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2010年12月02日 イイね!

映画:1012「ゲゲゲの女房」観覧/全にして一、一にして全 の事

au TOSHIBA biblio 101201。毎月1日は映画の日。
 川崎のチネチッタで「ゲゲゲの女房」を観覧して来ました。
 映画『ゲゲゲの女房』公式サイト


 NHKの同名連ドラで人気爆発。水木しげる御大は文化功労賞を受賞、そして映画化。まさに今が旬の作品。私も相当期待してチネチッタに向かったのですが…

 あらすじは、同名連ドラと基本的に同じ。主人公は漫画家の水木しげる(宮藤官九郎)の妻布枝(吹石一恵)。お見合いから五日で結婚し、出雲から東京へ。売れない貸本漫画家故の極貧生活をスタート。当初は不満を見せる布枝も、水木の仕事への真摯な姿勢にやがてほだされ、彼の才能を確信する。それからは、漫画のアシスタントを務め、出版社との折衝に質屋通いに家事と奮闘。相変わらず貧しく、時に小衝突はあるものの、ぎこちない二人の間にも夫婦の絆が生まれ…無事子宝にも恵まれ、小さな家庭に家族が増えた頃、週刊マガジンからの連載の打診が…

 まずはキャスティングの妙。特に水木しげるを演ずる、宮藤官九郎。写真で見る若かりし御大に生き写し。南方の地獄の戦線で片腕を失いながらも、ひょうひょうと仕事に打ち込む姿は、まさに秀逸。妻の布枝役の吹石一恵も、自然な演技で難しい役どころを完遂。ここは連ドラより断然リアル。
 ついでに言えば、戦後昭和30年代、立ち直りつつある日本、そして売れない漫画家の極貧生活。その表現と言う意味でもリアル。時に暗く、時に救いが無いほどで…

 も一つ良かったのが、作中数度ある、モノクロの挿入アニメ。ゲゲゲの鬼太郎以前、貸本屋時代のシリアスでグロテスクな作風が、大スクリーンでじわじわと動き出す様はまさに必見。手書き原稿のタッチそのままというのが嬉しい。水木作品は、鬼太郎などで何度もアニメ化されていますけど、お子様向けにどうしてもつるりとなめらかに可愛らしくなっていますから。そのシーンだけでもファンの方には見る価値有りだと思われます。

 

<映画『ゲゲゲの女房』予告編>

 ただ、個人的にはちょっと残念な部分も。
 水木先生は我々クトゥルフ者・なんちゃってサブカル者にとっては、現人神とも言うべき特別な存在で在らせられるからです。なんとなれば、クトゥルフ神話を日本で最初にビジュアライズ化されたのは水木先生なのです。

 例えば、昭和38年の「地底の足音」はH.P.ラヴクラフト御大の「ダニッチの怪」が原作。作中では、「ミスカトニック大学」が「鳥取大学」、「狂えるアラブ人アヴドゥル・アルハザードの著したネクロノミコン(死霊秘法)」が「ペルシャの狂人ガラパゴロスの死霊回帰」、「ウィルバー・ウェイトリー」が「蛇助」、「ヨグ=ソトース」が「ヨーグルト」…(笑。邦訳はともかく、ストーリィ的にはかなり忠実な内容に。この作品は、昭和61年に朝日ソノラマから復刻され、ホーム社の漫画文庫で今でも購入する事が出来ます。
 水木しげる 魍魎 貸本・短編名作選 地獄・地底の足音 (ホーム社漫画文庫) (HMB M 6-5) [文庫]

 余談ですが、ラヴクラフト作品を最初に日本に紹介したのはあの江戸川乱歩先生が幻影城にて。そして我らが現代のヒーロー、荒俣宏、京極夏彦先生は、水木先生に師事され、世界妖怪協会を運営されていると言う…


 ええと、なんでしたっけ?(笑
 そうそう、それだけ崇敬おく能わざる水木先生と奥方の映画化なわけですから、我らフォロワーにとっては、もうちょっと…という部分もあったのでした。
 例によってネタバレ注意で捨てカットの下に続けます。


