岡山・夢二郷土美術館に行ってきました♪の続きです。
今回は車の写真の撮り方についてのお話です。
岡山のアサノカメラさんで開催された
「魅力的に伝える写真の選び方」~表現のための写真セレクト~を受講してきました。
今回のセミナー講師は
「三村漢(みむらかん)さん」一眼カメラを本気でやってる方なら一度はメディアや雑誌などで見たことがあるはずの、今日本で一番売れっ子のアートディレクター。有名写真家の写真展や売れる写真集を数多く手掛けておられます。
有名写真家が「これは写真展に飾りたい!」と思ってもあっさり「これはボツですね」とバッサリ渾身の作品を斬っちゃう辛辣で率直なレビューをされることでも知られています。
ちなみに私の写真の先生の写真集写真展「Japanesque」も三村漢さんがアートディレクションをされた作品です。
写真展の時の
こちらのブログにも三村漢さんが写ってます。
そんな方に写真を講評してもらいたいとはるばる大阪から来たわけです。三村漢さんに講評してもらえる機会なんてなかなか無いですからね。
”アートディレクターとは、デザインをするだけでなく、デザインしたものを、完成後、どうやって拡げていくかまで考えます。立ち上げから販売までのすべてをデザイナーの立場から作り上げる仕事です。”
アートディレクターは、主観的な写真家に対し客観的、俯瞰的視点なのである意味真逆の存在です。
私が今回セレクトしたのはこの15枚。私の写真の先生には見せたことのない「車」の写真です。それをプロのアートディレクターの視点で斬ってもらいました。
下記は三村漢さんの講評を文字起こししたものです。
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おっ見ますね。「車!」です。
これはコンセプトみたいなものはありますか?
FLAT4「映えるような写真です。」
やっぱりどこかいい意味で車雑誌で見るようなカットが多いです。
単写真で撮るなら観光地とか名所で撮っていくのがいいんですけど、もし写真展とか写真集にまとめるとするとただの「車LOVE」になっちゃうんで。
これどうしたいと思ってますか?
FLAT4「いつかフォトブックにでもしてみたいと思っています。」
そうするとどうしても親戚の家族のアルバム。5枚あればいいじゃないですか。いくら仲が良くても、飽きちゃうんですよ。なので飽きさせないには、車以外だったり、引きのカットだったりをどう入れていくか。キメの強いのはこう大っきい「車~!」ってのでいいんですけど。
「車~!」ってほうで見ると、光の使い方ですね。
まだ車のボディと背景との兼ね合いで撮られているので、どういう時間に光が来て差し込んで反射して光るとか、そこまでやらないと最後まで行けないかなと。
逆に風景を先に優先するなら風景が一番映える時と所をロケハンして、狙ってそこに車をどう置けばいいか、ある意味「撮り鉄」的な手法になるのかなと。
どっちでもいいと思うんですけど、このカーブミラーに写ってるの可愛いですね。
フォトブックにまとめるとしたら、まず一番に「距離感」ですかね。
真正面から撮っちゃってヘッドライトを思い切り寄りで切り抜くとか…。まぁパーツパーツをどう切り抜くかはLOVEにおまかせしますけど…。
あと流し撮りとか、光、動き、強さ、スピード感っていうのが大事ですね。色んな技術を駆使してやるのがいいかな。
ある意味、自分の車だったら動きは操作はできるので鉄道に近いのかなと。
動きは予想できるからちょっとそれを友達とやり合うとか、鉄道の撮り方勉強してみるとか。そうするともっと面白いカットが撮れる。よくあるのはブレーキランプだけ夜に長めに写すとか三脚で。遊びがあるともっと色々できるはず。
これはただまだ「車を撮ってる」ってイメージなんで、この縦位置2枚だけ動きが作れていると思うんですけど。
