ」の23.0km/L、マツダ「デミオ 13-SKYACTIV」の25.0km/Lを超え、ガソリンエンジン登録車トップに躍り出ることになる。
この27.2km/Lを実現するべく、パワートレーンは新開発の直列3気筒 1.0リッターエンジンにジヤトコ製の副変速機付きCVTを組み合わせる。これに可変バルブタイミング機構「MIVEC」やアイドリングストップ機構「オートストップ&ゴー(AS&G)」、減速エネルギー回生システムといったエコサポート技術を盛り込んだ。
また、ボディーには980MPa級、590MPa級、440MPa級の高張力鋼板を、現行コルト比で約20%採用拡大し、約7%の軽量化を実現したと言う。さらに、エクステリアは誰もが親しみやすいデザインとしつつ、左右下部にエアダムを設けることで空気の流れを最適化したフロントバンパー、後方に向かって緩やかに落としたルーフライン、前方から流れる空気をスムーズに剥離させるためにエッジを効かせたリアバンパーコーナー部のデザイン、フロントアンダーカバー、フロアアンダーカバー、リアスポイラー、凹凸の少ないデザインのホイールカバーの装着など、空力面の追求も徹底したと言う。
インテリアでは、水平基調のインストルメントパネルを採用し、上面をシンプルにすることで前方視界を配慮しつつ、開放感のあるデザインとした。また、シフトパネル、シフトノブ、メーターリング、エアコンの吹き出し口外周部にシルバーの加飾をあしらうとともに、ドアハンドルにクロームメッキを施すことで、上質感も高めた。
また、車両感覚をつかみやすくするため、運転席からボンネット両サイドが見える形状としたほか、Aピラーを細く、ベルトラインを低く設定することで、前方&側方視界を確保。さらに最小回転半径は同社の軽自動車「eK ワゴン」と同じ4.4mで、取り回しのよさも特徴としている。
インテリアカラーはブラック&アイボリー、ブラックの2色で、いずれもワッフル調ニットのシート生地を採用した。運転席にはダイヤル式のハイトアジャスターを採用したほか、後席はシートバックを少し寝かし気味の設定にすることでゆとりを感じる着座姿勢を表現したと言う。
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今回の試乗会はクローズドの特設コースで行われた。コースは取り回しのよさを体感するための縦列駐車コースおよびクランク路、アイドリングストップからの再始動やヒルスタートアシストを体感する上り勾配からの発進、そして動力性能を体感するスラローム&ストレートコースが用意された。
日本では7月末に発表、8月末の発売が予定されている。JC08モード燃費では、スカイアクティブのマツダ「デミオ」やホンダ「フィット ハイブリッド」をも凌ぐ27.2km/Lを達成する見込みで、価格についても100万円を切るところからスタートするという情報もあり、期待したいところだ。
車両自体は、2011年秋の東京モーターショーで初公開されていたので、すでに目にしていたのだが、こうして実車をコルトの横に並べると、そのサイズの小ささが際立って見える。感覚としては軽自動車に近い。
可愛らしいエクステリアデザインは、オーソドックスでありながらユニークでもあり、若い女性から年配者まで、幅広い層に似合いそうな雰囲気がある。開口部を極力小さくしたフロントマスクや、ボトムをカナード形状としたフロントバンパー、エッジを立てたリアバンパー、ゆるやかに2段階に落ちるルーフスポイラーなど、空力を向上させるための数々のアイデアも視覚上の特徴になっている。ボディーカラーについても、鮮やかなカラーを豊富に設定するらしく、こちらも楽しみだ。
ボディー外寸は小さいが、室内はそれほど狭さを感じさせない。比較用に用意されていたコルトと比べても、さすがに天地方向では全高のずっと高いコルトに及ばないものの、縦方向や横方向の印象はあまり変わらない。ラゲッジスペースに至っては、なんとVDA法でいうとコルトより広いというから驚きだ。非常に効率的なパッケージングである。
インテリアデザインはスッキリとしたもので、何がどこにあるか一目瞭然に分かる。パーキングブレーキは足踏み式ではなく、センターコンソールのレバーで操作するタイプ。収納スペースやシートアレンジなども至ってシンプルな、直感的で使いやすい設定となっている。
運転席にはダイヤル式のハイトアジャスターが付く。回すと座面の前側だけが上下して、おかしな角度になるものもよく見受けられるところだが、ミラージュのものは座面全体が上下するので、適切な角度が維持されるところもよい。
センターパネルは、オーディオ付きでは写真のような体裁になっているが、DIN規格のパネルも用意され、カーナビも問題なく収められるので心配ない。インテリアカラーはブラック&アイボリーの2トーンと、ブラックのモノトーンの2色が設定されるものの、ボディーカラーによってあらかじめ組み合わせが1種類ずつに決まっているとのこと。見たところ、2トーンの明るい雰囲気がなかなかよかったので、行く行くは自由に選べようになるといいかなと思う。