CANON PowerShot G10
<ラ・チッタデッラ>

 一番残念なのは、極貧新婚生活のリアリティを追求し過ぎたせいか、全体にちょっと暗すぎるきらいが。ストーリー的にも、マガジンの連載を受け、さあこれから!というところでぶつんと終了してしまいます。せめてエピローグ的に、その後の成功の下りを加えてくれれば、もうちょっと映画的カタルシスも生まれたと思うのですが。キツい言い方をしますと、情緒に欠ける小津作品のような物足りなさも感じたり感じなかったり。つうかあの展開で、最後にチキンカレー食べないってのは、切ない…

 また、ご期待通り、妖怪的存在が画面の端々に登場するのは良いのですが、その扱いが若干微妙。もっと増やして欲しいですし、もっと妖しさを加えて欲しかった。なんと言っても怪人水木先生の半生なのですから。個人的には、現実シーンの半分には何らかの怪異が侵蝕して欲しかった。予算と時間が足りなかったのかなぁと。
 お金の件では、セットにもちょっと不満が。水木家などのセットは、昭和30年代なのですが、遠景が完全に現代。東京駅が現在の建築中のままで、かつロータリーにプリウスらしき車影があったり。新宿の街並にフレッシュネスバーガーが堂々登場したり…むむぅ。監督的には演出的に隠す気もなかったのかもしれませんが、やはり違和感が。
 

 と重箱隅的なケチもつけてしまったのですが、主役二人の配役、挿入のアニメだけでも、水木先生ファンの方には見る価値はあると思います。特に白黒アニメはホントに素晴らしかったです。

 あと、吹石一恵ファンの方にもオススメで…完全に本筋とは関係ないのですが、吹石さんを撮るカメラの視線が、ちょっと妙にフェティッシュだったりして…監督はふくらはぎフェチですね。分かります。
 いやそうじゃなくて。ちょっと地味だけど、どこか素敵な吹石さんの魅力は相当にフィーチャーされていますよ(笑



 と言うことで、次こそは「エクスペンダブルズ」と「マチューテ」を見なければ。
 川崎では終わってしまったので、横浜まで遠征しようと思います。VIVA!マッスル!!


Posted at 2010/12/02 23:58:23 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画 | 音楽/映画/テレビ
2010年11月01日 イイね!

映画:1010「ナイト&デイ」観覧/万聖節前夜とSTARの笑顔 の事

au TOSHIBA biblio 101031、ラゾーナ川崎の109シネマへ。
 トム・クルーズとキャメロン・ディアスの「ナイト&デイ」を観覧してきました。

 映画『ナイト&デイ』公式サイト


 あらすじは、ごく平凡な女性(?)が、ミステリアスな男性に偶然(?)出会い、その男が組織に追われるスパイであったため、なんやかやと、カンザス州をスタートに、ボストン、NY、アゾレス諸島、オーストリア、スペイン、アイルランド。世界を股にかけた逃亡劇に巻き込まれる。というもの。

 細かい事はさて置き、ハイスピードでスリリングなアクションシーンと、トム&キャメロンの爽やか&キュートな笑顔に癒される、スーパースター競演のスタイリッシュな痛快スパイアクション。
 空港、南海の孤島、豪華特急、東欧の古都、南欧の旧市街有りと、二時間の世界一周。舞台設定も超特盛り。流石の充実感。これぞハリウッド大作ですね。

 主演はご存知トム・クルーズ&キャメロン・ディアス。とにかくこの二人の魅力が炸裂の二時間。
 CIAのスパイ、ロイ(トム・クルーズ)はとにかく全てに完璧。ルパン三世とゴルゴ13とジェームス・ボンドとジェイソン・ボーンをクラッシュしてトム・クルーズ味に仕上げたような、まさに完璧超人。もう反則。
 平凡な女性ジューン(キャメロン・ディアス)は、当初は激変する状況にパニックになるものの、天然ボケの奥に芯の強さと行動力を備えた魅力的なヒロイン。ホント相変わらずキュートです。

 とにかく両者とも、笑顔が強烈。もう胡散臭いくらいです。40代×50代とは俄に信じられないほどの、輝く美貌と鍛えられたボディにただ感服。ちょっとご都合な、んなわけないだろー的展開があっても、ロイがクールにザクザクヒトを殺しても、ジューンがちょっとイライラするくらい天然ボケでも、二人の笑顔があればもうオールオッケー。流石はスター中のスター、巨大な説得力です。



