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惰眠のブログ一覧

2002年12月05日 イイね!

M2、夢の記憶

M2、夢の記憶ゼロナナ兄さんの日記に触発されたわけだが、僕の手許には「M2 Voice」と言う小冊子がある。その名の通り、在りし日のM2が来訪者やファンの声を集めたレポート集である。僕が持っている2冊のうち一方を写真に撮って掲載しているが、これはM2の組織改変(M2は一度大幅に規模を縮小し、その後解体されたと記憶している)を受け、発足以来M2が世に問うた各種コンセプトがほぼ網羅されている。

 改めてパラパラとページを繰って見ると、あのバブル崩壊期を乗り切ることさえできたら、今ならば実現できたのかもしれないような企画も幾つかある。当時のマツダの状況を考えれば、M2を存続させておくゆとりなど微塵もなかったことは理解できるのだけれど、なんとも惜しい。レビューをベースにしたピープルムーバーなどは、もしマツダにもう少し体力が残っていて、ポストバブルの時期に商品化できていれば「デミオ売れずんば、即ち死す」みたいなどん底まで追い詰められた状況には至らずに済んだのかも知れないなぁなどと思わせる。

 トヨタや日産と言った大手がパイク・カーや昨今のWillプロジェクトのようにきちんと算盤勘定してビジネスとして展開しているのに比べると、M2の研究事業は随分とアマチュアくさく、有り余る情熱ばかりが空回りしていたように見える。ただ僕は、プロフェッショナルな企業としては落第なのだけれど、そう言う損得勘定の甘い(抜きではないと思うが…)ところなどシロウトのクルマ趣味に一脈通じるものが感じられて好ましく思う。実際にM2の1001や1002を手にした人たちも、そうだったんじゃないかと想像している。

 あるマツダのOBが言っていた。「NA型を開発していた頃、RX-7のテストドライバーから文句が出たんですよ。『車格が下のロードスターのほうがRX-7よりいい車に仕上がってるじゃないか』って。トヨタなんかは絶対こんなヒエラルキーが逆転するようなことしませんね。この値段の車なら性能はここまで、ときちんと決められている。プロの設計としてはトヨタの仕事のほうが正しいんです。マツダのやり方は、言い方は悪いですがアマチュアですね」と。
 またこうも言っていた。「例えばユーノス500のマフラーカッターですが、あれ上からポンと被せただけのものじゃないんです。ちゃんと走行風圧を受けて負圧が発生して、排気効率が上がるようになってるんです。しかも脱落したら困りますから、ロウ付けしてるんですよ。ボルト固定じゃない、ロウ付けです。僕もそこまでやるか?!と思いましたけどね」。
 これらはM2が健在だったバブル期の話ではあるが、まさに「思い込んだら…」である。

 M2の研究成果が、どの程度マツダ本体にフィードバックされ、また生かされているのか(いないのか)などは部外者である僕には窺い知るすべもないのだけれど、M2を立ち上げてしまい、また上位モデルを食うスポーツカーを作っちゃったマツダの、アマチュアみたいな熱さは多分今も変わっていない。
 ことし6月にMRYで開かれたアテンザの説明会で大本主査が話したことからも、それは感じられた。シャシー開発に気合が入りすぎて、当初予算を何割かオーバーしたなんて、人前で言うか…?
 本当に、大規模メーカーのプロがやるこっちゃない。でも僕などは、そういう大雑把なところがあるから、数ある自動車メーカーの中でもマツダびいきになるのだけれど。
 それは丁度、トップでチェッカーを受けられる喜びのあまりバンザイした弾みでキルスイッチに触れ、優勝ゴール目前でリタイアしたナイジェル・マンセルの「おバカちゃんさ加減」が好きだった心理と同じだと思う。
 そう言えば僕は、現役時代のA.プロストやM.シューマッハはあまり好きでないな…。
Posted at 2002/12/05 14:13:17 | コメント(0) | 日本の車 | 日記
2002年12月03日 イイね!

アンドロイドな電気自動車の夢を見るか?

アンドロイドな電気自動車の夢を見るか?昨日来のニュースで、政府が燃料電池車のリースを受ける話題が取り上げられ(きょうは試乗会まであったそうだ。ちょっと、乗ってみたかった)ているが、こういう技術が現実の商品になるためのハードルは高いなあと思わずにいられない。歴史的に見れば電気自動車はガソリン車よりも先に誕生しているにもかかわらず、21世紀の今日ですら未だに「将来の」と言う冠詞が必要なのだ。色んな意味で一般消費マーケットにはまだ降りてこない(来られない)技術だと言うことだ。

 なにしろ、今回官庁に納入された2車種は、リース料がトヨタで月額120万円、安いホンダでも80万円だというのだ。年額ではない、月額だ。霞ケ関官庁街でも緊縮財政が叫ばれる中、都心一等地にある広大な外国人向けマンションが借りられるほどの金を払って、できることといえば、そこいらを走っているガソリン車と同じかそれ以下…。違いといえば、水素を入れて電気で走ることだけ。そう言えば昔、木炭で走る車もあったなぁ…

皮肉を言えば、この年間4800万円の予算計上は壮大な酔狂である。

 もちろんこれは産業振興策の一つであるし、電気自動車(EV)普及に向けた啓蒙活動の一環であるとも言えるわけで、金額やスペックだけを切り取って云々するのは間違いだということは判っている。
 EVの広報啓蒙といえば、会社の近くにはJEVA(財団法人日本電動車両協会)なる団体が運営する「電気じどうしゃ館」とか言う展示施設があってEVや関連部品、周辺技術についての展示がされている(写真)。しかしこの展示施設、いつ見ても立ち寄る人はほぼ皆無だ。専従の職員もいるようなのだが、こんな勤めで給料が出るなんて羨ましくさえある、と言うのは冗談。
 この財団法人は自動車製造他のメーカーが会員に名を連ねているが、消費市場の拡大策(=啓蒙・宣伝)には、いかにも不熱心で、政府がじきじきにEVの宣伝に乗り出したくなる気持ちも判らないではない。

