
『新しいエンジンはエンジンオイルと同時に開発される』という話を聞くことがあります。
ところが、RENAULTの “0.9 TCe” 及び “1.2 TCe” については、この話はあてはまらないような気がしています。
他社ではどうなのでしょうか?
そこで、この話の信憑性を確かめるために、代表的な欧州各社の過給ダウンサイジングエンジン(ここではガソリンエンジンに限定)と対応する認証規格、指定オイル名等について調べてみました。
ヒントになりそうなのは “
SAE粘度” と “
ACEA規格” です。
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VW 1.2L TSI
VW 504 00 / 507 00
Castrol EDGE Professional LongLife III
5W-30 (
ACEA: C3)
VWの規格は統廃合があり複雑なので、私にとっては未知の世界でした。“VW 504 00 / 507 00” だけで現行車種はすべて対応できるようですね。また、指定オイルはCastorol社のハイエンドプロダクト(“Fluid Strength Technology” を採用した全合成油)です。
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Fiat TwinAir
FIAT 9.55535 S2 C.T.R.N° F603.C07
SELENIA K PURE ENERGY
5W-40 (
ACEA: C3)
Fiatについては情報が少なく、これ以上のことはわかりません。
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Ford 1.0L EcoBoost
Ford WSS-M2C948-B
Castrol Magnatec Professional E
5W-20 (
ACEA: -)
Fordの指定オイルが5W-20であることは特筆するに値します。欧州車向けオイルではこれまで採用がなかった粘度です。まさにエンジンとその専用オイルが一体に開発されたような気がします。ただし、ACEA規格は未取得です。また、このオイルはCastrol社のハイエンドプロダクトではありません。“Magnatec” なので部分合成油です。
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RENAULT 0.9 TCe & 1.2 TCe
RENAULT RN0710 / RN0700
ELF EVOLUTION RN-TECH
5W-40 (
ACEA: A3/B4)
RENAULTについては省略します(ご興味がある方は私の他の記事を参照ください)。
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PSA PureTech 1.2
PSA B71 2312
TOTAL QUARTZ INEO FIRST
0W30 (
ACEA: C1, C2)
PSAの新エンジン
と指定オイル(TOTALの新製品かつハイエンドのプロダクト)はほぼ同じ時期に市場に出てきたようですね は、2012年10月29日に生産ラインが新設されたようです。指定オイルとされている “TOTAL QUARTZ INEO FIRST 0W30” は、2012年8月13日付けトタルジャパンのブログで新製品リリースニュースとして紹介されています。また、このオイルは省燃費(Fuel Economy)を重視している製品のようです。
う〜〜〜ん・・・。私の浅薄な憶測ではFordとPSAは『エンジンとエンジンオイルが同時に開発』されたような気がします。いかがでしょうか?
さて、疑問に思うのは、5社中3社が
ACEA規格は
Cシーケンスであるのに対して、RENAULTだけが
ACEA規格は
Aシーケンスである点です(上記のFord指定オイルは
ACEA規格は未取得)。
RENAULTには
ACEA規格の
Cシーケンスに対応する認証規格として、RN0720 がありますが、こちらはDPF付きのディーゼルターボ専用とされています。
他社が
ACEA規格の
Cシーケンスの認証オイルをガソリンエンジンにも指定しているのに対して、RENAULTだけが異なるのはなぜか? ご存知の方がいらしたらご教示ください。
尚、自動車用エンジンオイルの “
SAE粘度分類”、“
ACEAのエンジンオイル品質分類” 等については、“
JX日鉱日石エネルギー 石油便覧” がオススメです。
石油便覧 > 第5編 > 第2章 > 第2節 自動車用潤滑油
※ ■ PSA PureTech 1.2 についての記述を変更追記しました(2015/10/13 9:42)。
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Posted at
2015/10/12 22:08:45