<映画『ナイト&デイ』予告編>

 そうそう、今作を見ようと思った決定打は、映画の予告編で見た、スマート・ロードスターの群れなのです。
 ビート乗りとしては、ディメンションの似たスマローが、狭いセビリアの旧市街をぶいぶいすっ飛んでゆく様に、我が意を得たり!と。しかもギャングの親玉も乗るんですよ。ますます分かっていらっしゃる。結局トムとキャメロンにずたぼろにされるんですけど、スマロー格好良かったです。上の予告編の後半でも大活躍。


 と言うことで、ストーリーや構成的にも、トムが完璧すぎる所以外はなかなかに説得力有り。伏線もきっちり回収しますし。トムとキャメロンの掛け合いも洒脱で、各所にクスリとくるコミカルな場面も沢山。ただ、故有りとは言え、簡単に人死にが出るのはやはりちと残念ですが。いくらハリウッドとは言え、もうちょっとなんとかなりませんかね。あとね、キャメロン・ディアスが「平凡な女性」って…そこだけはおかしいと断言出来ます(笑 

 ま、その辺のもやもやも…あ、ネタバレになるかもしれないので、一応捨てカットを挟んで続けます。


CANON PowerShot G10
<ルーファ広場@ラゾーナ川崎>


 と言うことで、その辺のあれやこれも、エピローグのあの展開でホントにオールオッケーに。
 ああゆうぼんやりとしたハッピーエンドは大好きなんですよね。繰り返しになりますけど、ラストの二人の笑顔はとろけます。ほっこりしました癒された。GTOでケープホーン、最高じゃないですか。


 アクション映画好きで、厳密なリアリティを映画にそんなに求めない方にはオススメですね。もちろん、トム&キャメロン好きの方は、とっくにご覧の事でありましょう。あれです、大スクリーンと大音響で見るべき映画って奴ですね。面白かったです。

 んで、次はその分野で現公開作品中のトップオブトップ、エクスペンダブルズを見て来ます。なんかね、久しぶりに、生ビールとポップコーンをたっぷり買って、ナメリカンスタイルで見ようと思います。Yeah Ha!(笑


CANON PowerShot G10<カイザード・アルザード・キ・スクハンセ・グロス・シルク>

 ちなみに、映画の前は川崎ハロウィンの大パレードを見学していたのでした。

 ラ チッタデッラ【川崎】〜KAWASAKI Halloween 2010


 もうヒト、ヒト、またヒト、さらに這い寄るヒト以外、で川崎駅前は大変な事に。

 でワイン片手に仮装行列を眺めていたら、何故か仮装していない私に雑誌の取材が…
 写真は恥ずかしいのでお断りしたんですけど、なんだったんでしょね…


 ハロウィンについてのあれこれは鋭意編集中です。
 動画も撮ったんですけど、短くまとめないとね。
 

Posted at 2010/11/01 23:01:04 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画 | 音楽/映画/テレビ
2010年09月10日 イイね!

映画:1009「ベスト・キッド<日本語吹替版>」観覧/後継者現る の事

au TOSHIBA biblio 100910、ラゾーナ川崎の109シネマへ。
 楽しみにしていた「ベスト・キッド<日本語吹替版>」を観覧してきました。
 ベスト・キッド ー オフィシャルサイト

 結論から。かなり面白かったです。
 途中ではちょっとグッときて、ラストは大盛り上がり。エンドロールまで余韻たっぷりの良い映画でした。
 ジャッキー世代の我々はもちろん、ご家族連れでもカップルでも、安心して楽しめる作品だと思います。


 今作は1984年公開の名作、「ベスト・キッド」のリメイク版。舞台はアメリカから中国・北京、空手はカンフーに大きく変更。主人公の少年「ドレ」にウィル・スミスの息子ジェイデン・スミス、師匠の「ハン」に、我らがジャッキー・チェン。
 物語は、母子家庭に育つ12歳のドレが、母親の転勤によりデトロイトから北京に転勤する所からスタート。引っ越し早々、友人が出来、気になる女の子も。しかし、その件で地元の少年達にからまれ、彼等のクンフーによって打ちのめされてしまう。学校でもいじめの標的となってしまい、鬱々とした日々を過ごす事に。その窮地を救ったのがマンションの管理人のハン。紆余曲折有り、いじめっ子と来る少年クンフー大会で決着をつける流れに。そしてハンの元でのドレの特訓が始まり…