登録車でこの機動力というのは、こうした日本の道路環境や駐車場事情の中で、大きなアドバンテージになると思う。「小さいことは、イイことだ!」である。そして、視界がとてもよい。Aピラーが細くベルトラインが低いので、視野を遮られる感覚が小さい。
続いては上り勾配の途中で一旦停止し、ヒルスタートアシストやアイドリングストップの性能を確認。ヒルスタートアシストは、付いていればよいというものでもなく、動作のスムーズさが問われると常々思っている。価格の安いクルマでは、音がしたり、ひきずり感があったりするものが少なくなく、高価なクルマほどスムーズになるという現状が見受けられるところだが、ミラージュのものは比較的スムーズだ。
また、アイドリングストップからの再始動直後の飛び出し感も抑えられており、アクセルを強めに踏んでも不快な思いをすることはない。タイヤ空気圧は2.7Kとかなり高めだが、乗り心地については専用開発となるブリヂストンの低燃費タイヤ「ECOPIA EP150」の恩恵もあってか、今回のコースを走る限りではとくに気になることはなかった。
さらに、加減速やスラロームを試したところ、ちょっとロールは大きめ。スタビライザーは付かない。ちなみに欧州仕様のみ細いながらもフロントにスタビライザーが付くらしいのだが、それはロールを抑えるというよりも、中立から微少に操舵したときの正確性を狙ってのこと。一方で日本仕様をスタビライザーなしにする理由は、あくまで乗り心地を重視してとのことだったが、個人的にはもう少し何らかの形でロールを制御してもいいように思った。
速度が増していくと、ステアリングの操舵力がやや重くなり、据わりがよくなる。
1リッター3気筒MIVECエンジンは新開発で、INVECS-IIIと呼ばれるCVTは日産「マーチ」などと同じジヤトコ製の副変速機付き。軽くアクセルを踏み込むとグッと前に出て、そのまま軽やかに加速していき、やがて副変速機が高速側に移る。エンジンを回すと軽自動車っぽい音がするのは否めないが、加速感はなかなか力強い。
そして、運転している間ずっと感じたことは、とにかく軽いこと。最近の背高系の軽自動車と比べても、感覚としてはもっと軽いように感じられたほど。前述のパワートレーンや空力に加え、この軽さを武器に、ガソリンエンジンの登録車でトップの燃費を実現するというのもうなずける。
それでいて、いざとなれば大人5人が乗れる居住空間を確保しているところもポイントだ。さすがに中央席は広くはないが、後席の居住性はわるくなく、自然な感覚のシートポジションを取ることができるのもよい。
そもそも乗車定員が4人か5人かというのは、エントリークラスのユーザーにとっては無視できない問題。もちろん軽自動車はどんなに広くても4人になるのに対し、ミラージュは5人乗りである点は強みだ。 」
・・・更に簡単にかいつまむと・・
・価格は最下グレードで100万円以下になるだろう。
・欧州でついているはずのFスタビライザーがついてない
・新開発のINVECS-Ⅲ(ジヤトコ製)
・コルトと比べると圧倒的に小さく感じるがVDAではミラージュの方が広い
・タイヤは専用設計でECOPIA EP150がついている。(適正空気圧は2.7k)
・内装は黒とツートンだが、これは塗装色によって決まっている
・コルトでよく話題になるAピラーが細くなって左右が見やすくなった。
・燃費はリッター27.2km/l(JC08でフィットやデミオスカイアクティブより上)
・・・重量が書いてないのであれなんですが、まぁ800キロ後半だったら嬉しいですね。900キロ前半は達成するかもしれませんが・・正直軽いという事はいい事だと思います。それに更に剛性があると言うのも・・
昔は剛性と軽量化ってのは相反する事と言われてました。例えば初代エボとかでも、1240キロしか無いのですが、逆にボディはセダンのランサーほぼそのままでしたし、そういう場合は50キロ以上の重量増も厭わずロールケージとか組んだりするものです。(勿論中のものすべてとっぱらって軽量化を図り相殺するのが吉なんですが・・まぁなかなか・・)
最近の自動車は正直エコカーでも、1990年当時のスポーツカーを超えるだけの剛性があります。・・・それくらい無いと車としては販売できない程安全性能を求められているからです。したがって、ミラージュの軽量・高剛性と言う方向性は、車の本質としては純粋に追求されていったものなのだと思います。
よく自動車のPRESS誌で「ミラージュは1Lなので、国内での販売競争ではかなり不利で、売れないかもしれない」と書かれていますが、正直、そう決めつけるのはどうかと思う。それだとスイフトの1.2Lとかにも当てはまる事ですよね?
