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惰眠のブログ一覧

2004年03月14日 イイね!

CG DAY見聞記その終章・デザイン、いい?悪い?

CG DAY見聞記その終章・デザイン、いい?悪い?トークショー冒頭の大川悠氏の言葉への反発が、やはり収まらない。
 あるデザインを好むか好まないかと言うことと、そのデザインが良いか悪いかということは―使い勝手の良し悪しを重視するか造形力の巧拙を重視するかなど線引きの仕方は多様だろうが―まったくベクトルの異なる事柄である。
 演劇を例にとって見るがいい。悲劇的結末など見たくもない、という人はいるだろう。ハッピーエンドでなければ我慢ならない、という人は確かに存在する。そう言う人はマクベスやオセロー、リア王やハムレットなど好まないに違いない。では、これら悲劇は「出来の悪い劇作」と言うことになるのだろうか?
 「俺は悲劇は大嫌いだ。だから、シェイクスピアの4大悲劇はどれも評価にも値しない駄作だ」なんて言い出したら、教養を疑われるだろう。

 「自分にとってカッコいいクルマがいいデザインということにしておけばいい」
日本の自動車雑誌界を代表する老舗の編集主幹ともあろう人物がそんな態度でいるから、自動車のデザインについてマトモな言論がいつまで経っても育たないのではないのか。

 ユーノス500が発表された当時、CGとNAVIのこの車に対する評価は、かなり酷いものだった。
しかし、実際のところユーノス500が同業他社(つまり現場のプロフェッショナルたち)から得た評価は、殆んど正反対だった。
 ユーノス500のチーフデザイナーだった荒川健氏によると、このクルマが東京モーターショーに参考展示された直後、メルセデス・ベンツの本社から「デザイン研究用に1台、出来るだけ速く購入したい」と打診があったそうだし、今おそらく最も先鋭的なデザインを提案してくるルノーのデザインスタジオにも、このクルマが置かれている。荒川氏の知る限りでも、前出2社を含む海外4~5社が自分たちのデザインスタジオに研究用のユーノス500を置いていた、と言うのだ。かつて、そんな破格の扱いを受けた日本車は存在しなかったと荒川氏は胸を張ったものだ。

 二玄社における評価がとりあえず肯定的なものになったのは、僕の記憶では外紙においてイタルデザインのジョルジエット・ジゥジアーロ氏がユーノス500を殆んど絶賛と呼んで差し支えないほどの誉め方をして以降のことだ。この豹変振りは、僕の目には、海外の(大御所の)評価を見て慌てて態度を変えたかのように映った。

 読者と編集の交流イベントに、あれだけのメーカーを集められる媒体なのだから、恐らく二玄社はその動員力なりの影響力もメーカーに対してもっているのだろう。であるならば、媒体産業の責任としてもっとマトモな言論の水準を身に付けてもらわねば困る。

 添付の画像はシトロエンC2のインテリア。
何年も前にフランス出張の折にパリから利用したTGVの車内が、ちょうどこんな雰囲気だったように思う。
装飾品や調度はことごとく安っぽく「品質感」のない樹脂製品だったが、形とか配置とか色使いとか、大雑把な言葉で表せば「センス」と言っておけば格好がつくような何かが、飛びぬけて見事だった。
 このC2のインテリア、プロのデザイナーの目から見れば色々あるのだろうけれど、僕は好ましいと思う。「デザインとしては良くないよ」と言われたとしても、好みというのは全く別のものだからだ。
 評論って、そういう区別をちゃんとつけてやるものなんじゃないのだろうか。
Posted at 2004/03/15 04:14:26 | コメント(3) | 自動車関係のイベント | 日記
2004年03月14日 イイね!

CG DAY見聞記その8・私信:アルピーヌA110

CG DAY見聞記その8・私信:アルピーヌA110としまえんには画像の1600ccエンジン搭載車を含め、計3台のA110(個人所有)が展示されていた。
もの凄く立派なカメラを持った男性が2~3人、地面にへばりついたり脚立の上によじ登ったりしながら、かなりの長時間に渡って一生懸命撮影をしていた。
ルノーの新車展示ブースにも同じようなことをしている人たちがいたが、その鬼気迫る様子は、ちょっと趣味の写真を撮っているというよりは、グラビア雑誌掲載用の大判業務用写真を撮影しているかのようだった。
 まあ、モーターショーでコンパニオン嬢を一生懸命撮影している中にも、尋常でない執念を全身から瘴気のように噴出してる若い人が少なからずいるけれども…

 実弟が購入したせいで、このモデルに妙に親近感が湧いて来たのが我ながら可笑しい。

ところで私信。故障は直った?
Posted at 2004/03/15 03:24:07 | コメント(0) | 自動車関係のイベント | 日記
2004年03月14日 イイね!