 設定はかなり変更されていますが、いじめられっ子が東洋の武術を学び、心身ともに成長し現状を打破する、というオリジナルの持つ王道的展開は踏襲されています。つまり青春スポ根修行物。安心して見られるお話しです。陳腐ですが、それだけに効果は高いという。
 ちなみに、オリジナルで有名になった「ワックス・オフ、ワックス・オン」は「ジャケット・オフ、ジャケット・オン」に(笑


au TOSHIBA biblio とは言え、ただのリメイクにとどまらず、現代の映画としての新しい仕掛けもたっぷり。
 クライマックスの少年クンフー大会は、K1もかくやという盛り上がりぶり。まるで格ゲー。少年達が見せるアクションも、オリジナルを遥かに凌駕。ジェイデンくんのしなやかな動き、ライバルのチェン役のワン・ツェンウェイくんのパワフルさもグッド。

 映像的にも見所沢山。まずは母子が移る現代の北京。オリンピック会場や高層ビル群、そして旧市街には雑多ならしさも残り、今の中国の活気あるカオスな雰囲気を感じます。
 加えて、紫禁城、万里の長城、龍の泉のある絶壁の寺院、ダイナミックかつ風光明媚な美しい史跡群も存分に活写。万里の長上の頂上での修業シーンは、ロッキーのロッキー山脈でのそれに匹敵します。


 そして、なんと言っても、主役の二人、ジェイデンとジャッキーが素晴しい!

 ドレ役のジェイデン・スミスはまだまだ少年ながら、驚愕の身体能力を発揮。映画スタート時には黒人特有のしなやかさ、クイックな動きはあるものの、あまりの細さに大丈夫かいな?と。しかし、ハン(ジャッキー)の元での修業が始まると、メキメキと目を見張る成長を。いやそれは映画の演出ももちろんあるのでしょうけど、小柄ながら締まった肉体と、切れ味あるクンフーの動きには、フィクション以上のリアルを感じました。
 正直、ジャパン・プレミアでのふんぞり返ったインタビューや、漏れ聞く生意気エピソードから、今作でもどうかなぁ、と危惧したりしていたのですが。この演技を見せられては文句もありません。彼は既にして天才子役。そして未来のアクションスター、ジャッキーの後継者候補となりうる逸材でもあります。是非順調に成長していただきたいものです。

 そして我らがジャッキー。印象深い「ミヤギ」のポジションを、こちらも見事に演じきっています。生来の底抜けに陽気な一面をあえて抑え、人生の機微を嗅ぎ分けた深みのある演技。時に見せる、やや陰のある表情がまたカッコいい。
 個人的にはちょっと残念なことに、ジャッキーの本気のアクションシーンはありません。しかし、ジェイデンとの修業で見せる鋭い動きは、これまたまさにリアル。逆に、その抑えた展開で、本物のカンフーを垣間見せることに成功しているのは、やはり彼なればこそ。流石です。

 個人的には、師匠ハンの持つ陰の理由が明らかにされるシーン。そして、続く無言の修業シーン。破壊されたヘッドライトに映し出される、師弟のシルエットの厳しさ、美しさ…泣きました。
 これはオリジナルにはなかった演出だと思うのですが、このワンカットによって、今作は原作を超えたのではないでしょうか。
 


<【映画】 ベスト・キッド (リメイク版) 予告編>

 予告編等も。

 いやー、見返してみてもいいですね。こりゃジェイデンくんもジャッキーも、なにかしら賞貰うんじゃないでしょうか。
 私も最初は、ジャッキーYeah! クンフーYeah!と、ビール片手にすっかり能天気モードで109シネマズへ足を運んだのですが。いやいや、さにあらず。最後には劇中の言葉通り「どん底に落ちても、あきらめない」「己の心によって己に打ち克つ」そんなメッセージ、人間の尊厳の再生というテーマまで受け取ってしまいましたよ。いや素晴らしかった。さて、寝る前に筋トレしよ<影響受け易過ぎ

 とにかく、若きジェイデンくんのポテンシャル、大人なジャッキーのダンディズム。ここは必見です。



 ちなみに、今日は9/10、毎月10日は「109シネマズの日」と言うことで、お代は1000円だったのでした。まったく知らずにおりまして、窓口でえ?と聞き返す始末。ちょっと得した気分です。

 と言うことで、中木病の海モードのせいでとんと映画から遠ざかっておりましたけど、そろそろまた月2〜3本ペースに戻ろうと思います。
 次は、「アリエッティ」「BECK」「インセプション」「悪人」あたりですかね。BECKは原作読んでなくてもokなんでしょうか?



