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イイね!
2005年07月07日

ネガティブ・キャンペーン

ネガティブ・キャンペーン 日本では許されていないけれども、海外に目を転ずると国によってはネガティブ・キャンペーンと言う広告手法が認められているところもある。
 僕らのよく知っている広告が、自社の製品やサービスを、これでもかと言うほどの美辞麗句で飾り立て贔屓の引き倒しをするのに対し、ネガティブ・キャンペーンでは逆に、他社の製品やサービスを(具体的に名をあげて)これでもかと言うほどにコテンパンにこき下ろす。

 最近ニュースになった事例を引けば「この会社は走行中に燃料タンクが突然脱落するようなバスを売りさばいていた。事件になったので慌ててリコールを出したけど、彼らの技術ではボルトの強度が足りていないという欠陥を突き止めることさえできなかった。ネジの締め付け不足だと思い込んでいたのだ。あなたは自分の人生や大切な人の生命を、こんなメーカーの製品に委ねることができますか?」みたいなことをやるわけだ。

 プジョー407のTVコマーシャルを見たとき、これは切り口を変えた一種のネガティブ・キャンペーンだなぁと思った。CMは、どこか海外の街角の風景を映している。道行く車は、巨大なレゴブロックを組み合わせたようなもの、木の板を自動車の形に切り抜いたようなもの、ゼンマイで動くブリキ玩具のようなもの等々と、デパートの知育玩具売り場あたりに並んでいる幼児向けのおもちゃを実際のクルマのサイズに拡大したようなものばかりだ。
 そういう「クルマ」たちの中を、プジョー407が駆け抜けてゆく。
これはつまり「プジョー407こそがホンモノの車。これと比べれば世の中のほかの全ての車は、乳幼児向けのオモチャと変わりがない」と言う暗喩を含んでいるわけだ。
 隣の車が小さく見えたり、名ばかりのGTが道をあけるような程度のネガティブ振りではある。けれど、CMの中で道行く玩具のクルマたちに実在のメーカーのエンブレムをちょいと貼り付けてやったりすれば、毒々しいまでの悪意が明確になる。まあ、そこまでやらないのが「洗練(インテリジェンス)」なんだろう。

 そんなことを考えているうちに、ふと思った。もし日本でネガティブ・キャンペーンが許されていたとしたら、JR福知山線の事故は、もしかしたら起きずに済んだのかも知れないな…と。
 民鉄とJR西の間に激しい時間短縮競争があり、JR西は他の民鉄より短い時間で到着できることを大きなセールスポイントにしていた。
 このときに民鉄が「JR西のサービスは、あなたの生命を脅かします。時代遅れの貧相なATCしか持たないくせに、スピードだけは速いのです」とでもぶち上げ「スピードより安全」なんて具合に自動車安全標語みたいなキャンペーンを張っていたとしたら…それでもJR西は、ああ言う「高収益経営」に専心し得ただろうか。旧世代のATCを、そのまま放置しつづけただろうか。

 敵意や悪意、相手を引き摺り下ろしてやろうと言うさもしい精神をむきだしにした言辞というのは、傍で聞いていても不愉快なものだ。
 だから例えば、米大統領選なんかで見聞するようなネガティブ・キャンペーンはご勘弁願いたい。
 けれども、例えばプジョー407のCMのように、知性とウィットを最低線に担保するのならば、一時話題になった『買ってはいけない』というアジテーション本みたいなのも、多少はあってもいいんじゃないかという気もする。
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Posted at 2005/07/07 12:52:33

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この記事へのコメント

2005年7月7日 16:54
ホンダ・ストリームが「ポリシーはあるか」というのもありましたね。
二番煎じでも成功してしまう「某巨大メーカー」に対しての怒りみたいなものすら感じられました。

某社でも大昔に「あのクルマとは違う」とやってましたね。
「BMWなんゾと一緒にするな!」なのか「BMWに似てるようですが、マネしたんじゃないんですよぉ~(汗)」のどちらでしょうか。(笑)

