• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2002年11月28日

「このリメークに関わったすべての人間があらゆる苦しい病気を同時に患ってじわじわとみじめに死んでいくこ

「このリメークに関わったすべての人間があらゆる苦しい病気を同時に患ってじわじわとみじめに死んでいくこ 「このリメークに関わったすべての人間があらゆる苦しい病気を同時に患ってじわじわとみじめに死んでいくことを願う」などとは随分と物騒なタイトルだが、これは僕が頻繁に覗いているSF者の精神科医、風野春樹氏のHP(リンク先参照)の日記で紹介されていた話。
(元記事はwww.hotwired.co.jp/news/news/20021122206.html)

 要するに、ロシアの古典SF「ソラリスの陽の下に」を原作にしたA.タルコフスキーの名作「惑星ソラリス」をリメイクするにあたり、賛否両論が渦巻いているということなのだけれど、僕は「このリメークに関わった…」という罵倒のフレーズが凄く気に入ってしまった。色んな事柄に引用が利きそうな所もいい。

 僕などはさしあたり、J.ヒギンズの小説の映画化に関係した全ての人間にこのフレーズを贈りたいと思っている。それとともに、ヒギンズ本人にも。

 ヒギンズは、「IRAの元兵士」を主役に据えた物語や第2次大戦期の欧州などを舞台にしたセミフィクション風のストーリーを得意としている。英米ではその作風を「ウェットすぎる」と好まない向きもあるやに聞いているが、「鷲は舞い降りた」「死にゆく者への祈り」の2代表作は映画化もされている。などと書けばお分かりのように、僕はヒギンズのファンだ。同じモチーフや人物描写を方々の作品で使い回していると知っているけれど、それでもファンだ。

 僕が映画関係者に呪詛の言葉を投げつけたいというのは、ヒギンズの小説をお読みになった方なら多分、同意していただけるのではないかと思う。
 例えば「鷲は舞い降りた」(ハヤカワノベルズ刊―ただし「完全版は除く!」)では主人公のキャラクターの高潔さを現す、最も根幹的なセリフを、映画版ではまったく違った扱いにしている。言語道断の換骨奪胎である。昔の映画ではあるが、脚本家も監督も、最後の審判を受ける前に自ら地獄に落ちよといいたくなる。
 「死にゆく~」は、ミッキー・ロークを主役に登用したとか、小説には登場しない、ローク演じる主人公の昔のライバルが出てくるなんて事前記事を読んだ時点で、僕の中でこの映画は存在しないことになった。そりゃ、商業映画なんだから観客にウケなければ仕方がないのかもしれないが、そのために元々の物語の一番いいところを潰しては何の意味もないではないか。

 こう書くと、ヒギンズも呪詛の対象になる理由は映画化をOKしたからかのように見えるかもしれないが、そうではない。先に「鷲は舞い降りた」の完全版は除く、と書いた理由がそれにあたる。「鷲は飛び立った」などと言う、読者の感激を根こそぎシラけ返らせる続編を上梓したことも許せないし、そのサイテーな続編「飛び立った」との矛盾を解消するために「完全版」などと銘打ってオリジナルの「~舞い降りた」を(「~飛び立った」出版後に!)改変したことも許しがたい。
 ちなみに「~飛び立った」はハードカバーが出たときすぐに購入したが、一読してすぐゴミバコに放り込んだ。古本屋に出すのも汚らわしいと感じたからだ。それほどこの「続編」は不快だった。僕の中では「~舞い降りた」の関係は最初の訳で全て終わっており、「完全版」も「飛び立った」も存在していない。

 ストーリーの重要な部分を先回りして明かしてしまうことになるので、ここまで腹が立った理由を具体的に触れるわけに行かずもどかしいのだが、この件がきっかけで日本未訳の旧い作品が新規に訳された場合は今でも買うが、ヒギンズの新作にはまったく興味が沸かなくなった。