 あ、明日じゃなくて今日(9/11)の夜にBDNやります。
 アレでしたらご連絡を。


 D
Posted at 2010/09/11 00:22:07 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画 | 音楽/映画/テレビ
2010年07月14日 イイね!

映画:1007「アウトレイジ」観覧/コノヤロウバカヤロウ の事

au TOSHIBA biblio 100704、ラゾーナ川崎の109シネマへ。
 楽しみにしていた「アウトレイジ」を観覧してきました。
 6.12公開・北野武監督最新作「アウトレイジ」

 今作は題名通りの「極悪非道」。暴力団組織の内部抗争がテーマ。もちろんバイオレンスたっぷりのR15指定。怖いです痛いです。
 その表現は、また外連味がたっぷり。速射砲のようにたたきつけられる、激しい怒号。その間はまさにしゃべくり漫才。数分毎に繰り広げられる残虐シーンの数々。戦争映画以上に人死にが出ます。

 でもそれが痛快でもありました。確かに思わず目を覆う残虐シーンも多々あるのですが、個人的にはギリギリ許容範囲。と申しますか、痛いのに、なぜか滑稽。このバランスは流石。「馬鹿野郎」「この野郎」普段は口にも耳にもしない怒号の掛け合いは、文句なしに面白い。
 ストーリーもテンポ抜群で、あっと言う間の2時間。お子様には教育的にちとどうかと思われますが、大人の方でしたら問題なくオススメできます。

 あ、思い出した。当方、「GONIN」(95年公開、ビートさん、佐藤浩一、竹中直人、元木さん出演)が大好きなのですが、今作はあれにちょっと雰囲気が似ています。
 あちらがお好きな方にはもう絶対。<いるのか?


au TOSHIBA biblio さて、元来、ヤクザ映画というものは、暴力表現はあるものの、実は任侠の義理、仲間との連帯、渡世の人情、などに主題がおかれていたものでした。現在のそちらの世界でも、そういう部分はいくらかはあるのかもしれません。ああいう世界に憧れを抱く方もいらっしゃるでしょう。
 しかし、今作ではそういう甘い感傷は完全排除。もともと非合法の暴力組織。己の欲のためには、組織内の親子関係も兄弟分との盃も、シノギのご法度も、ぜんぶなんもかんもぶっ飛ばすと。義理も人情もへったくれもあったものじゃあありません。ポスターのあおり通り、登場人物はまさに「全員悪人」。正直だれにも感情移入できません。古き良きファンタジーは死んだのです(笑。

 ただ、そうは言っても、ただの暴力万歳映画に堕していないのが、北野作品の所以。劇中ではたしかに怒号が飛び交い、拳が飛び交い、銃弾が飛び交い、札束が飛び交い、小指が飛び交い、死体も飛び交うわけです。終いにゃ手榴弾やマシンガンまでも。しかしそれがどこか滑稽。登場人物が真面目であればあるほど、なぜだか笑えてしまう、という。
 これは、スプラッタシーンでもそう。「ゴリゴリ、ウウウ…ブツリ、ボタボタ」とか「ウィーン、ガガガガガ…ゴボゴボゴボ」とか「てめぇ舌何枚だ?ゴッ、ブツッ」とか「ブーーーー、バン!ゴキン、ダラーン」。そんな擬音でしか書きたくないような、痛くて辛いシーンも、なぜだか不思議と滑稽だったり、むしろ美しかったり。この瞬間の切り出し方の妙は、やはり北野監督の真骨頂なのでしょう。

