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イイね!
2005年03月07日

この人、やっぱりダメだ。

この人、やっぱりダメだ。 僕がダメだと思ったのは、ライブドア社長堀江貴文氏。前にも江川紹子氏が行ったインタビューの記事を読んで、ダメだなぁと思ってはいたけれど、毎日の記事を読んでもうこれは確信になった。

 もちろん、起業家としての慧眼やマネーゲームのプレイヤーとしての才覚については文句のつけようがないのだけれど、マスコミ業界 ―とりわけ報道― に関わるにしては、正直言って全く資質がないと思わざるをえない。

 彼はこう主張する。知りたい情報は全てネットで手に入るのだから、既存のジャーナリズムは必要ない、と。もう、その発言だけで呆気に取られてしまう。僕らが通常見聞する、発生モノの事件や汚職、不正などの経済事件を、一体どうすれば既存のジャーナリズムを経由せずに知ることができるというのだろう?
 フジテレビ日枝会長とライブドア堀江社長の泥仕合を、または差止請求にかかる裁判の進展を知ることができるのだろう。北海道警の不正蓄財問題を、知ることができたというのだろう。「黒いウワサ」ではなく、一つの事実として。
 ヤフーやライブドアをはじめとするポータル・サイトを見ればニュースが手に入るなどと考えているのだとしたら、あまりに浅はかだ。あそこに掲出されているニュースは全て、既存のジャーナリズムが取材し配信したネタである。

 そりゃ、ネットでは所謂マスコミを抜きにしても官公庁や企業の「大本営発表」は手に入る。それ以外にも、微視的で断片的な「俺はこういうのを見たぞ!経験したぞ!」なんて話は知ることができる。それ以上に、根拠も不確かなウワサ話なら、ウンザリするほど手に入る。
 だがそれらは要するに情報発信者が「これを伝えたい」と考える情報が、その裏づけや信憑性、発信者の責任などとは無関係に無秩序に氾濫している、ということではないのか。
 媒体が情報を「選別」する以前に発信段階で既に「選別」された情報が溢れ返っているからと言って、一体どうやってそれが既存ジャーナリズムと取って代わりうるのか。

 堀江氏はまた、こうも主張する。自分の思い描くメディア像では、情報は事実のみを媒介するに留める、読者が内容について討論しての5割以上が問題ありと結論付ければ謝罪すればいい、問題ばかり続けていればユーザー(読者)から見限られて淘汰される、と。
 もう、ここまで来るとジャーナリズムがどうとかいう以前に、いちどコミュニケーションについて一遍、立教の新聞学科の聴講生にでもなってお勉強してらっしゃいと言わずにいられない。
 「事実」なんてものは所詮、観測者の主観のバイアスから完全に逃れることは出来ない(同じ事象を伝えるときでも「てにをは」の使い方、文章の構成で幾らでもニュアンスは変えられる)し、ファクト(事実)は多数決で変わるものではないし、既存メディアが曲がりなりにも読者・視聴者から信頼されているのは、それこそ瓦版屋以来100年を優に越える過去の実績の積み重ね(ゴメンナサイしないための努力を日々積み重ね、それでも間違ったときはキチンと責任を取る)あってのことだ。
 「やらせ」や「捏造」が問題視され重大な責任問題になるのは、読者や視聴者と発信者の間にある「これはノンフィクションである」という前提条件を根本から覆し裏切る行為だからだ。ホンモノと称してニセブランド品を売りつけるようなことだからだ。

 僕は、ニュースが好きだ。いま自分に関係あることももちろんだが、それ以外の事柄についても、ニュースを見てあれこれ思いをめぐらせるのが好きだ。不謹慎を承知で言うと、生の現実という奴はヘタな小説やドラマよりよほど面白いからである。そして、ニュースを面白がれるのは、既存メディアが築き上げた事実性に対する信頼があるからだ。
 「てにをは」だとかニュアンスの操作だとかでバランスを歪まされたニュースも、基本的にそれがノンフィクションだと信じられるからこそ、どういう意図で歪みが生まれているのか想像して、面白がれる。

 氏は、多分そうではないのだろう。
功利や(えてして無責任な)娯楽に特化した情報だけが意味を持つと考えるのならば、彼の主張には一理ある。
 だが、東京ウォーカーや日経ビジネスが週刊新潮や週刊ポストを駆逐することが出来ないように、堀江氏が考えるような情報流通が既存マスメディアに取って代わることは出来ないだろう。
 堀江氏が、インターネット事業が既存マスメディアに取って代わる未来図を力説すればするほど、僕にはまるで「ぴあ」のような情報誌の主催者が「これからは新聞も週刊誌も必要のない時代が来る」と声からしている姿を見るような不恰好さを感じずにいられない。

 彼の「報道観」とでも言うべきものが余りにもガキ臭くて、フジサンケイの関係者が「お前、来るな!」と悲鳴をあげたくなる気持ちも分かるような気がする。
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Posted at 2005/03/07 20:22:33

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この記事へのコメント

2005年3月8日 23:35
そりゃ、ダメですよ。もうちっと、想像力があったら、ここまでメディアに露出しないと思いますけど。メディアの力って恐ろしいですから。
コメントへの返答
2005年3月8日 23:53
痛烈ですねえ。しかし、ご尤もです。
世間に露出してしゃべればしゃべる程、底の浅い人間はその底の浅さをより鮮明に晒すことになりますからねぇ。
巧言令色、鮮(すくな)し仁と言いますが、巧言令色の域にまで達していないとなれば尚更でしょう。
2005年3月9日 0:46
どーも、ご無沙汰してます。いつも拝見してましたが、なかなかカキコする時間と気力が...

