恭介の同級生『
竹嶋 由布子』のイメージ画像。
まあ、こんな感じの娘と思って下さい。w
第3章 蒼天の剣 4
「何、この門構えのデカさは!?」
劉太源氏の邸宅に到着した恭介達だったが、その門構えからしてその大きさに度肝を
抜かれる事となる。
「いえ、中国では私の家よりも大きい邸宅はたくさんあります。」
そう教えてくれる劉氏。
ちょっと待て、中国のお金持ちはどんだけデカイ家を建ててるんだ!?
そんな気持ちを持ちながら、大きな門をくぐり、邸宅の中に入っていく。
当然、門から家がすぐ見える訳が無く、しばらしクルマで走って初めて邸宅が見えてくる。
「あれが、我が家です。」
劉氏が指を指して邸宅を教えてくれる。
集合住宅の中で1軒の家を教えてくれるレベルじゃなく、どうみても超デカイ家をわざわざ
教えてくれた感じだ。(爆
まあ、これ以上は愚痴っても虚しくなるだけなので、もうツッコまない事にした。
家の正門にマイバッハが停まると、数人のおかかえメイドが並んで主人を待ち構える。
「おかえりなさいませ、ご主人様。」
お~、メイド衣装はうちの魔耶で見慣れたと思ったが、これはまた別の趣があって…。
ぎゅ~っ!
「痛った~!?」
横にいる魔耶が恭介の腰の辺りを思いっきりつねる。
「何すんだ?」
「何メイド姿を凝視してるんですか!?」
「!?」
恭介の目線が劉氏のメイドに移っていたのを察知したのだろう。
魔耶にはお見通りってトコか。w
それにしても、魔耶とはまた違ったイメージを思わせる劉氏の所のメイド達であった。
「今日は客人をお連れしている。粗相のないように。」
「かしこまりました、ご主人様。」
そう言ってメイド達は恭介と魔耶を見る。
劉氏のメイド達は、当然魔耶のメイド姿にを凝視する。
だが、魔耶は何も言わず劉氏の後に着いていくように屋敷の中に歩いていく。
中に入ると、当然だだっ広い玄関と思われる空間がある。
まさに、世に言うお金持ちの豪邸がそこにあった。
その後、食事の部屋へと案内され夕食の時間を迎える。
「こちらでございます。」
視線が冷たいメイドの案内と共に食事をする部屋にやってくる。
「うわ~…。」
40畳はありそうな部屋に20人は座れそうな長テーブルがあり、主の劉氏は当然上座に。
恭介らはそこから離れた横の方に案内され座る事となる。
10mは離れてると思うが、会話が成立するのか?という不安があったが、それは杞憂であった。
周りが静かなので、意外と声がしっかりと聞こえる。
「では、食事をお持ちしてくれ。」
「はい、ご主人様。」
劉氏の一言で夕食が運び込まれる。
そして、全部揃った所で劉氏が言う。
「では、遠慮なく食べてくれ。」
笑顔で言う劉氏。恭介や魔耶の前には大量の料理がずらっと並んでいる。
「ま、満漢全席なんだろうか?」
横にいる魔耶の小声で尋ねる恭介。
「私がわかる訳ありませんよ。」
「…まあ、そりゃそうだな。」
魔耶に尋ねても分かる訳が無く、劉氏が食事に入ったので、恭介達も食事に入ろうかとした時、
部屋をモックする音が。
コンコン
「入りなさい。」
劉氏がそう言うと、1人の女性が入ってきた。
(お~、まさにお嬢様って感じだな)
部屋に入ってきた女性は、豪華なドレスを身に纏い、劉氏に近い斜め横にすっと座る。
「紹介が遅れたが…。」
そう言うと、劉氏はその女性を手で合図して立たせる。
「初めまして。私、
劉 小麗(リュウ シャオリー)と申します。以後、お見知りおきを。」
何と流暢な日本語で恭介に挨拶をしてくれる。
「劉支社長、こちらの女性は上手に日本語をお話されますね。」
「ああ、私自身日本にも出向く事があるので、娘にも学ばせておいたので、な。」
「あ、そうですか…って、娘!?」
「ああ、小麗は私の娘だ。」
「はぁ…」
そういえば、劉氏には子供が男女それぞれ1人ずつ子供がいると言ってたな。
って事はその1人が彼女って事か、と理解する。
小麗さんを見ながらそんな事を考えていた恭介だったが、その様子を快く思わない人物が1人。w
「…(怒。」
ガツン!
テーブルの下で魔耶が恭介の足を思いっきり踏む!