CG DAY見聞記その7・バブルの遺骨

CG DAY見聞記その7・バブルの遺骨内外の名だたる自動車メーカーから(メーカーにはメーカーの腹積もりがあるにしろ)多数の展示車両をかき集めてくる二玄社の力はまことに恐るべきものだが、神戸製鋼の持ち込んだアルミ製スペースフレーム(画像)には驚かされた。

 札には「アエローザ」と書いてある。その一行下に「ジリアート・デザイン」。これ、90年代にいすゞを退職したエンジニアが立ち上げたオリジナルのスーパースポーツカー、ジリアート・アエローザの遺骨じゃないか!
 いや、プロジェクトの結末がどうなったのかは知らないから「遺骨」という表現はもしかしたら妥当ではないのかもしれないけれど、でも市販モデルが完成したなんて話は一度も聞いたことがないし、トミタ夢工場だって倒産しちゃうようなご時世なのだから、ジリアート・デザインが仮に企業としては存続しているとしても、アエローザが市販されることは金輪際ない、のではないだろうか。

 それにしても、こんなものが残っていて展示品として持ち込まれるなんて、本当に二玄社は凄い。
Posted at 2004/03/15 03:12:39 | コメント(0) | 自動車関係のイベント | 日記
2004年03月14日 イイね!

CG DAY見聞記その6・「歌舞伎町デザインと桂離宮デザイン」

CG DAY見聞記その6・「歌舞伎町デザインと桂離宮デザイン」バブル経済期のマツダでデザイン本部長を務めた福田成徳氏は、「日本が世界に発信する日本らしいデザイン」とはどういうものか、それを中心に据えたデザイン展開を行なった。
 福田氏によると、日本らしいデザインと言うものを突き詰めて考えるきっかけになったのは、ある米国人の著名なモーター・ジャーナリストにロードスターを見せたとき、彼に「ああ、これはとても日本的だ。桂離宮を連想した」と言われたことだそうだ。
 福田氏は言う。「日本的と言っても、桂離宮デザインだけじゃなくて歌舞伎町デザインも、日本的なんだけどね」。
まあ、なんとなく分かるような気がする。
いずれにしろ福田氏率いるマツダのデザイン部門では、その「歌舞伎町デザイン」の路線は採用しなかった。「THE MASTERPIECE ~essence of style~(リンク先参照)」への寄稿でも書いており、また今日のトークショーでも語ったとおり、福田氏は「日本的とは何だろう。日本的なものの起源とはどこにあるのだろう」と考えて、今の日本人の生活様式の根っこは室町時代にありとした。
 そうして、ユーノス・ロードスターに始まった日本らしさの探求は、センティアを経てユーノス500に結晶することになる…らしい。少なくともユーノス500以後、そういう発想でデザインに取り組んだ車がないのだから。
―しかし、これは…趣味性の問題に特化した話だ。

 エンリコ・フミア氏は日本らしいデザインが最も端的に現われているのは軽自動車だと言う。世界のどこにも手本がないのだから模倣のしようがないカテゴリーで、空間効率などを突き詰めて作り上げた軽自動車は、日本らしさの頂点である、と。
畳敷きの部屋に使うときのみ布団を延べるような、限られた空間を最大限効率的に使う日本人の知恵が詰まっているのだ、と。
彼は、軽自動車が海外に輸出されないことを惜しい、残念だと嘆いていた。―しかし、これは…道具としての側面に特化された、趣味性をまったく顧みない話だ。

 この二人に、松任谷氏が質問した。
「スポーツカー(趣味性の高い車、と僕は解釈した)をデザインするとき、こういう背景―景色の中に置く、というイメージを持ってるんじゃないですか?それはどんな風景ですか?」と。
「そんなものは全然考えない」フミア氏の答えは簡潔明瞭だった。
「私が考えるのは、どういうユーザーがこの車を欲しがるだろうか、と言うことだ。何より、私自身が―一番厳しい目で審判して、欲しい車にすると言うことだ。私が気持ちいいと感じることに共感してくれる人たちは、それを気に入ってくれる」。斬って棄てる、と言うのはこういう感じだろうか。
その点、福田氏はもう少し思いやりのある言い方をした。
「ヤマモトさんの作ったユーノス500の本(リンク先参照)で、日本の各地を実際に車で回って写真を撮ってるんですね。その中で、倉敷(と言ったか…岡山だったか?)のお城の石垣の前で撮影したのがあるんですが、それを見たとき『ああ!』って思いましてね。ユーノス500と言う車が、こんなにお城の石垣の前において似合うとは、それまで考えたこともなかったんですよ。我々デザインする側ではなくて、ユーザーの方のほうが、そういう景色とか風景を見つけ出していくものなんじゃないですかね」。
 松任谷氏、言葉もなし。気の毒である。ああ、ヤマモトさんも最前列でまた気まずそうに照れているのだろうか。