 もちろん、その他、例えば映像美という意味でも健在。冒頭のモブシーン。石庭に居並ぶ黒塗りの車、直立不動の構成員、主要人物の不気味なアップなど…無音のままに映し出されるそのカットは実に見事。いきなり視線がわしづかみに。
 個人的には、水野がああなる、早暁海辺の工場地帯のシーン。やはり静謐でそして青みがかったカットは、ああ、これが「キタノブルー」かと。本来は酷いシーンなんですけど、これも文句なしに美しい。
 大友が最後にああなった、野球場のシーンの引きカットもグッド。ダーティーハリーやセブンじゃないですけど、ラストのロングショットは大好物なのでして…


 ま、正直、あちらの世界をおちょくっている視点はあります。意図してのことでしょうが、登場人物はくだらないメンツや浅はかな計算、はした金のために命を簡単に失っていきます。その表現が真剣であればあるほど、スクリーンのこちら側から見ると、もう、なんだかなぁ(笑。という。
 前回見た井筒監督の「ヒーローショー」もそうだったのですが、もう暴力行為に爽快感や共感を覚える時代ではない、少なくとも市井の市民にとっては、と言うことでしょうかね。「アバター」なんかが受けるのは、もうアメリカだけとか。
 これはある意味、素晴らしい文明の爛熟具合だと思います。これこそ民主政治の一つの精華でありましょう。<?

 既存のキタノ組をガラッと入れ替え、名優日本代表のような贅沢な俳優陣を迎えたのも、この好印象の一端かと。本家の北村聡一郎、三浦友和。直系組織の國村隼、杉本哲太。末端組織のビートたけし、椎名桔平、加瀬亮。汚職警官に小日向文世。國村の兄弟分に石橋蓮司。列挙するだけでわくわくしてきますね。流石の演技力でした。
 中でも、最高に酷い目に遭うのに、なんだか面白くて仕方がない石橋。そして親分なのに情けなくて、なんだかちょっと憎めない國村。不気味に切れるインテリヤクザ役の加瀬。彼らは特に素晴らしかった。
 忘れてならぬのは、ビートさんの片腕役の椎名。シャープで危険でイケメンで。これまでで一番格好良かったんじゃないでしょうか。死に様も最高(?。やっぱり映画は俳優さんが命ですね。
 
 

<アウトレイジ 予告編(動画)>

 やっぱ、この怒号のラッシュがたまりません。ゾクゾクします(笑


 と言うことで、結果として、これまでの北野作品にあった、暴力性の中の虚無や内省、どこか詩情を湛えた静謐感…それらはかなり排除されました。
 そこにちょっと残念感はあったのですが、全編とにかくアップテンポ、むしろ躁病的異常なハイテンションに、娯楽映画としてのレベルの高さは感じました。痛いのに笑える。そんなブラック・コメディ的要素は、「世界のキタノ」ならぬ、我々が良く知る「ビートたけし」的側面の絶妙な発露かと。
 カンヌ映画祭では賞はとれなかったものの、上映後はスタンディングオベーションだったというのもうなずける、そんな2時間あっと言う間の快作・怪作です。



 ここ一ヶ月はW杯の影響で全然映画館に行けておりませんでした。これからはぽちぽちとまた再開していこうかと。
 次は、終っちゃう前に「告白」ですかね。冒険もの好きとしては「アデル」も見逃せず。


 D
Posted at 2010/07/14 12:09:00 | コメント(0) | トラックバック(0) | 映画 | 音楽/映画/テレビ
2010年06月07日 イイね!

映画:1006「アリス・イン・ワンダーランド 3D(字幕版)」観覧/ヴィーノ三昧 の事

au TOSHIBA biblio 100605、またまた自転車で川崎のラ・チッタデッラへ。
 今更ながらようやく「アリス・イン・ワンダーランド」を観覧してきました。
 アリス・イン・ワンダーランド オフィシャルサイト

 今作はファンタジーの元祖、「不思議の国のアリス」「鏡の国のアリス」の世界観のもと、その続編的なストーリーとして構成。
 主人公は19歳になったアリス。6歳のときの不思議の国での冒険の記憶はすっかり薄れ、大人としての現実を生きなければならない状況に。好きでもない貴族に求婚され、思わず逃げ出した先で、三月うさぎを見つけ再びあの木のうろへ、落下した先には不思議の国(アンダーランド)が…
 監督はティム・バートン。大好きです。悪夢というか幻想というか妄想というか、突き抜けたアダルティな「アリス」を、最新の3Dで堪能出来るぜ!と意気込んでおりました。

