
新たな“ゆるキャラ”ではありません。
正しくは、“ETAポン”でしょうか?
ETAの正式名称は、
エタ・エス・アー・マニュファクテュール・オルロジェール・スイス
(ETA SA Manufacture Horlogère Suisse )
で、スイスの機械式・クォーツ式双方の時計ムーブメントを製造している企業です。
そのETA社の機械式ムーヴメントを買って来て、ケースに
“ポンと乗せて”自社製品として販売しているメーカーを揶揄した言葉です。
乗せにも種類があって
“純粋なエタポン”と、仕上げや調整はキッチリした
“ほぼエタポン”から、パーツ単位で仕入れて磨きを加えたり独自の調整を加えたりして乗せている
“エタ改”メーカーまで様々です。
後者はIWCやブライトリングなど高級ブランドで、その他30万円以下の機械式時計はほぼ前者と言われていました。
ところがここ数年で情勢が変わってきました。
多くのメーカーが「自社の新ムーブメント搭載」とアピールしだしました。
それと共に価格も上昇しだしました。
『ETA社の2010年問題』
「2010年を持ってETA社の半完成品(エボーシュ)はスウォッチ・グループ外への供給は終了する」
※ 公的機関の仲裁により当初の2006年から4年先送りで決着
さぁ、大変です。
スイス国内にはエタ以外にエボーシュを供給できる企業は2社しか存在しませんでしたから・・・・
結果、スウォッチの下請け企業だったセリタ社製のムーブメント
(ETA社の特許切れムーブメント改)を採用したメーカーと、自社製ムーブメントを開発できたメーカーに二分されることになりました。
セリタムーブメントはいわゆるETAのジェネリック製品なのでそれなり(仕上げや調整が雑との評判もあるようですが?)とは思いますが、急遽間に合わせで開発された自社製ムーブメント、信頼性はどうなんでしょうかね?
要らぬお節介ですが・・・・・
いずれにしても、開発費が上乗せされた新ムーブメント搭載製品、大量生産で安価に提供されていたETA社製とは異なるセリタ社製、価格の高騰は避けられないでしょうね!
ETA社製も供給量は少ないながらもグループ外への流通はしているようですが値上がりが激しいようです。
※ 制限品は半完成品(エボーシュ)や部品納入で、完成品の制限は無いらしいですが・・・
先に購入報告した
TISSOT Luxury Automatic は、新キャリバー
POWERMATIC80の第一弾搭載機種で79,800円~でした。 搭載第二弾は2014年度の新製品で従来から有ったPRC200にPOWERMATIC80を搭載したもので66,150円~の値付けとさらに安い機種が発売されてます。
従来通り格安で入手ができるスウォッチ・グループの各社と、グループ外会社との販売価格の二極化は今後も避けられないでしょうね!
ちなみに第二弾には
クロノメーター仕様が存在しないようでちょっと安堵しています。
さて、話を戻します。
ここまで述べてきた認識では合致しない出来事が発生しました。
ARCA FUTURA (アルカフトゥーラ) ブランドから2010年末
『 Old Bond Street 』シリーズが発売されました。(発表だけで実際は翌年?)
スイスメイドの時計でシンプルなクラシックスタイル、ダイヤル色とストラップ違いで数種類存在しましたが、
何と、
ムーブメントはETA2824‐2 が搭載されていました。
2824‐2はノーマルな3針用のムーブメントとですが、長い実績があり安価で高性能の評価を受けており、調整もし易いようでクロノメーター製品も存在しています。
安価な Oris 製品だけでなく、TAG HEUER や BREITlING のブランド製品にも搭載されています。
そして、驚くべきはその価格で、
レザーベルト版が 38,000円(税込39,900円)
スチールベルト版が 41,000円(税込43,050円)
と、スウォッチ・グループ会社の製品よりはるかに安価な設定!
ARCA FUTURAは、日本国内で
ORIS や
epos や
JUNGHANS などの輸入販売を行うユーロパッション(株)
(EURO PASSION)のオリジナルブランドとなってるのですが・・・・
どんな裏事情が有るんでしょうかね?
なお、ETA社はメーカーからのオーダーに対し装飾・加工を柔軟に応じていたそうです。
ローターにメーカー銘を入れたり、渦巻き模様を重ね合わせたベラルージュ仕上げやメッキ仕上げなどを加えたり、青や赤のカラーネジを使ったりして見た目を格段にアップさせた高級時計メーカー仕様から、一切装飾に手を加えていない素のものまで・・・・
ARCA FUTURAは
「装飾を省いて低コスト化を実現」と謳っていますので、多分追加装飾の無い素のものだろうと思っていましたがちょっと心配も・・・・・
オーダーは装飾関係の要望だけでなく、精度レベルでの要望にも応えていたようです。
もし、若干価格が上乗せされても「クロノメーター精度で」とのオーダーが通るのであれば、「精度は並以下で良いので安く!」のオーダーも通るのではないかと・・・・
折角の“ETA”でも、「安かろう悪かろう」では失敗ですからね!
さて、現物の写真がこちらです。
こちらは、素の ETA2824‐2 ムーブメントの参考写真です。
どうやら同じもののようです。
中華ETA(?)の可能性も捨てきれていませんでしたのでちょっと安心しました。
左下はシースルーバックでも普段は見ることができない日付ダイヤルです。
右下はブライトリング仕様の ETA2824‐2 です。
装飾が凝っているせいで同じものとは思えませんね!
こちらのTISSOT POWERMATIC80(ETA2824-2改)と比較してみますとローター部分だけでも手の掛け方の違いが鮮明・・・・・
ただ、ちょっとARCA FUTURAの商品コンセプトの筋が通っている様な、いない様な?
裏蓋はシースルーで目一杯“非装飾”ムーブメントを見せつける仕様です。
見せつけ仕様ならもう少し手を加えても・・・・・
このETA搭載モデルは ARCA FUTURA ブランドとしては異端商品です。
というか、初の商品です。
主流は廉価なメカニカルのスケルトンモデルで、

