池田です.
卒業まで半年を切り,以前から乗っていた変なカラーリングの汚い恥ずかしいアルトを社会人にもなって喜んで乗り続けるわけにはいかねーと思っていたので車を買いました.部品取りは2台買ったことありますが,動く車を買うのはこれで人生で2回目です.
同じ型のアルトワークスです.シングルカムのFFワークスをベースに,ツインカム化,フルコン(MaxxECU mini)化,公認FR化等々がすでになされている,見た目とは裏腹にとんでもない変態個体です.
同じ型式なので,これまでに培ったアルトに関する知識やノウハウ,溜め込んだ部品も活かすことができます.より”良く”なっちゃいそうです.まったく,困りますね.^^
フレームの錆もほぼ無く,ドアの閉まる感触も以前のは「ベァン」だったのに対し,「ドン」と普通車みたいな閉め心地です.感動による震えが止まりません.
ですが,シングルカムべース故にリアブレーキがドラムなのが個人的に残念な点です.やはりスポーツカー()らしく4輪ディスクといきたいところです.
以前買った部品取りに運良くディスクの4駆ホーシングとブレーキ配管一式が付いてたので移植すればいいのですが,ブレーキの形式の変更は改造申請しないといけません.車検証に改がつくやつです.
ということでちゃんと申請してきました!
前置きが長くなりました.
今回する作業をまとめます.現状CR22S(シングルカムFF)のボディにHB11S(シングルカム4駆)のリアドラムブレーキ,ホーシング,プロペラシャフト等がついています.
そこにHB11Sのリアブレーキ,ホーシングを撤去し,CS22S(ツインカム4駆)のリアディスクブレーキ,ホーシングを移植します.
ここでポイントなのがリアのドラシャはCS22S(PCD114.3)ではなくHB11S(PCD100)のものを使い回し,変更はしないということ.こうすることでリアドラシャの強度検討を省くことができます.
ドラム→ディスクの変更作業自体は,助手席側のリアフレームと燃料タンク上のフロアにブレーキ配管を固定する留め具をこれまたCS22Sから移植するだけであとは部品がボルトオンで付きます.
赤丸部の留め具はドラムブレーキ車には無いので部品取りのCS22Sから取って溶接.錆びないようにフレーム内にノックスドールをしこたま噴射しました.
燃料タンクとボディの間にもプラ製の留め具があるので一度タンクを下ろして移植します.
以下必要な書類です.今回は制動装置の改造に加え,ホーシングも変わるので走行装置の改造にもあたります.
①,②,⑤は軽自動車検査協会(以下軽検協)のHPからダウンロード,もしくは軽検協の窓口に声を掛けるともらうことができます.
それ以外はWordで作成して印刷しました.特に決まった書き方はないのでそれっぽく書きます.
① 改造自動車等届出書(第9号様式)
表:名前,住所その他諸々を書きます.今回改造内容は(4)-②と(6)に丸をしました.
裏:どんな書類が必要か分かる表になっています.あてはまる改造内容のところに丸をし,その中で省略した書類の◯に斜線を引きます.
② 改造概要等説明書(第10号様式)
表:書き損じなのでごちゃついてます.車検証や諸元表を参考に数値等を入れます.改造後でも変更がなければ左矢印を入れます.
わからないところは検査員の方に聞けば教えてくれます.
裏:改造の目的と概要を書きます.
③ 車輌を特定する資料
改造する車の前後左右からの写真とコーションプレートの写真を付けました.
④ 技術基準等への適合性を証する書面
今回は不要♡
⑤ 保安基準適合検討書
基準条項や項目は似たような改造をしている人のブログを参照しました.保安基準 条項 〇〇条でググると国土交通省のページで確認することができます.
純正部品の流用なので保安基準は大丈夫としました.
⑥ 外観図
サービスマニュアルの図を貼り付けます.
⑦ 改造部分詳細図
何を何に変えたのかをパーツリストの図や写真を使って示します.改造前の写真を取り忘れてしまっていたので説明不足になるか心配でしたがなんとかなりました.
