• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2002年08月19日

デザインせずにはいられない!

デザインせずにはいられない! リンク先の「サイコドクター暴れ旅」の日記にちょっと触発されて、先に国立民俗博物館に行ったときに見た磨製石器のことを思い出した。初期の磨製石器は、単なる石の剥離片と区別するのも困難な「薄べったい石のかけら」に過ぎないのだが、時代が下がっていくと、一体どういう情熱を傾けて態々こんな形に成型したのだろうと思うくらい、見事にナイフの形をした石器が現れる。

そこまで執拗に一定の造型をしようとした背景には、おそらくその石のナイフを祭器として扱うと言う側面もあったのだろうが、それにしても、そこに現れる美意識と言うか、造型意図というか、とにかく人間とは有史以来、デザインせずにはいられない生き物だったのだとつくづく感心した。

石のナイフだけではない。土器、金属器、武器、衣装。ありとあらゆるものが、なにがしかの美意識に支えられてデザインされている。造型の根本にあった思想が失われたために、その道具がナニであるかさえ判らなくなってしまった銅鐸のようなものもある。余談ながら博物館では、再現製作した銅鐸を定価40万円の正札を下げて土産物屋で売っていた(写真)が、本当に買う人がいるのだろうか?

それは兎も角、モノを作ると言うのは非常に貴い仕事である、と言うことも同時に感じた。例えば布。ファブリック。機械に任せておけば幾らでも織物の出来る近現代とは違い、平安やそれに遡る昔に布なるものを製造する手間と技術に思いすると、殆んど眩暈すら覚える。だって、自分で手織り布が作れますか?日々の衣料にするくらいの布を。
だとすれば、平安貴族の十二単に留まらず、布と言う高度の労働の集積体を数多く持つのは巨万の富の証であるし、また布作りのみに専従する(専従しなければ衣服にするほどの布は作れないだろう)、つまり食糧生産に携わらない生産者を養いうる財力を持つ階層が存在したことを示す。また、そのような職工が生活を維持できる社会構造が形作られていたということも意味している。

一体、こうした社会的な分業と言うのはいつの時代からどのようにして発生したのだろうか。そして、どのような社会意識が、こうした食糧生産に直結しない職業層の存在を維持せしめたのだろう。僕らが受けてきた学校教育で、それらの理由を教わった覚えは無い。僕らが遊びに行った日も、夏休み自由研究の課題を抱えた親子連れが何組も来ていたが、こういう「不思議」について考えることは端から放棄しているように見えた。今の日本の教育体系ではそれでいいのかも知れないけれど、こんなにも人類史の不思議が具体的な姿として展示されているのに、そこに思いが及んでいかないのは余りに寂しい気がした。
ブログ一覧 | ふと思ったこと | 日記
Posted at 2002/08/19 15:49:40

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

北海道「道の駅」めぐり 3回目
マツジンさん

🍽️グルメモ-1,059-ピッツ ...
桃乃木權士さん

働くキャリアカー
Team XC40 絆さん

ちんや食堂
chishiruさん

今日の昼メシ🍝
伯父貴さん

口直し
アーモンドカステラさん

この記事へのコメント

2002年8月19日 21:19
磨製石器が、石のナイフが、そして「剣」の一部が祭事に用いられていたことは間違い無いことと思われます。
と、書き出したら、もっと深いことを述べられてますのね。
カタチ(鋭利さや薄さや色合いもひっくるめて)へのこだわりは、単なる研磨を工芸に変えていき、その気の遠くなる蓄積のかなたにいる我々に芸術や美といった感動としてフィードバックしてくるのでしょうね。
うちの子供たち、教えもしないのに泥団子作るのに夢中で、これをとにかく“真球”にしたくてトライと挫折の繰り返しをしております。
案外これも縄文の血なのかもしれません。
コメントへの返答
2002年8月20日 11:05
コメントありがとうございます。
やはり人間のごく根本の部分には、自分の両手を使って何かを形作りたいと言う欲求があるのかもしれないですね。そして、泥団子の「真球度」じゃないですが更なる洗練を求めてしまう、なにかやむにやまれぬ衝動みたいなものも。そうやって研鑚された美意識が、広い範囲で共有され後代に継承されていくのも面白いことだと思います。

プロフィール

「フェアレデーって本当に呼ばれてたの? http://cvw.jp/b/9433/47108671/
何シテル?   07/24 21:51
曲面の綺麗な旧い車が好き、エレガンスのある車が好き。そんなこんなでユーノス500に乗りつづけ、もう……何年だ?  気がつけば屋根のない車まで併有。いつまで乗り...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

Automotive Design 
カテゴリ:新しい車関連
2003/08/09 00:21:12
 
All The Web 
カテゴリ:便利
2002/12/27 14:03:26
 
Hubble Space Telescope Public Pictures 
カテゴリ:科学・文化・芸術
2002/11/08 15:59:43
 

愛車一覧

マツダ ロードスター マツダ ロードスター
2005年10月、発作的に衝動買いしてしまいました。 いい車だなぁと思ってはいたものの所 ...
マツダ ユーノス500 マツダ ユーノス500
気が付けばデビューはもう19年前。 最新の車とは比べるべくもありません。 ガタガタゴトゴ ...
マツダ アテンザセダン マツダ アテンザセダン
例によって例のごとく、借り物の車での「パートタイム・オーナー」です。レンタルしたのは10 ...
マツダ ランティス マツダ ランティス
俄かオーナー経験は僅か3週間で終わりましたが、とてもいい車です。 代車だったので、コンデ ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation