
MAZDA2で120km/h走行を試みてから空気抵抗が気になったので、少し考えてみました。
空気抵抗係数(または空気抗力係数)を初めて知ったのは、その昔に見た初代サバンナRX-7(1978年)のカタログで、Cd=0.36を主張していました。ほかに、3代目コスモ(1981年)の0.32、初代セルシオ(1989年)の0.29、7代目アコード(2002年)の0.26などが記憶にありました。
空気抵抗係数(Cd)に関する式
この分野は素人なのでネット検索すると、Cdに関する式の紹介はいくつも見つかりましたが、ここではWikipediaの
抗力の項を参照します(表記は少し変えてあります)。

自動車の空気抵抗を考えるのであれば、Dは空気抵抗、ρは空気の密度、Vは速度、Sは自動車の前方投影面積であり、Cdが
空気抵抗係数ということになります。
(1/2)ρV^2は
動圧で、「単位体積当たりの流体の運動エネルギーを圧力の単位により表したもの」との説明があり、別のサイトでは「空気の運動エネルギーを表しており」と説明しています。「単位体積当たり運動エネルギーが、圧力の次元になる」とは驚きでしたが、仕事と運動エネルギーの関係(高校物理の世界)を思い出すと、「なるほど、そういうことか!」と思えてきました。
昔から
空気抵抗は速度の2乗に比例すると聞いていましたが、これを上のような考え方に基づいてシンプルな式で記述することとし、形状によって異なる係数Cdは実験で求めるものと理解しました。ことばで表現すると、
自動車の空気抵抗は、(車体そのものの値である)空気抵抗係数Cdと前方投影面積の積に比例し、さらに速度の2乗に比例するということになります。
マイカーのCd値の捜索
GG型アテンザ、MAZDA2(DJ型デミオを含む)とも、カタログ等でCd値への言及はありませんでした。
ネット検索すると、
GH型アテンザに関するマツダ技報の報文の中で、「初代アテンザの空気抵抗係数Cd=
0.30」と言及していました。
DJ型デミオのCd値について、AIツールであるCopilotは0.29と答えますが、直接述べた情報は見つかりません。さらに探してみると、
・
DJ型デミオに関するマツダ技報の報文では、Cd値は示していないものの、Cdと前方投影面積の積はクラストップレベルと主張していること。
・DE型デミオのCdは当初0.32で、途中で登場したSKYACTIVグレードでは0.29に向上したとの情報があったこと。
・初代アクアのCdは0.28との情報があったこと。
を踏まえ、MAZDA2のCdは
0.29あたりなのだろうと推測しました。
いわゆる流線形プロポーションゆえに、Cd値はGG型アテンザスポーツの方が小さいと予想していましたが、意外にもほぼ同じレベルのようでした。
マイカーの前方投影面積の比較
マイカー2台の前方投影面積の比較を考えてみました。複雑な形状の前方投影面積を考察するのは難しいので、幅と高さの単純な積を比べることにしました。
全幅は、GG型アテンザは1780mm、MAZDA2は1695mmです。
高さは、「カタログの全高からアンテナの分を引き、さらに最低地上高分を引いた値」で比べることにすると、それぞれ次の値となりました。
GG型アテンザ:1430mm-135mm=1295mm
MAZDA2:1500mm-140mm=1360mm
これら2つの数値の単純な積を求めると、両車とも2.305㎡となり、違いは誤差の範囲内でした。両車の前方投影面積は、ほぼ同じと見積もることができそうです。
空気抵抗のまとめ
2台のマイカーはサイズ、形状が異なるのに、Cd値、前方投影面積ともほぼ同じと推測され、従って空気抵抗も同程度と思われるのは、ちょっとした驚きでした。
両車のトルクウエイトレシオはほぼ同レベルです。一般道の速度では、MTによってダイレクトなMAZDA2の方が、はるかに軽快に走れます。一方、両車ほぼ同じ回転数(100km/hでは2400rpm)で走行する高速道では、アテンザの方が余裕があるように感じていました。高速走行では空気抵抗が支配的になり、両車は同レベルの空気抵抗を受けることになるので、小さな排気量により駆動トルクが限られるMAZDA2では余裕が少ないのだと理解しました。
日ごろは高速道でも90km/h走行です。120km/hまで上げると速度は4/3倍になり、空気抵抗は16/9=1.78倍と大きく増えます。戦うべき空気抵抗の総量を
車両が空気抵抗に抗して行う(力学的な)仕事として考えれば、やはり1.78倍に増えることになります。空気抵抗との戦いに燃料を追加投入しなければならないので、よほど急ぐ場合以外は120km/h走行は必要ないと思いました。
[本段落は2024.10.1に加筆修正しました]