さてホリエモン氏ですが、実は私情報を広く当たってはいません。特にメディア記事は主張を理解できなかったり、意図的に対立の構図を作っているので真意が伝わってないことが大半のように思えます。紹介されてます江川紹子氏のサイトも多分にそういう感じを受けました。基本的に対談形式でTVに生で出ている際の受け答えからの印象で書いてます。

基本的にこの人ウラがないというか、どのメディアに出ていても言っていることはそんなにぶれてないように思えます。「インターネットとメディアの融合を進める」それだけがやりたいことで、あとは枝葉じゃないですかね。

現実にネットの存在は既存メディアに大きな影響を与えてますよね。それは歴然たる事実であり、堀江氏はそのことを言っているだけと考えます。ただ氏の主張している(とされている)「既存のメディアにはもはや用がない」というのは誇張されすぎているような。実際には既存のメディアも残るだろうと発言してますし、新聞→ラジオ→TVとメディアの主役の座が移っても新聞はなくなってないということを知らないことはまさかないでしょう。まぁ元々新聞とラジオ/テレビとは存在としてちょっと違いますがね。

結局のところ、ネットを信じすぎているところが問題の根幹にあるのではないかと。曰く「既存のメディアでは間違ったことも垂れ流されてしまう。ネットではその悪影響を小さく抑えられるし、また読み手から指摘して修正することも出来る」「本当にいい記事はちゃんと読み手がつく。それによって本当に大切な事が浮き彫りになる」(原文のままではないですが)といった風に。
実際にはネットの最大の欠点である匿名性がどうにかならない限り、そして日本のネチズン(最近聞かないなぁ..死語?)のモラルの低さ(掲示板でよく見られる吊るし上げとか、犯罪被害者/加害者関係者への匿名誹謗中傷とか)がどうにかならない限り、いつまでもネットの情報は「噂話」の域を出ませんし、それを超えた信頼性ある情報たりえているのは既存のメディアベースのwebサイトが主体だったりします。それを氏が知らないとは思いません(だからこそメディア買収に走ったわけですし)が、ややネット性善説でありすぎる、そして既存メディアを過小評価しすぎているとは思います。ジャーナリズムに対する理解(と配慮)に欠けているとも思います。でももしasahi.comがblog化して本当に読者とメディアとの対話が成立するようなことが実現できるならば、新たなジャーナリズムの姿が現れてくるかもしれない、というところは認めてもいいと思います。それはただの絵物語かもしれませんがね。(あとどうやって「商売」と結びつけるか。まぁこれは既存メディアも今後の重要課題として認識していることですが)

ところでTVに出まくっている、そして同じ主張を繰り返すってところですが、それは本当にその主張を信じていることを伝えたいだけじゃないのかな、と好意的に見てます。だってメディアを敵に回すことが怖いことを、あれだけのやり手が理解していないなんてことはありえないでしょうからね。

...うーむ、やはり惰眠さんのようにはまとまらないなぁ。
コメントへの返答
2005年3月9日 18:37
ご無沙汰しています、コメントありがとうございます。

堀江氏の主張にはブレがなく終始一貫した発言をしていますから、まあ既存メディアを殺すか飲み込むかは兎も角として「融合」を目指しているとの彼の話は事実そのとおりなのでしょう。

インターネットは速報性だけではなく、媒体産業に一種特権的な立場を許してきた情報流通のあり方を大きく変えています。新聞や雑誌、テレビ・ラジオは、それぞれ発信手段を占有的に持つがゆえに優越的であることが出来たけれど、ネットの発達によって全てのユーザーが等しく発信手段(メディア)を持った今、その優位の度合いは小さくなっています。
だから既存メディアの商売のやり方は、必ず変わっていくはずです。フジの日枝氏も、そんな感じのことを言ってましたし。

ですが、流通のメソッドやファシリティーが新しくなったとしても、流通に乗せられるコンテンツが全く別物になるわけではないと僕は思っています。

僕が堀江氏に(既存)マスコミ経営の資質なしとみなす理由も、結局はこの一点の認識に収斂していきます。
インターネットと言う媒体(メディア)は、言ってみれば器や調理器具。ツールです。大事なのはツールのほうじゃなくて、器に盛り付けられる料理、道具を使って作られる料理、つまり媒体を通じて流通する情報の筈です。
最新の調理器具でこしらえられ、美しい食器に盛り付けられていたとしても、その料理が美味しいかどうかは別問題。それなのに堀江氏が繰り返す発言は、彼が器や道具の素晴らしさと料理の素晴らしさを一緒くたに考えているように聞こえるのです。

道具が良くても調理人が下手だったら美味しい料理は作れない。道具と料理人が良くても仕入れた材料がダメなら矢張り美味しい料理は出来ない。当たり前のことですが。
産地直送の素晴らしい材料が手に入ると言われても、シメてもいない地鶏だとか釣ったまんまのマグロじゃあ一般家庭は困りますし、調理済み河豚チリセットが届いたとしても、資格を持った人が捌いたかどうか確かめられないようでは、危なくてしょうがない。
情報の質に関するそうした問題について、堀江氏はあまりにも無邪気で楽天的すぎると思えてならないのです。
取材や出演依頼によく応じている割には、このあたりについて詰めた認識を持っていることをうかがわせる発言が聞こえてこないのが残念です。

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