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2022年08月21日 イイね!

M270エンジンの技術的資料について(その3)

さて、こちらの資料に戻って、再度確認を続けていきます。

○CAMTRONICの採用による燃費向上について

要は2段階切り替えによる可変バルブリフト機構です。ダイムラーの見解だと搭載しない場合と比較し4%の燃費向上を図ることが可能だとのこと。
日本人にとってはVTECやMIVECがあるのに今更感はありますが...

私個人的にはBMWのバルブトロニックのほうが連続可変でもっと優れていると思いますが、
故障率はCAMTRONICのほうが少なそうですよね。
(CAMTRONICはソレノイドでカムの位置を切り替えるだけ、
バルブトロニックの場合はモーターでロッカーアームのレバー比を連続切替なのでモーターが故障すると途中の位置で止まってしまう。)

CAMTRONIC(Mercedes Benz)

Valvetronic(BMW)

こちらに部品があるように、M270では可変バルブタイミングは普通に導入されています(今時のクルマは当たり前でしょうか)。

※「Mercedes-Benz A-Classのすべて」のメカニズム詳細解説によると、日本仕様ではCAMTRONIC搭載が見送られた(CAMTRONICは6MTとの組み合わせしか存在しないため)とのこと。
要はCAMTRONICと7G-DCTの協調制御は未着手(開発半ば)だったということでしょう。

※ちなみに本章にはターボチャージャーについても記載があり、当該機に搭載されているもの(IHI製 RHF4 らしい)は最大過給圧 1.9bar , コンプレッサーの最大回転数 230,000rpm, 排気インペラーでの最大温度1,050℃ のとのこと。
ターボでの発熱を冷却するため、ダイムラーの技術者は横置きエンジンのM270では排気を前側、吸気を後側に配置したとのこと。
(GFBのブローオフバルブの商品プレビューに書きましたが、こんな高回転・高温度で連続動作する補機が使われているのだから、これを保護するためのブローオフバルブに私は”ニセモノ”を怖くて使えません。)

○ディーゼルエンジンと同等のトルクレベル
1.6Lエンジンでは最大トルクを1,250rpmで発揮し、これを4,000回転まで維持する(2Lモデルの場合は1,200rpm 〜 4,000rpm)、
という訳で日常域でもターボは使用される訳です。
また、新開発の 7G-DCT トランスミッションの採用により、そのコントロール ユニットはエンジン管理システムと相互通信するため、新しい 4 気筒エンジンはアクセルに非常に素早く反応すると共に巡航速度では、より高い比率を選択できるため、燃料消費と騒音レベルが改善される。
優れた冷却システムにより、時速 200 km を超える速度でのみ、よりリッチな混合気が必要になるため、ターボチャージャー付きエンジンは、高負荷下でも模範的な燃料消費量を維持可能である。
最適化されたクロスフロー冷却と、スパーク プラグとインジェクターの間のわずか 3 mm 幅の冷却ダクトを備えた 2 ピースのウォーター ジャケットによりクーラントを適切な場所に伝達する。

※エンジンとギア制御のレスポンスは確かにSPORTSモードではかなり優秀だと思うが、COMFORT・ECOは若干鈍く仕立てられている?
時速 200km/h 未満って日本では通常あり得ない数値の記載がある、それはアウトバーンを乗り回す国の事情でしょうか。
3mmの冷却ダクトって、経年劣化で埋まりそう(クーラントの定期的なメンテナンスが必須?)。

○発熱マネージメントによるウォームアップ時間の短縮
新開発のエンジン温度管理システムが採用された。
冷間状態では、流量が最適化されたボールバルブを備えた可変流量ウォーターポンプでクーラントをシリンダー内部に留め、エンジン始動後に燃焼室を迅速に加温する。
サーモスタットは電子制御化された流量最適化ボールバルブシステムである(国産車などでお馴染みのばね入り弁タイプではなく)。

※ウォーターポンプがターボチャージャーの下側、サーモスタットがインテークマニホールドの下側と非常に整備性が悪いのが悩ましいところ。
個人的意見ですが、故障時にDIYはちょっと無理だと考えてしまう。
※また、この新しい機構が従来の枯れた機構に比べて故障率が高いのが悩ましい。

Mercedes-Benz|A-Class water pump replacement|Mercedes m270 Engine|mercedes A-180 petrol engine

参考文献:
新世代ターボチャージャ RHZ シリーズの開発(IHI) 直接は関係ありませんが、RHF4 の概要がこれでわかると思います。
Posted at 2022/08/22 20:20:21 | コメント(0) | トラックバック(0) | M270 | クルマ
2022年08月20日 イイね!

