過去のブログでも何度か取り上げているVW ポロ(6R)を含む左流れ問題ですが、今回とある所より左流れ修正の依頼が有りました。一度じっくり取り組みたかったので車両をお預かりして徹底的に調整しました。
車両は新車のフォルクスワーゲンPOLO (6R)です。新車時から左流れが発生していて、純正のコンチネンタルCPC2(右側通行用)から国産タイヤに交換した所、改善はしたがまだ少し流れるので改善してほしいとの事でした。
早速試乗してみます。。。。
大体100mで左に1.5m程度流れます。基準としては時速100km/hでキングピン廻りのモーメントが0(手放し)の時の横流れ量が2m程度が上限だと思いますので、あまり酷くはないが、気になる程度だと思います。
ホイールは純正15インチにタイヤはヨコハマタイヤに交換済みです。
念のためGSP9700にてユニフォミティを測定します。
測定結果です。横流れの原因となるLFVの内のコニシティは問題ありません。もう一つの横流れ成分のプライステアですが、国内向けタイヤ(左側通行用)の為問題ないです。
ユニフォミティ測定後B-DYNAアライメントテスターにてアライメント測定を実施します。
空車時の測定結果です。赤い丸がフロントキャンバーです。左右差が有るので若干の左流れ要素となります。黄色い丸がリアトーです。スラストアングルが若干マイナスなのでこちらは右流れの要素となります。左側通行ではスラストアングルを若干マイナスにして路面カントに対応する場合も多く国産車のリジットサスはこのようなセッティングになっている場合が有ります。
1名乗車を再現する為にウエイトを60kg載せて再測定します。
1名乗車時の測定結果です。赤丸のキャンバーは左右差が無くなりスラストアングルも0になりました。たまに勘違いしている方もいますが、右ハンドルの場合は乗車時に右側のキャンバーが起きて来て、左側のキャンバーが寝る事により左側通行の路面カントに合わせています。左ハンドル車の場合は右のキャンバーが寝てしまい、左流れ要素が増えてしまいますので注意が必要です。
ポロは基本的にフロントのトーしか調整出来ませんが、各部の取付ボルトを緩めて、メンバーやアームを動かすことにより若干の調整が可能です。
1名乗車時に若干右流れになるように微調整します。
空車状態の調整後の数値です。
フロントキャンバーを揃えました。但しキャスターの左右差が出てしまいました。この車両の場合はキャスターよりキャンバーを優先させます。アライメントに詳しい方は疑問だと思いますが後程解説をします。
1名乗車時の数値です。トーはバンプステアを考えて0に、キャンバーもいい感じになりました。スラストを少し入れたかったですが、リアは動きませんでした。
試乗してみます。。。。
ほぼ完治しています。100mで0.5m以下に抑えることが出来ました。色々な路面を色々な速度で試走しましたが、ほぼ満足できる状態になりました。やはりポロを初め輸入車は国産に比べてハンドリングはいいのですが、路面状態に敏感に反応するのでセッティングが難しいですね。(スラストアングルを2分前後入れれればほぼ完璧になったと思われます)
今回、キャスターよりキャンバーを優先させたのには理由があり、プロでもあまり理解されていない場合が有りますので解説したいとおもいます。
キャンバーはご存じのとおり、タイヤを前から見たハの時具合なので、左右差が有ると流れるのは理解できると思います。キャスターは良くバイクのフロントフォークに例えられますが、何故左右差が有ると流れるのでしょうか?イメージとしては左右のホイールベースが違うので、短い方に流れそうですが本当でしょうか?
実はアライメントについての教科書は古い車両を対象にした物が多く、基本的にはパワステが無い時代のFR車両を対象にした物が多いです。パワステが無い時代にはステアリングを軽くするためにスクラブ半径を多く(20mm前後)取らなければならず、FRの場合は直進安定性を出すためにキャスターも大きかったのです。
スクラブ半径が大きいという事は、車重によるタイヤの内向性が大きいので少しのキャスターの左右差が内向性の差になり車両流れが発生するのです。
現代はパワステ(EPS)が標準となり、スクラブ半径もほぼゼロスクラブとなったので、キャスターの左右差が有っても、ゼロスクラブの場合は理論的には横流れがほぼ発生しなくなりました。この事はあまり知られていないですが非常に重要な事なのです。
ブログで何度も力説していますが、重要なのは、スクラブ半径です。
今回の場合はノーマルホイールにノーマルサスペンションなのでスクラブ半径はほぼゼロです。ゼロなのでキャスター左右差よりキャンバーを優先させました。
同じ車両でもホイールを(インセット)変更したり、タイヤサイズを変えたり、サスペンションを変更した場合は左流れが増大する場合が有りますので注意が必要です。
今回の車両もホイール(インセット)を変更すると左流れが発生すると思います。
タイヤホイール(直径、インセット)の変更ではアライメントは変わらないと考えている方は多いですが間違いです。タイヤホイールを変えたら車両流れが発生した場合はスクラブ半径の増大が一因の可能性が有ります。
アライメントは数値に拘りすぎると良くないです。車両は個体差やチューニング度合も違うので、同じ数値にしてもあまり意味が無いです。重要なのは官能評価とタイヤの摩耗具合だと思いますので参考にしてみて下さい。
車両流れ関連は良く問い合わせが有りますので下記参照ください。
タイヤユニフォミティ検査依頼
LFV(D)=プライステア+コニシティ?
車両左流れの原因は?
車両左流れの原因は?(再び)
VW POLO 左流れの原因は?
コペンとアライメントとアジアンタイヤ
ブリヂストンスタッドレスの実力は? (スクラブ半径測定)
キングピンオフセット(スクラブ半径)の調整
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