引き続き
この資料に基づき記載していきます。
○2段階圧力切替によるオイルポンプ制御
要は可変容量オイルポンプを採用しています。
このオイルポンプは特性マップに応じ2 段階の圧力で作動する。
エンジン速度と負荷が低い場合、ポンプは 2 bar の低圧で作動する。
このとき、ピストン冷却用のオイル スプレー ノズルはオフになる(高圧時はオンに変化)。
この制御により、エンジン負荷とエンジン速度に応じた駆動エネルギーでエンジンの潤滑・冷却を供給する。
※ただし、可変容量化するということは従来の定容量機器と比較し部品点数が多くなるので故障率は高くなるという...
○新規開発のクーラント順路と3 段階の熱管理
ウォーターマントルは2ピース構造で、流速と熱放散が増加し、冷却回路全体の圧力損失が大幅に減少したことにより、エンジン出力を向上してもウォーターポンプの出力の低減が可能になった。
また、3段階の冷却水温管理を導入し、適正な温度のすばやく到達するように設計されている。
・エンジン始動時の初期段階:クーラントはエンジン内で循環してない。
(恐らくサーモスタットが閉じている状態)
・ある程度温度が上昇した場合:クーラントがエンジン内を循環
(サーモスタットが開くが、ウォーターポンプのボールバルブが閉じているため、ラジエターへは流れない)
・通常動作で105℃ (高負荷下で 87℃) を超過:ラジエターによる冷却が動作

※これはebayで拾ってきた中古のM270のシリンダーブロックの写真ですが、
普通のオープンデッキでのウォータージャケットの外側に謎の流路が見えますね。
どうやらこれが2ピースのウォーターラインということでしょう。
※確かに賢い制御だとは思います(現に今まで所有した車の中で適正温度に上昇するのが非常に早い)が、
いかんせん部品の信頼性がそれに追いついていないのが惜しい。
さらに前にもさんざん書いたが、冷却水周りの部品の取り回しが悪く、整備性が悪い(信頼性が劣るのなら、せめて整備性を向上してほしい!)
○ダイレクトスタート付ECOスタートストップ機能
全モデルに標準装備されているスタート/ストップ システムは、スターター対応のダイレクト スタートで動作する。
これは、エンジンが停止した際、クランクシャフトの位置を新開発のクランクシャフト センサーによって記録し、
エンジン コントロール ユニットが個々のシリンダーのピストン位置を認識可能になった。
再始動時に、最初の点火に最適な位置にあるシリンダーが選択されて燃料供給される。
スターターがエンジンを短時間回転させた後、理想的な位置にあるシリンダーで信頼性の高い噴射、点火、燃焼が即座に可能になる。
※個人的にはエコストップ/スタートはあまり使わないし、ペンジュラムマウントが劣化するとアイドリングスタート時の縦揺れ振動がデカイので余り意味がないかなぁ。
○転がり軸受採用バランサーシャフト

直列 4 気筒エンジンに固有に発生する二次慣性力は、エンジン ブロックの下部にある 2 つのバランサーシャフトによって打ち消される。
不均衡は、シリンダー ローラー ベアリングによって補償され、ギアリングによる軸方向の力はボール ベアリングによって吸収される。
本配置により、運転の快適性が向上するだけでなく、摩擦が大幅に減少するため、燃料消費量の削減も期待出来る。
コネクティングロッドの構成がより有利であることを考慮し、1.6 リットル バージョンではバランサーシャフトは装備されていない。

具体的には1.6Lの場合はクランクシャフトのカウンターウェイトが1気筒当たり1個。2Lは1気筒当たり2個。
○摩擦ロスの最小化
摩擦ロスの低減のために、オイルポンプとウォーターポンプ、低摩擦ピストン・ピストンリング・シリンダー壁、および新しい熱管理システムとチェーンドライブを採用した。
エンジンとトランスミッションは4点でマウントされている(エンジンマウント・トランスミッションマウント・2個のペンジュラムマウント)。
これらは、最大の騒音快適性を考慮して、高トルク エンジンのバリエーションのニーズに合わせて特別に構成されている。
トランスミッション マウントに組み込まれた油圧ダンパーも、優れた走行快適性に決定的に貢献している。

この写真の一番上がエンジンマウント、左中がミッションマウント、右中がアッパー(エンジン上部)のペンジュラムマウント、そして下がロアー(エンジン下部)のペンジュラムマウントです。
※ボンネットを開けてアッパーのペンジュラムマウントが接続されるエンジンのアルミステーを見ると「過剰設計?」と思われるほどしっかりはしているが、
PowerFlex 取付後のエンジン振動を見ると、走行距離4万km程度でダメになる(ペンジュラムマウントのゴムに元々ある空間が偏る)ぽいので、幾分劣化が激しいような気もする。
(PowerFlex で強化マウント化しているせいもあるが、エアコンON時の前後振動はちょっと大きい。
ただし、PowerFlex 取付の際にエンジンの前後バランスを取って装着されていれば、振動はかなり低減可能だと分かった)。
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M270 | クルマ
Posted at
2022/08/26 20:47:44