EP91 スターレット C56ミッション降ろし
これは、EP91 スターレットのミッション降ろしの記事です。
いえ、記事のはずでした…。
手順を細かく描写することに凝り始め、書き始めてはや一ヶ月。
さらっと「ミッション降ろしました、疲れました」ぐらいのを書いてしまえばよいものを、ただの記事がいつの間にか細かい作業記録に(・_・;)
それなら、「いっそのこと限界まで書こう」と言うことで、この記録を作りました。
順に説明します。僕なのか他の人なのかは分かりませんが、部でいずれ必ず誰かが91のミッションを降ろすことになると思うので、反芻しつつ可能な限り詳しく書いていきたいと思います。
それと、ただでさえ作業精度の悪い僕の記録なので、間違っているところがないとは言い切れません。危険も伴う作業なので、実行は自己責任でお願いします。間違っていたらすみません(ー ー;) ご一報頂ければ訂正します。
準備するもの
<服装>
・汚れてもいい服
・作業用グローブ
<工具>
・油圧式ジャッキ
・パンタジャッキ
・ウマ(2本でいい)
・工具セット一式(後述)
・金物用の袋
・タイロッドエンドプーラー
・30mm ディープソケット
<ケミカル>
・パーツクリーナー
・ラスペネ(クレ556でも可)
<その他>
・オイルバット
・ダンボール
・ウエス(雑誌を千切ったものでも可)
大まかな手順
1. タイヤを外し馬をかける
2. ミッションオイルを抜く
3. エアクリとバッテリーを外す
4. ナックルとドライブシャフトを分離
5. ナックルとロアアームを分離
6. ナックルとタイロッドエンドを分離
7. ミッションからドライブシャフトを外す
8. ミッションについた各種配線を外す
9. エンジンにパンタグラフジャッキをかける
10. ミッション⇔エンジン結合部のボルトを全て外す
11. 車体側のマウントのボルトを取る
12. 車体左側のマウントのボルトを取る
13. ミッション下側に潜ってゆさぶる
14. 落ちてきたミッションを受け止め車体左側にゆっくり降ろす
■準備について補足■
まず、ビニール袋でも何でもいいので、外したネジやナットを放り込む袋を用意して下さい。
大規模な作業をする際は、しょっちゅう金物類を紛失します。これは、本当に大切です(T_T) 特に、ミッションに属するような長いボルトは無くすと作業どころではなくなります。
工具については、ホームセンターで買えるような工具セット:ソケット、ディープソケット、スピンナー、ラチェット、メガネレンチ、コンビレンチ、ラジオペンチ、ドライバー、ハンマー、エクステンションバー(ショート/ミドル)で基本的にどこも外せます。安物ではなく、メーカー物が望ましいですが。
例外として、
タイロッドエンドプーラーと
30mmのディープソケットが必要なところもあります。あとは、各自あると便利なものを用意してください。
服装は、気温に限らずツナギまたは長袖長ズボンがベスト。作業用グローブはホームセンターに売っている滑り止め付きの厚いものが良いです。軍手はすぐよれる上、ミッションを支える時とても痛かったです(;_;)
また、手伝ってくれる人が1人、できれば2人いるとスムーズに事が進みますね。
1. タイヤを外し馬をかける
ジャッキアップする時は、ウマで言えばだいたい二つ目の穴の高さが楽です。
外したタイヤは車体の下に置いておくと、車が落ちてきた時の保険になります。また、ホイールナットは袋にしまっておくか、車の中に入れておくと失くさないです。
2. ミッションオイルを抜く
ドレインボルトから抜いて下さい。忘れると、ドライブシャフトを抜くときに服一式をダメにします。(ダメにしました…)
3. エアクリとバッテリーを外す
普通に邪魔です。セルモーターの配線を外す際火花が飛ぶので、早めに外すこと。
4. ナックルとドライブシャフトを分離
最初の難関です。
まず、ミッションからドライブシャフトを抜かなければミッション単体は降りません(エンジンごと下ろせば抜かずにおろせます)。なので、そのドライブシャフトを抜くために、足回りをシャフトの末端部分から分離、解放しなければいけません。そのための下準備に取り掛かります。
はじめに、ドライブシャフトの末端についた割りピンをペンチで外し、ロックワッシャー(ビール瓶の蓋のようなキャップ)を抜きます。下図参照。
次に、誰かに頼んでブレーキを踏んでもらいつつ、ドライブシャフトナットに30mmのソケットを差し込み、なめないように"慎重に"トルクをかけてスピンナーを回していきます。
普通は相当硬いです。僕の場合、脚の力を使い、スクワットの要領で立ち上がるようにトルクをかけて何とか外れました。
もし固着して回らなければ、ラスペネをブレーキローターにかからないよう吹きかけて放置します。
ナットが無事外れれば成功です。
5. ナックルとタイロッドエンドを分離
タイロッドエンドを外します。ここで、タイロッドエンドプーラーを使用。

プーラーのボルト部分をラチェットで回して、タイロッドエンドをナックルから外します。プーラーを差す時にタイロッドエンドブーツを傷つけないよう注意。
プーラーがなくても外れることもありますが、大抵は固着しているので大人しく使った方が楽です。
5. ナックルとロアアームを分離
下部のナット2本とボルトを外します。ロアアームが中々離れてくれない時は、アームを足で踏みつけつつ、ジョイントを上に引っ張れば外れます。
7. ミッションからドライブシャフトを外す
第二の難関。
ミッションオイルを抜いたことを確認してから、トランスミッションからドライブシャフトを外します。