このクルマがヒットしたとき「ならマーク2よりも高くしとけばヨカッタなぁ!」と重役がポロリと言ってしまったそうで…

しかし、日本は農耕民族で、他国から攻められにくかった島国なので、あまりドギツイは合わないのかもしれませんね。
コメントへの返答
2005年7月7日 17:15
思い返してみると、実は結構あるんですよね。名指しこそしてないけれど仮想敵を明確に設定したキャッチコピーって。
「スポーツはライバルがいるから面白い」とか「100ccの余裕」とか。
初代プリメーラの最初期のカタログでは、ブラして誤魔化していますがアウディの80、BMWの3、VWのジェッタなんかが並走している写真を使ってもいました。

「あの車とは~」は、僕はMk2だと思ってました。だって、BMWのことを言ってるとしたら、あそこまで意匠を拝借してるんですから、流石に厚顔じゃないですか(笑)。

しかしやはり、日本の精神風土においては「あいつンとこのはこんなにダメダメだ!!」と言うような、攻撃的なアピールは好まれませんね。
 逆に「それじゃあ、お前ェさんのトコはどーなのよ?!」と切り替えされたときに「うちのは完璧!」と(虚勢であっても)胸を張った日には、それがまた嫌われたりしますし。
2005年7月8日 11:55
「買ってはいけない」的な本ですが、なかなか難しそうですね。
やはりある程度「クルマ」という商品の真実を知ってしまった人には、出版社も評論家もスポンサーであるメーカーに頭が上がらないことは知れてしまっていますし…
クルマ版「暮らしの手帖」みたいのがあればいいのですが。

昔、カーマガジンXで「ざ・総括」(ttp://www.mook.co.jp/oldmagx/sokatu/)なんてのもありましたが、スポンサーは怪しいQ2系ばっかりの怪しい媒体でしたね。

これがちょっとウケたので、他社が二輪で覆面座談会風の記事を企画し、あるメーカーの新車をボコスコにケナしたら、早速メーカーから電話が入って出稿も止められたそうです。

メーカーサイドからすれば「こっちはマーケで苦労して企画したワケで、その辺の事情も知らないどころか、同じ業界で商売をしているのに足を引っ張ってどうする!」という理屈なのだそうです。

その後、やはりこの車種はマニアには酷評でしたが、雰囲気で乗る若い世代にバカ売れしてしまったという予想外の結末を迎えてしまったのですが(笑)
コメントへの返答
2005年7月11日 13:04
「徳大寺有恒」という覆面ライターが書いた、一番最初の「間違いだらけの~」と言う本が、元々は『買ってはいけない』的な位置付けの自動車評論だったのではないかと思っています。
覆面を剥がしちゃったあとは、しがらみだの利権だのに不可避的に絡め取られて行ってしまったようですが…。

クルマは高額商品ですから、暮らしの手帖のやり方は難しいでしょうね。つきに何車種の新型が出るのか数えたことはありませんが、それを片端から自腹で購入するなんてことは、とてもじゃないけれど不可能でしょうし。
そうするとやはり、マガジンXのように広告出稿を自動車メーカーに頼らずに覆面のインサイダーが好き勝手喋るようなスタイルにするしかないのかな、なんて思います。(しかし出てる広告がアレだと胡散臭く見えますよね)

しかし、メーカー側の言い分や気持ちも分からなくはないんですが、ユーザーとしては正直ベースの話こそが知りたいわけで…。
「スポーツはライバルがいるから面白い」とぶち上げるのは結構ですが、それは本当にライバル足りうるだけのモノに仕上がっているの?とか。
メーカーから車両を借りなきゃショーバイできない構造を引きずっている以上、なかなか難しいのかも知れませんが。

プロフィール

「フェアレデーって本当に呼ばれてたの? http://cvw.jp/b/9433/47108671/
何シテル?   07/24 21:51
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