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2007年09月16日

緑の冒険~MRYデミオ展で聞いた話~

緑の冒険~MRYデミオ展で聞いた話~  承前
MRYのイベントに他社から招かれていた、スバルの先行デザイン研究(「細木数子のような仕事」との仰せ)部門の女性に拠ると、消費者が商品を目にして一番最初に興味を引かれるのは色で、色に興味を持ってからどんな形をしているのか見てみようという行動をとるのだそうだ。行動心理学か何かの研究で、僕もむかし読んだような記憶がかすかにある。

 今度のデミオは、テーマ・カラー(マツダの人は「PRカラー」と言う呼び方をした)が若草のように明るい緑である。ところが緑と言うのは、車の色としては「普通使われない(談)」のだそうで、実際ラインナップに設定したところで殆んど数が出ないらしい。スバルのエクステリア・デザイナー氏も「初代RX-7の再来かとも思ったが、随分冒険すると思った」なんてことを仰る。
 そんなわけで「売れない色をPRカラーにするとは何事だ!」とマツダの社内でもひと悶着あった由。社長まで難色を示したものをいかなる理論武装をしたものか説き伏せて商品化してみると、なんとこれが結構売れているのだそうだ。グレー・メタリックがダントツらしいが、販売比率では3番手につけていると言う。嬉しい誤算だったようだ。

 ようやくデミオ本体のことを書くけれども、前よりも小さくなった「New Target」のデミオは、僕に言わせりゃデミオであってデミオでない。イベントのエントランス展示を見て、僕はその感を強くした。



 R360クーペや最初のキャロルと並べて置いたその意図。「小さいながらも一応全部そろってる」デミオは、「軽量・コンパクトを実現するために実用の場面で使用頻度の少ない部分はばっさりと切り捨て」られた車となった。
 そのこと自体を僕は悪いとは思わない。むしろ、潔い割り切りだと思う。販売開始からのスタート・ダッシュも上手く行っているようなので、とりあえずは成功したと言っていいのだろう。

 ところで僕が最初に新型デミオを写真で見たときの印象は「Bセグの小型車でコレをやるかぁ?!」だった。語尾上がりと語尾下がりの両方で。あれっぽっちのサイズの車体に、よくぞここまで濃密なデザインを破綻なく構築したものだと感心した(語尾下がり)一方で、本質的にラインナップのエントリーを担うモデルとして「小さいながらも一応全部ある」実用車であるべきものを往年のカローラⅡみたいなお姉ちゃんウケしそうなファッション重視のベクトルにシフトさせてしまったことに呆れた(語尾上がり)からだ。

 尤も、じかに話を聞いてみると(主査が発動機畑の出身で、基本的に堅実な考え方をする人――多分、だけど――なのと関係あるのだろうが)僕が勝手に思っていたよりは、ちゃんとリクツの背骨が通った上での路線転換だったことが分かった。
 ただし、だ。得心はいったのだけれども、僕がもともとネガティブな印象からスタートしているせいで感じたのは「まるで映画監督や小説家が、作品を発表したあとになって自分の作品の解説をしてるみたいだ」ということ。語るべきことは全て作品を通じて語るべきなんじゃないかな~って思うのだ。

 まあ、それはそれとして、全体を通じて透けて見えるのはコストの制約が先行のZOOM-ZOOM各車に比べて結構厳しかったようだと言うこと。傍目からの印象論だが、1巡目のラインナップでは、とにかく地を這うような商品の評価を劇的に改善するために、ある程度採算性の縛りをユルくしてでも「スッゴクいいもの」を作ろうとしていた。
 しかし企業としちゃそれじゃ食っていけないわけで、2巡目に入ってからは『サステイナブル(持続可能)』を旗印に今度はキチンと損益分岐点などの設定もシビアにして商品を開発しているかのようだ。「大人になった」とも言えるけど、僕はもっとアマチュアっぽいメーカーであってほしいと思っている。

 ところでデミオ・スポルトに試乗したときに足回りが随分と固いのに驚いたが、開発主査の話を聞いて納得した。若い頃は六甲山をブイブイ走り回っていたのだそうだ。そして夢の車といえば「トルクステアがきつくてどこに跳んでっちゃうか分からないような、とにかくやんちゃで面白い車」なのだという。ああ、なるほどな。
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Posted at 2007/09/18 15:10:01

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この記事へのコメント

2007年9月18日 23:24
私は行けなかったので実車も見れませんでしたが、惰眠さんは「10年売れる」と思いますか?

私は残念ながら難しいような気がします。トヨタやホンダのような「安心ブランド力」、マーチのような「可愛さ」、これと比べると、デミオは「カッコ良過ぎ」な感じがします。

個人的にはデミオはスタイリッシュで◎だと思うのですが、ターゲットがこのセンスを理解して受け入れられるかどうか。(リアサイド・ウィンドウが小さいのも致命的かと)もうちょっとわかりやすい「カワ・カッコいい実用系」が良かったと思うのですが。

…キム○ク投入しかありません。(笑)
コメントへの返答
2007年9月19日 11:19
10年はムリですね。あからさまに流行に迎合した形ではないので、頑張れば6年ってとこでしょうか……。

ただ、マツダの人の発言のニュアンスを深読みすると「日本で売れないのも困るが主戦場は海外」って言ってるように聞こえるんです。
日本の自動車メーカーがそれでえーんかいとツッコミは入れたくなりますが、まぁ昔っからマツダってそういう会社でしたからねぇ(笑)。

僕は今度のデミオを(前からチラチラ書いているように)先代の中途から使い始めたイメージの進化形で『伊東美咲のような都会的カッコイイ姉ちゃんがサラッと乗りこなすパーソナル・コンパクト』を少なくとも日本市場ではイメージした商品と思ってますし会場で流れた日欧それぞれのプロモ・ビデオからもそれが伺えるのですが、日本の国土の大半は都市部じゃないってことを忘れとりゃせんか?って聞きたくなりました(笑)。

でも、キムタ○ですか……。
いっそ広島産の人たちで固めるってどうです?
Naは小林克也、音楽はハマショー、出演は戸田菜穂、CFの監督は大林宣彦でロケ地はモチロン尾道(笑)。
2007年9月20日 0:47
うちも緑のモノを買うときは理論武装しないと・・・。でも、デミオの緑はチョット。アテンザもアクセラも緑色は無くなり、ジャガーのCIも緑から黒に。ほんと、売れない色です。とほほ
コメントへの返答
2007年9月20日 11:21
肝心の理論武装の部分は教えてくれなかったんですよねー、話すと差し障りがあるとか何とか言われちゃって。
ホントは、MRYイベントではそういうあたりこそ聞かせてもらいたいところだったりするのですが。

まあでも、やっぱり工業製品で緑って難しいと思います。今度のデミオの緑は販売比率じゃベスト3につけてるそうですが……しかしジャガーが緑を捨てたって本当?!英国のナショナルカラーなのに!!

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