こういう写真と、写ってないけど車を感じたりとか、パーツ、ハンドル、タイヤとか色々自分の中で「LOVE」を挙げていって、どう撮ったらそれが一番伝わるかなを、考えてから撮ったほうが面白いすかね、多分。撮りながら悩んじゃうとなかなか難しいところがあると思います。
あとまぁどこまでやるか「季節感」。雪が降ったら頑張って撮るとか。春、夏、秋はあるか…。
何かあんまりガソリンスタンドとか見せられても…(苦笑)。これ光の加減とかキレイですけどね。
FLAT4「最近映えるスポットって人気なんですよ。」(会場笑い)
きれいなんですけどね、ちょっと情報が多すぎる。無駄な四隅は削ぎ落としてください。
うーん「夜」欲しいなぁ。「霧」とか。写っていないのに感じられるものが一番欲しいですね「余韻」とか。そこにいた「音」みたいな。極端に言うと「水の波紋」があってもいいと思うんですよ。低音が効いてるってイメージになるし、そこまで遊んじゃっていいと思うんで。車車車になんないで自分の中でイメージ拡げて。そうするといいかもしんないですね。
あと「引き」。つまり長い坂を超遠くから長玉で撮るとか。どうしても半分くらいは「車」になっちゃってるので。展開を考えるともっと面白くなんじゃないかと思います。橋の上から見下ろして撮るとか。有効的に使うといいかも知れませんね。
「夜」欲しいなぁ~。ガソリンスタンドが「映え」か…。(会場笑い)
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<講評を受けての私の気づき・感想>
・昼間にばかり撮ってて夜明け、夕景、夜景の写真が少ないこと。
・光と影を生かした写真をあまり撮ってないこと。
・車全体の似たような距離感の写真ばかりをセレクトしたこと。
・車の動いている写真なんかを撮るようにしたい。
・車の音や余韻を感じる写真を撮ってみたい。
・車の一部分を切り取った構図の写真をもっと撮らなきゃ。
・夜の光を生かしてもっと遊んだ写真を撮ってみたい。
・組写真、モノクロなどにも挑戦してみたい。
・もっと美しい絵画を見て審美眼を鍛えたい。
・他の受講者に比べ、写真そのもの(撮影&現像)についての☓評価が無かったのはまぁホッとした。
<他の受講生への講評の中で印象に残った三村先生の言葉>
・組写真は物語性。順番が大事。
・視点と距離感を動かすことが大事。
・彩度を上げすぎるのに注意。人の目は40歳代から彩度が下がっている。
・ゴールを決めてレタッチをする。考えながらやらない。
・イメージが広がる(写真の)タイトル。イメージを狭めるタイトル。
・
琳派を勉強する。構図のトレーニングになる。
・ラインで撮る。構図で撮るよりは打率が良くなる。
・写真集はコンセプト。誰に何を見せたいかが大事。
・モノクロを撮るときはモノクロの気持ちで撮る。
みんカラで写真やっておられる皆さん、40代から徐々に彩度は上げすぎる傾向にあるみたいですよ。ご注意くださいませ(笑)
車の写真のプロ(商業カメラマン)っておられますけど、基本カタログみたいに全体的に光がまんべんなく当たっててパンフォーカスでないとみたいなとこありますよね。そこをもっと光と影で切り取った作品みたいな方向も目指してチャレンジしてみたいなって思いました。写真展は見てないけど熱田護さんみたいな車写真には憧れますね。
これまで美しい風景写真の中に愛車を配置するってのを撮影コンセプトにしてましたが、今回の講評を受けて自分がまだ撮ってなかったモノに気づき、またイメージの幅が広がった気がします。
他の受講生は風景写真やスナップが大半でした。普段写真教室で風景写真については学んでいるので、車の写真について自分を振り返る機会になってよかったと思います。なかなか一度に15枚もまとめて講評いただける機会は無いので、遠方まで足を運んでよかったと思います。
最後までご覧いただいて有難うございます!