⑧ ドナー詳細
改造自動車等届出書裏面に記載はありませんが,CS22Sのホーシングがついていた車(部品取り)の車台番号が分かると良いと言われました.
おそらく申請する際の説得力が増すという感じで分からなくても大丈夫だと思いますが,出所不明の部品を使って改造する際は注意かもしれませんね.
以下,走行装置の改造に関する書類
⑨ 強度検討書(走行装置)
ホーシングの強度検討です.
改造前(純正のFFの状態ではなくFRの状態)の後軸重と,改造に用いた部品がついていた車輌の後軸重が同等なのでOKです.
⑩ 強度検討省略理由書(リアドライブシャフト)
リアドラシャは変更していないので強度検討は省略と書けます.
ドラムブレーキとディスクブレーキでリアドラシャが共通じゃなかったらエンジン出力やギア比などから危険回転数,ねじり強度を算出しないといけませんが,やってみると案外できます.
なぜ知っているかというと一度計算したからですw.色々あってドラシャを変更しない方針にしましたが.
以下,制動装置の改造に関する書類
⑪ 制動能力検討書
純正のブレーキ,しかも車両重量も同等の車からの移植だから制動能力は十分!と思い,制動能力計算"省略理由"書を作って軽検協に持っていったら計算してくださいと言われました.
http://www.superior-inc.com/←こちらの神サイト様を参考に,必要な制動力F,発生させることのできる制動力F’をそれぞれ算出し,F<F’であるという計算書を作って提出したものの,この方法だと非現実的な力でブレーキペダルを踏まないとF<F’とはならないと発覚したため,改造前後の制動停止距離を算出して比較する方法としました.
こっちはこっちで制動初速度や踏力〇〇kgのとき制動力〇〇kgといったデータが載っているガチの諸元表が必要になってきますが…
⑫ 駐車制動能力検討書
リアブレーキの改造なので駐車ブレーキの能力も検討しないといけません.1/5勾配で車を止められるかという検討です.
式に数値を当てはめるだけで簡単ですが,ここでも操作力〇〇kgのとき制動力〇〇kgというガチの諸元表のデータが必要になってきます.
⑬ 強度検討省略理由書(制動装置)
純正ブレーキの流用なのでブレーキ自体の強度は検討しなくても大丈夫という内容です.
これらの書類を初見で作れるわけないので,まずは改造申請のいろんなブログを参考にとりあえず作ってみて軽検協に提出します.とはいえサービスマニュアルは持っていないと書くのは難しいと思います.
検査員の方が担当としてついてくださるので,提出して指摘してもらって修正して提出ということを繰り返します.約1ヶ月週1で軽検協に通いました.
担当の方にとっては普段の仕事に加えてこんなややこしくてめんどくさい業務がプラスされるのですから,キレてもしょうがないはずなのに懇切丁寧に対応してくださいます.
強度や能力の検討の仕方は何通りかあるので,この方法が良いですよと提案してくれます.
大学で設計製図の授業を受けていたおかげで検討書はそれっぽく書けました.常時脳内でY先生やM先生がちらついていましたが…
書類が出来上がって3週間ほどで実車を確認するから車検場に持ってきてと連絡が来ます.今回はナンバーが切れていたので同時に中古車の新規検査を受け,4名乗りから2名乗りの変更もして無事にナンバーが付きました.
やったぜ!
設計製図の授業と同じで,諦めずに提出・修正を繰り返していればいつかはできる印象を受けましたが,なんせ時間がかかります.申請に着手してからトータルで2ヶ月かかりました.
時間のある今のうちにできてよかったです.
池田
大事なことを忘れていました。
車を買ってきて名義が自分ではないときに改造の作業をしてしまうと、素人が他人名義の車をいじったとして申請がすんなり通らない可能性がある(自動車ユーザーは自己の責任において、適時自主的に点検整備を行う必要がある?ので自分名義の車を自分でいじるのはセーフらしい)みたいなので、まずは名義を自分にしないといけません。
軽は車検切れでも名変できるので楽ですね。