ここも固着しやすい場所で、長年外していない車両は機械を使わないと外れないこともあるそうです。今回は勿論人力で外します。
まず最初に、ドライブシャフトは可動部より外側を引っ張ると構造上脱臼します。脱臼するとまた別の問題が発生するので、扱いは気をつけてください。
ドライブシャフトを外すコツは、何度も小さな衝撃を加えるよりも、一度に大きな衝撃を加えることに重きをおく事です。(先輩の受け売りです)
ドライブシャフトの根元にバールを挿入して抉り、それでも開かなければ、エクステを根元の膨らみの部分に当ててハンマーで叩いて下さい。後は根性です。
ミッションの型式によっては、片方のドライブシャフトを外せば、もう片方が外した穴から露出しているものもあります。その場合、長いエクステを貫通させてハンマーで叩けば簡単に外れます。ちなみに、僕が外したC56(LSD無し)は非貫通タイプでした。また、C52は貫通タイプのようです。
8. ミッションについた各種配線を外す
リストアップします。
・アース2本(太い線、細い線)
・シフトリンケージワイヤ2本
・スピードメーターの配線
・タコメーターのソケット
・オペレーティングシリンダー(所謂オペチン)
・セルモーター用配線2本
もしここにない配線が見落としや型の違いであったとしても責任は持てませんm(_ _)m
最後は自分でも十分確認した上で、ミッションを降ろしてください。
9. エンジンにパンタグラフジャッキをかける
パンタジャッキを伸ばし、オイルパンに当てておきます。
理由は、手順11・12で3箇所あるうちの2箇所のマウントを外すと、支点が1つになってしまい、残ったマウントに倍以上の負荷がかかってしまうためです。
また、オイルパン保護のためにもダンボールや布など、柔らかいものをジャッキとオイルパンの間に被せておくとベターです。
手順11の段階までにかけておけば、特に問題はありません。
10. ミッション⇔エンジン結合部のボルトを全て外す
・エンジンのヘッドとミッションの隙間
・車体前側上部
・車体前側下部
・セルモーターを留めるボルトの下辺り
・ミッションのカバー(薄い鉄板)×3
型式による微妙な違いがあるかもしれません。
11. 車体側のマウントのボルトを取る
運転席側の地面に近い所に、乳首を表裏張り合わせたような形のマウントがあります。それを串刺しにするようにボルトが1本留まっているので、これを抜いてください。
ミッションの重みでなかなか抜けない場合は、ジャッキでちょっとだけミッションを浮かせると楽に抜けます。
なお、この時点で、エンジンにパンタジャッキがかかっていることを確認しておいて下さい。最悪、エンジン側のマウントが千切れて、エンジンの下敷きになります。
12. 車体左側のマウントのボルトを取る
車体左側下部にマウントがあります。2本のボルトがあるので抜いてください。
抜くと、ミッションががくんと頭をもたげてきます。この時点で、このミッションは車体から外すことができる状態になりました。
13. ミッション下側に潜ってゆさぶる
最後の難関です。
ミッションとエンジンの間には、ダウエルピンという筒型のピンが埋め込まれていて、全てのボルトを外しても落ちてこないようになっています。かなり渋めにはめ込まれているピンなので、そう簡単には外れません。そこで、揺さぶって徐々に外して行きます。
また、ミッションは見た目どおりの重量物で、50~60kgほどあります。落ちてくると当然危険なので、頭だけはミッションの真下に置かないようにしてください。また、降ろしている途中で身体をミッションから離さないようにしてください。
以上を踏まえた上で、ミッション降ろしの手順を説明します。
まず、ミッションの下に、車の進行方向側に足を向けて仰向けになってください。
次に、いきなり落ちてこないように、首と足を使って「腹」を持ち上げ、ミッション底部に密着させましょう。両手は腹辺りに置いて、ミッションを支えます。こうすることで、ミッションが落ちてきた時は腹と手で抱くように降ろせます。所謂”腹ジャッキ”の体勢です。
次に、腰と手を使って、ひたすら上下左右に揺らしてください。
ミッションがエンジンから離れ、「がくっ」といきなり下がってきた時は、もう既にスプラインがエンジンから抜けている状態です。そのまま左側に揺さぶってください。
ミッションは、想像以上にしっかり埋まっているため、中々外れません。もし、どれだけ揺さぶってもエンジンとの隙間が開かない場合は、ボルトの外し忘れを疑ってください。逆に、少しでも隙間があればボルトはすべて外れています。
追記:ミッションは思ったより刺々しい形をしていて痛いので、服の下に一枚段ボールを入れておくと楽です。なくても別に降ろせます。
14. 落ちてきたミッションを受け止め、車体左側にゆっくり降ろす
ミッションがスプラインから外れたら成功です。
ゆっくり降ろして、地面に慎重に置いてあげて下さい。
クラッチカバーが露出します。
お疲れ様でした。
これで説明は以上です。
載せるときは、概ね降ろす時の逆の手順で出来るかと思います。スプラインの挿入と、マウントの位置合わせが難しいだけで、あとは降ろすより楽でした。
最後に、これは6月8日に書き始めた記事です。エタるかと思いましたが、なんとか書き上げました。
夏休みのうちに、もっとわかりやすいようにイラストなど追加したいと思います。また、なるべく近いうちに僕個人のミッション降ろしの記事を別で書きたいと思います。
以上です。
参考になれば幸いです。
テルキナ