M270エンジンの技術的資料について(その2)

さて、今回は先に進まず「昨日の添付動画」の復習になります。
(改めて見ると「ためになる」ことが多かったので)



○最初のインジェクターの噴射、3パターンあるけどあれは何?
→あれはエンジン負荷に応じてインジェクターの噴射を変更しているためです。
(λは空燃比 燃料と空気の重量比率を示す。通常は空気14.7に対してガソリン燃料1が λ = 1 の状態)

・グラフの一番上、λ = 1 homogeneous mode は 理想空燃費の「均質燃焼モード」別名ストイキオメトリーという。
(本モードでは従来型の三元触媒で排気ガスを制御)

・中段、homogeneous-stratfield mode は成層燃焼と均質燃焼の混合状態を示す(恐らく)ダイムラーの造語です(エンジン回転数3000rpm未満+時速130km/h付近の低負荷時)。

・下段、λ >> 1 stratfield mode は成層燃焼を示します(エンジン回転数3000rpm未満+時速70km/h未満の低負荷時)。別名リーンバーン(希薄燃焼領域)という。
(本モードではNOx吸蔵触媒で排気ガスを制御)

そう、エンジン回転数と負荷に応じてインジェクターの噴射時間・タイミングを調整し燃焼をコントロールしているんです。
特に注目してほしいのは下段(低負荷時)の stratfield mode (成層燃焼, 希薄燃焼)について。
λ >> 1 ということで理想空燃費よりはるかに多い空気量に対して、僅かな燃料で燃焼を実現しています。
それは何か?
点火の直前に燃料を噴射することで、混合気の濃い部分をスパークプラグ付近に作り込むようにしています。
良くアニメーションを見ると火球の広がり具合も他の2モードと比較し小さい。
(実際の燃焼量はピストン中央部の凹みだけで問題ないため。)
また、何故成層燃焼時にはそんなに空気を取り込むのか?
それはスロットルを絞った際、吸い込む際の抵抗=損失となるからです。

○(その後、2分5秒から始まる )stratfiled mode と homogeneous mode での P-V曲線の違いは何?

先に説明をしますが、あのグラフはシリンダー内部の圧力と容積の関係性をグラフで示したものになります。
シリンダー内をピストンが動作により内部の空気圧と容積が変化しますが、これをシリンダー内での燃焼・排気・吸気・圧縮の各工程と共に連続的に示しています。
→あれをひも解くには
こちら
のサイトを少し見るとわかると思います。
レシプロエンジンでは「新気を”吸気”して”圧縮”するまでの工程」と(−)、「圧縮された混合気に点火し”燃焼”が始まってから”排気”するまでの工程」(+)でシリンダー内でのピストンの運動方向は同一ですが内部圧力状態は異なり、
実際には(ー)と書いた方の工程では仕事としては「損失」、(+)と書いた方の工程では「利得」であることはわかると思います。

このM270で採用されている低負荷時の「stratfield mode」(緑のグラフ)の場合、ピエゾインジェクターによる燃料噴射を意図的に遅らせることにより、気化熱によるシリンダー内負圧化を防止し損失を「homogeneous mode」(赤のグラフ)と比較して”減少させる”ことを示しています。
動画の最後、重ね合わせられたグラフの緑の塗りつぶし面積が赤の塗りつぶし面積より狭いことがその証拠です。

参考資料:
均質燃焼と成層燃焼の違いについて調べていて見つけた、直噴エンジンでの燃焼に関する資料を2つほど提示します。
直噴ガソリンエンジンにおける混合気形成と燃焼(豊田中央研究所)
直噴ガソリンエンジンにおける成層燃焼解析(デンソー)
また、NOx吸蔵触媒の資料を提示します。
直噴ガソリンエンジンシステムにおけるNOx浄化技術

こういうドキュメントを拝見していると、今時のクルマの場合「街のチューニングショップでここまで燃焼について具体的に研究している人はいない=最低でも燃費向上面では自動車メーカや部品メーカには太刀打ちできない」のではと思いませんか?
追記:やや語弊がある書き方でした。

こういう風に走行中にECUの動作を見てマップのモード遷移を解析している意欲的な方もおられますね。
(更にこちらの動画見て、せっかくメーカで設定した燃焼モードをショートカットしてしまう「スロットルコントローラ」は”ご法度”だと私は気付かされました。)
Posted at 2022/08/20 15:42:48 | コメント(0) | トラックバック(0) | M270 | クルマ
2022年08月19日 イイね!

M270エンジンの技術的資料について(その1)

「んなもん、細けーことは良いんだよ」という方はおられると思いますが、
私はマイカーの技術的背景って知りたいと思う質なんですよね。
という訳で何回に分けて調べた結果をブログに記載していきます。

まず、本家のこちらから。
(PDFではなく、プレスリリースのword文書+説明用画像ファイルのZIPアーカイブになっています)


ちなみに当該ドキュメントは W176 が発表された時点でのテクノロジー関係のプレスリリースのようです。

ざっくりとポイントを記載していきますね。

○エンジン構成は3種類
実際に日本に入ったのは1.6L(モデルナンバー180、以下カッコ内同じ)と2.0L(250)だけでしたが、ドイツ本国板?には1.6L(200)があったようですね。
ちなみにパワーとトルクは以下の通り
1.6L(180)  90kW(122ps)/200Nm