 ここまで腐したけれど、いま書店で手に入る「完全版」は論外としても「鷲は舞い降りた」と「死にゆく者への祈り」は、個人的にはベスト・オブ・ヒギンズに挙げられるし、時々再読している。他にはフォークランド紛争を背景にした「エグゾセを狙え」や「テロリストに薔薇を」、「非情の日」や「廃墟の東」「サンタマリア特命隊」あたりが僕にとってのセカンド・ベストだろうか。なんにせよ、スコッチ党だった僕をアイリッシュ党に鞍替えさせるほど感化された作家である。悪くは言ったが、嫌いなわけではないのだ。僕が阪神タイガースに向ける感情と、或いは通ずるものがあるのかもしれない。
ブログ一覧 | 芸能・文化 | 日記
Posted at 2002/11/28 16:09:19

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

デフォルト
ふじっこパパさん

代車Q2
わかかなさん

歩いてみんと分からんにゃあ〜?😅
S4アンクルさん

孫にこうてやった・・・(^_-)- ...
hiko333さん

静岡〜山梨峠巡り
hit99さん

家BBQ&BGM
kurajiさん

この記事へのコメント

2002年11月28日 17:00
なんだか脇から茶々を入れるのが怖い(ならコメント欄を呼び出すなよ)
最近、文学活字を読んでないんですが、オリジナル(原作)のあるものを映像化していく行為は、それを観る自分の側に大なり小なりのリスクを伴うものだけに、どっちか片方を手につけてしまうと、もう片方に手を出すのがこわいんですよ←僕だけか?
こと文学作品(おおざっぱにくくって)の映像化は、行間を読んで頭を抱え、二晩くらい(その程度か)考え込むこともあるので、全部情報として投げつけてくる映画には二の足を踏んでしまいます。
いやさすがにめんどくさくて、フィルムのコマ間なんか読む気にはならないし、その必要がないのが映画だと。だから見に行く映画もたかがしれているんですけれどね。
ヒギンズを前にして引き合いに出すのはかなり恐ろしいのですが、家族サービスの宿命で観に行くこととなった昨年の「ハリー・ポッター 賢者の石」。面白かったんです。わりと地味なつくりなので。
しかし、“原作に忠実に映像化した”と、あらゆるメディアが語っていたあの映画が原作通りなら、“あの物語のどこがそんなに面白いのか?”という疑問にさいなまれたのが感想でした。
だからノベライズには手を出せていないんです。
まあいいか、ハーマイオニーがかわいかったから(あっ、これじゃないのか? 映画が受けたのは)

惑星ソラリスのリメーク。いやさ、ソラリスに限ったことではないのですが、大作・名作のリメークに挑むというスピリッツと、適当なホンを過去の作品から引っ張り出してくるという興行とは雲泥の差がありましょう。
リメーク、復活、リバイバル。第一線のクリエイターに、創造力がなくなってきてるのかなあ。前者を完遂できる作品は少ないような気がします。
コメントへの返答
2002年11月28日 17:50
おっしゃること、よく判ります。
思い入れの強い物語ほど、映画化(もしくは逆にノベライズ)されたものに、色々と違和感を感じずにはいられないですから。
最近、民放TVで頭のいい改造ネズミの話をドラマ化してますが、僕はちょっと怖くて(笑)見られないんです。自分の中の作品世界が破壊されそうで、と言うと大袈裟ですが、映像表現という奴はそれくらい強烈に押し寄せてきますから。

ただ、物語の根幹をゆるがせにしなければ、新たな視点、切り口を見せてくれる、他媒体への「翻案」と言うのは、それはそれでいいものだと思います。或いは、P.K.ディックの小説から舞台背景と登場人物の固有名詞だけを借用して全く別の物語に仕立て上げた「ブレードランナー」などのように、全く別のストーリーを作り出すか。
マイナーな例になりますが、シェイクスピアの戯曲「ヴェニスの商人」をA.ウェスカーが翻案した戯曲「商人」で見せたような衝撃性があれば、別の作品、別の解釈として一本立ちしうると思うのです。
 そうでなくても、よく「再現」されたつくりであれば、オリジナルへと人をいざなう宣伝効果、なんて言う意味でも評価はできますけど。