 しかしながら、僕は政府のEV関係政策には、相当の不信感を抱いている。自分の車に掛けられる自動車税に遠からず「懲罰的」加重税率が課せられることも腹立たしいし、何より最近新聞で「予想よりもLEV車が普及して税収不足に陥り困っている」という記事を読んだ時には、読んでいた新聞紙を床に叩き付けたい衝動にすら駆られた。
「税収不足になったので、登録の古い車の税率をさらに上げたいが、なかなか納税者の理解が得られないので難しい」。
当たり前だ。理解なんか示せるものか。旧いものを大事に使っている人間を抑圧するような施策など、支持できるわけがない。
 次の選挙には、ぜひとももう一度、日本モーター党(だったかな?)に再度立ち上がっていただきたいものだ。なんなら僕も立候補するぞ(笑)。

 なんだかP.K.ディックの小説から拝借したタイトルとは随分かけ離れた話になってきたが、僕はEVに悪感情や不信感を抱いているわけではない。寧ろ、EVに入れ揚げている自動車評論家、舘内正氏が思い描くような、ホットなEVが現れることを期待しているくらいだ。
 ただ―そう、「ただ」なのだ―電気自動車は、どうしても「アンドロイド化」していくようで、そのあたりに気色の悪さを感じてしまうのだ。ETCだとかVICSだとか、いまはデータのやり取りしかしていないが、自動車間保持システムなど運転動作そのものに、外部から「事故防止」などの名目で干渉できるようにならないとも限らない。と言うより、いまの交通行政当局の思考ロジックからすれば、必ずそれをやりたがると思う

 僕が好きなのは、開発した人や製造した人の思いや意志が感じられるようなクルマ、そういう乗り物を自分で運転すること、つまり自分の意志を投射することだ。車の形をした「アンドロイド」を愛でるようなフェティッシュな趣味は持ち合わせていない。
 まぁ、僕みたいなのも、有体に言って一種のフェティシズムの顕現なのだろうなぁと自覚はしているけれども。

なんだかNAVIの記事みたいな日記になってしまった。
Posted at 2002/12/03 18:46:08 | コメント(1) | 日本の車 | 日記
2002年12月01日 イイね!

さよならM2、夢の残滓

さよならM2、夢の残滓日本の産業界がバブル経済に浮かれ踊っていた頃、東京・世田谷にその浮かれ具合を具体的な形にしたようなけったい極まりない外観をした建造物が作られた。
M2ビルと命名されたその建物には、広島の自動車会社マツダが、バブルの熱で膨張したニッチ(隙間)マーケットにアンテナを張り巡らせるべく首都東京の拠点基地としての役割が与えられ、NA型ロードスターをベースに独自のモディファイを加えた「M2 1002」などを世に問うた。メーカーによるレディメイド車に満足しきれない当時の若者や自動車雑誌に、M2は大いに受けたものだった。

 実験工房のような役割を担わされたこの部門、ロードスター以外にもコスモやファミリア、プレッソなどのモディファイにも食指を伸ばしていたし、今なら市場で大いに人気を博しそうなピープル・ムーバー(いわゆるミニバン)のデザインコンセプトを手がけこともあった。僕もその当時、幾たびかイベント展などを見に足を運んだものだ。

 しかしバブルがはじけ、日本経済も企業業績も雪の坂道で足を滑らせたかのごとき勢いで転落が始まると、収益部門ではないM2は真っ先に閉鎖されたのだった。ただその後、建物にはマツダ系ディーラー3社ほどが入居したのでマツダ車(やシトロエン)のカタログや販促用宣材を収集するには都合がよく、僕などは専らその手の目的で、M2時代よりもむしろ足しげく通うようになった。

 足が向かなくなったのはいつの頃からだろうか。ユーノスが消滅し、いわゆる「バブル期マツダ車」などといわれるモデルが、次々と戦時省力型製品のようにみすぼらしく切り替わってゆき、新型車に夢も希望も見られなくなった頃からかもしれない。気が付けば、もう6~7年は行っていない筈だ。
 そんな折、ゼロナナ兄さんからM2ビルをマツダが手放したという話を聞いた。何でも、葬祭場になるらしいという。
バブルの墓標となった建物が葬祭場とは、ブラック・ユーモアだなぁと思い、折角だからと現認しに行って見た。

 建物の前には、建築現場でおなじみの白い看板が掲示され、それによると前橋に本社を置く葬祭業者が施工主になっていた。来年2月末に完工して、斎場(集会所)兼事務所として活用されるのだそうだ。道路に面した大きなウィンドウから中を覗くと、見覚えのある階段やエレベーターホールにGulfやハーツ・レンタカーのステッカーが1枚2枚はがし忘れられていて、それがとても物悲しい。

 立ち去る前に写真を撮っていて初めて気付いた。M2ビルの姿というのは、本当に墓標そのものに見えるのだった。
Posted at 2002/12/01 19:41:08 | コメント(2) | 日本の車 | 日記

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「フェアレデーって本当に呼ばれてたの? http://cvw.jp/b/9433/47108671/
何シテル?   07/24 21:51
曲面の綺麗な旧い車が好き、エレガンスのある車が好き。そんなこんなでユーノス500に乗りつづけ、もう……何年だ?  気がつけば屋根のない車まで併有。いつまで乗り...
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