「イタ~っ、何すんだ魔耶!」
思わず大声を出す恭介。
「どうかなさいましたか?」
「い、いえ、失礼しました。お気になさらずに。」
小麗さんには丁寧に言うが、その直後魔耶を睨もうとする。が、魔耶も恭介を睨んでいた。
「何、怒ってるんだよ?」
「怒ってなんかいません。」
「じゃ、何で俺の足、踏むんだよ?」
「たまたまそこに足があっただけです。」
「何だよ、意味わかんねぇよ。」
「いちいち目くじら立てないで。」
「そっちが勝手に怒ってるんだろうが。」
「请安静(静かにしなさい)!」
恭介と魔耶が口げんかになりかけた時、小麗さんが中国語で2人を制止する。
「食事は静かにゆっくり食べましょう。」
それだけ言って、無言で夕食に手を付け始める。
劉氏は笑いながら、引き続き食事に入る。
恭介も、バツの悪そうな様子で食事に入る。
魔耶も無言で食事に入る。こめかみ辺りに怒りマークを付けながら。w
劉氏の食卓は食べ終わるまでは無言なのが流儀だそうだ。
食べ始めて30分もすると概ね食べ終わった感じになる。やがて、劉氏が口を開く。
「三千里君。」
「はっ。」
劉氏が真剣なまなざしで恭介を見ながら話をしてくる。
「うちの娘をどう思う?」
「ど、どう思うって…」
この場合どう言った方が良いのか?と考えていると、勝手に劉氏は話を続ける。
「良く出来た娘だと思うのだ。」
「は、はぁ、そうですね。」
「…。」
ニコニコしながら話す劉氏に対して、当人の小麗さんは平然としている。
「何かあったら、娘にも尋ねるといい。」
「はぁ、ありがとうございます。」
「小麗。」
「…。」
小麗さんは無反応だ。
「
小麗!」
強い口調で呼ぶと、しぶしぶ答える小麗。
「…何でしょうか、お父様。」
「お前はお客様がいる前なのにちゃんと返事をせんか。」
「今、返事したでしょ。」
「親に対して何ていう口の聞き方だ!」
「親らしい事もしないで、良く言えたもんだわ。」
「这个父母不幸也(この、親不孝者が)!?」
今度は劉氏と娘・小麗さんとの口げんかが始めるが、両人ともエスカレートした為、中国語で
口げんかをするものだから、恭介には何を言ってるかはさっぱりわからない。
やがて、劉氏の手が出そうになった時、
ガッシャーン!
部屋中にお皿の割れる音がこだまし、皆の注目がそこに集中する。
「对不起(申し訳ありません)。」
劉氏の雇うメイドの1人が恭介のお皿をうっかり落としてしまったのだ。
「你做着什么(お前はなにをしているんだ)。」
劉氏がそのメイドに怒りをぶつけようとするが、そこの恭介が割って入る。
「すみません、劉大氏。私が持っていた皿を手を滑らし落としたのを何とか受け止めようとした
メイドさんが受け切れず、見た感じがこのメイドさんが落としたように見えてしまっただけです。」
「そ、そうですか。」
劉氏の怒りが若干収まる。
「どうやら、疲れが出てしまったようです。これ以上は劉大志に失礼になるので、この辺りで
席を立たせていただきます。
「旅の疲れが出たのでしょう。では、ここらで食事を終わるといたしましょう。」
そう言うと、劉氏はお抱えのメイドに恭介らに部屋を案内するように言うと、そのまま退席する。
「行ってしまいましたね。」
魔耶がボソッと言う。
「全く、自分勝手な人だ事。」
そうぼやきながら劉氏が退席して間もなく小麗さんも部屋を退席する。
その光景を見て唖然とする恭介と魔耶。
「いつもああなんだろうか、あの2人は?」
「さあ。でも、そんなトコでしょうね。」
「…。」
「…どうしました、恭介様?」
「さっきはすまなかった。」
「何がでしょう?」
「あ、まあ気を付けるよ。」
「…はい。♥」
魔耶は怒らせると大変だ、と改めて思う恭介であった。(爆
そして、恭介と魔耶は別々の部屋に案内される。
一応、男女と言う事で部屋を分けさせられた。w
1人になった恭介は、ベットに横たわりボ~ッとする。
「はぁ、疲れたなぁ。」
そして、今日の出来事を思い出す。
朝、学校に休む旨の連絡を入れ、速攻で羽田空港に行き、JALで北京に向かう。
その後、北京からI・S・A・M中国支社に行こうとレンタカーを借りて大失敗だった事も思い出す。
死者に到着し、なぜか劉氏の邸宅に行く羽目になり、来たは良いが親子喧嘩に巻き込まれる。
「明日は、上海かぁ。」
そう、劉氏の息子が勝手に持ち出した『青龍偃月刀』を探さなければならない。
おそらくW・S・Cの支部にあるだろうと言う。いきなり支部に行く事は自殺行為なので
何かしら対策を考えねばなるまい。
じゃ、どうする?
「…。」
何も考えが浮かばない。なんとなく、寂しさを思えたと同時に脳裏に1人の女性が浮かぶ。
「都歌沙、何してるんだろう?」
そう思うと、電話でもしてみようか?と考える。そして、携帯電話に手を伸ばし携帯を見る。
「…、電池切れてる。(爆」
そう、充電が切れていたのだ。
「もしかして、電話してくれてたかもしれない。」
そう考えた恭介だが、同時にその状況だと電話に出れなかった状態でもあるのだ。
「やばい、もし連絡してくれてたらどう言えばいいんだ?」
そう考える恭介。
最も、この時、恭介は日本で都歌沙が次田女史のいる寺院まで電話してる事は知らない。
「うわ~、マジでやっば~!?」
思わずひとりごとで叫ぶ恭介であった。w
-つづく-