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惰眠のブログ一覧

2007年04月26日 イイね!

『セールスマン』

『セールスマン』もう絶版になって久しいようだけれども、むかし新潮文庫からS.L.トンプソンの『奪還チーム』シリーズが刊行されていた。アメリカのローカルな自動車レースに参戦していた経歴を持つ筆者の描く主人公の名はマックス・モスことマックスウェル・テイラー・モス軍曹(2作目の最後に少尉任官)。
 作者同様に国内レースに参戦し、作者と違って燦然たる成績を残しながら会社経営者の父親の妨害に会ってスポンサーを失い失職した経歴の持ち主だ。腹立ち紛れに空軍に就職して紆余曲折の末、東ドイツのポツダムに赴任し、滅茶苦茶なチューンナップを施されたフォード・フェアモント(第1作)やチェロキー(第2作)を駆って東側当局と『鬼ごっこ』するというストーリーだ。因みに主人公の名は、かのサー・スターリング・モスに由来するとのこと。

 確か4作ほど邦訳されていた筈だが、僕が買ったのは第一作の『A-10奪還チーム出動せよ』と、第二作の『サムソン奪還指令』まで。3作目は本屋で読了し、ストーリーの基本構造がマンネリなのに辟易してしまい、以後もう読んでいない。
 まあ、東独領内に特例的に設置されたポツダム軍事連絡部の凄腕ドライバーが、敵の陣地に入り込んでしまった西側の重要機密を回収して安全地帯まで逃げ戻ると言う設定に起因する拘束が外せない以上、いずれはマンネリにならざるを得なかったのだけど3作目と言うのは、ちょっと早かった。

 その、最後に購読した第二作『サムソン奪還指令』では、米国大統領はソ連の書記長とトップ・レベルの密約を交わし、なんだったかの政治的妥協と引き換えにソビエトの最新鋭長距離弾道弾が中ソ国境付近に展開することを不問に付しようとする。ところがその動きを空軍の超高性能偵察衛星がキャッチしてしまい、密約を守るために衛星写真の抹殺を謀る大統領一派と、現場の原則を守ろうとする主人公たちとの戦いが描かれる。

 この大統領、元は巨大企業で叩き上げた辣腕の経営者で、有権者の絶大な人気に押されてライバルを圧倒した人物なのだが、書記長の目は厳しい。最初からモノを売る魂胆で話を持ち出す人物など、どれほど手練手管を駆使してもゴール(目的)はミエミエなのだから、こっちの思惑通りに転がすことなど造作もない。あれは政治家などではなくセールスマンに過ぎんよ、と。
 そしてその「セールスマン」がいままさにソ連に売り飛ばそうとしているのが、母国アメリカ合衆国そのものであった……。

 安倍総理の訪米、そして憲法解釈の見直し(集団的自衛権関連)を見て、真っ先に思い浮かんだのが、このセールスマンの話だ。
Posted at 2007/04/26 14:34:52 | コメント(2) | トラックバック(0) | ふと思ったこと | 日記
2007年04月24日 イイね!

「もっとはじっこ歩きなさいよぉ」

「もっとはじっこ歩きなさいよぉ」17日付の産経新聞オンライン版に、今国会で審議されている道路交通法の一部改正暗についての企画記事が掲載されている(いつまで閲覧できるかわからないけど、関連URL参照)。場合によっては自転車に乗ったまま歩道を走ってもいいですよ、という現行の規定を改めようと言う話だそうだ。ホント、生活に密着した事柄なのに、積極的に報道してくれないと「いつの間にか決まってた」になっちゃうじゃんよ。

 それはそれとして、記事に拠ると今度の改正案は「歩行者をかき分け自転車が走る無秩序状態を是正し、歩行者が多いときは降りて押すという原則を徹底するもの」だと言う。(括弧内の太字は記事引用)
 なにをアッタリマエのことをわざわざ法律で……と思ったが、これは要するに法律で縛らないとダメなところまで、実情が悪化していると言うことにほかなるまい。自転車に乗った美川憲一が歩道を歩くちあきなおみに「もっとはじっこ歩きなさいよぉ」と言い放ったのは1990年のことだったようだが、いま現在それをやるともう冗談では済まない。

 それにしても、僕が自転車に乗れるようになった頃は自転車は車道を走るもので歩道を走るのはNGだったはずなのに……と思ってちょっと調べてみたところ、その後1978年に法律の改正があって、歩道のスペースを歩行者用と自転車(軽車両)用に区分けしたところに限っては自転車に乗ったまま歩道を走るのもOKになっていたようだ。そういえば小学生時分に近所の歩道を作り直してたっけ。今じゃ全然守られてないけど。

 よく街中で、後ろから走ってきた自転車が道をふさいで歩いている歩行者に対してチリンチリンとベルを鳴らす光景を目にする。僕は前から、あれがひどく気に食わなかった。歩行者は雀の子か。
 僕に関する限り、チリンチリンやられたらまず意地でも避けない。何で歩行者が歩道でチャリンコに遠慮申し上げなくちゃいかんのだ。場合によっては「横着しないで、降りて、押せ!」くらいのことは言う。チリンチリンじゃなくて、せめて「すみません、通してくださいませんか」くらいのことは言って見せろってんだ。

 ――てなことを書いてきたけど、こんなこと、本来は罰則付きの法律作って取り締まらなきゃいけないような事柄じゃあない筈なんだよなぁ。この調子で行くと、そのうち自転車にも運転免許制度を導入するとか言う議論も出てきかねないぞ、と思うのだった。いやまあ、日常的にドライバーやってると、自転車にも運転免許制度を取り入れろ!と言いたくなる場面にはやたらと遭遇するんだけど。
Posted at 2007/04/24 16:39:02 | コメント(4) | トラックバック(0) | ふと思ったこと | 日記
2007年02月04日 イイね!

いまさら「あるある」もないけれど

いまさら「あるある」もないけれど世間的には、やや沈静化(飽きた、と言う見方もできる)してきた関西テレビの『あるある』捏造事件だけれども、僕もかつて毎朝飲んでいた豆乳が危うく飲めなくなる「被害」を受けたことがあった。テレビがダイエット効果を謳ったときの影響力に驚くやら呆れるやら立ったのだけれども、まあそれはそれとして。

 日曜日に、なんかここんとこ風邪気味なのよねーなどと思いながらひねもす食っちゃ寝していると、最近流行語になりつつある「メタボ」なんて言葉が不安げに頭をもたげてくる。で、これが本題。

 「メタボリック・シンドローム」って、なんだか随分と急激に広まったなぁと、僕はちょっと薄気味の悪さを感じているのだ。科学的(もしくは医学的)な根拠を疑っているわけではなくて、これって相当むかしから『内臓脂肪』とか『成人病=生活習慣病』って括りで散々言われてきた事柄じゃん。それが何で「メタボ」なんてキャッチーな言葉になってイキナリここまで世間に浸透したんだろう?その、裏と言うか仕掛けが、ちょっと気に入らない。

 勿論「あるある」のように嘘八百を並べ立てているわけではないし、それどころか生活習慣病予防の観点から正しい意識啓発をしていることは判るんだけれども、燎原を走る焔の如き広まり方、メディアの取り上げ方に――まるで代理店がイッチョカミした広告戦略が大当たりしているような――気色の悪さを覚える。今じゃ知らぬ人とていないくらい一般化されてしまったけど、これを提唱した論文だかなんだかって、極々最近発表されたものじゃなかったっけ……。

 まあ生活習慣病に罹る国民の数が減れば、国の医療費負担も軽減されるわけだし、個々人にとっても病を得ての老後よりかは健康なままの老後の方がいい。「メタボ」対策関連グッズとか対策食品とかのマーケットが大きくなれば、そこでも請け仕事のできる民間さんも嬉しい。少なくとも現時点では、誰の損にもならず皆にメリットがある――ように、見える。

 『あるある』問題では、群馬大の教授が「フード・ファディズム」という概念を持ち出してきた。マス・メディアで「この食べ物がいい!」とやると、雪崩を打って皆がその食品に殺到する現象のことらしい。
 好きなものを好きなだけ好きなときに食える食糧事情、過剰な健康志向、食に対する漠然とした不安や不信、メディア情報をうのみにしてしまう未熟なメディアリテラシーの4条件がそろうと発生するのだそうだ。

 さて。コトが食い物であるうちは「フード・ファディズム」と名づけて呆れていればいい。「メタボ」でもまぁ、許容範囲(僕は厚労省あたりのお役所が糸を引いてるんじゃないかと疑ってるので)かもしれない。
 でも、コトが生活不安とか経済不安、社会不安そのものだったら?何かを目の敵に排撃すれば問題が綺麗サッパリ解決するかのごとき喧伝がなされたとしたら?そういうことを、例えば官主導で(ただし表に姿を見せず)やったとしたら?――そして善男善女が雪崩を打って一つ方向に意識を揃えて走り出したとしたら……。

 そういう応用可能性を想定してみると、ものすごい勢いで『生活習慣病』やら『内臓脂肪』を駆逐(?)して世間に定着した「メタボ」の広まり方が、やっぱり僕には薄気味悪い。
Posted at 2007/02/05 17:16:12 | コメント(0) | トラックバック(0) | ふと思ったこと | 日記
2007年01月31日 イイね!

日本『地上の楽園』化計画

日本『地上の楽園』化計画安倍政権は今国会で、通称「ゲートキーパー(門番)法」と言うもの(仮称「犯罪収益流通防止法」)を成立させようとしているのだそうだ。当初予定ではあさって閣議決定して本会議に日切れ法案として上程、さっさと成立させる手はずだったとか。

 聞いたことがない名前なので、ちょっと調べてみた。全国紙のオンライン版でサイト内検索をかけると朝日で一件の本記原稿、産経で一件の社説記事がヒットするのみだ。グーグルで検索しても約4万1200件と、決して検出件数は多くない。要するに、世間一般にはほとんど知られていない法律(案)なのだといっていいだろう。

 内容は、簡単に言うと「金融機関や税理士、弁護士など約50の指定職種にある者は、依頼者の行う金融・不動産売買等の取引に違法の疑いのある時には、依頼者にはその事実を知らせずに警察庁に通報しなければならないとする」もので、通報を受けた警察庁は取引のある銀行口座を凍結できる、というもの……らしい。一見、いいこと尽くめのように見える。産経新聞の社説記事も、その「いいとこ」だけをピックアップして日弁連が強硬に反対する姿勢を理解不能と切り捨てている。

 なんで日弁連が反対するか。宮台真司(社会学者)のブログの抜粋に判りやすく解説されているが、「弁護士が依頼者の違法行為を警察 に報告する義務を課されてしまっては、守秘義務も何もあったものではない」つまり弁護士と言う仕組みの根幹を破壊しかねないこと、「市民社会はもはや弁護士を全面的に味方と考えることができなくなる一方で、法案の提出者である警察庁は、全ての業界を自らの監督下に置くことが可能となる」密告義務化法だということだ。

 なるほどね、例の「自殺予告手紙」騒動で見せた教育再生会議の議論だとか、教育基本法改正だとか、憲法も改正したい安倍政権の描く「美しい日本」と言うのは、警察が社会をくまなく見張って密告を奨励し、意に染まぬ者は片端から処断する某「地上の楽園」同様の姿をしているのだろう。

 一応、法案の趣旨としてはマネーロンダリングの疑いがある場合云々とされているようだが、実態としては犯罪収益全般、それも『疑い』の時点で執行が可能となっている。これ、どう考えても憲法違反なんだけど――ああ、そうか。だから憲法も改正したいのか。現憲法下では許されない治安維持法的な法制度を、経済側面など搦め手から作り上げようとしてるわけね。例の「共謀罪」も依然継続審議になってるし。

 つくづく思うのだが、自国の国民が生産財にしか見えない柳沢伯夫とか統制監視の対象としたくて仕方のないシンゾーくんとかは、日本海を渡って「既にそういう社会体制の出来上がってる国」に行っちゃってくれた方がEverybody Happyなのに。
Posted at 2007/01/31 12:55:20 | コメント(3) | トラックバック(0) | ふと思ったこと | 日記
2006年12月22日 イイね!