 ウェスカーの「商人」の概略を補足しますと、ユダヤ人の金貸しシャイロックとヴェニス在住の商人アントーニオは、幼児からの刎頚の友と設定が変えられています。所有の商船が行方不明になり破産の危機に瀕した親友アントーニオのためにシャイロックが無利子無担保で金を用立てようとするけれど、当時のヴェニスの法がそれを違法と定めるがゆえに「法律をあざ笑ってやろう」「こんな担保の行使は誰にもできっこないってわかるからな」と例の「胸の肉1ポンド」と言う証文を書くのです。「我らの友情の証に」と。そしてその証文が原因で、シャイロックは破滅させられる…という、胃にもたれそうなくらい重い話です。
('87年に文学座アトリエで公演されたきり、なかなか再演されないのが残念です。)

僕が本文に記した2作を腹に据えかねるのは、オリジナルの物語をなぞっているくせに、オリジナルを最も輝かせる重要な部分に安っぽい(あえてそう表現します)改変を加えて、結果、全てをブチ壊しにしているからなのです。「鷲は~」は、ハリウッド映画の描く「ドイツ兵」像を真っ向から批判した描写をしていますから、その点を改変しなければハリウッド・ムービーとしては自らの正当性を保ち得なかったのかもしれませんけど、それはちょっと、余りにも冒涜的だと思うのです。そんな事をするなら、最初から映画になんかしなければいい。

まあ、単なるサスペンスアクションになった「ソラリス」も、面白いかもしれないな、と(あまり深い思い入れのない僕は)思わないでもないですが、せめて「遊星よりの物体X」が「遊星からの~」にリメイクされたときくらいのインパクトはあって欲しいと期待しています。
でも、ハインラインの「宇宙の戦士」を「スターシップ・トルーパーズ」にしちゃった、ハリウッドですからねぇ…どうなることやら。
2002年11月30日 17:59
えー本論と外れたコメントで恐縮なのですが(爆)
風野春樹氏のHP、大変面白かったです。SFオンライン亡きあと、
よきサイトに巡り合えていなかった私にはとてもうれしい出会いで
した。感謝します。
ソラリス再映画化の件、ハリウッドが映画化/再映画化して台無しというのは昔からよくあるころなので今更目くじら立てても、とい
う気もしますね。
ベルリン→シティオブエンジェル
ニキータ→アサシン
などなど。
コメントへの返答
2002年12月1日 1:26
おお、デイドリーマーさんも「そっちの趣味」をお持ちでしたか!
…なんて書くとアヤシゲな感じがしますね(笑)。

僕があそこを見つけたのは、仕事で精神医学の用語を検索していて流れ着いたのがきっかけだったのですが、読み耽ってしまってしばらく仕事になりませんでした(笑)。いや、本当は笑ってる場合じゃなかったんですけど。

まあ、ハリウッド映画は…
あたま空っぽにするだけがエンターテインメントじゃないだろうに、と僕などは思いますが。これ以上は申しますまい(笑)。

プロフィール

「フェアレデーって本当に呼ばれてたの? http://cvw.jp/b/9433/47108671/
何シテル?   07/24 21:51
曲面の綺麗な旧い車が好き、エレガンスのある車が好き。そんなこんなでユーノス500に乗りつづけ、もう……何年だ?  気がつけば屋根のない車まで併有。いつまで乗り...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

Automotive Design 
カテゴリ:新しい車関連
2003/08/09 00:21:12
 
All The Web 
カテゴリ:便利
2002/12/27 14:03:26
 
Hubble Space Telescope Public Pictures 
カテゴリ:科学・文化・芸術
2002/11/08 15:59:43
 

愛車一覧

マツダ ロードスター マツダ ロードスター
2005年10月、発作的に衝動買いしてしまいました。 いい車だなぁと思ってはいたものの所 ...
マツダ ユーノス500 マツダ ユーノス500
気が付けばデビューはもう19年前。 最新の車とは比べるべくもありません。 ガタガタゴトゴ ...
マツダ アテンザセダン マツダ アテンザセダン
例によって例のごとく、借り物の車での「パートタイム・オーナー」です。レンタルしたのは10 ...
マツダ ランティス マツダ ランティス
俄かオーナー経験は僅か3週間で終わりましたが、とてもいい車です。 代車だったので、コンデ ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation