
今年も,この時期がやってきました。
文化祭の催しものの一つとして,毎年行っているのが,ペーパークラフト。
本来は,大きな展示物でお客様の目を引き,作ってみようコーナーで楽しんでもらおうとしていた時期もありましたが,
「大きな展示物」
の制作・製作にかかる手間と時間がメインになります。
今年は,体験コーナーは一切なしにして,この展示物に専念することにしました。
(なお,文中では「制作」ではなく「製作」で統一しますのでご了承ください)
ところで,昨年の作品は,これ。




無謀にも,実物大のランボルギーニ・カウンタックをダンボールで製作しようとしたのですが,時間切れでこの完成度で展示せざるを得ませんでした。
とっても頑張ったんですが・・・・。
これを作るきっかけとなったのは,皆さんご存じのこちら。




宮城県は女川に展示されています,今野梱包社製の本家「ダンボルギーニ」です。
その完成度の高さと,これを製作した社長の熱き思いにすっかり心打たれたこともあり,さすがにこれには及ばなくとも,挑んだのが去年。
だから,今年も,同じものにチャレンジしようと思い立ちました。
もちろん,
完成度は昨年同様ではいけません。
さあ,自分自身を追い込みました(笑)
夏休み中に,ある程度進めるつもりでいたのですが,
予定外の事態が,ここ仙台をはじめ,東日本に起きていました。
それは,
「全く晴れない」「雨の日が続く」こと。
特に仙台では,36日間連続の降雨を記録するという異常事態。
学校では夏休みに突入し,そしてちょうど1ヶ月後に夏休みが終わったにも関わらず,ほとんど晴れませんでした。
それが,ペーパークラフトに影響するのです。

湿気です。
上記はまだ良い方で,日によっては廊下が結露したりということもありました。
ですから,なるべく天候が回復してから作業を開始したかったのですが,なんと夏休みが終わってしまった。
さあどうする。
そこで,ダンボールではなく,
プラダン(プラスチックダンボール)を使っての骨組み作りを行うことにしました。

カウンタックを意識して,赤いプラダンと,白いプラダン(いずれも90cm×90cm)を調達。

それをカットし,長さ90cmの棒材として,布ガムテープで組んでいきます。

設計図は,今回も作りませんでした。何度も何度もカウンタックの本やイラストと見比べながら,多少のラインや長さを調節していきます。
ベースとなるのが,床部分の赤い格子部分。1辺90cm,幅10cmなのを利用して,モノサシとして寸法を見ながら作り上げます。

ただ,これだけで
「あ,カウンタックだ」と当てられる人はいません(笑)
それどころか,クルマだと気づく人もいないでしょうね。
これが,作業1日目です。
そして2日目以降。
作業が本格化します。

赤は柱の部分,白はボディラインというのが次第になじんできました。

カウンタックの顔にあたる部分も,このように次第に再現しつつあります。

そして,もう半分のボディも,製作スタッフの手によって急ピッチで作られます。
要するに私の手でボディ半分を作り,それを見てスタッフがもう半分をコピーするように作るという作業になります。
ですから,お手本となるべき左ボディに手抜きは許されません。
同時に,複雑すぎてもいけません。
そして,3・4日目。

ようやく,屋根の部分まで見えてきました。

全長は4mちょっとになるようにしてあります。
もちろん,本物サイズになるには4.14mにする必要がありますが,今回はラインの再現を優先しました。本物らしくない原寸なら,意味がないという割り切りです。

リヤから見たところ。そろそろ,カウンタックらしい様子が見えてきました。

そろそろ,ラインだけでなく,強度を持った骨格にする必要がありました。
天気はようやく晴れ間も出るようになったので,いよいよダンボール投入です。

本当のカウンタックは,芸術品かと思うほどの複雑なパイプフレームが主です。
昨年は,その考え方で作りました。

しかし軽く強度を出すなら,バスタブ構造やモノコック構造が有利ですので,市販のダンボール(120,130,140)をそのまま箱に近い形で並べ,赤い柱部分と接合することにしました。

接合といっても,
すべて布ガムテープのみでくっつけています。
解体時の簡単さも考えると,接着剤は使えません。
しかし,ガムテープは見映えが悪い。
せめて何とかしようと,赤いガムテープを使うことで,少しでも見映えを整えます。
例のガルウイング・・・・もとい,正式にはシザースドア(シザードアとも)らしいですが,そのラインも再現しつつあります。
この3日間で,かなり形になってきたのは好材料です。
ところで,昨年もそうですが,この車体は,いつでも
4分割できるように作っています。

右前,左前,右後ろ,左後ろ,に分かれています。
これは,運ぶときに必要なことです。
実物大だと,幅2m,全長4mちょい,という巨大なものになりますので,建物の中を移動させるのは困難です。もっとも困難なのが,廊下から教室に入れるとき。そして,できれば階段を運べるサイズにしたい。そのための措置です。分割してしまえば,全長2m,幅1m程度ですので,何とかなるというわけです。
そして,4・5日目になります。
いよいよ,骨格から肉付けされていきます。

ボディラインの修正と構造の補強に時間をかけたおかげで,パネル部分のダンボールを載せてもゆがみはあまり出ません。ここが昨年との決定的な違い。

それでも,大仕事なので作業中は散らかし放題です(笑)
タイヤ部分も,サンプルに2つ,直径60cmで作ってみました。

本当は前後異径なのですが,作業の効率化もあり,いわゆる手抜きになってしまいました。
昨年は,サイズだけは再現したのですが,このように円筒形でした。

今年は,もう少し立体になるよう工夫します。
このタイヤを作るのには,通常のダンボールでは困難です。
そこで,
「巻きダンボール」を使います。
これは軽量で安く,非常に使い勝手が良いのですが,充分な量が入手できず,タイヤもリヤタイヤの作り込みが最後までできなかったのが悔やまれます。

心配された背中のラインは,なかなかの出来です。
昨年のこの画像と比べると,.劇的に改善しています。
次回,いよいよ展示前日・当日編です。