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2006年08月03日

ヒーローとは「生まれる」ものでしょうに

ヒーローとは「生まれる」ものでしょうに プロ・ボクシングが、これほど世間の耳目を集めたことは長いことなかった。殆んど社会現象と呼んで差支えがないほどの盛り上がりぶりで、さぞかし関係者も喜んでいることだろう。「悪名も有名の内」というやつだ。

 さてこの一連の騒動を見ていて僕は色んなものを連想した。いの一番に思い出したのは、往年のアイドルグループ『セイントフォー』である。その次に思い浮かんだのは日本カーオブザイヤーだ。
 どれほど多額の宣伝費を投入し、どれだけ声高に『一等賞!!』と喧伝したとしても、世間が認めなければ虚しい結果にしかならないと言う実例を、この両者は如実に描き出していると思うからだ。イチバン、イチバンと言えば言うほど道化になっていく。

 試合翌日の朝のワイドショーを出勤前にパラパラと眺めてみたが、僕は正直なところ、あの19歳のチャンピオンは気の毒だな、TBSも気の毒だな、との感想を抱いた。哀れだと思った。
 あのボクサー少年の所属するジム。ちょっと年のいった人なら、その名前を聞けば、たちどころに思い出す「事件」がある。とある柑橘類の果物に関わる事件だ。今回の対戦は、そのジムがプロモーションした興行である。

 少年に敗れたベネズエラ人ボクサーが、そう言えば興味深いことを言っていた。「判定結果についてWBAには提訴しない。その理由は皆さんお分かりの通りだ」と。彼がほのめかし、しかし決して口にしなかった「理由」とは何なのか。僕は「提訴したところで結果が覆るわけではない」という意味ではない、と思っている。

 ジムのオーナーは韓国に太く強力なコネクションがある。イベントと番組のスポンサーはパチンコ産業。そして――少年をチャンピオンに押し上げた決定的な最終ラウンドの採点を出したジャッジは、韓国人である。これを偶然の一致と見るのは、いわゆる陰謀論の大嫌いな僕であっても、ムリだと感じる。

 ヨネクラに所属していた世界ライト級元チャンピオンが、普段バラエティー番組で見せる顔とは全く別人の厳しい表情で「本人のためにもボクシング界のためにもよくない結果だ」と批判するのに対して、新チャンピオンの少年が所属するジムに在籍していた往年のチャンピオンたちが擁護の論陣を張ろうとしていることも、ことの本質を浮き彫りにしているように思える。
 そうした中、少年チャンピオンの所属ジムOBの元ボクサーで一人、敢然と批判を行った人物がいたが、これにジムの会長が激高したというのも『その辺の事情』を勘案すれば極めて分かりやすい。飼い犬に手をかまれた思いだったのだろう。

 19歳の彼は、リングの中で精一杯戦った。ノック・アウトで決着がつかなかったことで、勝敗の行方に『リング外』の力学が作用することになった。可哀想に。道化である。俺は強いといえば言うほど、道化である。その自分の姿の滑稽さに気づかぬとすれば愚かであり哀れであるが、気づいてしまったら――気づくだけの世間知があったとしたら――自覚的に立場を演じ続けねばならないことを哀れに思う。

 TBSを気の毒に思うのも、まぁ似たような理由だ。彼らも、自前のスポーツ系ヒーローがどうしても欲しかったのだろう。そこで、売り出し中の少年に目をつけた。少年を「ヒーロー」にしようとした。
 でもヒーローは、なかんずくスポーツのヒーローは、熱心なファンだけでなく普段は全然興味もないような大勢の人たちが「このプレーヤーは凄い!」と感じる中から『生まれてくる』ものだ。仕掛け人の演出で『作り出される』ものではない筈だ。

 過去の経緯を思い返せば、あのしたたかなプロモーターにもっと警戒を払ってしかるべきだったと思うのだけれども、判定結果が出たときにTBSスポーツでも報道でも、中継を見ていた社員の口から驚きの声が上がったという話から想像すると、TBSもまた「利用された」側なのだろう。確かに彼らの立場も「スポーツする側」ではなく「スポーツ興行を執り行う側」なのだけれども。

 しかしそれでも、一等賞の金看板には、横車を押してでも手に入れるだけの値打ちがある。「受賞車は売れない」とのジンクスを囁かれる日本カーオブザイヤー程度のイベントであっても、そうなのだ。チャンピオン・ベルトのようにハッキリと経済効果を生む一等賞であるならば、リングの中の戦いとは別に、リング外の思惑がアレコレ巻き起こるのも必然であろう。
でも多分、プロ・ボクシングとは、そういうことも含んでとり行われる『興行』なのだ。

