• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2007年09月23日

時間と空間の旅~DVD「COSMOS」の続き~

時間と空間の旅~DVD「COSMOS」の続き~ 一。十。百。千。万。億。兆。京……。アポロ打ち上げの映像に重ねて、重々しい口調で数詞を読み上げるナレーションのCM(日本IBMだった)が強烈な印象を残した『コスモス』の、今夜は第8話。アインシュタインの特殊相対性理論が取り扱われるのだが、それに先立って持ち出されるのが「数の大きさ」の話。

 見ていておや?っと思ったのは、セーガン博士が紹介した「グーゴル(Googol)」なる数だ。アメリカの数学者、エドワード・カスナーが9歳の甥っ子に命名させた「10の100乗(1の後ろにゼロが100個並ぶ)」のことだ。
 なにが「おや?」かと言うと、もちろんこれの語感が米国発の検索エンジン「グーグル(Google)」ととても似ていること。途方もなく膨大な情報を一手にデータベース内に収めようとするグーグルのイメージとも重なる。
 気になったので後で調べてみたら、やはり関連があった。関連と言うか、僕の見た記事に拠るとグーグル創始者はもともと「グーゴル」と名づけるつもりでいたところ、登録の際につづりを間違えて「-gol」ではなく「-gle」としてしまったのだと説明されている。
 何となく、惑星探査衛星に「ホイヘンス」とか「カッシーニ」などとかつての偉大な天文研究者の名を与えるのに通底したセンスを感じる。

 それはそれとして。番組中では俗にウラシマ効果なんて言われる「時間の伸び」についても思考実験の映像化を通じて触れている。「もし世界が100人の村だったら」じゃないが、「もし光の速度が時速40キロだったら」だ。
 時速40キロ近く出るバイクで村を一周して戻ってきたお兄ちゃんは、広場で待っていた歳の離れた弟が老人になっているのに出会う……。これは、子供だった頃の僕は「探検者の孤独」とでも言うべきものを知ってショッキングだった。

 そのショックについては多少説明が必要なのだけれども、例えば大航海時代の探検家などは、おのれの見聞を伝えるべき相手がちゃんといる。無事に生きて戻れれば、そして故郷に不慮の出来事さえなければ、彼の土産話を待っている人にそれを語ることができる。
 ところが、光の速さに迫る船で宇宙への航海に漕ぎ出す探検者は、出発の時点で必然的に土産話をするべき相手と今生の別れをすることになる。仮に光の速度で宇宙を諸国漫遊したとすると、先の「時間の伸び」の効果で船内の時間は、人一人の寿命が(長生きすれば)尽きる前に出発地点に帰ってくることができるのだが、その時には最早、太陽系そのものの寿命がはるか前に尽き果ててしまっている――。

 アーサーCクラークの「幼年期の終わり」で、全てを知ることができたが最後の一人の人類となった男の、一種絶望から開き直ったかのようなやけっぱちな歓喜とか、星新一の「ひとつの装置」を読んだときの持って行き場のない虚無感にもつながる、いかにしても埋め合わせ得ない「孤独」に――多少大げさだが――打ちのめされたような気分になったのだ。そのことを、第8夜を見てまざまざと思い出してしまった。
 小松左京が短編「すぺるむ・さぴえんすの冒険」でチョロっと提示したが、仮に「人類」と言う種の一個体が、世界の真理とでもいうべき全知を得るに至ったとして、それを共にする同胞が誰一人いないとするならば、その『知』にいかなる値打ちがあるのだろう、もしくは、それでもその『知』を求めて探険家は進むべきなのだろうか――なんてことを思ってしまった。……哲学の秋、である。
ブログ一覧 | 芸能・文化 | 日記
Posted at 2007/10/03 14:14:04

イイね!0件



今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

Lucky monthly… 🙌
superblueさん

丹下健三氏デザインの建物を探して⋯ ...
ババロンさん

【物欲日記】バートルのスペーサーベ ...
bijibijiさん

北海道「道の駅」めぐり 3回目
マツジンさん

朝の一杯 8/7
とも ucf31さん

備忘録 8/7現在のイイね!
ND5kenさん

この記事へのコメント

2007年10月3日 17:50
勝手にgoggleが由来かと思っていましたが、全然関係なかったんですね。

個人的には未知のものに強く憧れる性質なので、例えば人体冷凍技術なんかが進んで実現可能になったらやってみたい気もします。…とはいえ家族持ちには難しいという、ごく下世話な理由で却下になりそうですが。
コメントへの返答
2007年10月4日 11:34
僕もそう思ってました(苦笑)。
なんと言うか、ネット世界の覗き窓、みたいな感じで。

僕もまぁ、割と「新らし物好き」の傾向は(親父譲りで……)あると思うんですが、コールド・スリープは流石にちょっと(笑)。
怪奇大作戦の「氷の死刑台」とか米映画の「デモリション・マン」みたいで……。
2007年10月5日 23:37
知の価値はすべからく個の中にあるものであり、その個が価値を見出せば他の有無に関わらずそれは価値ではないかと。なんてね。

デモリッションマンって同じ遺伝子で出来てる二人を違う俳優(スタローンと誰だっけ?)がやってるという根本的に突っ込むしかない映画でしたっけ。いくらスタローン主演といえどもちょっとひどすぎやせんかなと。
コメントへの返答
2007年10月9日 11:42
知と言うものは人間の大脳にインストールされて初めて意味を為すソフトウェアですので(笑)個別の端末においてローカル生成されたデータはその端末の終焉とともに消滅せざるを得ないんですが……継承、と言いましょうか。ネットワークに遍在するようになった知は、個々の端末の消長に拠らず「人類と言う種の成果」みたいな感じで残るじゃないですか。その、ネットワークそのものが根こそぎ消滅してしまうことへの恐れ……と言うのかな、遣る瀬無さみたいなものを感じるのであります。

デモリションマンは――ほら、ハリウッド・ムービーですから(笑)。

プロフィール

「フェアレデーって本当に呼ばれてたの? http://cvw.jp/b/9433/47108671/
何シテル?   07/24 21:51
曲面の綺麗な旧い車が好き、エレガンスのある車が好き。そんなこんなでユーノス500に乗りつづけ、もう……何年だ?  気がつけば屋根のない車まで併有。いつまで乗り...
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/8 >>

     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      

リンク・クリップ

Automotive Design 
カテゴリ:新しい車関連
2003/08/09 00:21:12
 
All The Web 
カテゴリ:便利
2002/12/27 14:03:26
 
Hubble Space Telescope Public Pictures 
カテゴリ:科学・文化・芸術
2002/11/08 15:59:43
 

愛車一覧

マツダ ロードスター マツダ ロードスター
2005年10月、発作的に衝動買いしてしまいました。 いい車だなぁと思ってはいたものの所 ...
マツダ ユーノス500 マツダ ユーノス500
気が付けばデビューはもう19年前。 最新の車とは比べるべくもありません。 ガタガタゴトゴ ...
マツダ アテンザセダン マツダ アテンザセダン
例によって例のごとく、借り物の車での「パートタイム・オーナー」です。レンタルしたのは10 ...
マツダ ランティス マツダ ランティス
俄かオーナー経験は僅か3週間で終わりましたが、とてもいい車です。 代車だったので、コンデ ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation