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2003年12月14日 イイね!

もう日本市場では商売にならない…?

もう日本市場では商売にならない…?毎度毎度のことながら、マツダのR&Dセンター横浜で開かれたアクセラの一般向け説明会に行ってきた。
説明員は開発主査の谷岡さんとデザイン統括の鈴木さん。
このところ、裃つけたような講演が多かったのであまり内容に期待をしていなかったのだが、谷岡主査の話が実に面白い。
冒頭から脱線しまくりになると宣言した通り、まぁ喋る喋る、脱線するする。講演会と言うよりは独演会の趣すらあった。

 しかしなにが一番僕にとって興味深かったかと言うと、アクセラと言うのはフォード傘下の3企業(欧州フォード、ボルボ、マツダ)の共同プロジェクトによって誕生したブランニュー・モデルなのだけれどその3社間の軋轢だとか調整だとか言った「お仕事」の話の部分だ。
量産規模が大きくなると部品調達でスケールメリットが出る、と言う。ではそれはどの程度のものなのか。谷岡主査は言う。「発注数が二倍になれば、約3%の低減が見込める」。
倍にして3%かぁ…とも思うが、商売の世界で原価が3%も一度に減らせるとなればこれは確かに大きい。
 アクセラのリア・サスペンションには上位車種であるアテンザと同様のマルチ・リンクが奢られている。社内では「谷岡!お前はどんなCカー(Cセグメント小型車)を作るつもりなんだ!」とやられたそうだが、これも150万台の生産規模を前提としたからこそできたことだと言う。もちろん、アクセラ単独ではそんな数は出ない。340万円のボルボS40(V40含む)とフォードの次期フォーカスがあったればこその生産規模だ。
そんな話はアクセラの全身にわたって存在するようで、セダンボディのトランクに仕掛けたダンパーとか、トランクルームのフルトリム化だとか、エンジンルームの化粧だとか、それぞれ製造原価で何千円と言う単位のお金を余分にかけているという。

 さて、アクセラと言う車の成り立ちの話に戻る。谷岡主査が明言したところによると、前回の内覧会のときにもそういう印象を抱いていたのだが、要するにCセグメントの世界王者であるVWゴルフに勝負を挑むことを目指したのがアクセラだと言う。
「広島の片田舎の中小企業が世界の王者を倒せるなんて思っちゃいない。しかし、勝てなくても負けない、タイソンとボクシングやってもフルラウンド最後まで戦いきる、そういう車にしたかった」と思いのほどを打ち明けた。
 そして、アメリカのジャーナリストをして「ノー・ウィークポイント!!」と言わしめたこと、欧州カーオブザイヤーでVWゴルフVと同点の2位につけたことを大変誇りにしてらっしゃる。
(ここで日本のCotYに大批判を浴びせるのだが「ここだけの話」と言っておいでだったので、その内容は書かない)

講演そのものは大変に面白かった。
だが、僕にとってアクセラは決して「欲しい」と思わせる車ではないのだ。輸送機械である自動車としてみれば、それはそれはまじめによく作られた優れた製品だと思う。でも僕は、車という商品に(僕にとっての)居心地のよさとか楽しさを求める。
アクセラでは、どうもその楽しさや心地よさが決定的に満たされないのだ。(これらは性能の良さだとか品質の高さだけで満たされるものではない。)
なぜ満たされないのか理由を考えたとき、講演の際に引っかかっていた谷岡主査の言葉が甦る。
「運転の楽しさと言うのは、全ての性能を上げていった『結果として』生まれるものなのだと考えた」。
僕は自動車開発のことはわからない。だが、楽しさって「結果として」生まれるものなのだろうか。「楽しくなるように」全ての性能を上げていく、と言う狙い方をしないとダメなんじゃないかと思う。

 開発総予算600億弱という枠組みの中で、売価170万円を中心ゾーンとする車が倍近い値段のゴルフと伍している、それは快挙だろう。ハードウェアとしてアクセラは、多分それだけのポテンシャルをもった商品になっているのだと思う。でもそれって乗用車の考え方としては「車好き」「運転好き」にはアピールしないんじゃなかろうか。
 もちろん車や運転が好きと言う(一種偏執的な)層は消費者全体の中では微々たる物だろうけれど、谷岡主査の発想の原点は、どうも(かれがこれまでずっと作ってきた)生産財としての車、即ちトラックなどの商品企画のメソッドにあるように思えた。

 最後に、この日記の表題の理由を記しておく。
アクセラは4ドアと5ドアで明確にスタイルが違う。4ドアは北米市場のセカンドカー需要(プロテジェ5と命名されるそうだ)を満たすため、5ドアは欧州と日本の需要を満たすため、と言う。そして、その市場規模はCセグメントのコンパクトカー全体で、北米が月販25万大規模の市場。欧州がやはり25万台。対して我が日本は…3万5千台の市場だという。ビジネスユースも含んでの数字だとすると、本当に乗用目的でこのクラスの車を買う人は、もう日本には殆どいないことになる。
 なるほど、そういう車を商品として、商売として成り立たせるには、もはや日本市場などというのは「刺身のツマ」程度の意味合いしかないのだろう。

 もっとも、今回3社共同で開発したこのモジュラー式(と言っていいだろう)のプラットフォームは、75種類のエンジンバリエーションに対応可能で、ボディバリエーションも幾らでも組めると言うからひとりアクセラの売れ行きにのみ汲々とする必要はないのかもしれない。
Posted at 2003/12/15 13:07:32 | コメント(1) | 日本の車 | 日記

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