 絵造りについては期待通り。豪華絢爛な映像世界が繰り広げられ、作り込まれたキャラクターも秀逸。CG&3Dで描かれる、チェシャ猫やアブソレム、マリアムキンのキャッチーなこと。これはもう最新技術の賜物でありましょう。今からディズニーランドで展開されるであろうアリス・アトラクションが楽しみです。
 3D表現そのものも、アバターよりさらに一歩進んだこなれ具合とお見受けしました。3Dはもうハリウッドのメインストリームですね。

 ただ、個人的にはちと残念な部分もちらほらと。
 ネタバレ&ちょい毒チックな感想は、予告編を挟んで下に。


<アリス・イン・ワンダーランド 予告編(動画)>

 あくまで個人的感想なのですが、今作はディズニー配給という面が裏目に出たような気がします。
 それは主にストーリー展開で。これはアバターでも思ったのですが、今作も3D映画黎明期の作品として、必勝を期し過ぎているように思えました。つまり、映画としての深みや複雑さを廃止し、より分かりやすさ・より無難さを重視。より多くの皆さんに広く浅くご覧いただきたい、そんな内容であるような。

 だがしかし、残念ながら、ただの3D技術のプロモーション映像でしたら、20分も見れば飽きてしまうのです。もちろんファーストインパクトは素晴らしく、豪華絢爛美麗な映像のラッシュではあります。しかし、内容が単調で無難なストーリーでは、2時間は持ちません。
 3DもCGも、技術は全て手段であり、目的ではないということ。映画という総合芸術には、シナリオ、俳優の演技、等、やはり人間の手の業が伴ってこそ、とも言えるようなそんな感じがするようなしないような、とかなんとか言っちゃったりしちゃったりして…ゴニョゴニョ

 暴言ついでに書いてしまいますと、ジョニー・デップの帽子屋をメインキャストに格上げして、アリスとの軽いラブロマンス風味を加えた事にも違和感が。「マッド・ハッター」なのに、この設定ではどうしたって、逆に「マトモ」にならざるを得ません。白の女王と赤の女王の単純な二元的対比にも、なんだか興ざめな観も。
 さらに、ラストに加えられた後日譚が、もうまた残念で。そりゃもうアリスも19歳の大人の女性な訳ですから、いつまでも夢見ているわけにも行かないんでしょうけど、アレはねぇ…もうちょっとなんとか……ファンタジー映画ぐらいでは夢みていたいじゃないですか。

 そう、「アリス」なんですから、もっと不条理であって欲しかった…しかもティム・バートン監督なんですから。もっともっとめくるめく夢のような、それも多分に悪夢成分過多な暗黒幻想世界が繰り広げられると、ついつい期待をしてしまったのが敗因でございましょう。
 映画でも何でもそうなのですが、過分な期待や思い入れはむしろ害。むしろ観覧者側の過失とも言えましょう。スイマセンスイマセン。
 ただそんな意味でも、「パンズ・ラビリンス」は素晴らしかった…あちらは全てに完璧で…

au TOSHIBA biblio と、なんだかんだと偉そうなことを書いてしまいましたけど、ホントにCG表現、3D表現は素晴らしかったです。アバターに続くエポックメイキングな作品として、見ておく価値はあると思われます。こればっかりは、是非最新の3D施設のある映画館の大スクリーンで。そこを外してしまうと、むしろ価値は半減かもしれませんです。


 ということで、次は「告白」「アウトレイジ」あたり。「プリンス・オブ・ペルシャ」もよさそう。ゲームは98版でさんざんやりこみました…映画でも、あの動きを再現してくれてたら嬉しいですね(謎)。「トロン」の予告編も面白そうでした。こちらも楽しみ。

 映画の後は、もちろんエノヴィーノでワイン呑み放題!で(笑
 ワインブティック&カフェ「エノヴィーノ」


 D
Posted at 2010/06/07 23:18:31 | コメント(1) | トラックバック(0) | 映画 | 音楽/映画/テレビ

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「('A`) <対酒当歌 人生幾何 譬如朝露 去日苦多 慨当以慷 幽思難忘 何以解憂 唯有杜康」
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