 しかし、両氏の話を聞いていて少し気になったのは、二人とも実用車と趣味車を明瞭に区分けしすぎているんじゃないか、と言うことだ。勿論それは、松任谷氏が「スポーツカー」という単語を使ったことにも原因があるのだけれども、今のマーケットではクルマに求められる趣味性と実用性は相当にクロスオーバーしていて、その中で天秤がどっちに傾いているかが違っているだけなんじゃないかと思うのだ。
Posted at 2004/03/15 02:57:21 | コメント(1) | 自動車関係のイベント | 日記
2004年03月14日 イイね!

CG DAY見聞記その5・「自動車デザインの革新は日本から」

CG DAY見聞記その5・「自動車デザインの革新は日本から」会場で僕の座った席からは、フェラーリF90が映し出されているはずのモニターは遠すぎて、画面が良く見えなかった。
しかし舞台の上では、やや興奮気味の大川氏がフミア氏のデザイン手法について「なるほど、このF90には後のYやGTVのデザイン要素が全て入っている!」と言っている。
あとでデジカメの画像を拡大してみると、なるほど幾つか共通のモチーフが見て取れる。
 それはともかく、フミア氏はエクステリアをデザインする際、同じモチーフを意図的に、例えばグリルとサイドのキャラクターラインとリアコンビ・ランプなどで複数回反復するのだそうだ。
また、彼は「漢字デザイン」と命名したようだが、例えば「大」と「太」のように、ごく僅かなディテールの違いでデザインと言うものはそのニュアンスや持って含む意味合い自体が大きく変わるので、それを意識しているのだ、などと話していた。

 福田氏の話とも共通するのだけれど、「デザイン」と言うものがなかなか言語的な表現に馴染みにくいからなのだろうか、どうも哲学的な方向に話が向かっていきがちだ。聞いていれば、決して彼らは抽象的な話をしているのではないことが判るのだけれど、コトバでの説明が難しい内容だけに、なんだか禅問答だとか思想・哲学めいた言い回しが多い。

 そのフミア氏が、極めて具体的に力を込めて言った。
「私には、一つ大嫌いなものがある。それは所謂『レトロ調デザイン』と言う奴だ。あんなものは、デザイナーが自ら創造力が欠落していると言っているようなものだ。過去の模倣をして何になる。ルネッサンス(革新)が必要なのだ」と。
そして「今、世界の自動車を見ても、革新を感じさせてくれるものはない。私は唯一、世界では日本だけが自動車デザインの革新を実現できると思っている」と続けた。
なぜなら「自動車デザインのブレイク・スルーは、動力源や交通インフラの変化に合わせて起きてくる。世界中捜して、ハイブリッド車が公道を当たり前に走っている国など日本しかないのだ。そう言う技術は日本にしかないのだから」…逆を言うと、日本車のデザイナーには、それをやる責任があるのだ、とも取れる。

 しかし、今の日本の自動車デザインはどうなってるだろう。
世界第2位の生産台数を誇る国内最大手は、12代目のクラウンでメルセデス・ベンツのデザイン要素を恥ずかしげもなく模倣した。欧州生産のアヴェンシスには、呆れ果てたことにVWボーラと見間違えるようなエクステリアを与えた。
レトロ調デザインどころの話ではないぞ、と思うのだが…それも判った上での叱咤なのだろうか。
Posted at 2004/03/15 01:59:03 | コメント(1) | 自動車関係のイベント | 日記

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「フェアレデーって本当に呼ばれてたの? http://cvw.jp/b/9433/47108671/
何シテル?   07/24 21:51
曲面の綺麗な旧い車が好き、エレガンスのある車が好き。そんなこんなでユーノス500に乗りつづけ、もう……何年だ?  気がつけば屋根のない車まで併有。いつまで乗り...
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