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クルマのデザインは、1960年代前後にイタリア系SSミッドシップが流行り、その後30年以上に亘りスポーツ/グランドツーリング系統の象徴的なものとして常に主流になって来ました。
その後エンジニアリング方面の技術革新により、いまのように圧倒的パワーと電子制御の足回りを得ると、ミッドシップは必ずしもカーデザインの中心では無くなりました。FRで充分速く、またFRならではの流麗なスタイルが好まれ、相次ぐ新車に採用されています。
そうしてミッドシップウェッジシェイプ神話から解き放たれ、気が付いて周りを見渡してみますと、現在のクルマはやっぱりFR/FF「普通ジャン」3BOXがデザインの主流です。
昨年のモーターショウでも、レクサスFTAやFT-86、GT-R、日本メーカーの最新スポーツモデルはFR-3BOXでした。クーペタイプで、一目見て力強さ、秘めたる凄いパワーを感じ、格好良いと思いました。然し同時に、「またデザインこれ?」という印象を持ちました。
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プリウス/インサイト/HS250h等、ハイブリッド専用ボディモデルの成約台数はいまや圧倒的な結果が出ていますが、これら一見全く強そうにも速そうにも見えない背高デザインがこれだけ受け入れられたのは、その先進的な省エネシステムや設定販売価格帯、減税の恩恵ばかりが理由では無いと思います。
ボディサイズは小型なのに、ベースモデルでは無く、300万を超える上級モデルのオーダーが多いのも、それを示唆しています。
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この数十年間、走りとパワーの技術向上は物凄く進化してきたのに、肝心なクルマのデザイン側は、従来通りの3BOXデザインからほとんど進化して来ませんでした。
だから、そうでは無いハイブリッド専用ボディという、この特徴的なひとつのブランドを与えられた事で、ハイパフォーマンスカーとは違うジャンルのマイカーという立ち位置で、他の3BOX車よりもユーザーに受け入れられ、いま受注台数のチャンピオンになってると思います。
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ホンダのCR-Zは、2ドアクーペスポーツをハイブリッド車で市場に出し、販売直後に圧倒的な受注を続けています。
前述のように日本国内の新車トレンドがFR-3BOXデザインなのに、このCR-Zはワイドで極く低いルーフのクーペボディを採用、大きな開口部を持つフロントグリル、ウェッジの利いたボディサイド、ホンダ社内でこのプロジェクトを進めた人達には、並々ならぬ努力と意思が必要だったのではないかと思います。
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フロントグリルはこのところの最先端、アウディR-8などにも負けない造形ですが、更に特徴的なこのグラマラスなサイドシル-リヤフェンダー周りのデザイン。
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インテリアも斬新なデザインが採用されています。フロントシートはファブリック-フルバケットタイプでホールド性が如何にも良さそうです。シビックタイプRと比べても更に低い着座姿勢は、スポーツ走行に適しています。
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機能性を備えると同時に先進的なイメージや上質さが表現されていて、特にメーター回りはハイブリッド車ならではの情報を表示するディスプレーが採用され、先進性が強調されます。
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乗車定員は一応4名という事ですが、後席はヘッドレストも無い完全なエマージェンシー用で、2+2になっているとは言えません。背の高い大人が乗ろうとすると、首をそっくり90度曲げる(?)くらいで、ポルシェと同じく普通は2人乗りで後席は荷物置き場と考える割り切りが必要です。
にも係らず、これだけ支持されているのは凄い現象です。
私ももし2台目のクルマを持てる立場でしたら、これ車庫に並べてみたいと思っちゃいます。
⇒②に続く。
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クルマへの想い | クルマ
Posted at
2010/06/09 23:54:43