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自分のような年代（50代以上）になると、「合成皮革」という単語に対して非常に抵抗があり「耐候性がなくボロボロになるからダメ」
と考えている方が多いと思います。

それに塩化ビニルの劣化した際の独特な匂いは特に車内に篭もると非常に嫌ですね。
自動車のシートの素材が布がメインになった時代（1980年台後半以降）は、
比較的取り扱いがラフでも長持ちするので「良くなったなぁ」と思ったもんでした。

さて、時代が移り変わっても古い知識を持ち続ける方もいます（自分も一部そうでした）。
果たしてその内部構造をちゃんと把握してシート地を維持している方はどのくらいいるのか？

東京クリーニング生活衛生同業組合さんのサイト並びにデテログさんのサイトで良い資料があったので、参考にさせて頂きます。

まず昔のクルマのシート、東京クリーニング生活衛星同業組合の資料で言うところの「塩ビレザー」ですね。
だから表面がダメになると剥がれたりしてくるし、塩ビ特有の劣化による臭気が発生する。

塩ビは燃やすとダイオキシンを発生すると言われて倦厭され、塩ビ層をポリウレタンに置換えたのが「合成皮革」ですね。
この構造でも編物層の表面に樹脂膜を形成することには変わりない。
（塩ビレザー・合成皮革は後述する人工皮革とは異なり表面処理が本来の革とは異なるので、シワや毛穴の模様付けしてあげないと革の様な風合いが出ない。）

一方、アルカンターラ（ウルトラスエード）・DINAMICA・ARTICO等の「人工皮革」は最新技術で天然皮革を可能な限り模したもの≠「塩ビレザー・合成皮革」＝「広義で言うところの織物」だというがわかりました。
ということは、天然皮革と同等もしくはそれより長持ちするということも。
参考：東レのウルトラスエードの構造説明ページ
※ARTICOはこの資料に "imitation leather" と記載されています。

また、天然皮革のツルツルした表面、実は銀面層（乳頭層）の緻密な繊維の木目が整っているためです。
これをヤスリがけし起毛処理するとヌバックになる。
なおスエード・バックスキンは実は革の裏面を起毛処理したもの。

長い間使った革ハンドルでの光沢は「手の汚れと脂でコーティングして銀面が隠れている」から、
清掃しないと元には戻らない。

皮革（天然に限らず、人工、合成全て）のシート地が擦れている場合、それを修復するには銀面層の破れを接着剤で直すしかないことも分かりますよね。
（アドカラーも広義で言えば比較的弱めの着色済み接着剤）

劣化が進んで表面の銀面が取れて下地が出てしまうと、接着剤では完全に直せない。
長持ちさせるためにはひび割れを埋めてしまう早めのメンテナンスが必要ですね。

更に皆さん誤解している可能性が非常に高いのは人工皮革のメンテナンスです。
人工皮革はポリウレタン樹脂が構造体なので、これの表面に革用オイルなんか塗っても全く意味がないのも分かりますよね。
（貴方は自分の衣服に長持ちするからと言って油塗りますか?）