シチズンやミヨタ製8系ムーブメントが搭載されておりどちらかといえば個性的デザインのファッションアイテムとしての時計でした。
それから考えると、ETA2824‐2 と 分かり易い“素のETA2824‐2”をあえてそのまま搭載して見せつけることが目的だったかもしれません。
本格的なムーブメントであるETAの名を利用したブランドアップ戦略と考えれば納得できます!
「ETAを搭載した衝撃価格製品」はブランドに関係なく多大なインパクトを示し、
雑誌にも取り上げられました。
少なくとも一人はその餌食になったのですから・・・・
さて、報告は今回ですが昨年縁が有って入手済でした。
年明け早々購入ラッシュが始まるとは思わず、安価なETAモデル購入するチャンスとばかりに・・・・
(購入発表前でしたので年明け後のブログの各種比較や写真からは意図的に外しておりました)
一応、自己弁明しますと、
「自称“浪費はしても倹約家”が遭遇した、激安製品の衝撃値引き!」とタイトルを付けても良い様な出会いが・・・・
ARCA FUTURA Old Bond Street AFOBS-GY-M

スチールストラップモデル 税込価格 43,050円 が 25,480円!
ETA2824-2搭載としては驚異の定価から、更に4割引き?
セイコーの海外販売モデルである5スポーツの上位機種(ハック機能・手巻き機能無し)と同じ価格帯、国内のメカニカルシリーズ(ハック機能・手巻き機能有り)は買えない金額なんですから歯止めは効きませんよね!?
ところで、二世代位前の古いムーブメントが搭載された5スポーツが海外で販売され続けている理由をご存知ですか?
販売想定先は新興国になるそうです。
同じ価格帯はもとよりもっと安価なクオーツ時計も一杯販売しているのですが、要望が続いているようです。
日本に住んでいると中々ピンとこないんですが、電池の安定供給が無く電池が切れても交換ができないクオーツ時計は長期的な使用には向かない製品で、日々の手間はかかるが使い続けられる機械式時計の要望が高いそうです。
所変われば何とかで、こちらでは“実用の時計”が、あちらでは “趣味の時計”にしかならないんですね!
ちなみに“趣味の時計”用の電池、恵まれたことに我が家にはこんなにあります。

せっせと裏蓋はずして自分で交換していますが、皆さん電池交換如何していますか?
さて、『 Old Bond Street 』と由緒ある名前を付けられたこちらの時計、余分な機能は排除されたシンプルな3針モデル、エレガントな雰囲気のライトグレーの文字盤、ちょうど良い38mm径、と主張しすぎない時計はビジネス使用に最適です。

デザイン的には、三本の針(ハンズ)がもう少し長くてインデックスに届く位置まであれば言うことは何もないのですが・・・・
基本的には満足しています。
クラシカルデザインのモノを一つは欲しいとアンティークモノを物色していた時期ですので、そちらに手を出すよりは安価に収まったのですが、流石にこのところの購入ラッシュ、自分でもやばいと思い始めていますので以後(当分の間)控えることにします。
時計雑誌も(出来るだけ)見ないようにします!
さぁ、明日から3連休!
とは、いかずに久し振りの休日出勤。
「時計代を稼げる」と思えば頑張っていけそうです!