 そうそう、この騒動でもう一つ連想したものを書き忘れていた。F1グランプリの『セナ様』人気だ。『セナ様』ファンの(主として)女性が膨大に発生した結果、80年代後半の日本では『自動車レースの最高峰、エフワン・グランプリ』が大いに人気を博した。
 しかし結局『セナ様』ファンは『セナ様』ファンでしかなく、フォーミュラ・ワン人気は大いに凋落したのである。選手個人の人気を競技そのものの人気に転化できなければ当然に訪れる結末である。

 日本のプロ・ボクシング業界全体も、あるいは今度の少年チャンピオン人気に便乗出来ることを当て込んでいるのかもしれないけれど、今回の帰結はむしろ、業界全体への失望から拳闘ファン離れを招きかねない。テレビ媒体がずっと密着して盛り上げを図り続けていただけに、失望の広がる範囲も深さも、かつての『疑惑の判定』チャンピオンのときとは比べ物にならないんじゃないか。そんな気がしている。
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Posted at 2006/08/04 16:42:20

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この記事へのコメント

2006年8月6日 2:01
『セイントフォー』、、いいですね(^^)
僕もこのグループ、宣伝費に数億円かけました、ってキャッチコピーに引きました(^^;)
これだったか、少女隊だったか、いくら宣伝費かけようが、受け手が良いと感じなかったら意味がないでしょうと。
COTYもひどいですしね。
COTYやその前後の車雑誌ではベタ褒めしてた評論家が、数年経って売れずに不人気車になると、掌を返したような発言してますし。

ジムのオーナーやその繋がりもそうですが、情報によるとチャンプの一家も色々と怪しげなつながりがあるそうです。
なぜ世界タイトルが週末ではなく平日に開催されたか、など。

実は僕は元々この一戦殆ど興味なかったのですが、連日連夜、執拗なまでのTBSの宣伝振りで否応無く知らされ、それで横柄振りに辟易とし、そしてこの試合結果で色々解りました。
その意味では僕はTBSにも罪一等があると思っています。
これまでの対戦相手なんて殆ど大した事ないじゃないですか。
それをあそこまで持ち上げ、ヒーローとして作り上げようとする姿勢。
まあ、協栄との関係があって、視聴率が取れそうと踏んだからなのでしょうが、最近のマスメディアの公平さ、公共性からはるかに離れた視聴率だけを追求したあり方、日経のインサイダーもそうですが、もっと抑制があっても良いんじゃないかと思っています。
コメントへの返答
2006年8月6日 2:59
僕の勤め先にはいろいろ不可思議な職歴を持った人が結構いるのですが、部分的ながらプロボクシングに興行側から関わっていた人がいることが、今度の騒動で判明しました。

 で、その人に言わせると「意外に世間には知られてなかったんだねぇ……。プロ・ボクシングなんて昔っからこうだよ」とのこと。フェアでもクリーンでもないのが当たり前なのに、家族愛だとかなんだとかでキレイキレイに仕立てていることが、チャンチャラ可笑しいのだと。

 してみると、これは『一杯の掛けそば』のような物なのかもしれないですね。もとよりフィクションなのに世間はうっかりノン・フィクションだと思ってしまった。その化けの皮がはがれた途端に「騙しやがったな!」となったような。だとすると、仕掛けた人たちは心底驚いているかもしれません。昔と同じことをやっただけなのに、何でこんな反応が返ってくるんだ、と。

 前述の会社の人が最後にこんなことを言ってました。「1Rで《間違って》ダウンさせちゃって、対戦者焦ったんじゃないの?『ヤベェ!こいつ、弱い!!』って」つまりこの人、鼻薬をかがされていたのは審判だけじゃなくて対戦者もなんじゃないの?と言ってるわけです。
 真偽のほどは判りませんが、彼の目に映ったプロ・ボクシングの世界とは、そういうことが起こったとしても少しも不思議ではないところだったようです。
2006年8月6日 9:50
なるほど、そうしてみると、やはり興行側はいつも通りの事を普段と同じように淡々とやっただけ、って感じなんでしょうね。
それなのに社会からは異常な反応が返ってきて驚いてる感じなんでしょうか。
となると、原因はやはり視聴率稼ぎのための、異常なまでのメディアの取り上げ方じゃないでしょうかねぇ。
コメントへの返答
2006年8月6日 14:58
世間一般に必ずしも有名ではない個人競技のスポーツ選手をスターダムに祭り上げようというのですから、色々と演出過剰になる部分はあると思います。
ただ多分、今という時代はそうして作られた人造ヒーローを望んではいないのかも知れませんね。
仕込みがあったにしても、それに物語全体が左右されたりしないだけの強度・耐性があるサクセス・ストーリーでないと受け入れてもらえない。
そういうホンモノ志向を読み損ねたのかな、という気がします。

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「フェアレデーって本当に呼ばれてたの? http://cvw.jp/b/9433/47108671/
何シテル?   07/24 21:51
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