何かがおかしい

何かがおかしい大学時代、サークルの仲間にUと言う美男子がいた。ガンダーラ仏像のように細面で彫りの深い顔立ち、潤みがちに見える大きな瞳、紙巻タバコが乗るほど長い睫毛が印象的で、ジャニーズ事務所所属のタレントだと紹介されたら数秒くらいは真に受けるような青年だった。

 彼は交通遺児だった。子供の頃に父を亡くし、そうした境遇の子供たちを進学費用の面で支える基金から奨学金を得て大学への進学を果たしたのだ。
 苦労を経験したからなのかどうか、Uはとても真面目だった。多少内気で自己主張をあまりしない風にも見えたが、傍目には些か几帳面すぎるのではないかと感じることがあるほどキチンとした男だった。

 彼とは専攻の学部も同じだったのだが、その真面目で几帳面であるはずの彼をキャンパスで見かけることは稀だった。クラブへもあまり顔を出さなかった。
 僕らのサークルは(黙っていてもみんな三々五々集まってくるからでもあるのだが)顔を出す出さないは当人次第と割り切っていたし、当人が口にしないことを根掘り葉掘り聞き出す趣味もなかったので、何かにつけ忙しいのだろうくらいにしか思っていなかった。
 そんなある日、久しぶりにサークル活動に顔を出した彼が、退部しようと考えていると切り出した。籍だけ置いていても殆んど参加できないので迷惑になるといけない、だから退部しようと思う、と。

 彼から聞くまで全く知らなかったのだが、彼が奨学金を受けている団体は、遺児たちの互助を(あるいはそれも自立支援の一環かもしれないが)地域ごとブロックを作って行わせていた。
 Uは大学まで進学していたので、その地域ブロックに住む学齢期の交通遺児の中では、最も年長の一人と言うことになる。そのため彼は、地域ブロックのリーダーとして、年少の遺児たちを取りまとめる立場になったと言うことだった。

 特に街頭募金のシーズンともなれば、地域のリーダーは遺児たちをどの時間どのエリアに配置するかをスケジューリングし、配置人員が足りないところには自分自身が転戦してでも不足を補い、出納を管理し――そうした諸々の差配を行わなければならない。こうした交通遺児支援活動に従事するために、大学に通う時間がほとんど取れなくなったのだとUは告白した。これは『恩返し』なのだと。

 頭に血が上った。育英基金は何をやっているのか。何のための奨学金か。基金の大人たちは、大学に進学させることができたという数字上の実績さえ作れれば、それで満足なのか。学校に行くために受け取った奨学金が『足かせ』になって逆に学校に行けないなんて、本末転倒も甚だしいではないか。何のための進学だ。そういう事務的処理は、基金のオトナたちがやって、遺児たちが何も思い煩うことなく学校に通えるようにすることが筋じゃないのか――。
 僕を含め居合わせた同年の仲間は口々に、こんな理不尽な話、受けなくてもいいじゃないか、そんなの『恩返し』じゃないじゃないかと、Uに言っても仕方ないことは判っているのに、それでも黙っていられなくて捲くし立てていた。

 すると静かに聞いていたUは困ったような微笑を浮かべて「でもね、後輩たちの面倒は、見てやらないといけないから」と言った。所詮、当事者ではない僕らにそれ以上なにが言えただろう。退部なんかしなくていい、籍は最後まで残しておくから、来れる時、来たい時にいつでも顔を出してくれと応えるのが精一杯だった。
 結局、彼にとってはそれが事実上『退部』の宣言だったのか、その後サークルへ顔を出すことはなくなってしまったのだが、僕らの同期の名簿には今もUの名前が残っている。

 あれからおよそ20年、他の支援団体も同じような内実だったのか、また彼のいたところが今でも同じような状態なのかは、関係者ならざる僕には分からない。けれども、駅頭などで交通遺児への募金を訴えかける制服姿を目にするたびに、若き日に感じた「何かがおかしい、根本的におかしい、絶対に間違っている」という憤ろしさと無力感が甦ってくる。
Posted at 2006/12/22 15:24:38 | コメント(0) | トラックバック(0) | ふと思ったこと | 日記

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「フェアレデーって本当に呼ばれてたの? http://cvw.jp/b/9433/47108671/
何シテル?   07/24 21:51
曲面の綺麗な旧い車が好き、エレガンスのある車が好き。そんなこんなでユーノス500に乗りつづけ、もう……何年だ?  気がつけば屋根のない車まで併有。いつまで乗り...
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