1.6L(200) 115kW(156ps)/250Nm


2.0L(250) 155kW(211ps)/350Nm


モデルナンバー180と200の違いは恐らくブースト圧制限だけでしょう。
”All engine variants are designed for customer-friendly operation with
E10 premium petrol (95 RON).” と書いてあるのが羨ましく、そして腹立たしい(日本石油連盟に対して)

昔の規格を未だに引きづって、オクタン価95のレギュラーガソリンを販売しない、
ふざけた商売のやり方
ですよね。
今時国産車も含めて高出力エンジンはそれなりにあるので、
オクタン価95付近のガソリンを用意すれば、ハイオクを入れずに済むと考るとリッター10円は安く出来るのに。

○ピエゾインジェクターによる複数回燃料噴射

1回の燃料噴射サイクル内で5回に分けた噴射が可能
これについてはダイムラートラックのサイトに公式動画があったのでそちらのリンクを貼ります。

排気後から圧縮完了後の点火まで複数回インジェクターが燃料噴射しているがお分かりかと思います。
(それ以降は私ももう少し動画を見て勉強します。)

○複数回点火による燃料の効率的な燃焼
1回の燃焼工程で複数回の点火を実現しているようです。

ピエゾインジェクターと複数回点火により最大4%の燃費アップが可能になったとのこと。
続きは次回に。
Posted at 2022/08/19 23:35:14 | コメント(0) | トラックバック(0) | M270 | クルマ
2022年08月13日 イイね!

Power Factory OBD2 について



パーツレビューでも再評価で投稿しましたが、
当該品をココアシステムズにお送りするためにメールで何度かやり取りさせていただきました。

当該の会社さんは一般向け販売はあまりやっていませんが、
いわゆる業者さん向けの開発は豊富に経験が有る模様
(直接接点のある製品は個人的にありませんが、
取扱商品・開発日誌を読めばその本物ぶりは自ずと理解できると思います)。

それよりも増して、メールのやり取りが非常に真摯かつ的確なコメントを頂けたことが
更に高印象でした。

検証結果については こちら の通りLEDを点滅させるためだけの詐欺商品確定。

大体、私のクルマの場合、ダッシュボードカバー部分にLED部を隠すように取り付けされていた時点で、
完全に意味不明(動作を確認したいのなら普通はLED部見せますよね。)
さらに日本国内なら ProRacing 製品を購入するのが普通なのに、
何故に ebay からこれを購入する必要があるのか...

更に今回の検証でココアシステムズさんに調査頂いて判明しましたが、
PowerFactoryとProRacingの製造元がポーランドの同じ市内でクルマで7分程度の距離にあるという驚異の事実。



という訳で、必ずしも全てがそうとは言い切れませんが、「OBD2ポートに挿してパワーアップや燃費向上を謳うユニットはかなりの確率で詐欺商品に当たる可能性がある」こと、
また、自分の車に付いている製品がココアシステムズさんの検証結果で「LEDを点滅させるだけのもの」だった場合は即座に外す必要がある(暗電流でバッテリを消耗させる可能性大)ことを
皆さんにも知って頂ければと思います。

という訳で、普段のブログは「楽しめる方だけ読んで」というスタンスですが、
被害者を増やしたくないため今回のネタに関しては拡散して頂いて結構です。
Posted at 2022/08/13 20:36:29 | コメント(0) | トラックバック(0) | クルマ
2022年08月02日 イイね!

自動車内装用皮革について(その2)

さて、最近はいろいろな処理方法が出てきたようで一概にそうとは言えませんが、
牛革を使用した自動車内装に保護オイルの塗布が無駄な場合があるのは知っていますか?

自動車のシート向けに牛革を使用するためには
 「炎天下から極寒状況+紫外線に劣化に耐える耐候性の確保」、
さらに「ジーンズのような表面の荒い繊維による対摩耗性も確保」する必要があります。
そのためにはどうすると思いますか?

実はこちらのようにウレタン樹脂で牛革の銀面層に塗装処理している場合があります(少なくとも過去のレザーシートでは実施していました)。

また、こちらを見ると、自動車内装用の牛革の場合耐久性を持たせるために従来は顔料で色付けしているらしいことが分かります。
(染料で内部構造まで染めると、風合いは柔らかくて心地よくなるが、耐久性が確保できないため顔料で表面に色を塗る。)

正直牛革シートの柔らかな風合いで有名な高級車では、国産車より表面処理の厚みが少なめであるからあの味が出るとか。
一方トヨタが「セミアニリン」という新たな仕上げ方法を導入したのは、風合い・色合い・耐久性のバランスが同社の基準に達したから。

ということはウレタン樹脂で表面保護加工を施された革製品の表面に保護オイルを塗りたくるのは意味有ると思います?
(オイルなんか浸透するわけ無いですよね。)
Posted at 2022/08/03 21:09:53 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

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