最近のエンジンのダウンサイジングは、世界戦略車としては当たり前のことで、スイフトもそうですし、マーチも1.2Lを使っていると思います。逆に言うとダウンサイジングエンジンを開発できないと、世界戦略は有り得ないと言う感じもします。欧州車に立ち向かっていくにはコストもありますが、今後1.0L、1.2L及び1.4Lの需要はますます増えていくことでしょうね。ただ、昔の1.0Lを考えるとやはり「排気量が少ないのではないか?」と言う先入観もあるかもしれません。しかし時代はECUで緻密な制御が可能になり、低速から最大トルクが発生できるエンジンを生み出していますから、そういう面で(実際乗ってみないとわかりませんが)さほど不満は感じないような気すらします。(あと、CVTのダイレクト感もここ数年で大排気量まで対応できるようになったので、余計にでもそういう心配は払拭されそうな感じも受けます。)
ミラージュのエクステリアに関しては賛否・・と言うかやはり否の方が多いように感じますが、個人的にはダウンサイジングコンパクトの中ではかなり練られたものであるように感じます。特に逆スラントを採用せず、コルトのようにワンモーションフォルム(もともと「コルト」の後継機として開発されたのだと思うが・・)を継承しつつ、クセのないフロントフェンダー周りはかなり好感がもてますね。エアロも所詮ROARがカッコいいものを作るので、さほど不満は生まれないでしょう。むしろ初期型コルトのダサさと比べるとよく頑張ったと思うし、デザイナーがさじを投げた新型アウトランダーよりも、熟考がみてとれるかな~と。
インパネ周りは、コルトを見ているとお話にならないくらい洗練されています。むしろアウトランダーやエボよりも良いのではないだろうか?とすら思いますw シンプルなのはコストダウンの賜物なんでしょうけど、そりゃそうです。100万円以下で売ろうとしているものに豪華なインテリアが果たして必要か?と思うと、そうではないですよね?それよりかはディーラーオプションを増やして、昔のコルトにあった「カスタマーフリーチョイス」のようにたくさん選べるようにした方が良いと思います。
まぁとりあえずインテリアに関しては、最近のコンパクトカーを準拠・・しているよりはちょっと下回ると思いますが、例えばフィットの内装なんかは値段を考えるとよく考慮されているし、デミオもなかなか清潔感あるように感じます。ミラージュのそれはまさに「クルマ」と言う感じです。但し、EKワゴンの収納能力もそうなんですが、そういう面ではコルトよりはるかに上で、EKを踏襲している感じもします。
・・・感想を言うと、今まで三菱車って「三菱車はデザインが」とか「内装がチープで」とか色々言われる事があるかと思います。ただ・・今回はよくデザインは頑張っているし、内装がチープなのは、まぁ他所の同価格のコンパクトもそんなに変わっていないような感じもします。(欧州コンパクトは別格として・・)悪く言えば「地味」であり、よく言えば「シンプル」と言う感じで・・
ただ・・コルトの時よりも、明らかに「女性受け」しそうなフォルムだと思います。フィットはともかく、先代ヴィッツやマーチよりも何しろFエアダム~グリル周りが標準的で、誰が乗ってもそこそこ似合うような造詣ではないかと思います。(まぁそういう人に動力性能云々と言うのはあまり関係ないだろうけど・・)
コルトの時がそうであったように、三菱は、新しいグローバルスモールは恐らく10年しないとフルモデルチェンジしないでしょう。そこまでの開発能力が、よそのメーカーに対して劣るからです。(コルトは10年、他の車も相当長いがw)逆に言うと、だから「10年フルモデルチェンジしなくてもいい車を作る」と言うコンセプトが本筋にあると思うんです。そりゃ来年あたりに出るかもしれない「ミラージュエボモデル」の噂もありますが、それもこれもまず「ベース車両ありき」なので、スペックや風評にとらわれず、まず乗って見て真意を問うのが良いと思います。最近の自動車産業は、海外輸出一つとって見ても非常に厳しい状況。だからこそ、状況を打破するだけの車両開発を、このミラージュは受け持っているものと・・信じたいですね。
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まぁ、スタビが無いのだけは勘弁して欲しいものですが、ミラージュエボには付くんだろうな?ww