
911カレラ3.2のセルモーターのトラブルだが、セルモーターの端子にテスターを当てると12Vが来ている。
イグニッションスイッチをスタートの位置にしてもカチッという音だけがしてセルモーターが回らないのは典型的なセルモーターのマグネットスイッチの故障の症状だ。
とりあえず交換用のセルモーターを手配した。
セルモーターはボッシュの純正品だと定価で10万を超えるので、デンソーのモーターを使用しているという社外品を購入した。
届いたのは中国製で実に怪しい品だが、リダクション方式になっていて軽量・小型である。
交換作業は大変厄介なので、ヤル気にならないが仕方無く911のセルモーターの交換作業を開始した。
バッテリー端子を外し、ミッションのアースケーブルを外す。
リヤのスタビライザーを外し、左右のヒーターダクトを外し、アクセルリンケージを外す。
ミッションリンクのブーツをめくり、ミッションロッドの結合部を外す。
ミッッションにジャッキを当ててミッッションを支えながらミッションを固定しているボルトを外し、ジャッキを緩めて少しずつミッションを15センチほど下げる。
セルモーターのケーブルを外す。
外しにくい裏側のボルトから着手する。
ボルトは全く見えない位置にある。狭い空間から何とかセルモーターの裏側に手を突っ込み10ミリのヘックスレンチを手探りで固定ボルトに当てる。
セルモーターの取り付け穴の間隔より本体の直径の方が大きいので干渉してボルトにレンチを垂直に挿入できない。
ヘックスのソケットだとソケット本体の膨らみがセルモーターの本体と干渉して真っ直ぐヘックスボルトの穴に入らない。
やや斜めにレンチを差し込むと十分挿入できずにナメる恐れもある。
L型のヘックスレンチをカットし、棒状にしてから10ミリのソケットに嵌めて長めのヘックスソケットを作った。
これで何とかレンチを当てたがレンチを回す余裕がなくフレキシブルジョイントやエクステンションを繋いで苦労して回して緩める。
エクステンションやジョイントをたくさん繋ぐと力が逃げて緩めにくい。L型のレンチで回して緩めた方がやりやすいかも。
裏側から緩めて取り外したのはヘックスボルトではなくヘックスナットだった。
ヘックスナットというのは珍しい。
裏側が緩めば表側は簡単に緩められる。
これでセルモーターの取り外しが完了。
準備してあった新品のセルモーターをバッテリーに直結して作動することを確認してから装着する。
小型なので装着も簡単。サクサクと取り付け、端子も繋ぐ。
早速テストしようと車載バッテリーのターミナルを繋ぎ、イグニッションスイッチを入れスタートの位置にするが、カチッというだけの状態に変化無し。エッ?(>_<)
単体で作動することを先ほど確認してから取り付けたのに装着した途端に作動しないので焦る。(>_<)
別のバッテリーを持ってきてバッテリーをセルモーターの端子に直接繋ぐと回る。
ということは原因は、車載バッテリーか、アース不良か? それとも電源ケーブルか?
長めのブースターケーブルを持ってきて車載バッテリーのアースとセルモーターの本体を繋ぐ。変化なし。(>_<)
車載バッテリーのプラスとセルモーターの端子を直接繋ぐと始動。(^_^;)
これで電源ケーブルの異状が原因とわかったが、こんな太い6ミリくらいのケーブルが切れるなんてことはあるのだろうか?
ケーブルのセルモーター側の端を見るが端子をカシメてあり、ハンダ付けされている。
ケーブルのバッテリー側は鉛のバッテリーターミナルがカシメてあるだけで、ここが怪しい。
テスターで調べるとターミナルとケーブルの間に数十オーム程度の抵抗の値が出る。
ターミナルとケーブルの間をバーナーで暖めてハンダを流し込み一件落着。(^_^;)
外したセルモーターをテストしてみたらしっかり作動する。最初にセルモーターの端子に12Vが来ていたにもかかわらず回らないのでセルモーターのトラブルだと思い込んでいたがセルモーターではなかった。(^_^;)
基本的なところでムダな交換作業をしたことになる。
バッテリーはカレラ3.2に乗らないときはいつもフロート充電器を繋いでフル充電状態に保っており、今回は予兆もなく突然セルモーターが回らなくなり、押しがけでエンジンが簡単に始動したので、てっきりセルモーターの故障だと思い込んだが、よくよく考えるとケーブルの異状も考えるべきであった。
そういえば、バッテリーの突然死でセルモーターが回らない可能性もあるので今回の修理を始める前に念のため充電器をバッテリーに繋いだのだが、いつも満充電にしてあるのにかかわらず意外と充電量が多かったのが不思議だった。
ケーブルの接触不良だとバッテリーからセルモーターに十分電気が供給されないが、同じケーブルを通ってオルタネーターからバッテリーに電気が行くので充電不良にもなる。
補充電したときに充電量が多いと判った段階でこのトラブルのメカニズムに気づいていればセルモーターの交換作業をやらずに済んだのに。。。。。
イグニッションや燃料ポンプへの電気はメインケーブルのターミナルや端子の不良とは関係なく別の端子から別の配線でバッテリーにつながっているのでエンジンは押し掛けで掛かるという仕掛けだ。
964で同様のトラブルの修理がフロッシュのHPに紹介されているのを見つけたのは修理を終えてからであった。(>_<)
ああ、疲れた。筋肉痛だ。当分911は修理したくない。σ(^_^;)